とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

頭痛

 

 

オーバービュー

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鑑別

★出血と感染の除外が一番重要!!

◆2次性頭痛
脳血管障害 SAH、脳出血、硬膜外血種、硬膜下血種、頸動脈解離、椎骨動脈解離、脳静脈血栓症、RCVS、脳動静脈奇形、下垂体卒中、内頚静脈海綿静脈洞瘻
中枢神経感染症 髄膜炎脳炎、脳膿瘍
脳腫瘍 脳腫瘍、転移性脳腫瘍、癌性髄膜腫
高血圧性脳症、高血圧緊急症
頭蓋内圧異常 水頭症低髄液圧症候群、特発性頭蓋内圧亢進症
頭蓋外疾患 緑内障、急性副鼻腔炎帯状疱疹、側頭動脈炎、肥厚性硬膜炎、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症
◆1次性頭痛
緊張型頭痛
片頭痛
群発頭痛(TAC)
三叉神経痛
後頭神経痛
その他

感冒に伴う頭痛、CO・CO₂貯留、薬物乱用(鎮痛薬、トリプタン製剤、エルゴタミン)、顎関節症、その他の一次性頭痛(咳嗽性頭痛、運動性頭痛、睡眠時頭痛、性行為に伴う頭痛、寒冷性頭痛、頭蓋外からの圧迫による頭痛)、海綿静脈洞症候群、褐色細胞腫、心因性、キアリ奇形、MELAS、CADASIL

 

鑑別の絞り込み!

★下記の赤字がRed Flag sign 

雷鳴頭痛、人生最悪の頭痛 SAH、頸動脈・椎骨動脈解離、脳卒中、脳静脈洞血栓症、RCVS
失神や意識障害を伴う SAH、脳卒中、CO中毒、高血圧緊急症、脳炎髄膜炎、脳膿瘍
髄膜刺激症状
(Kernig徴候、項部硬直、jolt accentuation)
SAH、髄膜炎、癌性髄膜症、下垂体卒中
頸部痛

動脈解離(頸動脈・椎骨動脈)、クモ膜下出血

乳頭浮腫 頭蓋内圧亢進
神経局所症状や痙攣 頭蓋内病変、脳卒中、動脈解離(頸動脈・椎骨動脈)、髄膜炎脳炎、脳膿瘍
発熱+頭痛、意識障害 脳炎髄膜炎、脳膿瘍、巨細胞性動脈炎
眼痛、視力障害、毛様充血、角膜混濁 急性緑内障発作
高齢者+片側の視力障害、側頭動脈の圧痛 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
咀嚼時の痛み 側頭動脈炎、顎関節症(顎関節の圧痛)
体位で変動する頭痛 頭蓋内圧亢進、低髄液圧症候群
ルンバールの既往、座位で増悪 低髄液圧症候群
悪性腫瘍の既往 癌性髄膜症、転移性脳腫瘍
鼻閉、鼻汁、上顎洞や前額洞の圧痛 副鼻腔炎
皮疹 帯状疱疹
頭皮神経の圧痛 頭皮神経痛
眼球運動障害や視力障害 海綿静脈洞症候群
鎮痛薬や片頭痛薬の連用 薬剤性頭痛
前兆あり、光や音・臭い過敏、拍動性 片頭痛

締め付け感(非拍動性)、嘔気や嘔吐なし、入浴中・起床後・運動後に症状改善

緊張型頭痛
片側、非常に激しい頭痛、片側の結膜充血・鼻閉・鼻汁、眼瞼下垂、縮瞳、好発時間帯あり 群発頭痛(TAC)

 

 

SNOOPY

以下の項目に当てはまる場合は2次性頭痛を疑う!

