とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

低P血症

 

 

フローチャート

 

主な薬剤性の原因

ビスホスホネート製剤、リン吸着薬、利尿剤、インスリンESA製剤、G-CSF製剤、Al・Mg含有制酸剤、マンニトール、アシクロビル、イマチニブ。

薬剤性Fanconi症候群の原因薬剤:バルプロ酸、テトラサイクリン、アミノグリコシド、シスプラチン、アザチオプリン、メルカプトプリン、抗レトロウイルス薬など

 

検査

低P血症の補正、付加食の追加(アルジネードなど)

被疑薬の変更・中止

✅採血、Alb、P、Ca、ALP、血ガス、尿定性・沈渣、尿中電解質(P、Cre)、iPTH、whole PTH、1.25(OH)D、25(OH)D:ビタミンD欠乏は20 ng/ml未満、高カルシウム血症がある場合はPTHrP。(高カルシウム血症の鑑別はこちら

✅必要に応じて甲状腺エコー、副甲状腺シンチ

✅クル病(骨軟化症)を疑う場合は骨密度検査、骨シンチ、骨代謝マーカー(形成マーカー:オステオカルシン、骨型ALP。吸収マーカー:TRACP-5b、1-CTP)、FGF23。

✅尿細管異常を疑う場合は血ガス、尿中NAG、尿中β2MG、尿中アミノ酸分析

*FEPO₄=(尿P/血清P)/(尿Cre/血清Cre)、5%以上で腎排泄亢進。

 

治療

★一般的にはP≦2.0mg/dlで補正を開始する

★欠食⇒食事再開でPが低下するため、早めに補正しておく!

通常の補正

✅内服治療が原則

ホスリボン 3~6包分3 毎食後

✅内服でも低下傾向の場合は点滴での補充も検討

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100ml 6時間で点滴

(日本では10mmol/hrで補正が認められているが合併症の懸念からなるべく緩徐な投与が望ましい)

 

症候性または1.0 mg/dL以下の場合

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100mlを1~2時間で点滴。

P<1.5mg/dlの時:1日4本まで

P>1.5mg/dlの時:1日2本まで

 

 

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G-CSF製剤の使い方

 

 

使用上の注意点

✅好中球減少時のルーチンの使用は推奨されてはいない

(※実臨床では使用するケースが多いが。。。)

抗癌剤投与前後24時間以内の投与は禁忌

放射線治療中の併用は禁忌

✅サイトカインストームを誘発するリスクがあるため、病態によっては使用を控える。

✅血液疾患をもつ患者に使用する場合は血液内科にコンサルトを行う

 

1次予防

★以下に該当する場合、化学療法の1コース目から発熱性好中球減少症(FN)を予防する目的で、好中球減少や発熱を確認することなくG-CSFを予防投与しても良い。

✅FN発症率が20%以上のレジメンを使用する時、G-CSFの一次予防を行う。

✅FN発症率が10~20%以上のレジメンを使用する時、以下の状況で一次予防を行う。

・65歳以上

・65歳以上でfull doseの化学療法を行っている

・化学療法、放射線療法施行歴

・治療前の好中球減少

・骨髄浸潤

・最近の手術歴

・PS不良

・肝腎機能障害(ビリルビン>2.0、CCr<50)

HIV感染

 

使用例

最終抗癌剤投与の翌々日にジーラスタ3.6mgを1回皮下注射。

ジーラスタが使用できないレジメン、もしくはジーラスタの投与を行っても骨髄抑制が強い場合、以下を適宜使用する。(追加投与のエビデンスはない)

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

 

その他の一次予防

急性白血病悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、神経芽細胞腫小児がんの場合

✅癌化学療法翌日以降であれば、いつでもG-CSF投与可。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

2次予防

★前回のコースで以下の事象が起きた場合、次コースでG-CSFを予防投与する。

発熱性好中球減少症(FN)

好中球減少による用量制限毒性あり(G-CSFの治療的投与を行った)

遷延性好中球減少でスケジュールの延期が必要になった

 

使用例

前回の抗癌剤を一段階減量(減量が望ましくない場合は現行量で継続)

⇒ 最終抗癌剤投与の翌々日にジーラスタ3.6mgを1回皮下注射。

ジーラスタの投与を行っても骨髄抑制が強い場合、以下を適宜使用する。(追加投与のエビデンスはない)

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

治療的投与

急性白血病悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、神経芽細胞腫小児がんの場合

✅癌化学療法翌日以降であれば、いつでもG-CSF投与可。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

その他の癌腫の場合

✅好中球500未満または好中球1000未満で発熱がある(原則38度以上)場合にG-CSFを投与する。

⇒ 次回からは好中球1000未満を確認できればG-CSFを投与しても良い

※実臨床では好中球が1000未満で48時間以内に500未満になりそうな無熱性好中球減少があれば、初回であっても予防投与していることが多い。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

 

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間質性肺炎の急性期アプローチ

 

 

間質性肺炎の急性期の鑑別疾患

 

検査

喀痰培養(抗酸菌塗抹・培養・PCR血液培養採取

✅蜂巣肺以外の間質性肺炎は基本は気管支鏡検査をできるならやるべき!!(感染の除外+IPの診断)

心不全・肺高血圧の除外を必ず行う(心エコー、心電図、BNP

体液量評価(in overにならないように管理)尿測・飲水量測定・体重測定、心エコー(IVC評価)

