とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

内科一般のおすすめ参考書

 

 こんにちは! 呼吸器内科医のシンノスケです!

 

今回の記事では、内科の分野毎におすすめの参考書を紹介します。

非専門医向けの読んでためになる本を中心に紹介していこうと思います。

他にもお勧めしたい参考書が見つかった場合は、この記事に適宜追記していきます!

それでは宜しくお願いいたします。

 

 

一般内科

Common Diseaseの診療ガイドライン

 

おすすめ度  ★★★★☆

読みやすさ  ★★★★☆

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★☆☆

 

生活習慣病などのCommon diseaseはきちんと勉強する機会は意外と少ないです。しかし外来に出ると毎回のように遭遇します。ガイドラインのポイントを簡潔にまとめてある本は一度読んでおいた方が良いと思います。

 

内科外来マニュアル

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★☆☆

 

症候からどのような鑑別疾患を考え、診察や検査を行っていくのかを表やフローチャートですぐに確認できるようになっています。また後半ではCommon diseaseへの対応についても書かれており、内科外来をスムーズにこなすことに特化した内容となっています。実用性が非常に高い本です。

 

内科診療フローチャート

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★☆

 

ジェネラリストを目指す方のために書かれた本です。広範囲に渡ってエビデンスが纏められており、非常に勉強になります。専門医のいない環境で手助けとなる最高の一冊です。

 

総合内科病棟マニュアル

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★☆☆

 

非常に完成度の高い内科マニュアルです。改訂版では青本と赤本の二冊に分かれています。疾患別の検査や治療については青本、身体所見の取り方/カルテの書き方/書類の記載方法などの基本知識を纏めたものが赤本です。研修医だけでなく、すべての内科医にお勧めできるマニュアルです。電子版での購入をお勧めします。

 

総合内科

総合内科ただいま診断中

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★☆☆

 

総合内科を目指す方のための入門書のような本になります。フレームワークに基づいて網羅的に鑑別を考えるにはどのようにすれば良いのか?ということに主軸を置いた本です。総合内科医の思考の型が身につきます。個人的に非常にお気に入りの本です。

 

診断の近道

 

おすすめ度  ★★★☆☆

読みやすさ  ★★★★☆

実用度    ★★★★★

専門性    ★★☆☆☆

 

様々な症候から鑑別疾患や必要な検査を手早く検索することに特化して書かれた本です。外来でよく分からない症状や不定愁訴に遭遇した際に、アプローチする道筋を示してくれます。

 

呼吸器内科

ポケット呼吸器診療

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★☆

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★★

 

若手呼吸器内科医は全員買っていると言っても過言ではない呼吸器内科のマニュアル本になります。コンパクトながら非常に良くまとまっており、痒い所に手が届く仕様になっています。読みやすいのもGoodです。呼吸器内科をローテートする研修医にもお勧めできる本です。

 

肺HRCTエッセンシャルズ

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★★★

 

辞書的に使うものとしては「肺HRCT」とこの本です。
こちらの方がよりベーシックな内容となっています。
原著をおすすめしますが、日本語版でも良いです。

 

CTパターンから理解する呼吸器疾患:所見✕患者情報から導く鑑別と治療

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★★

 

胸部CTの鑑別を考える際に使用する本です。
HRCTのパターン別に鑑別疾患が列挙されており、答えに辿り着きやすいように工夫されています。鑑別の思考回路を身につけたい方にオススメです。

 

循環器内科

循環器治療薬ファイル

 

おすすめ度  ★★★★☆

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★★★

 

言わずと知れた循環器内科の名著です。

この本の特に素晴らしい点は著者が実践で身に着けた”薬の使用感”を記載してあるところです。

循環器内科の薬を非専門医が使用するのは、ややハードルが高く敬遠しがちですが、この本を読むことでイメージがつきやすくなります。

もちろん非専門医が使わない薬も多いですが、市中病院に勤務される先生であれば心不全の治療薬や多少の抗不整脈薬・強心薬は使用する機会もあると思います。

研修医の先生方の循環器内科研修中の勉強にも良いと思います。

読んだことがない先生方は是非一度手に取ってみてください。

 

恋する心エコー

 

おすすめ度  ★★★☆☆

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★☆☆

専門性    ★★★★☆

 

心エコーの読み方をわかりやすく説明した読み物です。
医学書としては異彩を放っているこの本ですが、見た目とは裏腹に内容は非常に専門性が高く、かなり歯ごたえのある内容となっています。
心エコーを深く勉強していきたい先生方の最初の本として非常におすすめです。

 

腎臓内科

レジデントのための腎臓病診療マニュアル

 

おすすめ度  ★★★☆☆

読みやすさ  ★★★☆☆

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★★★

 

「レジデントのための」と銘打ってはいますが、中身は専門医向けの本と思います。腎疾患を見たときに辞書的に使用する本として非常に重宝する本です。

 

レジデントのための血液透析患者マネジメント

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★☆☆

専門性    ★★★☆☆

 

透析医療を学ぶ際の入門書になります。基礎を嚙み砕いて分かりやすく書かれており非常に読みやすいです。また慢性腎不全患者の電解質補正や腎性貧血の治療方法など安定期のCKD治療まで記載されており、研修医や非専門医にはとても勉強になる一冊となっています。

