とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

指示簿

スポンサーリンク

 

※入院時は最低限の指示として
「処方指示」、「注射指示」、「モニタリング指示」、「安静度」、「入浴」、「排泄」、「尿測」、「体重測定」、「血圧(1検以上、必要に応じて適宜変更)」、「検温(1検以上、必要に応じて適宜変更)」、「血糖」、「発熱・疼痛時」、「不眠時」、「悪心・嘔吐時」、「便秘時」、「酸素指示」、「DVT予防指示」、「持参薬指示」、「急変時コード」、「代医指示」は必ず入力する!

ICU患者の場合は「鎮静」、「鎮痛」、「人工呼吸器」、「血圧指示」、「尿量指示」、「体位変換指示」、「経管栄養の指示」を追加。

 

 

発熱・疼痛時

・37.5℃以上

 クーリング

・38.0℃以上、疼痛時

  ①カロナール2錠内服可(8時間あけて1日3回まで)

  ②内服できない場合はアセリオ500㎎を15分かけてdiv(8時間あけて1日3回まで)   

  ③アセトアミノフェン坐薬(200)1~2個挿肛(8時間以上あけて1日3回まで)

  ④ロキソプロフェン60㎎ 1錠+レバミピド1錠 内服(8時間あけて1日3回まで)

  ⑤ジクロフェナク坐薬(25)1個挿肛(血圧>90を確認して投与。8時間以上あけて1日3回まで)

アセトアミノフェンは1日総投与量4000㎎まで

 

悪心・嘔吐時

プリンペラン1A(+NS20ml iv)1日3回まで

 

腹痛時

 ①ブスコパン1A+NS50ml div(1日3回まで)

 ②アセリオ500㎎を15分かけてdiv

 ③ソセゴン0.5A 筋注

 

疼痛時

 ①ロキソプロフェン1錠+レバミピド1錠内服またはカロナール2錠内服

 ②アセリオ500㎎ 15分かけてゆっくりdiv (3時間以上あけて1日3回まで)

 ③ロピオン1A+NS100ml div(8時間以上あけて1日3回まで)

 

胸痛時

 ECG施行しDr.call

 

不眠時

経口摂取可能な場合

 ①ベルソムラ(15㎎ or 20mg) 1錠内服 or デエビゴ(2.5mg or 5㎎) 1錠内服
  上記で効果不十分な場合はトラゾドン錠 25mg 0.5錠内服可 or テトラミド 10mg
  1錠 内服可

 ②ルネスタ(1mg or 2mg)1錠

 

経口摂取ができない場合

 ①セレネース5mg 0.5A+生食100mlを30分かけて点滴静注(入眠後は中止可)

 

不穏時

 ①リスペリドン内用液(OD錠)5ml 少量の水に溶かして内服(1時間あけて2回まで内服可)

 ②クエチアピン(25㎎)を0.5~1錠内服(1時間あけて2回まで内服可)

 ③アタラックスP1A+NS 50ml投与

 ④セレネース注(5mg)1A+NS100ml div(30分で投与。4時間あけて再使用可)

 ⑤サイレース0.5A+NS100ml div(30分で投与。4時間あけて再使用可)

午前3時以降は朝の覚醒が不良になるためなるべく使用を控えてください。

 

安静度

安静度1:ベッド上安静、排泄ベッド上、清拭、検査時のみ病室外へ移動可、リハ時のみ端座位や歩行可

安静度2:病室内、排泄:室内トイレ(病棟トイレ)、清拭、検査時のみ病室外へ移動可

安静度3:病棟内、排泄:病棟内トイレ、シャワー浴可、検査介助

安静度4:病棟内、排泄:病棟内トイレ、シャワー浴可、検査介助不要

安静度5:院内、排泄:病棟内トイレ、シャワー浴可

 

ADLに合わせて安静度解除してください。(←この指示が使えない病院もある)

 

排泄

ベッド上、ポータブルトイレ、室内トイレ、病棟トイレなど

 

  • 動けない場合、酸素が7L(オキシマイザー)で保てない場合:バルーン(or尿瓶)+ベッド上排泄(差し込み便器)
  • 酸素化不良の場合:酸素が7L(オキシマイザー)で安静時・労作時にSPO2≧90%保てる+座位保持可能の場合はポータブルトイレに移譲可とします。
  • 酸素化問題なし・軽度の場合:車いす移譲可能であれば病棟トイレ可とします。

 