✅薬剤性肺炎の可能性を考慮し、新規薬剤や添付文書に間質性肺炎の副作用がある被疑薬を可能な限り変更・中止する。

*呼吸不全なし ⇒ 疑わしい薬剤およびハイリスク薬を中止。不要な薬剤も中止。

*呼吸不全あり ⇒ 間質性肺炎の副作用がある薬剤を可能な限り中止・変更。

膠原病肺の場合は必ず膠原病内科にコンサルトPCP/薬剤性肺炎/CVD-ILDの鑑別。

悪性リンパ腫疑いの場合はBAL/組織のフローサイトメトリーやEBUS-TBNAも考慮。

✅背側の「間質性肺炎」なのか「重力変化」なのか分かりにくい所見は腹臥位CT

✅モザイクパターンの場合は吸気・呼気CT

✅原因が分からないものや病理診断が不可欠なものはVATSも考慮

⇒ VATSが難しい症例については経験的にステロイドを試してみることを検討

✅一般採血、血ガス、酸素化に余裕があれば呼吸機能検査(DLCO)、6分間歩行、心エコー気管支鏡検査BNP、QFT、尿中抗原(特にレジオネラ)、尿検査(定性、沈査、蓄尿、HBs抗原、HBs抗体・HBc抗体(デノボ肝炎のスクリーニングのため。陽性の場合はHBV-DNA測定)、HCV抗体(陽性の場合はRNA提出)、HbA1cSARS-CoV-2 PCRβ-Dグルカン、喀痰・BALのディフクイック染色、C7-HRP、KL-6、SP-D、プロカルシトニン、凝固系/造影CT肺塞栓や肺梗塞の評価)、IgG・IgA・IgM(IgGが高ければIgG4も提出。シェーグレンの場合もIgG4提出)、赤沈、被疑薬のDLST、MPO-ANCA、PR3-ANCA、糸球体基底膜抗体、抗核抗体(160倍以上の場合は染色型の結果に応じて追加抗体を提出)、RF、抗CCP抗体、フェリチン、抗ARS抗体、MDA-5抗体(特に急性発症の場合)、抗RNP抗体、ACE、SS-A、SS-B、抗Scl-70抗体、トリコスポロンアサヒ抗体、トリ抗体、可溶性IL-2R/血液像目視/HTLV-1抗体、必要に応じて抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体等

✅肺癌を疑う場合は腫瘍マーカーCEA、シフラ、pro-GRP)、喀痰細胞診

✅癌性リンパ管症を疑う場合は「腫瘍の治療経過」と「腫瘍マーカーの推移」を確認。

感染症が疑わしい影の場合はβ-Dグルカン以外にもアスペルギルス抗原、カンジダ抗原、C7-HRPも提出する。

✅肺胞出血を疑う場合の検査はこちらを参照

必要なら血清保存をしておく

好酸球性肺炎疑いの場合は、喀痰好酸球・呼気NO・呼吸機能の評価

✅他部位生検(皮膚生検、口唇生検、神経生検、筋生検など)

 

病歴聴取・身体所見

✅症状:咳嗽、喀痰(黄色?白色?膿性?)、呼吸困難(mMRC)、胸痛

✅喫煙歴:~本×~年(never, ex, current)

✅飲酒歴

✅職業歴:粉塵作業、アスベスト作業、石工、トンネル工事、大工、窯業、木工、鉱山業、電気工事、理容・美容、絶縁・断熱作業、農業・畜産業、養鶏、印刷業、金属作業、石油化学製造

✅家屋:木造?築何年?日当たり、カビなどは?

✅羽毛布団、ダウンジャケット

✅ペット飼育歴

✅鳥類暴露歴

✅加湿器、除湿機、エアコン

✅内服歴:新規薬剤、漢方薬サプリメント

✅家族歴:膠原病間質性肺炎、悪性腫瘍

✅身体所見:呼吸音、ばち指、レイノー現象、関節痛・関節腫脹、皮疹、筋力低下、体重減少、発熱、朝のこわばり、ドライマウス・ドライアイ、口腔内潰瘍、嚥下障害、逆流性食道炎、脱毛、光線過敏症

 

検査・治療のタイミング

 

リパルスのタイミング

筆者の感覚であるが、以下のように考える

  • 陰影の悪化+酸素化  又は  陰影の悪化+データの悪化 ⇒ リパルス
  • 陰影は悪化しているように見えるが、酸素化やデータは改善している ⇒ 酸素化が悪化するまでは現行量のステロイドを継続
  • 陰影は横ばい 又は 一部増悪・一部改善の場合 ⇒ 酸素化が悪化するまでは現行量のステロイドを継続

✅最初のステロイドパルスから1週間程度空けて行うことが多い

 

化学療法再開の時期

以下を満たしている場合は化学療法再開を検討

✅被疑薬は中止

✅データと画像所見が完全にピークアウトしている

(ケモ再開でIPが悪化する可能性、再増悪した時に原因が分からなくなる可能性があるため、必ずピークアウトしたことを確認してからケモを再開する)

プレドニゾロン15mg以下(ステロイドを導入しない場合はピークアウトするまで待つ)

✅IPに禁忌の薬剤は使用しない(TKIやICIなど)

 

BALの結果の解釈

その他
サイトメガロウイルス:核内封入体

ニューモシスチス肺炎:栄養体

肺胞出血:ヘモジデリン貪食マクロファージ

ランゲルハンス組織球症:CD1a陽性細胞(Langerhans細胞)が5%以上

 

 

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肺癌化学療法チェックリスト

 

 

初診時チェックリスト(診断・ステージング)

確認事項

PSの確認(化学療法の場合は基本PS2まで)

PS3でも初回のSmall、TKIなどは治療を行う場合もある

✅自宅に帰れる患者か?(自宅に帰れない人はPS3以上、ケモ困難と考える)

✅年齢:元気な人でも85歳以上は化学療法は原則難しい(TKIや優しめのケモなら可能かもしれない)

⇒ケモができそうにない場合に根治治療の選択肢は?(オペ、放射線単独など。安易にBSCにしない!

✅認知機能は問題ないか?(認知機能の低下が著しい場合はBSCを検討。意思疎通困難な場合は検査・手術・ケモともにハイリスクであり、予後も見込めないと考える)

✅化学療法の副作用について理解できそうか?(理解が得られそうにない場合はトラブルのもと。特にICIは控えた方がよさそうか?)

