とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

喘鳴

 

 

オーバービュー

 

鑑別

Stridorの場合は気道閉塞を考える。(痰詰まり、喉頭浮腫、アナフィラキシー、腫瘍、異物、声帯麻痺)

wheezeの場合は気管支喘息COPDACO心不全、急性気管支炎、ABPA(ABPM)、EGPA、好酸球性肺炎、DPB、肺塞栓、GERD、気管気管支軟化症、カルチノイド腫瘍など。

 

検査

最初の検査

気管支喘息の診断は間違っている可能性を常に考えること!!

✅血算、生化、血糖、凝固、血ガス、BNP、IgE(必要に応じてIgE-RIST)。

✅喀痰培養、喀痰好酸球

✅胸部X線、必要に応じて胸部CT。

✅心電図、必要に応じて心エコー。

✅呼吸が比較的落ち着いている場合は呼吸機能検査や呼気NOまで考慮。

 

上気道閉塞が疑わしい場合

頸部・胸部CT(±造影CT)、耳鼻科ファイバー⇒ 緊急気道確保

アナフィラキシーの場合はアドレナリン0.3mg筋注

 

喘息のコントロールが不良な場合/肺野に病変がある場合の追加検査

✅治療のアドヒアランスの確認、禁煙の確認(指導)。

✅副鼻腔・胸部CT

副鼻腔炎がある場合は鼻汁好酸球、生検(耳鼻咽喉科コンサルト。好酸球副鼻腔炎の除外

✅IgE、MAST36やView39(IgE-RAST)、真菌のIgE-RAST、QFT(気管支結核の鑑別)、抗MAC抗体、β-Dグルカン、アスペルギルス抗原、喀痰細胞診(アスペルギルスと好酸球の評価)、KL-6、SP-D、抗核抗体、RF、MPO-ANCA、PR3-ANCA

好酸球上昇の原因精査(評価はこちら

✅薬剤整理やDLST提出も検討(薬剤性好酸球増加の鑑別)

肺病変がある場合は気管支鏡検査(BAL、TBLB)

 

気管支喘息発作が疑われる場合の対処

★Silent chestの場合はアドレナリン筋注+気管挿管!!

治療ステップ1

・べネトリン0.5ml(小児0.3ml)+NS20mlでネブライザー。(20分あけて3回まで)

治療ステップ2

・リンデロン4-8㎎+NS50ml divもしくはソルメドロール40-125mg+NS50ml div。

アスピリン喘息の場合、ソルメドロールは禁忌!)

 

とりあえず多くの場合はここまでで何とかなる場合が多い。

上記で酸素化が改善しない場合は入院が必要(呼吸器内科コンサルト)

治療ステップ3

・ネオフィリン注(250mg)を6㎎/kg+生食100mlに溶いて半量を15分で投与、残りを45分くらいで投与。

治療ステップ4

・ボスミン注(0.1%)を0.3ml皮下注(20~30分おきに反復可能。ためらわず使用する。)⇒気管挿管を検討する!

 

 

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高K血症

 

 

初期対応

★緊急性の確認

K≧6.0mEq/Lの場合

GI療法

腎不全+K≧7.0、代謝性アシドーシス、うっ血性心不全、尿毒症などがある場合

緊急透析

心電図異常がある場合(テント上T波、P波、QRSの開大)

8.5%グルコン酸カルシウム10mlを5分で静注(1/4ずつ分割投与)

完全房室ブロックや徐脈がある場合

緊急ペーシング

 

フローチャート

f:id:kodomonotsukai:20220311012940p:plain

 

検査

心電図、モニタリング

被疑薬の中止・変更

✅4.5mEq/L<K<5.0mEq/Lの時 ⇒ これ以上上がらないように、メインや薬剤等を変更、食事の変更(カリウム制限食)を行う。

K≧5.0mEq/Lの時、カリウムの補正開始

※補正の前に必要な検査を提出すること!

✅尿定性・沈査、尿中電解質(Na、K、Cl、Cr。随時尿でも可)、尿浸透圧。

✅偽性高K血症が疑われる場合はヘパリン化採血(血ガスでOK!