入浴

清拭のみ…急性期病態の場合

シャワー浴可…状態が落ち着いている人

 

持参薬

~以外は内服中止。

 

食事

・欠食

・本日より食事開始。持参薬内服も再開してください。

・食事摂取半分以上で点滴抜針。

 

モニタリング

モニター装着をお願いします。

50<HR<120、逸脱時はDr.call。

88%<SPO2<100%、逸脱時はDr.call。

酸素5L以上必要時報告。リザーバー10Lで挿管します。

 

血圧指示

1日1検以上(必要に応じて適宜変更をお願いします。)

sBP<80mmHgの時、血圧再検してDr.call

sBP>180mmHgの時、血圧再検してDr.call

明らかなショック徴候ある場合はルート2本確保してください。

  • sBP<90mmHgの時、降圧薬内服スキップ
  • sBP<90mmHgの時、利尿薬スキップ(もしくは持注に変更考慮)

 

昇圧剤、降圧剤の指示

イノバン
  • 単独ルートの側管から投与をお願いします。(末梢から投与する場合は生食250mlで追加のルート確保をお願いします)

原液で使用。

sBP<80mmHgの時、血圧再検しDr.call。2mlフラッシュし、3ml/hrで開始。

sBP<80mmHgが10分以上続く場合、0.5ml/hrずつUp(上限0.2×体重ml/hrまで)

sBP>130mmHgが10分以上続く場合、0.5ml/hrずつDown(漸減中止可)

上限まで上げてもsBP<80mmHgの時、Dr.call(必要に応じて0.4×体重ml/hrまで使用)

  • ICU以外での使用時(Aラインなし)→イノバン使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は10分後に血圧再検。
ノルアドレナリン
  • 単独ルートの側管から投与をお願いします。(末梢から投与する場合は生食250mlで追加のルート確保をお願いします)

ノルアドレナリン(1mg/ml)5A+NS45ml(0.1mg/ml組成)で使用。

sBP<80mmHgの時、血圧再検しDr.call。2mlフラッシュし、2ml/hrで開始。

sBP<80mmHgが10分以上続く場合、0.5ml/hrずつUp(上限0.18×体重ml/hrまで)

sBP>130mmHgが10分以上続く場合、0.5ml/hrずつdown(漸減中止可)

上限まであげてもsBP<80mmHgの時、Dr.call

  • ICU以外で使用時(Aラインなし)→ノルアド使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は10分後に血圧再検。

※末梢で投与する場合はノルアドレナリン1A(1mg/ml)+生食19ml(0.05mg/ml組成)で使用する。(上限2mg/hrまで。24時間以上は使用しない)

※0.03γ~0.3γでの使用が推奨されている.(それ以上使う場合は虚血のリスクが増えるため、ピトレシンを併用!)

ミオコール(ニトログリセリン
  • 単独ルートの側管から投与をお願いします。

原液で使用。

sBP>160mmHgが10分以上続く場合、ミオコール3ml/hrで開始。

sBP>160mmHgが10分以上続く場合は1ml/hrずつ増量。(最大0.3×体重ml/hrまで)

sBP<120mmHgが10分以上続く場合は、ミオコール1ml/hrずつ減量。Off可能。

※最大投与量は添付文書上はもう少し増量可能

  • ICU以外で使用時(Aラインなし)→ミオコール使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は10分後に血圧再検。
ニカルジピン
  • 単独ルート、原液で使用。

sBP>160mmHgが10分以上続く場合、1mlフラッシュし、2ml/hrで開始。

sBP>160mmHgが10分以上続く場合は1ml/hrずつ増量。(最大0.3×体重ml/hrまで)

sBP<120mmHgが10分以上続く場合は、ニカルジピン1ml/hrずつ減量。Off可能。

※最大投与量は添付文書上はもう少し増量可能

  • ICU以外で使用時(Aラインなし)→ニカルジピン使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は10分後に血圧再検。

 

HR

HR<50bpmでDr.call

HR>120bpmでDr.call

 

DM関連

血糖測定1日4検(毎食後、眠前)を毎日もしくは週~回など

BS<70㎎/dlの時は院内マニュアルに従う

 

インスリン

経管栄養の時は

栄養持続投与の時:持注スライディングスケール or 持効型インスリン

栄養間欠投与の時:皮下注スケール⇒強化インスリン療法

IVHの時は

強化インスリン療法 or スケール±IVH打消し(糖5~10gに対しインスリン1単位)