 

膠原病内科

ロジックで進めるリウマチ・膠原病診療

 

おすすめ度  ★★★★☆

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★★☆

 

膠原病疾患に苦手意識のある医師は非常に多いのではないでしょうか?私もその一人です。この本は膠原病疾患の診察や考え方について初学者のために丁寧に解説した本です。まるでオーベンが横にいるような気持ちで読むことができます。繰り返し読みたい一冊です。

 

リウマチ・膠原病診療チェックリスト

 

おすすめ度  ★★★☆☆

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★☆

 

膠原病内科の本と言えば「膠原病診療ノート」が非常に有名です。ただ私には使いこなすのは難しいと常々感じていました。使いやすい本を探し続けた結果、最終的にこの本にたどり着きました。古い本にはなりますが、私にはこのくらいクリアカットな方がちょうどいい感じです。今でもたまに使っています。

 

血液内科

レジデントのための血液診療の鉄則

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★☆☆

 

血液内科の初学者はまずここからでしょう!
血算の異常の鑑別の進め方、血液疾患の診断過程などを基本から丁寧に解説した良書です。各章ごとに症例ベースで解説されており、思考過程をシンプルに理解することができます。
私はこの本を読んで、血液疾患に対する苦手意識を克服することができました。
おすすめの名著です!

 

糖尿病・内分泌内科

レジデントのための糖尿病・代謝・内分泌内科 ポケットブック

 

おすすめ度  ★★★★☆

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★☆

 

内分泌疾患について必要最低限の事項が非常にコンパクトにまとまっており調べ物に非常に便利です。特に内分泌内科医のいない現場で非常に重宝します。レジデントのみならず、内科医の先生方にも幅広くオススメできる一冊です。

 

内分泌機能検査実施マニュアル

 

おすすめ度  ★★★★☆

読みやすさ  ★★★☆☆

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★★★★

 

大学病院勤務の先生はあまり困ることはないかもしれませんが、市中病院に勤務している場合、内分泌専門医がいないことも、しばしばあるのではないでしょうか?
私が内分泌疾患を診る際は「レジデントのための糖尿病・代謝・内分泌内科ポケットブック」とこちらの本を参考にしています。(非専門医の場合はこの2冊で十分と考えています。)
この本は内分泌の検査や負荷試験を行う際のポイント、準備物品、注意点などが事細かに記載されている本になります。
やや専門医向けの本だと思いますが、痒い所に手が届く非常に良心的な書籍です。
内分泌疾患を専門医に紹介する際の足掛かりとして、参考にされてみてはいかがでしょうか?

 

チャートでわかる 糖尿病治療薬処方のトリセツ

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★☆

専門性    ★★☆☆☆


糖尿病の治療についての著者の思考をクリアカットに解説されている本です。最初のページで治療のフローチャートを示してあり、日常診療ですぐに実践できるように工夫されています。薄くて値段も安く、それでいて非専門医が勉強する内容として必要十分な内容だと思います。糖尿病の参考書で個人的に一番使用頻度の高い参考書です!非専門医で糖尿病治療(特に安定期の治療)の基本事項を勉強したい方に是非ともお勧めしたい一冊です。(注意点としては、内容がやや古いせいか、ガイドラインに則していない部分があります)

 

感染症内科

感染症プラチナマニュアル

 

おすすめ度  ★★★★★

読みやすさ  ★★★★★

実用度    ★★★★★

専門性    ★★★★★

 

感染症の知識は本来すべての医師が身につけておく知識だと思っています。感染症診療がこれ以上簡潔に満遍なくまとまっている本は他に存在しません!持っていない方は購入をお勧めします。

 

 

 

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麻痺・脱力

 

 

フローチャート

突発性の発症の場合
  • 片側性

 

  • 両側性

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亜急性~慢性の経過の場合

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  • 単麻痺

 

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脊髄病変・末梢性病変:運動障害+感覚障害

神経筋接合部疾患・筋疾患・運動ニューロン疾患:純粋運動障害

 

検査

神経内科脳神経外科コンサルト(脳卒中の場合は必須)

✅血算、生化、低血糖の除外、凝固、電解質(K、Mg、Ca)、Amy

血ガス(PHの評価、電解質の評価、てんかん発作の可能性は?⇒必要ならEEGまで

感染症の除外(感染による脱力)

MMT評価

✅画像検査

片麻痺:頭部CT/頭部MRI ⇒ 脊髄CT/脊髄MRI

対麻痺四肢麻痺:頭部+脊髄CT ⇒ 脊髄MRI

単麻痺:頭部CT/脊髄CT ⇒ 頭部MRI/脊髄MRI(急性発症の場合は頭>脊髄)

全身性の脱力:頭部CT/MRI、感染の除外

※単麻痺の場合に脳卒中を疑うポイント

  1. 急性発症
  2. 末梢性に矛盾する神経所見
  3. 口周りのしびれ:手口症候群(pure sensory stroke)