SNOOPY
Systemic symptom/signs 全身性の症状・徴候
発熱、筋痛、体重減少
Systemic disease 全身性疾患、悪性腫瘍、AIDS
Neurologic symptoms or signs 神経学的症状や徴候
Onset sudden 突然発症、雷鳴頭痛
Onset after age 40 years 40歳以降の発症
Pattern change パターンの変化
頭痛発作間隔が次第に狭くなる進行性頭痛
頭痛の種類の変化
EYE 乳頭浮腫、瞳孔不同、眼球運動障害、眼症状(眼痛、視力障害、毛様充血、角膜混濁)

 

検査

特に2次性頭痛を疑う場合に積極的な検査を考慮する

✅血算、生化学、血糖、凝固

✅頭部CT出血・膿瘍・腫瘍の鑑別、副鼻腔炎、ルンバール前のスクリーニングも兼ねる)

⇒原因が分からない場合は頭部MRI・MRAルンバールまで検討。

(特に脳血管(RCVSやCVTなど)感染悪性腫瘍高血圧性脳症を疑う場合)

※頭蓋内圧亢進状態の場合はルンバールは禁忌(脳ヘルニアになるため)

✅心電図

緑内障発作を疑う場合は緊急で眼科受診

✅CO中毒やCO2貯留が疑わしい場合は血ガス。

✅必要なら神経内科脳神経外科コンサルト

✅側頭動脈炎や肥厚性硬膜炎を疑う場合は膠原病内科コンサルト

  •  一般採血に加えてESR、プロカルシトニン、血液培養提出。頸部~骨盤までの全身造影CTと頸動脈エコー(血管の炎症の評価)、側頭動脈生検(脳神経外科コンサルト)。
  • 側頭動脈炎の場合はPMRの評価
  • 肥厚性硬膜炎の場合はANCAの評価

 

オタワルール

以下の6項目がすべて除外出来ればSAHは否定的。

✅40歳以上

✅頸部痛や項部硬直

✅意識消失

✅労作時に発症

✅雷鳴頭痛

✅頸部屈曲制限

 

救急外来での片頭痛の評価

①嘔気羞明③日常生活を妨げるような頭痛のうち、2項目以上該当する場合は片頭痛の可能性が高いと考えられる。

 

POUNDスコア

Pulsating(拍動性)

✅hOurs(持続時間が4~72時間)

Unilateral location(片側性)

Nausea (嘔気・嘔吐)

Disabling(日常生活困難)

4項目以上で片頭痛の可能性が高い

2項目以下で片頭痛の可能性が低い

 

対症療法

一般的な1次性頭痛の対症療法

1次性頭痛であれば、NSAIDsやアセトアミノフェンで大体はなんとかなる。

⇒後日、脳神経内科などの頭痛外来へ!

①ロキソプロフェン60㎎ 1錠+レバミピド1錠 内服(8時間あけて1日3回まで)

ボルタレンSR 37.5mg+レバミピド1錠 1日2回内服

③アセリオ500㎎を15分かけてdiv

 

片頭痛群発頭痛で症状が強い場合

神経内科にコンサルトが無難だが、コンサルトできない場合は

イミグランキット皮下注3mgを1キット 皮下注射

イミグラン50㎎ 1錠(頓用。1日4回まで)

マクサルト10㎎ 1錠(頓用。2時間あけて1日2回まで)

群発頭痛の場合は酸素投与も行う。

 

 

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輸血療法

 

 

RBC(赤血球)

基本単位

1単位=140ml、2単位から使用

2単位を1~2時間で投与を行う。(心不全の場合は3~4時間で投与)

 

適応

★基本はHb≦7.0mg/dlで輸血と考える。

 

◆急性出血

出血量に応じて輸血を行う(Hb値を輸血の参考にはしない)。Hb≦6.0g/dLでほぼ必須。

◆慢性貧血

Hb<7.0の場合に輸血を考慮。

◆心疾患

Hb8~10g/dLを目標に輸血を行う。

◆大量輸血時(1500ml以上の出血、24時間以内に10単位以上のRBCが必要)

RBC:PC:FFP=1:1:1で投与を行う。

(少なくともRBC:PC:FFP=2:1:1で投与を行う)

 

予測上昇Hb値

予測上昇Hb ≒ RBC2単位投与した場合は70÷体重(kg)と覚える。

 

PC(血小板)

基本単位

1単位=20ml、5単位から使用

10単位を約1時間で投与を行う。

 

適応

◆活動性出血

血小板5万以上になるように輸血。外傷性頭蓋内出血の場合は10万以上を目標に輸血を行う。

◆侵襲的処置の前

外科手術は5万以上、開頭術は10万以上、腰椎穿刺は5万以上、CV留置術は2万以上。

◆DIC

Plt5万未満で出血症状のある場合に考慮する

(ただし実臨床では5万以上になるように輸血することが多いか。。。)