欠食中は

糖入りの点滴±スライディングスケール(血糖降下薬や強化インスリンは中止(1型DMを除く))

 

痙攣時指示

酸素マスク5L開始し、ホリゾン0.5A iv。Dr.callをお願いします。

 

酸素

SPO2>95%で1L/minずつDown(漸減中止可)

SPO2<90%で1L/minずつUp(Max15L)

O2 10L/minまで上げてもSPO2<90%の時、Dr.call

-5L/min 経鼻カニューラ

5-10L/min フェイスマスクorオキシマイザーで3-7L/min(食事時はオキシマイザー)

10L/min― リザーバーマスクorネーザルハイフロー(食事時はネーザルハイフロー)

酸素の上限は設けませんが、適宜報告をお願いします。

※オキシマイザー3L≒経鼻カニューラ5L

 オキシマイザー7L≒フェイスマスク10L

 

人工呼吸器

呼吸モード:A/C(PC or VC)、CPAP+PS

FiO2、PEEP、PS、back up rate、吸気時間(0.9~1.0)、I:E比(1:1~1:2)

トリガータイプ:圧トリガー:1~2㎝H2O、フロートリガー:3~5L/min

ライズタイム:0.1~0.2秒

分時換気アラーム:MV>15L、MV<3L、呼吸回数アラーム:最小5回、最大35回

一回換気量アラーム:TV<300ml、TV>体重×11ml

気道内圧>35

 

SPO2>95%かつPaO2>80mmHgでFiO2 0.05(5%)下げる

SPO2<90%またはPaO2<70mmHgでFiO2 0.05(5%)上げる

FiO21.00(100%)でもSPO2>90%維持できない場合はDr.call

SPO2が急に低下した場合は血ガス測定しDr.call。

EtCO2が~以上上昇する場合、低換気アラームが頻回に鳴る場合はDr.call。

 

NIPPV

呼吸モード:STモード

FiO2、EPAP、IPAP、back up rate、吸気時間(0.9~1.0)、I:E比(1:1~1:2)

トリガータイプ:圧トリガー:1~3㎝H2O、フロートリガー:2~3L/min

ライズタイム:0.1~0.2秒

分時換気アラーム:MV>15L、MV<3L、呼吸回数アラーム:最小5回、最大35回

一回換気量アラーム:TV<300ml、TV>体重×11ml

気道内圧>35

 

ネーザルハイフロー

流量40L、FiO2 60%より開始。

酸素化不良時はFiO2 100%でフラッシュ可。

SPO2<88%の時、FiO2を5%上げる

SPO2>95%の時、FiO2を5%下げる。

FiO2 80%で酸素が維持できない場合は流量を10Lずつ上げる。

流量60L、FiO2 80%でSPO2<88%の場合、Dr.call

流量40L、FiO2 50%でSPO2≧90%保てる場合はオキシマイザー7Lもしくはマスク10Lに変更。

 

血ガス分析

ICUのルーチンがない場合は1日3件、ICUのガス分析で検査。

CO2上昇、アシドーシス進行の場合は連絡をお願いします。

 

体位変換

2時間毎にお願いします

 

便秘時(3日排便ない場合)

意識清明の場合は本人の希望で内服

 ①センノシド12㎎2錠内服

 ②ラキソベロン10滴内服

使用後も排便ない場合は以下を使用します。

    ③テレミン座薬一個挿肛

    ④グリセリン浣腸(60ml)1個注入

⇒それでも排便ない場合や不十分な場合は腹単撮像、定時内服を検討します

 

体重測定

心不全や腎不全、その他バランスを見たい人は週2~3回体重測定

ケモの時は必要に応じて記載

その他は週1回で(療養型病院では4週に1回体重測定)

 

尿測指示

心不全、腎不全、呼吸不全が重篤な場合(オキシマイザー7L以上必要)⇒尿バルーン留置

1日尿測をお願いします、オムツカウントお願いします、4時間毎に尿測、体交時に尿測、6時間毎に尿測、ラシックス投与後2時間の尿量測定をお願いします など。

ICUの時はICUのルーチンに従う、もしくは2時間毎に尿測。

 

尿量低下時指示

<通常の尿量指示>

4時間で尿量100以下の時、Dr.call。

<術後やThird spaceへの移行が多い病態時の尿量指示>

4時間で尿量100ml以下の時、ソルアセトF(500)を2時間で負荷。

それでも尿量改善ない場合、尿比重を測定。

比重>1.020の場合、ソルアセトF(500)を2時間でdiv

比重<1.020の場合、ラシックス1Aiv

尿閉の場合>

6時間で尿量150ml以下の場合はブラッダースキャン→残尿200ml以上あれば導尿

 