血球、腎機能、肝機能は大丈夫か?(ケモの投与はできそうか?)

⇒ 血液異常が開始基準に引っかかる場合は専門科にコンサルトを検討

  • 肝転移による肝機能障害:treatableであれば、放射線治療 、消化器内科相談、本人にリスクを説明の上で化学療法を検討(ケモによる肝障害改善を期待)、肝庇護薬の投与
  • 腎機能障害:CDDP、PEM、S-1は注意。ひどい場合は透析の可能性も説明。

急変時DNARの意思確認(状態不良の場合を除き、原則は診断後に確認)

✅週単位で増悪してないか?(週単位で増悪する場合は急ぐ必要あり)

オンコロジックエマージェンシーはないか?

✅急変のリスクが高い状態ではないか

*喀血リスク
*縦隔リンパ節転移:心臓や大血管浸潤、気道狭窄、食道狭窄
*肝転移などのRupture
*内臓への浸潤:穿孔・感染

  • 早めに急変時対応についてお話しておく!
  • 気管支鏡は可能な状態か?

✅気管支鏡前評価(チェックリストはこちら

  • 術前採血(血小板、凝固、感染症リスク)
  • 気管支鏡が施行できる呼吸状態か?
  • 熱はないか?血圧や脈拍は問題ないか?
  • 従命はとれるか?
  • 心電図
  • 心エコー(必要なら)
  • 心血管系のリスク評価(心不全脳出血動脈瘤SVCなど)
  • その他の気管支鏡の禁忌は?(急性の神経症状、頸椎不安定など)
  • 同意書取得
  • IC記載
  • 血栓薬の休薬、ヘパリンブリッジ(止めて良いか主科に確認)
  • 食止め
  • 血糖降下薬休薬、インスリンの休薬
  • 検査オーダー(気管支鏡オーダー、組織、細胞診、培養、BAL分画など)
  • 仮想気管支鏡作成(CTの出力)
  • 点滴、鎮静薬、鎮痛薬オーダー(ミダゾラムペチジンが使えない疾患の有無)
  • 検査前処置オーダー(喘息の人のSABA、ステロイドなど)
  • 指示入力
  • 検査後オーダー(胸部X線、予防的抗菌薬)

AMPLEDの確認

✅気管支鏡がハイリスクの場合は肝生検リンパ節生検皮膚生検骨生検CT/エコーガイド下生検EUS-FNAなどを検討。

 

検査と方針決定

※術前検査はこちら

✅採血(血球、腎機能、肝機能は大丈夫か?投与基準は満たすか?

■ 血算、生化、血糖(HbA1c)、凝固、尿定性・沈渣、腫瘍マーカーCEA、シフラ、pro GRP)、eGFR計算(CCr)、KL-6/SP-D(腫瘍マーカーの代わりにもなるかもしれない、間質性肺炎の評価)、QFT、HBs抗原、HBc抗体・HBs抗体(陽性ならDNA提出)、HCV抗体(陽性ならRNA提出)。

■ ICI投与前採血:TSH、FT4、ACTH、コルチゾールHbA1c、肝機能、KL-6、SP-D、抗核抗体、RF、抗TPO抗体、抗Tg抗体 ⇒ 異常があればコンサルト

■ 骨転移がある場合は1CTPやNTxを測定する。

✅胸部X線写真

✅全身造影CT(頭部~骨盤部まで)

✅心エコー

✅呼吸機能検査

喀痰細胞診:「中枢側の腫瘤特にSmallが疑わしい場合)」、「急ぐ症例」、「気管支鏡ハイリスクの場合」に提出

急ぐ症例はとりあえず葉酸ビタミンB12を入れとく

組織診断

気管支鏡検査

② 気管支鏡がハイリスクの場合は肝生検リンパ節生検皮膚生検骨生検CT/エコーガイド下生検EUS-FNAなどを検討。

他部位のオペ検体

✅LCスクラム提出予定であれば凍結検体を採取

✅組織が出たら遺伝子検査提出(組織が出るまで1週間、遺伝子検査が出るまで1週間)

① 組織量が十分でない場合は単一遺伝子検査 

② 組織量が十分な場合はオンコマインAmoyを提出

※遺伝子検査はお金がかかるので基本的には外来で検査する

※オンコマインやAmoyは単一遺伝子検査より時間がかかることに注意。

③ 組織が全く採れない場合はセルブロック等から遺伝子検査を提出する。

※セルブロックの遺伝子検査はPDL-1、BRAF、オンコマインは不可。EGFR、ALK、ROS-1は測定可能。

④ 遺伝子検査が出せなかった場合 ⇒ 殺細胞性抗癌剤で治療を開始し、増悪したタイミングでリバイオプシー。

✅頭部造影MRI(脳転移の評価)
⇒ 新規で神経症状が出た時は「脳出血」にも注意!(CT再検

✅PET-CT(外来で撮像)

胸膜播種・胸水の確認(ステージⅣ)

胸水穿刺

  • ステージングに影響がなくても、今後のことを考えて必ず穿刺すること!
  • セルブロックを提出する
  • 大量胸水の場合は胸腔ドレーン留置
    →肺野の確認、気管支鏡検査、必要に応じて、胸腔鏡やCTガイド下生検、エコーガイド下生検による胸膜生検も検討。
    (局麻下で胸膜生検をする場合はドレーンを留置する前に行う)
  • 大量胸水の場合は胸膜癒着術も検討する(すぐにTKIやICIを使用する予定であれば避ける)

胸水やリンパ節など、ステージングに影響を及ぼす部位の生検・検査

(可能な侵襲で生検。侵襲が大きい場合は造影MRIやPETで代用する)

✅ステージングに影響を及ぼさない部位も簡単に生検できる部位は生検する!

(胸水、口腔内、皮膚など。転移の確認や他疾患の除外のため)

✅エコーで評価できるものはエコー検査(今後のフォローのため)

間質性肺炎の有無の確認(軽微な所見の場合は腹臥位CTで確認)

放射線治療を施行予定か?