✅採血:血ガス、K、Ca、Mg、P、血清浸透圧、FT4、TSH、ACTH、コルチゾール、血糖、HbA1c血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性。

*TTKG=(UK/PK)/(UOsm/POsm)

 

カリウムの補正

★K>5.0で補正を開始する

K≧6.0~6.5mEq/Lの場合

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

GI療法(15分で効果発現。30分~60分で最大効果。4~6時間効果が持続する)

②ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後、カリメート散 3~6包分3 毎食後、アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 など

③必要に応じてベネトリン2ml吸入(15分~30分で効果発現し、2~3時間効果持続)

④必要に応じてラシックス20㎎を静注(1~2時間で効果発現し、4~6時間効果持続)

 

K<6.0~6.5mEq/Lの場合
  • ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後
  • カリメート散 3~6包分3 毎食後
  • アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 
  • とにかくカリウムを早く下げたい場合、カリウム吸着薬による便秘の副作用が強い場合、胃管が詰まる場合はロケルマ(最初の2日間は10g×3、その後は5g×1、45mlの水に懸濁して内服)
    ※ロケルマは添付文書通りに投与するとカリウムが下がり過ぎることがあるため最初は少なめから開始してもよい!

 

GI療法のやり方

①50%ブドウ糖50ml+インスリン5~10単位を緩徐に静注(30分)

②5~10%ブドウ糖500ml+インスリン5~10単位を点滴静注(6時間)

*糖5gに対しインスリンを1単位を混注すると良い

*糖尿病患者の場合は糖2.5gに対しインスリンを1単位混注する

 

✅K再検:30分後、3時間後、6時間後

✅血糖測定:30分~1時間毎に血糖チェック!(治療開始後6時間後まで)

 

 

 

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低K血症

 

 

フローチャート

その他:糖尿病による低カリウム(内因性インスリン増加)、血球産生亢進による低カリウム血症など

 

f:id:kodomonotsukai:20220306160719p:plain

 

最初の検査

心電図、モニタリング

★QT延長⇒トルサードポワンを認める場合は循環器内科コンサルト!

被疑薬の中止・変更(特にインスリン見落としがち)

✅3.0mEq/L<K<3.5mEq/Lの時 ⇒ これ以上下がらないように、メインや薬剤等の変更を行う。

✅K≦3.0mEq/Lの時、カリウムの補正開始

※補正の前に必要な検査を提出すること!
※心疾患や不整脈リスクのある患者はKを4.0~5.5で調整する。

✅採血:血ガス、K、Ca、Mg、P、血清浸透圧、FT4、TSH、血糖、HbA1c血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性(30分安静臥床後に採血)。

*PAC/PRA>200(もしくはPAC/ARC>40)かつPAC>120でアルドステロン症疑い

✅尿定性・沈査、尿中電解質(Na、K、Cl。随時尿でも可)、尿浸透圧、

*TTKG=(UK/PK)/(UOsm/POsm)

 

追加検査

✅高Ca血症がある場合は高Ca血症の鑑別

✅クッシングを疑う場合は早朝ACTH・コルチゾール

✅アルドステロン症や腎血管性高血圧を疑う場合は腹部エコー、腹部血管エコー、腹部造影CT

✅褐色細胞腫を疑う場合は血中アドレナリン/ノルアドレナリン、24時間蓄尿(尿中アドレナリン/ノルアドレナリン、尿中メタネフリン/ノルメタネフリン)

RTAを疑う場合は抗核抗体、SS-A、SS-B、尿定性・沈査、必要に応じて腎生検。

✅内分泌科にコンサルト。

 

Kの補正

★K<3.0mEq/Lで補正を開始する

緊急性が高い場合

補正速度は10~20mEq/hで静脈投与(急速静注すると心停止するので注意!!