✅症状が改善傾向の場合はTIAの評価を行う(ABCD2スコア、MRI、MRA、頸動脈エコー、心電図、心エコー)

多発性硬化症や脊髄炎などの脊髄病変を疑う場合脊髄造影MRI ⇒ 2次性の評価目的でESR、CK、ビタミンB12葉酸、TSH、FT4、免疫グロブリン、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBVなど。ADEMの原因となる)、自己免疫疾患による横断性脊髄炎の評価(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B)、MPO-ANCA、PR3-ANCA、ACE、可溶性IL-2R、抗カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテイン、ループスアンチコアグラント、抗アクアポリン4抗体、MOG抗体、HTLV-1抗体、傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)など。

神経根障害を評価する場合は脊椎X線(前屈位・後屈位)と脊髄MRI整形外科コンサルト

絞扼性神経障害の評価する場合は障害部位のMRI、神経伝導速度検査 ⇒ 整形外科コンサルト

血流障害の評価をする場合はABI、造影CT ⇒ 循環器内科コンサルト

多発神経障害を疑う場合

スクリーニング:HbA1c被疑薬の変更・中止電解質(K、Ca)、ビタミンB1/6/12、葉酸、銅、TSH、FT4、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)、IgG4、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークがあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)

追加検査:膠原病性ニューロパチーの評価(赤沈、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、MPO-ANCAPR3-ANCA、抗ARS抗体)、ACE、可溶性IL-2R、血清SAA、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBV、HTLV-1など)、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)。傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、自己免疫性が疑われる場合は各疾患の抗ガングリオシド抗体、MAG抗体/SGPG抗体等を提出する。必要に応じて脊髄造影MRI(上位運動ニューロン障害の除外)、神経生検(血管炎、アミロイドーシス、サルコイドーシスなど、腓腹神経の生検)を提出する。

その他:家族性アミロイドーシス、CMT、遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの遺伝子検査など。

多発単神経障害を疑う場合(血管炎等を中心に検査を行う)

スクリーニング:HbA1c免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)、IgG4、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークがあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、膠原病性ニューロパチーの評価(赤沈、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、MPO-ANCAPR3-ANCA、抗ARS抗体)、ACE、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)、神経生検(血管炎、アミロイドーシス、サルコイドーシスなど、腓腹神経の生検)

追加検査:可溶性IL-2R、血清SAA、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBV、HTLV-1など)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)。傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、自己免疫性が疑われる場合は各疾患の抗ガングリオシド抗体、MAG抗体/SGPG抗体等を提出する。必要に応じて脊髄造影MRI(上位運動ニューロン障害の除外)を提出する。

近位筋優位の脱力の場合は、MMT評価、CKアイソザイム、アルドラーゼ、針筋電図、筋肉MRI、重症筋無力症の検査(抗アセチルコリン受容体抗体、Musk抗体、胸腺の評価、テンシロンテスト)、TSH、FT4。炎症性筋疾患が疑われる場合には炎症性ミオパチーの項を参照。悪性腫瘍が疑われる場合抗VGCC抗体。その他のミオパチーの鑑別(神経内科コンサルト)。

✅運動ニューロン疾患の評価(ALS等)

✅薬剤歴の確認 ⇒ 被疑薬の変更・中止。

 

脳梗塞の初期対応まとめ

フローチャート

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※DWI/FLAIRミスマッチ:DWIで高信号であるが、FLAIRでは描出されない所見。4.5時間以内の発症であると判断ができる。

 

NIHSSスコア

きちんと評価するためには訓練が必要。

評価の仕方はこちらのリンクを参照(分かりやすく解説されています)

 

ASPECTS-DWI

✅中大脳動脈領域の虚血性変化をスコアリングしたもの

✅中大脳動脈領域を10カ所に区分し、10点満点から減点式で算出する(DWIが高信号であれば0点、高信号がなければ1点)

✅一般的にASPECTS-DWIが6点で中大脳動脈領域の1/3に相当する。(逆に1/3を超える広範囲の脳梗塞の場合、t-PAは出血のリスクが高まるため推奨されない)

 

左:CTでレンズ核視床を通る断面

右:上記より約2cm頭側でレンズ核が見えなくなった最初の断面

 

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t-PAの適応

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(引用:https://furuta-neurology.com/2020/06/01/stroke-t-pa/

 

ABCD2スコア

4点以上の場合は原則入院し、脳神経外科で精査・加療を行う。

3点以下であっても疑わしい場合は脳神経外科コンサルト。

やむを得ず外来フォローする場合はバイアスピリンを経験的に処方することが多い。

 

 

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腰背部痛

 

 

オーバービュー

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鑑別

BACK PAINで鑑別

Bone Fracture

骨折、腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症

Aortic Disease 大動脈解離、大動脈瘤
Cancer 腫瘍(骨転移、多発性骨髄腫)
Kidney

腎盂腎炎、尿管結石、腎出血、腎梗塞

Pancreatitis 急性膵炎(肝胆膵の疾患の評価)
AMI 急性心筋梗塞

Infection

Inflammation
Infarction

硬膜外膿瘍、化膿性椎体炎、腸腰筋膿瘍

血清反応陰性脊椎炎
腎梗塞、脾梗塞

Neurologic compression 硬膜外膿瘍、椎間板ヘルニア、脊損、馬尾症候群、脊椎カリエス、血腫

 