  • 照射野が肺にかかる場合は、TKI、ICI、PEM、イリノテカン、AMR、DTX、GEMの同時併用は避ける
    (照射が終わってからプラチナダブレットにICI追加)

✅ステージングと治療方針の決定(手術?、ケモラジ?、ケモ?、放射線単独?)

✅転移巣に対する治療方針の決定

  • 脳転移:脳神経外科コンサルト、放射線科コンサルト、抗てんかん薬、ステロイド、グリセオールなど。
  • 癌性髄膜炎:ルンバール、放射線科コンサルト(whole brain)、ステロイド、グリセオール
  • 骨転移:整形外科コンサルト(免荷)、放射線科コンサルト、歯科コンサルト、ランマーク投与(デノタス内服忘れずに)など
  • 肝転移:ruptureのリスクがある場合、肝障害が強い場合に放射線治療
  • 神経症状:まずは頭蓋内病変/脊髄病変の精査(CT/MRI)、放射線科コンサルト、整形外科コンサルト(脊髄圧迫の除圧)、ステロイドメチコバール、リリカなど
  • 大量悪性胸水:ドレーン留置、癒着術も検討(TKIやICI施行予定の場合は癒着術は避ける)
  • 閉塞性肺炎:抗菌薬+放射線治療放射線治療が難しければ感染増悪のリスクを説明の上でケモ。
  • オンコロジックエマージェンシーの対応はこちら

✅腺癌の場合は前もって葉酸ビタミンB12を入れておく

✅小細胞癌の場合はUGT1A1を測定しておく

 

※急ぐ症例については頭部造影MRIは頭部造影CTで代用可。(後日造影MRI撮像)

※PET-CTは可能な限り施行すべき!だがどうしても急ぐ症例なら骨シンチで代用する。

高血糖(血糖値200以上)などでPET-CTが撮像できない場合にはDWIBSも検討する。

 

化学療法開始前チェックリスト

✅PSの確認(基本はPS2まで)

PS3でも初回のSmall、TKIなどは治療を行う場合もある

✅自宅に帰れる患者か?(自宅に帰れない人はPS3以上、ケモ困難と考える)

✅年齢:元気な人でも85歳以上は化学療法は原則難しい(TKIや優しめのケモなら可能かもしれない)

⇒ケモができそうにない場合に根治治療の選択肢は?(オペ、放射線単独など。安易にBSCにしない!

✅認知機能は問題ないか?(認知機能の低下が著しい場合はBSCを検討。意思疎通困難な場合は検査・手術・ケモともにハイリスクであり、予後も見込めないと考える)

✅化学療法の副作用について理解できそうか?(理解が得られそうにない場合はトラブルのもと。特にICIは控えた方がよさそうか?)

化学療法の同意書取得

急変時DNARの意思再確認(特に初めて主治医をやる場合)

✅入院時に採血・尿検査・心電図・胸部X線写真を行う

血球、腎機能、肝機能は大丈夫か?投与基準は満たすか?

■ 血算、生化、血糖(HbA1c)、凝固、尿定性・沈渣、腫瘍マーカー(腺癌ならCEAとSLX、扁平上皮癌であればCYFRAとSCC、肺小細胞癌であればpro GRPとNSE)、その他に上昇している腫瘍マーカー、eGFR計算(CCr)、KL-6/SP-D(腫瘍マーカーの代わりにもなるかもしれない、間質性肺炎の評価)、T-SPOT、HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体、HCV抗体

■ ICI投与前採血:TSH、FT4、ACTH、コルチゾールHbA1c、肝機能、KL-6、SP-D、抗核抗体、RF、抗TPO抗体、抗Tg抗体 ⇒ 異常があれば予めコンサルト

■ 骨転移がある場合は1CTPやNTxを測定する。

✅VEGF投与時には尿検査と凝固を毎回検査

膠原病や炎症性腸疾患、自己抗体陽性の人はICI投与前に必ずコンサルトする(投与可能?)

✅心エコーを半年~1年に1回(もしくはレジメン変更時)に確認。プラチナ系投与前は必ずチェックAMRは2クール毎に心機能を確認する。

間質性肺炎の有無の確認(軽微な所見の場合は腹臥位CTで確認)

放射線治療を施行予定か?

  • 照射野が肺にかかる場合は、TKI、ICI、PEM、イリノテカン、AMR、DTX、GEMの同時併用は避ける
    (照射が終わってからプラチナダブレットにICI追加)

✅胸水はあるか?

  • 大量悪性胸水:ドレーン留置、癒着術も検討(TKIやICI施行予定の場合は癒着術は避ける)
  • 胸水あり ⇒ イリノテカンは禁忌
  • ケモ前になるべく排液した方が良い ⇒ プラチナ、PEM

✅パクリタキセルアルコール不耐症の確認!⇒アルコール不耐症の場合はアブラキサンに変更する。

✅アブラキサン投与の前は輸血の同意書の取得

✅イリノテカン投与の前はUGT1A1の検査を行う。

感染症がないか? ⇒ 感染症がある場合は原則ケモ延期

気胸や縦隔気腫ないか?⇒治るまで or 改善傾向になるまで延期

ケモの開始基準を満たしているか確認!

  • 開始基準だけでなく、血球が回復傾向かどうかも確認造血能がしっかりあることを確認する
  • 血液異常が開始基準に引っかかる場合は専門科にコンサルトを検討
    Ex)肝転移による肝機能障害がtreatableであれば、放射線治療 or 消化器内科相談+本人にリスクを説明の上で化学療法を行う(ケモによる肝障害改善を期待

減量すべきか?

① 前コースで減量基準に該当する場合 

② 高齢者(80歳以上)またはPS2のプラチナダブレット ⇒ プラチナを一段階減量

③ 骨髄抑制が強く出る患者の新規レジメン導入時 ⇒ 一段階減量

中止/休薬が必要な副作用は出ていないか?