◆その他

「2万未満」もしくは「5万未満かつ出血傾向あり」の場合に輸血する場合が多い。

 

禁忌

TTPには投与禁忌

 

予測上昇値

10単位で500×体重(kg)程度の上昇を認める(60kgで約3万の上昇)

10単位投与後24時間後に1万以上増えない場合は輸血不応を考える

 

補正血小板増加数(CCI

CCI=血小板増加数×BSA(m²)÷輸血した血小板数[10^11]

CCI-1(1時間後)<7500、CCI-24(24時間後)<4500は輸血不応を考える。

 

FFP(新鮮凍結血漿

基本単位

1単位=120ml、1単位から使用

1単位を30分で投与する。

FFPは凝固因子活性が失活するので、融解後3時間以内に輸血する。

 

適応
  • フィブリノーゲン:100mg/dl未満、150mg/dl以下で出血予防を行いたい場合、200mg/dl以下で出血が持続している場合。
  • PT-INR 2.0以上、PT 30%以下
  • APTTが基準値の2倍以上、APTT 25%以下

基本的にはフィブリノーゲンの値を見て補充を行う!

✅単純にPT、APTTを補正するための補充は行わないが、下記の病態の場合には補充を行う。

 

投与対象の病態:肝障害、緊急止血時、ワーファリンの緊急補正、大量輸血時の希釈性凝固異常、凝固因子欠乏症、DIC、L-アスパラギナーゼ投与時の凝固障害など

 

投与目標値
  • 出血予防:フィブリノーゲン値≧150mg/dl
  • 止血目的:フィブリノーゲン値≧200~250mg/dl

 

予測上昇値
  • 10ml/kg(8~12ml/kg程度。50kgの人であれば約4~5単位)を投与すると凝固因子の血中レベルが20~30%上昇する。(20~30%活性が上がれば概ね止血は可能なレベルになる。あとはPT、APTTを見ながら輸血量を調整する)
  • FFP10単位でフィブリノーゲンが約50mg/dl上昇する。(大量に補充したい場合には濃縮フィブリノゲン製剤やクリオプレシピテートの投与を検討する)
  • 出血が持続している場合:Fib100~180mg/dlでFFP10単位、Fib100mg/dl以下でFFP15単位を経験的に投与する。

 

製剤別輸血量早見表

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(引用:https://www.jrc.or.jp/mr/relate/info/pdf/yuketsuj_0706-107.pdf

 

輸血合併症

急性溶血反応、非溶血性発熱反応、アレルギー反応、TRALI(輸血後6時間以内に起こる非心原性肺水腫。ARDSに準じた管理を)、輸血後GVHD(輸血後7~14日後。全身管理)、TACO(輸血後の心不全。心原性肺水腫に準じた治療)、高カリウム血症(カリウム除去フィルター)、低カルシウム血症(クエン酸中毒。カルチコール投与)、希釈性凝固異常・血小板減少、ウイルス感染症、細菌感染症、鉄過剰

 

 

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FDP/D-dimerの上昇

 

 

鑑別疾患

①DIC

血栓症DVT/PEの検査・治療を参照)

③その他の疾患(外傷、骨折、急性大動脈解離、悪性腫瘍、炎症性疾患COVID-19TMA間質性肺炎など)

 

検査・処置

高すぎる場合はD-dimer再検

✅DICスコアの評価 ⇒ Fib、ATⅢ、その他の凝固・線溶系マーカー(TAT、SF、PIC、PAIなど)の評価

✅DVTやPEの評価(評価方法はこちらを参照)

✅下肢エコー

✅心電図

✅心エコー

✅造影CT(原因不明の低酸素がある場合、肺高血圧症の増悪がある場合、D-dimer著明高値の場合や上昇傾向の場合)

D-dimerが著明高値の場合血栓の評価が難しい場合ヘパリンの経験的投与も検討する!