鑑別の絞り込み!
突発性発症 急性大動脈解離、腹部大動脈瘤破裂、硬膜外血腫
痛みの移動、血圧の左右差 急性大動脈解離
発熱 腎盂腎炎、化膿性椎体炎、硬膜外膿瘍、血清反応陰性椎体炎
CVA tenderness 腎盂腎炎、尿管結石
両下肢麻痺や感覚障害 腰椎ヘルニア、馬尾症候群、化膿性椎体炎、硬膜外血腫
座位で悪化する 腰椎椎間板ヘルニア
立位で悪化する 腰部脊柱管狭窄症
SLRテスト L1-L3神経根症状
FNSTテスト L5-S1神経根症状

 

TUNA FISH

以下がRed Flag sign

Trauma 外傷
Unexplained weight loss 説明のつかない体重減少
Neurologic sign 神経症状(脊髄圧迫や馬尾症状:進行性の下肢筋力低下、麻痺、尿閉、サドル麻痺)
Age 20歳未満、50歳以上
Fever 発熱
Intravenous drug use 静脈注射薬物の使用
Steroid ステロイド免疫抑制剤、(HIV感染の既往)
History of cancer 悪性腫瘍の既往

 

検査

✅採血4本(凝固、Ca、LDH、Amy、CKを入れる)

※腎梗塞でLDH

✅尿定性・沈渣、尿培養(腎盂腎炎や尿管結石などの評価

感染症疑いなら血液培養。

✅腹部エコー(大動脈解離や瘤の評価水腎症・結石の評価

✅胸腹部CT(単純/造影)

✅大動脈解離、出血、梗塞、膿瘍、急性膵炎が疑われる場合は造影CT

✅心電図(AMIの評価)

✅圧迫骨折が疑われる場合は胸腰椎3方向、CT、腰椎MRI(STIR)。

神経症状がある場合はMRI

(特に運動麻痺、馬尾症状、突然発症、進行性の症状増悪がある場合は緊急MRI。間欠性のものは待機的に検査⇒整形外科コンサルト)

✅骨転移は必要に応じてMRI骨シンチ/PET-CTを追加

✅必要に応じてMRIを施行(椎体炎や腫瘤性病変の評価)

 

対症療法

急性腰痛症

ロキソニン60mg+レバミピド100mg 3錠分3 毎食後

ロキソニンテープ貼付

 

尿管結石

ロキソニン60mg+レバミピド100mg 3錠分3 毎食後

痛み止めに加えて以下を処方

・ウロカルン225mg 6錠分3 毎食後

コスパノン40mg 3錠分3 毎食後

 

★結石が5mm以上の場合は破砕術の適応(泌尿器科コンサルト)

★必ず感染の合併の有無を確認する!
⇒ 結石性腎盂腎炎は必ず入院緊急で泌尿器科コンサルト(尿管ステント留置

 

 

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高Na血症

 

フローチャート

 

・中枢性尿崩症

脳腫瘍、脳卒中、下垂体卒中、外傷、脳炎髄膜炎低酸素脳症、自己免疫性(下垂体炎、IgG4関連疾患)、肉芽腫性疾患(ランゲルハンス組織球症、サルコイドーシス)、遺伝性、特発性

・腎性尿崩症

薬剤(デメクロサイクリン、リチウム、シスプラチン、ホスカルネット、アムホテリシンB)、高Ca血症、低K血症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、多発性嚢胞腎、尿管閉塞、妊娠尿崩症、遺伝性

 

検査

体液評価4点セット→体液量の評価

薬剤性高Naがないかどうか確認

✅145mEq/L<Na<150mEq/Lの時 ⇒ これ以上に上昇しないようにメイン, 薬剤等の変更, 食事の変更(減塩食)を行う。

✅Na≧150mEq/Lの時、ナトリウムの補正を開始

※補正の前に必要な検査を提出すること!

✅血清Osm、Hct、血ガス(脱水で代謝性アルカローシス)

✅尿検査(尿Na、尿K、尿Cl、Cr、BUN)、尿Osm

*尿Cl<20mEq/Lは低Cl性代謝性アルカローシス(脱水)を考える(生食補液で改善)

血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)(30分安静臥床後に採血)、早朝のACTH・コルチゾール(起床時・食前に安静30分後に採血)。

*PAC/PRA>200(もしくはPAC/ARC>40)でアルドステロン症疑い

 

脱水の検査所見

血管内脱水
  • Alb、TP、Hctの上昇 ※低Alb血症による血管内脱水は例外
  • BUN/Cre比の乖離
  • 尿浸透圧≧500mOsm/L、尿比重>1.020、尿量低下
  • FENa<0.1%、FEUN<35%、尿Cl<20mEq/L
血管内脱水+細胞内脱水
  • 口渇、皮膚のツルゴール低下
  • 高Na血症
  • 血漿浸透圧上昇

 

多尿の鑑別

 