末梢点滴で補正する場合は血管痛を起こすので40mEq/L以下の濃度にする。

(40meq/L以上の濃度で補正したい場合は中心静脈カテーテルを留置する)

 

<処方例>

末梢点滴:KCL注20mEq 1Aを生食500mlに溶解して1時間以上かけて点滴。

※Kを1mEq上げるためには100~200mEq程度必要

 

そこまで緊急性が高くない場合

 

血圧高値、利尿剤内服中の場合

 

 

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好酸球増加

 

 

鑑別疾患

 

重症度

好酸球≧1500/μLを好酸球増多症と定義する

✅軽度増加:500~1500

✅中等症:1500~5000

✅重症:5000以上

 

最初の検査

有症状の場合や重度の好酸球上昇がある場合は被疑薬の中止・変更

被疑薬のDLST(即時型アレルギーの場合はBATが有効)、採血4本(凝固の評価も)、血沈、白血球分画、目視、CK、CK-MB、トロポニンT、喀痰好酸球、肝腎機能、電解質、尿定性・沈査、免疫グロブリン(IgG、IgMIgE)、抗核抗体、RF、MPO-ANCA、PR3-ANCA、TSH、FT4、早朝ACTH・コルチゾール
DIHS:HHVやCMVの再活性化などの評価。

✅呼気NO、呼吸機能検査(気道可逆性も含めて)

✅心電図

好酸球1500以上の場合は心エコー(好酸球による心筋障害や心室血栓の精査)

✅胸部レントゲン、胸部CT・副鼻腔CT

副鼻腔炎がある場合は鼻汁好酸球、生検(耳鼻咽喉科コンサルト。好酸球副鼻腔炎の除外

✅皮膚症状、筋症状がある場合は皮膚科コンサルト皮膚生検(DRESS、TEN、SJS、DIHS、好酸球性血管性浮腫の鑑別)、筋膜生検(好酸球性筋膜炎の評価)

 

追加の検査

✅胸腹CT・副鼻腔CT、β-Dグルカン、QFT、可溶性IL-2R、ACE、リゾチーム、ABPAの評価(喀痰細胞診→アスペルギルスの評価、アスペルギルスRAST(MAST39)、気管支鏡)、特異的IgE(View39やMAST39)、ビタミンB12(上昇している場合は骨髄増殖性腫瘍を疑う)、HIV抗体、抗HTLV-1抗体、皮膚生検(EGPA、薬疹)、便虫卵、抗寄生虫抗体(寄生虫が疑わしい場合は宮崎大学 寄生虫学教室などに問い合わせ)。

✅呼吸器症状や肺炎像がある場合は呼吸機能検査や呼気NO、気管支鏡検査。

✅腹部症状がある場合は消化器内視鏡

✅血液疾患が疑わしい場合は血液内科コンサルト(末梢血のFIP1L1-PDGFRAや骨髄検査を施行する)

 

HESの診断基準(Chusidらの基準)

①6ヶ月以上にわたり好酸球数1500/μL以上が持続する

(HEの基準:1ヶ月以上にわたり好酸球数1500/μL以上が持続する)

寄生虫やアレルギー、その他の好酸球増加を来す明らかな基礎疾患がない

好酸球増多による多臓器障害の症候

 

臓器障害

①線維化(肺、心臓、消化管、皮膚、その他の臓器)

血栓症

③皮膚の紅斑、浮腫/血管性浮腫、潰瘍、掻痒感、湿疹

④慢性または反復性の症状を認める末梢または中枢神経障害、脳血管障害

⑤肝臓、膵臓、腎臓など他の臓器障害

 

皮膚障害、肺障害(好酸球性肺炎、気管支炎)、消化器障害(下痢、食道炎、好酸球性胃腸炎、吸収不良)、心機能障害(好酸球性心筋炎、心室血栓症深部静脈血栓症)、神経障害(末梢神経障害、脳症、視神経炎、脳血管障害(血管炎、心原性塞栓))

 

血液腫瘍による好酸球増加

フローチャート

 

Shomali W, Gotlib J: World Health Organization-defined eosinophilic disorders: 2019 update on diagnosis, risk stratification, and management. Am J Hematol 94:1149-1166, 2019

 

 

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下痢の対症療法

 

 

整腸剤

 

止痢薬

感染性下痢を否定した上で止痢薬を使用

 

 

 

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吐血

 

 

オーバービュー

 

鑑別

胃十二指腸潰瘍(ピロリ菌、NSAIDS、ステロイドなど)、抗血栓薬内服、食道静脈瘤破裂、胃静脈瘤破裂、悪性腫瘍、Mallory-Weiss症候群、胃穿孔、食道破裂、逆流性食道炎、食道潰瘍、Diulafoy潰瘍、急性胃粘膜病変(AGML)、血管異形成、膵管出血(仮性嚢胞や動脈瘤、腫瘍)、その他の腫瘍(GIST、リンパ腫、カルチノイド)など