✅肺塞栓:循環器内科コンサルト、心エコー、抗凝固療法、肺高血圧症の治療、インターベンションの適応についてコンサルト。

✅その他、血栓があれば下記について該当科にコンサルト

  • 治療適応
  • 抗凝固療法の適応(出血リスク確認)
  • 血栓素因の評価
  • 安静度
  • エコーフォロー

TMAの評価はこちら

 

急性期DICスコア

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✅基本的には急性期DICスコアを使用する。

白血病群の場合は厚生労働省の基準を用いる(出血症状と血小板数を除いて4点以上)

ATⅢとフィブリノーゲンも併せて評価する(ATⅢとフィブリノーゲン低下はDICを示唆する。)

 

DICの新基準

DICの新基準の案についてはこちらの文献を参照

 

DIC治療

リコモジュリン

380U/kg+生食100ml,1日1回。腎機能障害がある場合は130U/kgに変更。投与期間は1週間が目安。(DICスコアが低下傾向かつ現治療OKの場合に投与終了)

ノイアート、ノンスロン

ATⅢ<70%の時に適応。1500単位1本/日を3日間投与が基本。体重が重い場合は30単位/kg投与可能。ATⅢ>70%で中止。

FFPの補充

以下の場合にFFPの補充を検討する

① PT-INR2.0以上あるいはPT%が30%以下

②APTTが上限値の2倍以上

③低フィブリノゲン血症(100mg/dL未満)

  • FFP 8~12ml/kgを24~48時間毎に投与

 

血栓症の評価

DVT/PEの検査・治療を参照

 

 

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DVT/PEの検査・治療

 

 

DVT Well's スコア

+1
麻痺あるいは最近のギプス装着 +1
ベッド安静3日以上または術後4週未満 +1
下肢全体の腫脹 +1
下腿直径差3㎝以上 +1
患肢のpitting edema +1
患肢の表面静脈拡張 +1
診断がDVTらしくない ー2

 

DVTのフローチャート

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PE Well's スコア

PEやDVTの既往 +1.5
心拍>100回/分 +1.5
最近の手術または3日以上の長期臥床 +1.5
臨床的にDVTの症状がある +3
診断がPEらしい +3
喀血 +1
+1

 

PEのフローチャート

★必ず「心エコー」と「心電図」の評価を行ってください!

※従来のフローチャートをより臨床向けに改変したものになります

※D-dimerのカットオフには個人的な感覚が含まれますのでご注意ください

 

★造影CTが施行できない場合は経験的に抗凝固療法開始も検討する!

 

治療とマネジメント

DVT

以下の①~⑤を行う。

 

①抗凝固療法(循環器内科コンサルト

✅症状ありのもの、中枢側(膝窩より近位)のもの、伸展の危険因子ありのものは治療適応となる。

  • 出血リスクも考慮して治療適応を決める(HAS-BLEDスコア等も参考にする)
  • 治療期間は3ヶ月程度。
  • 最初からDOACもしくはヘパリン化施行後にDOAC or ワーファリン
  • 末梢型(膝窩以遠)のDVTの場合は、症状や伸展リスクがなければ無治療経過観察 ⇒ 1~2週間後に下肢エコーを再検

※トルソー症候群の場合はヘパリンしかエビデンスがない。

✅循環動態不安定や近位部の大きな血栓症、抗凝固薬禁忌症例(出血、血小板<5万、凝固異常)はインターベンションを検討する!(循環器内科コンサルト)

 

血栓素因の検索を検討する

血栓性素因の評価

<スクリーニング対象>

50歳以下の患者、DVTの家族歴、再発症例、非典型的な部位(中枢側の血栓、門脈、肝静脈、腸管静脈、脳静脈など)

血栓症の鑑別>

悪性腫瘍(トルソー症候群:動脈・静脈の血栓)、長期臥床、心房細動(心房内血栓)、SLE、ベーチェット病、血管炎症候群、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群抗リン脂質抗体症候群甲状腺機能亢進症、プロテインC・プロテインS欠乏症、ATⅢ欠乏症、高ホモシステイン血症、妊娠中、ホルモン剤服用、PTTM

<検査項目>

心エコー(心房内血栓)、心電図 /ホルター心電図(Afの確認)、プロテインS、プロテインC、ATⅢ、抗カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテイン、ループスアンチコアグラント、抗核抗体、ANCA、血中プラスミノーゲン、ホモシステイン濃度、尿定性・沈査、TSH、FT4