後天性腎性尿崩症:低K血症、高Ca血症、リチウム投与、デメクロサイクリン投与

その他:副甲状腺機能亢進症甲状腺機能亢進症、慢性腎不全の利尿期、利尿剤、MRHE(加齢によるレニン低下やアルドステロンの反応低下)、CSWSなど

 

検査

✅体液量の評価(飲水量、尿量、体重測定、IVCの評価)

✅尿測、尿検査(尿糖、尿中電解質、尿浸透圧)

✅血液検査:電解質、Ca、血糖、血漿浸透圧、HbA1c、TSH、FT4、血漿AVPiPTH、血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)等

✅高張食塩水負荷試験、水制限試験

✅中枢性尿崩症が疑われる場合は頭部CT、頭部MRI

✅尿崩症の診断基準はこちら

 

治療

★Na>150mEq/Lの場合は補正を行う

  • 点滴の溶解液を5%Tzに変更。
  • 5%Tz 500mlで補正を行う。
  • フルイトラン使用も検討。
①不足水分量の評価

不足水分量(L)=推定体内水分量×{(血清Na/140)-1}

※推定体内水分量=体重(kg)×割合(成人男性:60%、成人女性・高齢男性:50%、高齢女性:45%)

②Na補正速度

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする。

点滴速度(ml/h)=不足水分量/{2×(血清Na-140)}

 

尿崩症の治療

中枢性尿崩症

デスモプレシン点鼻スプレー1回5~10μg 1日2回より開始

尿量とNa値により適宜調整

腎性尿崩症

原疾患の治療 、減塩食・低蛋白食

⇒ 改善に乏しい場合はサイアザイド利尿剤(フルイトランやニュートライド)

 

 

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嗄声

 

 

鑑別

迷走神経障害、反回神経麻痺

頭頚部手術・胸部手術
挿管後
悪性腫瘍の浸潤
動脈瘤
脳血管障害(上位運動ニューロン障害による「仮性球麻痺」やワレンベルグ症候群などによる「球麻痺」)
多発性神経炎
特発性声帯麻痺
薬剤性 ステロイド沈着
真菌性喉頭炎(吸入ステロイドの影響)
声帯血種(血栓溶解薬、抗血栓薬、PDE-5阻害薬)
化学性喉頭炎(ビスホスホネート)
咳嗽(ACE阻害剤)
粘膜の乾燥(抗コリン薬、利尿剤、抗ヒスタミン薬、シェーグレン)
喉頭ジストニア(抗精神薬)
性ホルモンの産生変化(テストステロンやダナゾール)
その他 急性喉頭炎、急性喉頭蓋炎
アナフィラキシー
ウイルス・細菌・真菌感染症
喉頭痙攣(挿管、誤嚥、GERDなどの刺激による)
喉頭逆流症(LPRD、GERD)
長期喫煙
飲酒
声の酷使
声帯ポリープや腫瘍
甲状腺機能低下症(粘液水腫による浮腫)
サルコイドーシス
アミロイドーシス
神経内科疾患(パーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症、ALS)
先端肥大症
痙攣性発生障害(特発性の喉頭ジストニア
心因性、筋緊張発声障害

 

検査

✅呼吸状態が不安定の場合 ⇒ 気管挿管

咽頭痛が強い場合 ⇒ 「咽頭痛」の項を参照。

ステロイドの吸入をしている場合は吸入剤をエアゾールタイプに変更 or ステロイドの用量を減量 or シクレソニドに変更(肺内で活性代謝物に変換)。

✅その他の原因となる薬剤の確認・変更を考慮。

✅喫煙や飲酒を控える。

喉頭ファイバー耳鼻科紹介、反回神経麻痺や声帯、真菌性喉頭炎の評価

頭部・頸部・胸部のCT反回神経の評価と頭部占拠性病変の評価)。

✅脳血管障害が疑わしい場合は頭部MRIまで施行。

✅呑酸症状がある場合は上部消化管内視鏡

神経内科疾患が疑わしい場合は神経内科コンサルト。

✅原因が分からない場合は精神科/心療内科コンサルトも検討。

 

 

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汎血球減少

 

 

フローチャート

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その他の鑑別:リンパ増殖性疾患(キャッスルマン、TAFRO症候群)

 

鑑別疾患

血液疾患(白血病悪性リンパ腫、PNH、MDS、再生不良性貧血など)、薬剤性(多い)、重症感染症(DIC)、血球貪食症候群(腫瘍関連、感染症関連、自己免疫性、薬剤関連性など)、化学療法(治療関連MDSも含む)、自己免疫疾患(SLE、シェーグレン、Felty症候群)、骨髄癌腫症ビタミンB12欠乏(悪性貧血)、葉酸欠乏、微量元素欠乏(亜鉛欠乏症や銅欠乏症)、アルコール中毒、サルコイドーシス、抗酸菌症(粟粒結核など)、脾機能亢進(肝硬変、特発性門脈圧亢進症)、リンパ増殖性疾患(キャッスルマン、TAFROなど)。