  • 各レジメン毎の基準や適正使用ガイド等に従って中止/休薬の判断をする
  • 休薬後に再開を検討する場合は、副作用が重症化しないようなマネジメント/対策を行う(化学療法の減量など)。マネジメント/対策ができないのであれば再開はしないほうがよい。
  • 不可逆性の副作用については早めに中止/休薬を検討する(例えば中止基準がGrade3の場合はGrade2の時点で中止も検討する)

✅前投薬の確認(葉酸ビタミンB12など)

✅制吐剤の投与確認

✅その他の予防薬の確認(TKIの保湿剤など)

✅G-CSFの1次予防の適応は?(特にDTX+RAM)

✅G-CSFの2次予防の適応は?

  • 前回Grade4 Neutropenia 、FN、骨髄抑制の遷延 ⇒ 1段階減量+ジーラスタ

✅ケモ入力と指示、生食ロック処方

✅調剤確定、ルートキープ

✅Nadir(好中球の下限)はいつ頃?

✅次回のレシストは?

✅次回は入院?外来?

⇒点滴スケジュールが問題なし+有害事象がgrade2以下なら外来も可能

外来ケモ室の予約

✅LD-SCLCがCR・GoodPRの場合 ⇒ 予防的全脳照射(PCI)を検討

 

フォローアップ

✅血液検査…入院時、7日後、10日後、14日後に採血を施行する。

✅レントゲンは入院中は週に1回

✅プラチナ製剤(主にシス)使用の場合は使用後3~5日間の体重測定、飲水量測定、尿量測定を行う

✅初回のレジメンは副作用とNadir確認のために2週間入院。

⇒血球減少がgrade0~2かつ, その他の副作用も軽微であれば、次回からは点滴後に退院 or 外来でのケモに切り替えを検討する

✅RECIST CTは2コースに1回評価。原則造影CT(特にPDが疑われる場合)

✅頭部造影MRI:脳転移がある・治療中の人は3ヶ月毎にフォロー。脳転移がない・安定している人は半年毎にフォロー。

腫瘍マーカーが上昇してるにも関わらずSDの場合は脳転移骨転移を評価する。

✅治療反応が不十分な場合は再生検を考慮(重複癌や形質転換の確認)

 

カルテ記載例

#1.右上葉肺腺癌(cT4N2M1a(BRA, OSS) cStageⅣB) EGFR mutation(-)、PDL-1(TPS %)、ALK-fusion(-)、ROS1(-)、BRAF(-)

 

【チェックリスト】

◇現クールの有害事象:Gr~。irAEは? 治療の休薬・減量基準は?

◇過去の有害事象:好中球減少Gr~。Nadir day~

◇標的病変:

◇RECIST CT:

◇頭部MRI

◇心エコー:

ジーラスタ:

◇ランマーク:

メチコバール

HBV-DNA:

【今後の予定】

【化学療法歴】

放射線治療歴】

 

レジメンの選択

腺癌, EGFR mutation陰性 1次治療

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①BEVが投与可能ならCBDCA+PTX+BEV。BEV投与不可ならCBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1より選択。

②CBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1より選択。プラチナが投与できそうにない場合はVNR、S-1より選択。

③CDDP+PEM+Pembro、CBDCA+PEM+Pembro、CBDCA+PTX+BEV+Atezo、CBDCA+PTX+Atezo、CBDCA+nab-PTX+Atezoより選択。

ICIを併用しない場合はCDDP(CBDCA)+PEM+BEV、CBDCA+PTX+BEV、CDDP(CBDCA)+PEM、CBDCA+PTX、CBDCA+nab-PTX、CBDCA+S-1

④CDDP+PEM+Pembro、CBDCA+PEM+Pembro、CBDCA+PTX+BEV+Atezo、CBDCA+PTX+Atezo、CBDCA+nab-PTX+Atezoより選択。

ICIを併用しない場合はCDDP(CBDCA)+PEM+BEV、CBDCA+PTX+BEV、CDDP(CBDCA)+PEM、CBDCA+PTX、CBDCA+nab-PTX、CBDCA+S-1

⑤CBDCA+PEM、CBDCA+PTX、CBDCA+nab-PTX、CBDCA+S-1より選択。プラチナが投与できそうにない場合はDTX単剤またはPEM単剤。

⑥VNR、S-1より選択。非常に元気な人であればCBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1も検討する。

⑦DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。PD-L1>50%ならICI単剤。非常に元気な人であればCBDCA+PEM±Pembro、CBDCA+PTX±Atezo、CBDCA+nab-PTX±Atezoも検討する。

⑧DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。非常に元気な人であればイピリブマブ+ニボルマブ、CBDCA+PEM、CBDCA+PTX、CBDCA+nab-PTX、CBDCA+S-1も検討する。

⑨DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。

 

腺癌, EGFR mutation陽性 1次治療

f:id:kodomonotsukai:20220326214645p:plain

 

腺癌, mutation陰性 1次治療より選択

②オシメルチニブ

③ゲフィチニブ(PS2ならエルロチニブも可)

④アファチニブもしくはオシメルチニブ

⑤ゲフィチニブ(PS2ならエルロチニブも可)

腺癌, mutation陰性 1次治療より選択

 

腺癌, EGFR mutation陰性 2次治療

f:id:kodomonotsukai:20220326230254p:plain

 

①VNR、S-1、nab-PTXより選択

②PD-L1陽性でPembro単剤、PD-L1陰性でNivo単剤、Atezo単剤、DTX±RAM。

③DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。その他、VNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

④VNR、S-1、nab-PTXより選択

⑤DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。その他、VNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

⑥DTX±RAM

⑦DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。その他、VNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

⑧DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならPEM単剤。その他、VNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

 

腺癌, EGFR mutation陽性 2次治療

f:id:kodomonotsukai:20220326231755p:plain

 