必要に応じて上下部消化管内視鏡、換気血流シンチ(微小血栓・CTEPHの評価)、PET-CTやガリウムシンチ(腫瘍塞栓と血栓の鑑別)

 

③安静度やリハビリの可否を循環器内科に相談する

抗凝固療法が治療域に達したら安静度を解除する場合が多い。

④フットポンプ、弾性ストッキングを中止する

血栓の状態を1~2週間後に再評価する(増悪がないか・治療抵抗性でないかの確認)

 

 

PE

以下の①~⑦を行う。

 

①抗凝固療法(循環器内科コンサルト

✅多くの場合は抗凝固療法だけで済む。

  • 出血リスクも考慮して治療適応を決める(HAS-BLEDスコア等も参考にする)
  • 肺塞栓→ヘパリン化(最低5日間以上)後にDOAC or ワーファリン
    ※肺塞栓の場合大喀血する可能性があるため最初は必ずヘパリン(拮抗できるように)
  • 治療期間は血栓がなくなるまで(約3ヶ月程度)

※トルソー症候群の場合はヘパリンしかエビデンスがない。

✅循環動態不安定や近位部の大きな血栓症、抗凝固薬禁忌症例(出血、血小板<5万、凝固異常)はインターベンションを検討する!(循環器内科コンサルト)

 

②心電図、心エコー(右心負荷所見の評価)

③肺高血圧の治療(循環器内科コンサルト

血栓素因の検索を検討する

血栓性素因の評価

<スクリーニング対象>

50歳以下の患者、DVTの家族歴、再発症例、非典型的な部位(中枢側の血栓、門脈、肝静脈、腸管静脈、脳静脈など)

血栓症の鑑別>

悪性腫瘍(トルソー症候群:動脈・静脈の血栓)、長期臥床、心房細動(心房内血栓)、SLE、ベーチェット病、血管炎症候群、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群抗リン脂質抗体症候群甲状腺機能亢進症、プロテインC・プロテインS欠乏症、ATⅢ欠乏症、高ホモシステイン血症、妊娠中、ホルモン剤服用、PTTM

<検査項目>

プロテインS、プロテインC、ATⅢ、抗カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテイン、ループスアンチコアグラント、抗核抗体、ANCA、血中プラスミノーゲン、ホモシステイン濃度、尿定性・沈査、TSH、FT4、心エコー(心房内血栓)、心電図(Afの確認)

必要に応じて上下部消化管内視鏡、換気血流シンチ(微小血栓・CTEPHの評価)、PET-CTやガリウムシンチ(腫瘍塞栓と血栓の鑑別)

 

⑤DVTの評価(下肢エコー)

⑥安静度やリハビリの可否を循環器内科に相談する

抗凝固療法が治療域に達したら安静度を解除する場合が多い。

血栓の状態を1~2週間後に再評価する(増悪がないか・治療抵抗性でないかの確認)

 

抗凝固薬の使い分け

イグザレルト(リバーロキサバン)

一番キレが良い!1日1回でアドヒアランスも良い。出血イベントがやや多いことが欠点。

エリキュース(アピキサバン)

高齢者の腎機能低下症例に使いやすい。出血イベントが他より少な目。

ダビガトラン(プラザキサ)

中和剤がある。虚血性脳卒中エビデンスが豊富。腎不全で使いにくい。消化器症状の副作用多い。

リクシアナ(エドキサバン)

1日1回。唯一DVTに対する予防の保険適応が通っている。

 

         患者                             薬剤            
CCr30-50            

    アピキサバン

リバーロキサバン
    エドキサバン            

ダビガトランよりは腎機能低下の影響が少ない            
CCr<15                 ワーファリン                             DOACは勧められない            
脳梗塞ハイリスク                           リバーロキサバン
                ダビガトラン           
治療抵抗性の虚血性脳卒中                 ダビガトラン             ダビガトラン150㎎は虚血性脳卒中低リスク            

ディスペプシ

上部消化器症状            

リバーロキサバン
    アピキサバン
    エドキサバン            
ダビガトランの服用者の10%にディスペプシア            
消化管出血の既往/高リスク                 アピキサバン                             出血リスクが少な目            