薬剤性

抗菌薬・抗ウイルス薬(バンコマイシン、リネゾリド、ダプトマイシン、ST合剤、デノシン、テトラサイクリン、リファンピシン、フルシトシン、クロラムフェニコール)、消化性潰瘍治療薬(PPI、シメチジン、ラニチジン)、NSAIDS、抗甲状腺薬(プロピルチオウラシル、チアマゾール)、抗痙攣薬(カルバマゼピン、ヒダントイン系など)、抗精神薬(リチウム、クロルプロマジンなど)、アロプリノール、アセタゾラミド、抗リウマチ薬メトトレキサー、ぺニシラミン)など。

 

最初の検査

重症感染症や血液疾患を念頭に置きながら精査していく。

必要なら血液内科コンサルト ⇒ 骨髄穿刺を検討

✅特に血小板の著名な減少を認めた場合はDIC、TTP、HUSの鑑別を行う。

✅化学療法歴、放射線治療歴の確認

被疑薬の中止・変更

✅一般採血(目視)、Ret(造血能を見る)、凝固(DICの評価)、血沈、Fe、TIBC、フェリチン(血球貪食の評価)、TG(血球貪食症候群で上昇)、血液培養(重症感染症の鑑別)、腹部エコー(肝脾腫の評価)、全身CT(重症感染症の評価、悪性腫瘍、肝脾腫、リンパ節などの評価)、尿定性・沈査(溶血でヘモグロビン尿)、IgG、IgA、IgM、IgG4、蛋白分画、可溶性IL-2R(悪性リンパ腫血球貪食症候群で上昇)、HTLV-1抗体(陽性であればWB法またはLIA法で確認)、ビタミンB12葉酸、血清亜鉛、血清銅、各種ウイルスの検査(IgM-VCA抗体、IgG-VCA抗体、EBNA抗体、EBV-DNA、C7-HRP、IgM-HAV、HBs、HCV抗体、パルボウイルスB19-IgM)。

✅必要に応じて膠原病の評価(下記参照)など

 

追加検査

膠原病の評価:抗核抗体(160倍以上の場合は染色型の結果に応じて追加抗体を提出)、IgG、IgA、IgM、補体(C3,C4,CH50)、RF、抗CCP抗体、ds-DNA抗体、抗Sm抗体、SSA、SSB、 膠原病内科コンサルト

✅ACE、リゾチーム、QFT、抗MAC抗体、HIV抗体、溶血が疑われる場合はハプトグロビン。

✅リンパ増殖性疾患の検査(血小板減少の項を参照)

 

 

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感染症の検査と臨床判断

 

 

プロカルシトニン

*そこまで感度が高い検査ではないので、陰性だからといって安易に抗菌薬不使用を選択するのは危険。

★個人的には検査前確率が低い状況で0.15ng/ml以下の場合は細菌感染症は否定的と考えている。

✅0.5未満では敗血症は否定的だが局所の細菌感染症の可能性はある。

✅0.5以上で敗血症の可能性あり

✅2.0以上で敗血症の可能性が高い

 

肺炎球菌抗原

✅肺炎に対する感度は70%~80%程度。抗菌薬投与後でも陽性所見が得られる。

✅1回陽性になったら、数週間は陽性になる

⇒高齢者で何回も肺炎になっているような人には解釈に注意が必要。若者の場合は臨床診断として良い。

 

レジオネラ抗原

✅感度・特異度ともに90%以上。

✅通常の尿中抗原では血清型1型しか陽性にならない。

⇒「リボテスト レジオネラ」であれば1型~15型を検出できる。

 

レジオネラ肺炎の予測因子

✅体温>39.4度

✅喀痰がない

✅血清ナトリウム<133mEq/L

LDH>255IU/L

CRP>18.7mg/dL

✅血小板<17.1万

それぞれを1点として合計点を計算。

0~1点:レジオネラ肺炎の確率3%、4点以上:レジオネラ肺炎の確率66%

 

マイコプラズマ迅速抗原

✅インフルエンザ抗原と同じで陽性であれば確定として良い。ただし感度が低い。

✅臨床診断にはペア血清とLAMP法を提出する方がBetter。

 

CDチェック

CDチェックの解釈を参照。

陰性化チェックの意味はなし。

 

β-Dグルカンと真菌の経験的治療

✅著明高値であればPCP、アスペルギルス、カンジダなどによる深在性真菌感染症を疑う!

✅単に高値だけで経験的治療をすることはほとんどない。

例外としてPCPIPAカンジダ菌血症は疑いの段階で経験的治療も検討する

✅クリプトコッカスとムーコルは陰性になる。

 

PCP肺炎を疑う場合

PCP肺炎疑いの画像所見がありβ-Dグルカンがカットオフ以上であれば経験的治療を開始してもよい。

ファンギテックで23.2、ワコーで31.1以上なら特異度高い。

✅可能なら気管支鏡検査施行が望ましい(BALと洗浄液のディフクイック染色、培養。出来ればPCRも。)

✅気管支鏡ができないのであれば誘発喀痰の鏡検と培養、できればPCRも提出。

(喀痰PCRはコロナイゼーションも多いため注意。またPCRは保険適応外

 

アスペルギルス症を疑う場合

■侵襲性肺アスペルギルス症IPA)の場合

IPA予後不良であるため、「疑わしい画像所見」に加えて「アスペルギルス抗原陽性」もしくは「喀痰の鏡検・培養で糸状菌陽性」があれば経験的治療を開始する!