腺癌, mutation陽性 1次治療より選択

腺癌, mutation陰性 1次治療より選択

③オシメルチニブ

腺癌, mutation陰性 1次治療より選択

腺癌, mutation陰性 1次治療より選択

 

扁平上皮癌 1次治療

f:id:kodomonotsukai:20220326170707p:plain

 

①CBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1より選択。

②CBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1より選択。プラチナが投与できそうにない場合はVNR、S-1より選択。

③CBDCA+PTX+Pembro、CBDCA+PTX+Atezo、CBDCA+nab-PTX+Atezoより選択。

ICIを併用しない場合はCBDCA+S-1、CDGP+PTX、CDDP+GEMより選択。

④CBDCA+PTX+Pembro、CBDCA+PTX+Atezo、CBDCA+nab-PTX+Atezoより選択。ICIを併用しない場合はCBDCA+S-1、CDGP+PTX、CDDP+GEMより選択。

⑤CBDCA+PTX、CBDCA+nab-PTX、CBDCA+S-1より選択。プラチナが投与できそうにない場合はDTX単剤、VNR、S-1等から選択。

⑥VNR、S-1より選択。非常に元気な人であればCBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1も検討する。

⑦DTX投与可能ならDTX単剤。PD-L1>50%ならICI単剤。非常に元気な人であればCBDCA+PTX±Pembro、CBDCA+PTX±Atezo、CBDCA+nab-PTX±Atezo。

⑧DTX投与可能ならDTX単剤。非常に元気な人であればCBDCA+nab-PTX、CBDCA+PTX、CBDCA+S-1も検討する。

⑨DTX投与可能ならDTX単剤。難しい場合はVNR、S-1から選択。

 

扁平上皮癌 2次治療

f:id:kodomonotsukai:20220326230254p:plain

①VNR、S-1、nab-PTXより選択

②PD-L1陽性でPembro単剤、PD-L1陰性でNivo単剤、Atezo単剤、DTX±RAM。

③DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならVNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

④VNR、S-1、nab-PTXより選択

⑤DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならVNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

⑥DTX±RAM

⑦DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならVNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

⑧DTX投与可能ならDTX単剤。DTX投与不可ならVNR、S-1、nab-PTX、GEM、AMRなど。

 

小細胞癌 1次治療

①CDDP(CBDCA)+ETP

②CBDCA+ETP+AtezolizumabまたはCBDCA+ETP+durvalmab

③CBDCA+ETP

④CBDCA+ETP、split PE

⑤CBDCA+ETP、CBDCA+CPT-11、split PE、非常に元気な80歳以下の人であればCBDCA+ETP+Atezolizumab、CBDCA+ETP+durvalmabも検討。

⑥CBDCA+ETP、split PE

⑦CBDCA+ETP、split PE

⑧CBDCA+ETP、CBDCA+CPT-11、split PE

 

小細胞癌 2次治療

■Sensitive relapseの場合(初回治療終了後から再発までの期間が60~90日以上)

NGT単剤 or AMR単剤を使用する。ETPを使用していない場合はCBDCA+ETPも可。

■Refractory relapseの場合(初回治療終了後から再発までの期間が60~90日以内)

AMR単剤を使用する。

間質性肺炎のある患者の場合

NGT単剤を使用する。

 

小細胞癌 3次治療以降

間質性肺炎なし

イリノテカン単剤、AMR単剤、NGT単剤、nab-PTX単剤などから選択する。

MSI-Highが陽性の場合はICIを使用検討。

間質性肺炎あり

NGT単剤、nab-PTX単剤などから選択する。

 

同時化学放射線療法(CCRT)

追記します

 

HAV criteria

以下の基準を全て満たす間質性肺炎にはICI使用を検討しても良い

・蜂巣肺なし

・自己抗体が陰性

・%VCが80%以上で拘束性障害がない

 

レジメン毎のチェックリスト

追記します

 

その他の特殊な腫瘍に対するレジメン

  • 大細胞癌:NCCNのガイドライン上は非小細胞肺癌の分類
  • LCNEC:小細胞癌のケモ、NETの要素があるならmTORも?
  • NET→mTOR(エベロリムス:アフィニトール)
  • 多形癌→タキサン系
  • 肉腫→タキサン系、ボトリエント
  • 原発不明癌→タキサン系

 

 

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全身倦怠感

 

 

鑑別

 

最初の検査

✅採血4本、血ガス、尿定性・沈渣、Hb、Na、K、Ca、Mg、P、TP、Alb、肝腎機能、CK、HbA1cBNP、FT4、TSH、ACTH/コルチゾール(早朝採血が良い。ランダムも可)⇒ Rapid ACTH試験

✅被疑薬の変更・中止を検討(ケモ、irAE、抗うつ薬睡眠薬オピオイドなど)

✅心電図、心エコー、胸部X線写真(心疾患の評価)

✅全身CT(悪性腫瘍や感染のfocusの評価)

✅熱源・炎症の精査:血液培養β-Dグルカン、QFT、抗MAC抗体、全身造影CT、心エコー(IEの評価)、HBs抗原、HCV抗体、IgM-VCA抗体、IgG-VCA抗体、EBNA抗体、C7-HRP、HIV検査、IgG、IgA、IgM、赤沈、抗核抗体、RF、抗CCP抗体、補体、SS-A、SS-B、抗ARS抗体、フェリチン、ANCA、クリオグロブリン、可溶性IL-2R

経験的抗菌薬治療

✅必要に応じて、精神科・心療内科等にコンサルト(精神疾患自律神経失調症などの評価)、内分泌内科や婦人科コンサルト(内分泌疾患、更年期障害、LOH症候群などの評価)、膠原病内科コンサルト。

 

 

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呼吸器内科外来チェックリスト

 

 