出血高リスク

(HAS-BLEDスコア≧3点)            

                アピキサバンやエドキサバン            
1日1回                             リバーロキサバン
                エドキサバン            
拮抗薬が必要                             ワーファリン、ダビガトラン            
担癌患者                      DOAC                    ワーファリンは相互作用が多い            

 

造影CTが施行できない場合の対応

①まずは下肢エコー、心エコー、心電図の評価を行う

(DVTとmassivePEを否定する)

②PEが疑われる場合、施行可能であれば換気血流シンチを施行する

③「画像検査が施行できない」+「D-dimer高値」の場合は、患者と相談の上で経験的に抗凝固療法の開始を考慮する。

※日本では内科領域における抗凝固薬の予防投与は原則行わない

 

 

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高Ca血症

 

 

フローチャート


続発性副甲状腺機能亢進症
:慢性腎不全、ビタミンD摂取低下や作用不全(抗てんかん薬による代謝障害)、低P血症、PTH不応症など

薬剤性:活性型ビタミンD製剤、カルシウム製剤、サイアザイド利尿薬、テオフィリン、ビタミンA、炭酸リチウム、テリパラチド、エストロゲン製剤など

その他:ミルクアルカリ症候群

 

検査

✅被疑薬の中止・変更。

✅採血、Alb、Ca、P、Mg、ALP、TSH、FT4、iPTH(whole PTH)、PTHrP、1.25(OH)D、25(OH)D、尿中CaとCr。

★補正Ca=血清Ca+(4-血清Alb)

★Alb値が非常に低い場合は、血ガスでイオン化Ca≧1.3mmol/Lで高Ca血症の診断。

※低P血症 ⇒ iPTH、PTHrPの関与を疑う。
※高P血症 ⇒ ビタミンDの関与を疑う。

✅大量補液が必要になるため心エコー尿測体重測定

副甲状腺エコー、副甲状腺機能亢進症が疑われる場合は副甲状腺シンチ

✅悪性腫瘍などの原因評価のためCT検査。

*FECa=(尿Ca×血清Cr)/(血清Ca×尿Cr)

 

治療

★Ca≧12mg/dlもしくは症候性の高Ca血症が治療適応

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

①脱水の補正
  • 生食補液
  • 250~500ml/hrで補液を行う、尿量を100~150ml/hr確保するように補液を行う。高齢者でなければ、目安は1日2~3L程度
  • 大量補液のため、心エコーを行う。
②カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤

◆カルシトニン製剤

エルシトニン40単位を1日2回 皮下注射。2日間投与。

(数時間以内に効果発現。何度も投与するとescape phenomenonが起こるため長期投与しない)

◆ビスホスホネート製剤(悪性腫瘍で保険適応あり)

ゾメタ4mg/5ml+生食100mlを15分かけて点滴。

(2日目以降に効果が発現する。1週間以上間隔を空けて再投与可)

③利尿剤

ルーチンでは使用しない。

脱水が改善されたら使用しても良い。

  • フロセミド20㎎~40㎎/日
ステロイド

肉芽腫疾患のビタミンD作用抑制やリンパ腫への効果を期待して使用

 

透析の適応

  • 意識障害を来している場合
  • Caが18~20mg/dlと著明高値
  • 腎不全で十分な尿量が確保できない場合
  • 心不全で生食負荷が難しい場合

 

 

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電解質補正薬

 

 

高Na血症

★Na>150mEq/Lの場合は補正を行う

5%Tz 500mlで補正を行う。

①不足水分量の評価

不足水分量(L)=推定体内水分量×{(血清Na/140)-1}

※推定体内水分量=体重(kg)×割合(成人男性:60%、成人女性・高齢男性:50%、高齢女性:45%)

②Na補正速度

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする。

点滴速度(ml/h)=不足水分量/2×(血清Na-140)}

 

低Na血症

★Na<130mEq/Lの場合は補正を行う

意識障害や痙攣がある、Naが非常に低い(120未満)

 3%食塩水で補正を行う。

<3%食塩水の作り方と使い方>

10%食塩水20mlを6A(120ml)+生食400mlを混合する。

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする

⇒3%食塩水を体重×0.6ml/hで持続投与を行い、1~2時間後にNaを再検(Naの上昇速度を評価する)

 

通常の低Naの補正
  • 生食の補液
  • NaClの内服(1日3~6g/日、辛いのでカプセルで処方)
  • 細胞外液量増加が原因の場合は原疾患の治療を行う。

 

低K血症

★K<3.0mEq/Lで補正を開始する

緊急性が高い場合

補正速度は10~20mEq/hで静脈投与(急速静注すると心停止するので注意!!