IPAの場合はラクトマンナン抗原の方が感度・特異度共に高い。

 

■慢性肺アスペルギルス症(CPPA、SPA)の場合

✅慢性肺アスペルギルスの症例では上昇しにくいため、20をカットオフとしても特異度はかなり高い。ただし感度がものすごく低い、他疾患でも上昇するため、基本的には参考程度の検査となる。

✅CPPA、SPAの可能性がある画像所見がある場合はβ-Dグルカンが弱陽性でも積極的に疑って気管支鏡などによる精査、もしくはβ-Dグルカンのフォローアップが必要となる。

 

カンジダ菌血症を疑う場合

✅30以上(MK法)で感度90%以上、カンジダスコア2.5点未満で陰性的中率98%

✅「抗菌薬不応の好中球減少時の発熱」「ICUなどの重篤な患者」の場合はβ-Dグルカンとカンジダスコアを参考にエンピリック治療も考慮する!

✅重症例では複数箇所のカンジダのコロナイゼーションがあれば経験的治療に踏み切る

✅エンピリック治療はミカファンギン。最低でも2週間は継続する。

→マーカー低下したら投与終了 。 治療効果がない場合は中止を検討する。

(IDSAの真菌感染症ガイドラインより)

 

カンジダスコア

✅中心静脈栄養(1点)、✅手術(1点)、✅複数部位のカンジダ定着(1点)、✅重症敗血症(2点)

合計点2.5点以上を陽性とする。

 

β-Dグルカンが偽陽性となるもの

偽陽性が疑わしければ再検を検討

セルロース素材の透析膜を用いた血液透析
血液製剤アルブミン製剤・グロブリン製剤)
環境中のβ-Dグルカンによる汚染
β-Dグルカン含有の抗悪性腫瘍製剤(レンチナン、シゾフィランなど)
高度溶血
高γグロブリン血症、多発性骨髄腫
Alcaligenes faecalisによる敗血症
タゾバクタム/ピペラシリン投与
アモキシシリン/クラブラン酸の投与
ビフィドバクテリウム属の腸管内定着
ガーゼの使用
アガリクスなどのキノコ類摂取

 

クリプトコッカス抗原

陽性であれば臨床診断と考えてよいレベルの検査(偽陽性が少ない)

感染臓器が肺のみの場合は感度が約60%まで低下。とくに15mm未満の病変で偽陰性になりやすい。

✅逆に抗原陽性の場合は播種性クリプトコッカスを考慮しないといけない。

通常、クリプトコッカスの診断がついた場合は血培と髄液検査必須

✅他疾患の除外、薬剤感受性試験(保険適応外)を調べる場合もあるため、培養や組織培養は可能な限り積極的に採取する。

✅トリコスポロン症でも陽性となる。

 

アスペルギルス抗原

✅あらゆる環境にいる真菌であるため、抗原陽性であっても真の感染症かどうかを必ず確認する必要がある!(もしくは副鼻腔感染症がほとんど

✅侵襲性肺アスペルギルス症IPA)であれば

1.5以上は1回陽性でも特異度90%程度。

0.5以上なら2回陽性で特異度80%程度。

ただしCPPAやSPAでは感度が低くカットオフは定まってない(組織侵襲が少ないため)。

✅診断には原則として喀痰検査や気管支鏡などで確認する必要がある 真の感染かどうかの確認、他疾患の除外、必要に応じて培養から薬剤感受性試験(保険適応外)

✅侵襲性肺アスペルギルス症IPA)には有用であり、アスペルギルス抗原陽性+IPAが疑わしい場合には経験的治療に踏み切る。

✅慢性肺アスペルギルス症の場合は抗原検査は当てにならない。画像検査や喀痰培養・細胞診、アスペルギルス沈降抗体、気管支鏡の結果より総合的に判断するべき。

 

アスペルギルス沈降抗体

慢性肺アスペルギルス症の血清診断の中では一番信頼性が高い。

保険適応ではないため、患者さんの自己負担となる。

✅陽性であれば画像と併せてCPPA、SPAの可能性が高い。

✅確定診断には喀痰や気管支鏡での検体採取が原則となる 真の感染かどうかの確認、他疾患の除外、必要に応じて培養から薬剤感受性試験(保険適応外)

IPAではアスペルギルス抗体は陰性になることが多い。

 

カンジダ抗原

✅侵襲性カンジダ感染症カンジダ血症などの深在性カンジダ感染症に使用する。

✅感度がかなり低いため、あくまで補助診断扱い。

✅特異度は高いため、陽性であれば深在性カンジダ感染症の可能性は高い。

ただしカンジテックは特異度も低いため、解釈に注意が必要。

(ユニメディかプラテリアが推奨される)

✅バラシクロビルやアシクロビルなどの抗ウイルス薬で偽陽性になるかも。

✅血液培養も感度不十分であるため、疑う場合は血液培養を3セット採取を行う。(好気培養4本、嫌気培養2本でも良い)

血液培養は1セットでも陽性なら治療が必要!