COPD

COPDの増悪がないか確認(痰量増加、呼吸苦増悪、喘鳴、CAT5点以上増悪

⇒ 増悪あれば採血・胸部X線写真、必要に応じて胸部CT

ABCアプローチ

✅1~3か月ごとにフォロー

✅3ヶ月~半年に1回胸部X線写真、1年に1回胸部CTによるスクリーニング。

✅半年~1年おき位に呼吸機能検査

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%、重症度Ⅲ度以上の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅吸入治療、痰切り、必要なら少量EM

✅重症度Ⅲ以上で心エコー、心電図

✅肺癌の発症リスクや急性増悪についての説明

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅禁煙指導

✅吸入指導⇒エアゾール、スペーサー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

✅栄養療法:エンシュア・リキッド®:250〜500 kcal/日

身体障害者の申請

 

気管支喘息

✅重症な場合やコントロール不良な場合は2次性の原因の評価

✅喘息発作がないか確認(息切れ、喘鳴)

⇒ 採血・胸部X線写真

ABCアプローチ

✅治療導入時は2~3週間後にフォロー

✅コントロール良好であれば2~3か月に1回のフォロー

✅3~6か月に1回の呼吸機能検査(ステップダウンは3か月ごと。β2はなしでOK)

✅レントゲンは半年~1年に1回

✅コントロール不良の場合は抗体製剤を検討

  • 好酸球副鼻腔炎があるか?⇒ あれば難病申請
  • 医療費について医事科に説明を依頼
  • 限度額適応認定証の申請

 

IPF

無治療の場合

✅1~3ヶ月毎にフォロー

✅血液検査(KL-6)を3か月~半年に1回(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真を2~3ヶ月に1回、胸部CTを半年~1年に1回(線維化の進行、悪性腫瘍の合併の有無)

✅呼吸機能(DLCOを含めて)を半年~1年に1回(PF-ILDの基準を満たすか?)、併せて6分間歩行もできれば評価を行う。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅心エコー・心電図を必ず評価

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

身体障害者の申請

✅Ⅲ・Ⅳ期になったら特定疾患の申請も検討

エビデンスはないが、息切れに気管支拡張薬吸入も検討

 

治療を導入する場合

✅Ⅰ、Ⅱ期の場合は3ヶ月間ニンテダニブを使用した後に特定疾患の申請(軽症特例)

  • 医療費について医事科に説明を依頼
  • 限度額適応認定証の申請

✅Ⅲ、Ⅳ期は特定疾患の申請が降りてからニンテダニブを開始

✅治療導入時は2週間毎にフォロー(+採血)

✅安定したら1~2ヶ月に1回フォローする。

ニンテダニブの副作用(下痢や嘔気などの消化器症状、肝機能障害)

ピルフェニドンの副作用(日光過敏症、肝障害)

✅血液検査(KL-6や肝腎機能障害の精査)を2か月に1回(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真を2~3ヶ月に1回、胸部CTを画像半年~1年に1回(線維化の進行、悪性腫瘍の合併の有無)

✅半年に1回くらい呼吸機能検査(DLCOを含めて)を行い、治療効果のモニタリング。併せて6分間歩行もできれば評価。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

身体障害者の申請

✅心エコー・心電図を必ず評価

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

エビデンスはないが、息切れに気管支拡張薬吸入も検討

 

間質性肺炎のフォロー(ステロイド導入中)

✅1ヶ月に1回のフォロー(ステロイドの減量が必要だから。)

✅毎月血液検査。KL-6やSP-Dは2~3か月ごとに1回程度で良い。(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真も月1回。

✅胸部CTを3ヶ月~半年に1回。

✅半年~年に1回くらいは呼吸機能検査(DLCO含めて)を行い、治療効果のモニタリング。併せて6分間歩行もできれば評価。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

肺癌

初診時評価、術前評価

以下をルーチンで評価する。

✅PSと年齢(85歳以上、PS3以上は化学療法は厳しい。TKIのみ)

⇒ケモができそうにない場合に根治治療の選択肢は?(オペ、放射線単独など。安易にBSCにしない!

✅認知機能は大丈夫か?(従命はとれるか?治療や検査の理解はできるか?)  

急変リスクの評価(急変時DNARの確認)

✅採血(腫瘍マーカー、凝固、感染症

✅胸部X線写真

✅全身造影CT(頭部~骨盤部まで)

  • 同意書取得
  • 術前なら血管の3D構築まで

✅心エコー、心電図

✅呼吸機能検査(術前でなければ不要)

喀痰細胞診

✅気管支鏡

  • 術前採血(血小板、凝固、感染症リスク)
  • 気管支鏡が施行できる呼吸状態か?
  • 熱はないか?血圧や脈拍は問題ないか?
  • 従命はとれるか?
  • 心電図
  • 心エコー(必要なら)
  • 心血管系のリスク評価(心不全脳出血動脈瘤SVCなど)
  • その他の気管支鏡の禁忌は?(頸椎不安定など)
  • 同意書取得
  • 血栓薬の休薬、ヘパリンブリッジ(止めて良いか主科に確認)
  • 食止め
  • 血糖降下薬休薬、インスリンの休薬
  • 検査オーダー(気管支鏡オーダー、組織、細胞診、培養、BAL分画など)
  • 点滴、鎮静薬、鎮痛薬オーダー(ミダゾラムペチジンが使えない疾患の有無)
  • 指示
  • 検査後オーダー(胸部X線、予防的抗菌薬)

✅頭部造影MRI(脳転移の評価)

  • 同意書取得
  • 術前は必須ではない(Operableな初期のLKなら撮らないことも)

✅PET-CT(外来で撮像)⬅必須!(術前にも必要)

  • 同意書取得

胸膜播種・胸水の確認(胸水穿刺、診査胸腔鏡)

リンパ節など、ステージングに影響を及ぼす部位の生検・検査

 

化学療法前

こちら を参照

 

BSCの場合

緩和ケア外来や近医の呼吸器外来に紹介を検討
(いざというときに入院できるように!麻薬の管理もお願いする!)