末梢点滴で補正する場合は血管痛を起こすので40mEq/L以下の濃度にする。

<処方例>

末梢点滴:KCL注20mEq 1Aを生食500mlに溶解して1時間以上かけて点滴。

※Kを1mEq上げるためには100~200mEq程度必要

 

そこまで緊急性が高くない場合

 

高K血症

★K>5.0で補正を開始する

K≧6.5mEq/Lの場合

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

①GI療法(15分で効果発現。30分~60分で最大効果。4~6時間効果が持続する)

②ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後、カリメート散 3~6包分3 毎食後、アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 など

③必要に応じてベネトリン2ml吸入(15分~30分で効果発現し、2~3時間効果持続)

④必要に応じてラシックス20㎎を静注(1~2時間で効果発現し、4~6時間効果持続)

 

K<6.5mEq/Lの場合
  • ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後
  • カリメート散 3~6包分3 毎食後
  • アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 など
  • とにかく早くカリウムを下げたい場合、カリウム吸着薬による便秘の副作用が強い場合、胃管が詰まる場合はロケルマ
    (最初の2日間は10g×3、その後は5g×1、45mlの水に懸濁して内服)

 

GI療法のやり方

①50%ブドウ糖50ml+インスリン5~10単位を緩徐に静注(30分)

②5~10%ブドウ糖500ml+インスリン5~10単位を点滴静注(6時間)

*糖5gに対しインスリンを1単位を混注すると良い

*糖尿病患者の場合は糖2.5gに対しインスリンを1単位混注する

 

✅K再検:30分後、3時間後、6時間後

✅血糖測定:30分~1時間毎に血糖チェック!(治療開始後6時間後まで)

 

高Ca血症

★Ca≧12mg/dlもしくは症候性の高Ca血症が治療適応

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

①脱水の補正

生食補液(250~500ml/hr)

大量補液のため、心エコーを行う。

②カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤

◆カルシトニン製剤

エルシトニン40単位を1日2回 皮下注射。2日間投与。

(数時間以内に効果発現。何度も投与するとescape phenomenonが起こるため長期投与しない)

◆ビスホスホネート製剤(悪性腫瘍で保険適応あり)

ゾメタ4mg/5ml+生食100mlを15分かけて点滴。

(2日目以降に効果が発現する。1週間以上間隔を空けて再投与可)

③利尿剤

脱水が改善されたら使用しても良い。

フロセミド20㎎~40㎎/日

ステロイド

肉芽腫疾患のビタミンD作用抑制やリンパ腫への効果を期待して使用

 

低Ca血症

Ca<7未満の症候性低Ca血症、心電図異常がある場合

カルチコール8.5% 10~20mlを10分~20分かけて投与(急速静注すると心収縮力低下の恐れあり)

⇒その後、カルチコールを2~4ml/hrで持続点滴。内服へ切り替え。

緊急性の高くない低Ca血症

◆高P血症がある場合

沈降炭酸カルシウム(カルタン) 3g/日

◆低P血症がある場合

エルデカルシトール0.5μg/日(腎機能障害がある場合はアルファカルシドールやロカルトロールに変更)

※1Vit.D=アルファカルシドール、1.25Vit.D=エディロール、カルシトリオール

 

高P血症

①沈降炭酸カルシウム(カルタン) 3g/日・・・カルシウムが上昇する

②ホスレノール 750mg 分3 食直後・・・Ca非含有のP吸着薬

クエン酸第二鉄(リオナ)1500㎎ 分3 毎食後・・・鉄補充もできる

 

低P血症

★一般的にはP≦2.0mg/dlで補正を開始する

★欠食⇒食事再開でPが低下するため、早めに補正しておくことも多い

点滴

◆通常の補正

✅内服治療が原則

✅内服でも低下傾向の場合は点滴での補充も検討

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100ml 6時間で点滴

(日本では10mmol/hrで補正が認められているが合併症の懸念からなるべく緩徐な投与が望ましい)