 

C7-HRP

✅陽転化した場合は1週間毎にフォロー。

✅免疫正常患者では対症療法。

✅免疫不全の患者では10/50000以上で先制治療。

ハイリスク患者(メチルプレドニゾロン0.5mg/kg以上使用)であれば2/50000以上で先制治療。

✅症候性CMV感染症(CMV disease)の場合、先制治療を開始する場合は全身臓器の検索・病理診断を行う(肺、眼、消化管、肝臓、脳など)

⇒全身CT、眼科診察(必須)、肝機能上昇があれば腹部エコー ・肝生検、肺病変がある場合は気管支鏡、腸炎の所見がある場合は消化管内視鏡検査、頭蓋内感染を疑う症状がある場合は頭部MRI、髄液PCR。(CMV diseaseの状態を病理学的に評価するのが望ましい)

陰性であればCMV肺炎は否定的と考えられる。

✅網膜炎や腸炎については感度は低い(陰性でも否定できない)。

 

CMV-IgG

✅CMV diseaseの除外診断に使用する。(成人であれば陽性者の割合多い)

特にCMV腸炎はアンチゲネミアの陽性率低いため、CMV-IgGを提出する。

 

MAC抗体

✅アビウムとイントラセルラーの感度・特異度は比較的高い。

カットオフ0.7で感度86%・特異度100%となる。

喀痰で2回陽性もしくは気管支鏡検体で1回陽性の場合に確定診断となる。

✅薬剤感受性を調べたいので、治療する前に培養や組織培養を積極的に採取する!

※検体採取が難しい人(気管支鏡ハイリスク症例など)は、画像所見と併せて臨床診断として良いかもしれない。

✅迅速発育菌で偽陽性になるため注意

※迅速発育菌:ABC for rapid(AB:abscessus、C:chelonae、for:fortuitum)

 

QFTとT-SPOT

✅QFTは感度89%、特異度98%。

✅陽性であれば現在の感染もしくは既往感染あり。

✅M.kansasiiでも陽性になるので注意。

✅免疫不全患者や高齢者では陰性化することがあるので注意が必要。

✅小児では偽陰性になりやすいので、小児ではツベルクリン反応を使用する。

 

血液培養

採取の本数

通常は抗菌薬投与前に2セット採取する。

下記の場合は3セット採取する。

持続的菌血症(血管内に定着している可能性)を疑う場合

2セット目を採取後に1時間空けて(最低15分空けて)、3セット目の血液培養を採取する。(必ず抗菌薬投与前に採取すること!)

3セット目が陽性となる場合は持続的菌血症を考える

真菌感染を疑う場合(主にカンジダ

好気培養4本、嫌気培養2本で採取したほうが良いと言われているが。。。

菌の陰性化の確認

抗菌薬投与後に血液培養の陰性化を確認する。

GPC、真菌(とくにカンジダ)、持続的菌血症の患者は血培の陰性化確認が必要

 

コンタミネーションとの区別

✅2セット陽性であれば真の陽性と考える。

✅1セットでも陽性と考えたほうが良い菌:黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、溶連菌、グラム陰性桿菌全般、バクテロイデス、真菌

コンタミネーションの可能性が高い菌:CNS、バチルス、コリネバクテリウム、プロピオニバクテリウム、クロストリジウム・パーフリンジェンスなど。

 

※上記以外のものについては、1セットのみの培養陽性や培養陽性までの期間が48時間以上を要した場合には、基本的にはコンタミネーションを考える。

 

血液培養陽性のフローチャート

 

特殊な感染症の対応まとめ

GPC菌血症、軟部組織や筋骨格感染症(皮下膿瘍、腸腰筋膿瘍、化膿性関節炎、椎体炎など)

✅血液培養3セット採取

✅全身造影CT(播種病変の確認)

✅心エコー(感染性心内膜炎の評価持続的菌血症の場合は経食道エコーも検討

IEが非常に疑わしい場合は頭部造影MRI脳梗塞動脈瘤の評価)、歯科受診

血液培養陰性化の確認

 

カンジダ

✅血液培養3セット採取

全身造影CT(播種病変の確認)

✅眼科診察(眼内炎の評価)

 

クリプトコッカス

✅血液培養

✅抗原陽性or頭蓋内病変が疑われる場合は頭部CT/MRI+ルンバール

 

ニューモシスチス肺炎

✅空気感染対策(治療開始1~2週間は易感染宿主から隔離する)

HIVの評価

 

ノカルジア 

✅血液培養

✅胸部CT(or 全身造影CT)

✅頭蓋内病変が疑われる場合は頭部CT/MRI、ルンバール。

 

サイトメガロウイルス

✅全身CT

✅眼科診察(必須)

✅CMV diseaseの状態を病理学的に評価するのが望ましい

  • 肝機能上昇があれば腹部エコー ・肝生検
  • 肺病変がある場合は気管支鏡
  • 腸炎の所見がある場合は消化管内視鏡検査
  • 頭蓋内感染を疑う場合は頭部MRI、髄液PCR

 

 

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