✅2週間~1ヶ月毎にフォロー

✅採血・腫瘍マーカーを1~2ヶ月に1回

✅胸部X線写真を1ヶ月に1回

✅全身造影CT(頭~骨盤)を4ヶ月~半年に1回(特に脳転移の出現に注意しながら経過を見る

✅可能なら頭部造影MRI

脳転移がある・治療中の人は3ヶ月毎にフォロー

脳転移がない・安定している人は半年毎にフォロー。

 

術後フォロー

✅術後4年間は経過観察が望ましい。

✅最初の半年くらいは3か月ごとに血液検査(腫瘍マーカー測定)、胸部X線、全身造影CT ⇒ 以後は半年毎にフォローアップ

✅再発が疑われた場合は全身造影CTPET-CTを施行 再発確認のために生検(遺伝子変異の再確認も必要)を行う!

局所再発であればサルベージを考慮する。

 

HOTの患者

✅月1回フォロー(在宅酸素の加算)

✅半年に1回、呼吸機能・6分間歩行。半年~1年に1回は血ガス ⇒ HOTの流量調節

✅SPO2モニター購入(酸素会社からレンタルできる場合もある)

身体障害者の申請

 

肺非結核性抗酸菌症

治療する場合

✅治療導入時は2週間毎にフォロー(+採血)

✅安定したら2か月毎にフォローアップ

✅2ヶ月に1回採血

✅2か月に1回胸部X線写真

✅半年に1回胸部CT

✅治療期間は喀痰陰性化から1年~2年なのでこまめに喀痰培養提出を。

✅陰影増悪時:本当にNTMの増悪?、まずは抗菌薬投与、薬剤感受性の再確認や真菌などの混合感染の評価(気管支鏡を検討する

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺病変が重症な場合は心電図・心エコー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

治療しない場合

✅2~3ヶ月毎にフォロー。軽いなら半年~年に1回程度のフォロー。

✅2~3ヶ月に1回程度の胸部X線写真と半年~年に1回の胸部CT。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺病変が重症な場合は心電図・心エコー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

サルコイドーシス

無治療の場合

✅半年毎のフォロー

✅半年毎の胸写

✅半年毎の心電図

✅循環器内科コンサルトし、ホルター心電図施行

✅1年に1回の採血、尿検査、胸部CT、心エコー、呼吸機能検査

✅肺以外の症状(皮膚や骨、眼、心臓、神経、筋)にも注意。

  • 眼は眼科診察(眼科診察は必須)
  • 皮膚は皮膚生検
  • 神経は神経伝導速度検査や神経生検
  • 筋肉・骨はCTや造影MRI
  • その他、異常がある部位の生検(腎生検、肝生検など)

特定疾患の申請(Ⅲ期とⅣ期)

 

治療中の場合

✅1ヶ月に1回のフォロー(ステロイドの減量が必要だから。)

✅毎月血液検査(Ca)。KL-6やSP-D、ACE、尿検査は2~3か月ごとに1回程度で良い。

✅胸部X線写真も月1回。

✅胸部CTを半年に1回。

✅年に1回呼吸機能検査(DLCO含めて)、心エコー

✅半年毎の心電図

不整脈がある場合はホルター心電図

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺以外の症状(皮膚や骨、眼、心臓、神経、筋)にも注意。

・眼は眼科診察

・皮膚は皮膚生検

・神経は神経伝導速度検査や神経生検

・筋肉・骨はCTや造影MRI

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

 

ステロイドユーザーのフォローアップ

ステロイド5点セット

PPI、②ST合剤(毎日 or 隔日投与)、③血糖測定(HbA1c)、④ビスホスホネート製剤の投与前に歯科受診、⑤ビスホスホネート製剤

✅QFT陽性 ⇒ INH予防投薬

HBc抗体陽性 ⇒ HBV-DNAを2ヶ月毎にフォロー ⇒ 1.3log以上で消化器内科紹介

✅2~3か月に1回、HbA1c、IgG、TG、T-chol、LDL-C、HDL-C測定。

✅β-DグルカンとC7HRPは最初は1~2週間毎くらいにフォロー。

⇒ その後は3~6か月に1回フォロー。肺に影が出た時、炎症高値、異型リンパ球の上昇、肝機能障害、血小板低下が見られた時などは再検が必要。

 

心エコー・心電図

下記の場合は評価を行う

✅重症度Ⅲ期以上のCOPD

✅mMRC2以上のIP

膠原病

✅心雑音・浮腫、心拡大あり、心電図変化あり

✅肺病変の割に呼吸苦が強い人

✅その他の重症な肺疾患(肺性心の除外)

 

各種申請の際の必要な検査・準備

IPFの特定疾患

✅呼吸機能、KL-6、SP-D、SP-A、血ガス、6分間歩行試験、胸部X線写真、胸部CT

✅役所から申請書を取ってきてもらう

 

身障者の申請

✅血ガス、呼吸機能検査、mMRC、胸部X線写真

✅役所から申請書を取ってきてもらう

 

HOTの申請

禁煙(火気厳禁)

✅血ガス、肺機能、6分間歩行試験

⇒酸素屋に連絡、指導用DVD視聴、HOT指示書作成。

✅入院中の患者であれば入浴時や排泄時の酸素化もモニタリングしておく。

✅6分間歩行試験で酸素化が下がらない人は「入浴時、排泄時の酸素化」、「階段昇降時の酸素化」をモニタリングしてみる。

 

外来管理が難しくなったら

介護保険の申請、介護保険の区分変更、介護サービスの導入

往診医もしくは施設嘱託医にフォローを依頼し、通院間隔を延ばす

✅その他の介護サービス(訪問看護や訪問リハ等)の導入も勧める

✅通院が全くできない場合は「在宅医療」±「何かあったときのみ自宅近くの病院に入院(バックベッド)」の形にしておく

療養型病院での療養も検討事項

 

 

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