 

◆症候性または1.0 mg/dL以下の場合

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100mlを1~2時間で点滴。

P<1.5mg/dlの時:1日4本まで

P>1.5mg/dlの時:1日2本まで

内服

ホスリボン 3~6包分3 毎食後

 

低Mg血症

注射

硫酸Mg補正液1mEq/ml 20ml+生食100mlを60分以上かけて投与。

Mg<1.0mg/dLの時

硫酸マグネシウム4~8g(32~64mEq)を点滴

⇒Mgが正常化するまで硫酸マグネシウム4g/日で補充

Mg1.0~1.5mg/dLの時(イオン化マグネシウム<0.5mmol/Lの時)

硫酸マグネシウム1~3g(8~24mEq)を点滴

⇒その後は適宜追加

痙攣や不整脈を発症している場合

硫酸マグネシウム1~2g(8~16mEq)を5分以上かけて緩徐に静注。

(または生食50mlに溶解し15分かけて点滴)

その後、1~2g(8~16mEq)/hrで適宜補充

 

 

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喘鳴

 

 

オーバービュー

 

鑑別

Stridorの場合は気道閉塞を考える。(痰詰まり、喉頭浮腫、アナフィラキシー、腫瘍、異物、声帯麻痺)

wheezeの場合は気管支喘息COPDACO心不全、急性気管支炎、ABPA(ABPM)、EGPA、好酸球性肺炎、DPB、肺塞栓、GERD、気管気管支軟化症、カルチノイド腫瘍など。

 

検査

最初の検査

気管支喘息の診断は間違っている可能性を常に考えること!!

✅血算、生化、血糖、凝固、血ガス、BNP、IgE(必要に応じてIgE-RIST)。

✅喀痰培養、喀痰好酸球

✅胸部X線、必要に応じて胸部CT。

✅心電図、必要に応じて心エコー。

✅呼吸が比較的落ち着いている場合は呼吸機能検査や呼気NOまで考慮。

 

上気道閉塞が疑わしい場合

頸部・胸部CT(±造影CT)、耳鼻科ファイバー⇒ 緊急気道確保

アナフィラキシーの場合はアドレナリン0.3mg筋注

 

喘息のコントロールが不良な場合/肺野に病変がある場合の追加検査

✅治療のアドヒアランスの確認、禁煙の確認(指導)。

✅副鼻腔・胸部CT

副鼻腔炎がある場合は鼻汁好酸球、生検(耳鼻咽喉科コンサルト。好酸球副鼻腔炎の除外

✅IgE、MAST36やView39(IgE-RAST)、真菌のIgE-RAST、QFT(気管支結核の鑑別)、抗MAC抗体、β-Dグルカン、アスペルギルス抗原、喀痰細胞診(アスペルギルスと好酸球の評価)、KL-6、SP-D、抗核抗体、RF、MPO-ANCA、PR3-ANCA

好酸球上昇の原因精査(評価はこちら

✅薬剤整理やDLST提出も検討(薬剤性好酸球増加の鑑別)

肺病変がある場合は気管支鏡検査(BAL、TBLB)

 

気管支喘息発作が疑われる場合の対処

★Silent chestの場合はアドレナリン筋注+気管挿管!!

治療ステップ1

・べネトリン0.5ml(小児0.3ml)+NS20mlでネブライザー。(20分あけて3回まで)

治療ステップ2

・リンデロン4-8㎎+NS50ml divもしくはソルメドロール40-125mg+NS50ml div。

アスピリン喘息の場合、ソルメドロールは禁忌!)

 

とりあえず多くの場合はここまでで何とかなる場合が多い。

上記で酸素化が改善しない場合は入院が必要(呼吸器内科コンサルト)

治療ステップ3

・ネオフィリン注(250mg)を6㎎/kg+生食100mlに溶いて半量を15分で投与、残りを45分くらいで投与。

治療ステップ4

・ボスミン注(0.1%)を0.3ml皮下注(20~30分おきに反復可能。ためらわず使用する。)⇒気管挿管を検討する!

 

 

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