 

最初の検査と処置

✅緊急で消化器内科コンサルト ⇒ 緊急内視鏡を検討する(Mallory-Weiss症候群以外)

*吐血の緊急内視鏡の判断は難しいことも多く、施設の環境によっても対応が異なる。そのため、吐血した時点で消化器内科にコンサルトすべきと筆者は考える。

*緊急内視鏡のタイミングについてはこちらを参考にする。

✅緊急度の判断のため、バイタルサイン採血胸腹造影CTをオーダーする!

出血セット:血算、凝固、鉄検査(Fe、フェリチン、TIBC、UIBC)、輸血検査(血液型、不規則抗体スクリーニング、クロスマッチ)

✅血ガス

輸血オーダー(輸血基準はこちら

✅胸部X線写真(誤嚥の評価と喀血の除外)

✅胸腹部造影CT(可能な限り造影!Extravasationの確認出血部位の評価胃内の高吸収の確認free airの確認などを行う)

✅心電図(2次性の心筋虚血の確認)

✅緊急内視鏡

✅補液:血圧の維持

✅INR>1.5、血小板<5万は補正

PPI投与

✅止血剤:アドナ25㎎+トランサミン250㎎+生食100mlを1日2回点滴

 

内視鏡のタイミング

明確なコンセンサスはない。

以下の場合は超緊急(6時間以内)の内視鏡が必要。

✅血行動態不安定

✅新鮮血の吐血(NG tubeから新鮮血)

✅Hb≦8g/dl

✅造影CTでExtravasationを認める

✅造影CTで食道静脈瘤の破裂が疑われる症例

✅抗血栓薬が中止できない症例

✅Glasgow Blatchford score(GBS)が12点以上

GBSスコアが1点以下であれば緊急性は低い!

 

Glasgow Blatchford score (GBS) 

BUN Hb 収縮期血圧 その他
≧18.2、<22.4 2 男性≧12、<13
女性≧10、<12
1 100~109 1 心拍数>100回/分 1
≧22.4、<28 3 男性≧10、<12 3 90~99 2 黒色便 1
≧28、<70 4 <10 6 <90 3 失神 2
≧70 6         肝疾患、心不全 それぞれ2

1点以下で緊急性はなし。12点以上は緊急性が高い。

 

原因の検査

胃十二指腸潰瘍の場合

✅ピロリ菌、薬剤性(NSAIDS、ステロイド、BP製剤、アルコール)などが主な原因となる。

✅難治性潰瘍の原因として悪性腫瘍、ガストリノーマ(MENⅠ)、サイトメガロウイルスヘルペスウイルス、結核、梅毒、炎症性腸疾患や膠原病(強皮症、悪性関節リウマチ、血管炎、ベーチェットなど)による2次性の潰瘍

✅原因薬剤の中止、ピロリ抗体、CEACA19-9をチェック。

✅難治性の場合は各疾患の検査を追加

食道静脈瘤の場合

✅肝硬変の評価(参照:肝機能障害)、アンモニアの評価。

アンモニア上昇傾向の場合は肝性脳症の治療。

 


出血・貧血のルーチン

 

Major bleedingの定義

①致死的な出血・・・外傷、上部消化管出血、黒色便、喀血など

②クリティカルな臓器の症候性出血(頭蓋内出血、硬膜内出血、眼内出血、後腹膜出血、関節内出血、心嚢内出血、筋肉内出血、コンパートメント症候群)

③ヘモグロビンが2g/dL以上低下または2単位以上の輸血が必要

 

リバースのやり方

ワーファリン

①ケイツー10㎎/2mlを2A静注(3時間で効果発現)

②急いで補正したい場合はPCC製剤(30分で効果発現)

③必要に応じてFFP2~4単位(効果発現に5~6時間かかる)

ダビガトラン

①イダルシズマブ 5g(2.5g/Vを2V使用)を5~10分かけて点滴

②イダルシズマブがなければPCC製剤(保険適応外)やFFP

その他のDOAC

①アンデキサネット(オンデキサ)を使用する。
※適応はエドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバンのみ

②PCC製剤(保険適応外)やFFP

 

*PCC製剤:ケイセントラやPPSB

 

 

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降圧薬

 

 

降圧薬の「ABCD」

A:ACE阻害薬、ARB

B:βブロッカー

C:Caブロッカー

D:サイアザイド利尿薬(Diuretics)

 

降圧薬のおおまかな選択基準

 

★第一選択は「ACE阻害薬、ARB」または「Caブロッカー」

★2種類以上の薬を服用する場合は原則「別系統」の薬を内服する。

★βブロッカーとサイアザイド利尿剤は降圧目的での単剤使用は原則しない!(併用

 

①基礎疾患のない人

高齢者:Caブロッカー>ACE-I、ARB(高齢者はCaブロッカーの方が降圧しやすい)

若年者:ARB>ACE-I、Caブロッカー(ARBが降圧作用が強い)

②高血圧緊急症

Caブロッカー(ニカルジピン)

狭心症

スパズムが原因の場合(安静時狭心症): Caブロッカー(βブロッカーは禁忌)

労作性狭心症 :βブロッカー併用

④糖尿病、腎機能障害(Cre<2.0mg/dl)

 ACE-IまたはARB(Cre2.0mg/dl以上の場合は高K血症になるので使用しない)

⑤慢性心不全

ACE-IまたはARB(リモデリング予防)+ β-ブロッカー

⑥食塩感受性高血圧、夜間高血圧、骨粗鬆症

サイアザイド利尿剤の併用を検討

前立腺肥大症

αブロッカー

 

各降圧薬の使い分け

Caブロッカー

・とにかく降圧作用が必要な場合はアダラートCR 40mg 1回1錠 1日1~2回 朝・夕食後

半減期が長くて安定感のあるのはアムロジピン2.5~5㎎ 1錠分1 

・降圧+洞性頻脈の場合はヘルベッサー 30~60㎎ 3錠分3(降圧作用は強くない)

・異型狭心症にはアダラートもしくはヘルベッサーを使用する。

・高血圧緊急症の場合はニカルジピンの点滴を使用する。

 

★ニカルジピンの指示

原液で使用。

sBP>160mmHgが30分以上続く場合、ニカルジピンを2ml/hrで開始。

sBP>160mmHgが30分以上続く場合は1ml/hrずつ増量。(最大0.3×体重ml/hrまで)

sBP<120mmHgが30分以上続く場合は、ニカルジピン1ml/hrずつ減量。Off可能。

ICU以外で使用時:ニカルジピン使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は30分後に血圧再検。

※最大投与量は添付文書上はもう少し増量可能

 

*副作用

 GERD、浮腫、アダラート・アムロジピンは頭痛や歯肉肥厚の副作用あり。

 

ACE-I/ARB

・降圧作用の強さはARB>ACE-I

・ACEの使い分けはないと思う。(レニベースで良いのでは?)

・降圧作用が特に強いのはアジルバ40mg 分1、ミカルディス20~80mg 分1

 

*副作用

 高K血症、腎機能の増悪、血管性浮腫、ACE-Iは乾性咳嗽あり

 

サイアザイド系利尿薬

・治療抵抗性高血圧や食塩感受性高血圧、夜間高血圧に対して併用で使用する。

・Cre>2.0mg/dl、eGFR<30ml/minでは効果ないため使用しない。

フルイトラン1~2mg 1回1~2錠 分1。

 

*副作用

低Na血症、低K血症、高尿酸血症、耐糖能異常

 

βブロッカー

メインテート0.625mg/日orアーチスト2.5mg/日より開始。

(軽症の心不全なら倍量より開始)

メインテートなら5mg、アーチストなら20mgまで増量可。

(5~7日毎にメインテート0.625mg、アーチスト2.5mgずつ増量。)

メインテート2.5mg≒ビソノテープ4.0mg

・ビソプロロールはβ1選択性 ⇒ 血圧が下がりにくい、喘息にも使用可能。

 

*副作用

・βを増量して2-3日後に心不全徴候が出やすいので注意する。

・異型狭心症気管支喘息には禁忌

・徐脈

 

αブロッカー

カルデナリン2~8mg 分1

 

*副作用

・起立性低血圧、ふらつき

 

 

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