鎮静指示

ミダゾラム

★遷延しやすいので注意。

鎮静は日中はRASS 0~-2、夜間はRASS -2~-3を目標に時間1mlずつ増減。

ミダゾラム(10㎎/2ml)5A+NS40mlで時間2mlで投与開始。(1mg/mlの組成)

体動・不穏が強い場合や咳嗽が強い場合は1mlフラッシュして、1ml/hr増量可。増量30分後にRASS再評価を行う。(咳嗽や痛みが強そうであれば鎮痛の評価もお願いします)

最大流量は時間10ml/hr(最大0.2mg/kgまで)

目標RASSを下回る場合やSBP<80mmHgのときは1ml/hrずつ減量。

ショックバイタルの時は投与中止。

(緩和の時はRASS-3~-4目標。血圧は考慮しない)

プレセデックス

★鎮静力弱い、フラッシュ禁、徐脈に注意

デクスメデトミジン1V(200μg/2ml/V)+生食48mlで使用(4μg/ml)

投与量早見表を用いる。

0.2μg/kg/hrで開始。

鎮静はRASS 0~-1程度を目標に30分間隔で0.1μg/kg/hrずつ増減可。

最大流量は0.7μg/kg/hrまで増量可。

目標RASSを下回る場合やHR<50ml/minの場合は0.1μg/kg/hrずつ減量。(off可)

ショックバイタルの時は投与中止。

(緩和の時はRASS-3~-4目標。脈拍は考慮しない)

プロポフォール

★切れが良い。血圧低下に注意。

原液で使用(10mg/ml), 時間5mlで投与開始。

鎮静は日中はRASS 0~-2、夜間はRASS -2~-3を目標に時間1mlずつ増減。(off可)

体動・不穏が強い場合や咳嗽が強い場合は1mlフラッシュして、1ml/hr増量可。増量30分後にRASS再評価を行う。(咳嗽や痛みが強そうであれば鎮痛の評価もお願いします)

最大流量は15ml/hr(正確には2~3×体重㎎/hr)

目標RASSを下回る場合やSBP<80の時は1ml/hrずつ減量。(off可)

ショックバイタルの時は投与中止。

(緩和の時はRASS-3~-4目標。血圧は考慮しない)

 

  • 鎮静薬を2剤以上併用時の増減

指示は難しいので一剤は流量を固定したほうが指示しやすいです!

 

鎮痛指示

フェンタニル

BPS≧5、CPOT≧3の時(意思疎通が取れる場合はNRS≧3の時)

フェンタニル 0.25mg/5ml+NS20mlで時間1mlで投与開始。(10μg/mlの組成)

フェンタニル 0.5mg/10ml+NS40mlの組成でも良い。

鎮痛はBPS≦4、CPOT≦2(NRS≦2)を目標に時間1mlずつ増減。

BPS≧5、CPOT≧3の場合は1mlフラッシュし10分後再評価。

頻回にフラッシュ必要な場合は1ml/hr増量。最大時間5ml(正確には1µg/kg/hrまで)

BPS≦4の時1ml/hrずつ減量。(Off可)

(多すぎると大呼吸になるので一回換気量が10ml/kg以上の場合は1ml/hrずつ減量)

 

経管栄養指示

<体位>

注入時はベッド30~45度ギャッジアップ。フラットは禁。

注入後1時間はギャッジアップを保持

<投与方法>

①間欠投与の場合

※日中で落としきるイメージ!!(7時~21時の間に落としきる)

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを(2~4)時間で朝・昼・夕で投与開始。

 

注入後は1時間クランプをお願いします。

処置時には注入中止。

 

②持続投与の場合

※7時間×3で間に1時間休みを入れる!(全部で21時間で入れる計算)

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを時間30mlで投与開始

※経管栄養を持続で行く場合はインスリンは持注でコントロールする!!

 

注入後は1時間クランプをお願いします。

処置時には注入中止。

 

③経口摂取と経管栄養を併用する場合

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを(2~4)時間で朝・昼・夕で投与開始

経管栄養注入前に経口摂取させてください。

経口で主食5割以上摂取できた場合は経管栄養注入はスキップとします。

 

<残胃量の確認>

口腔内に栄養剤の逆流がある場合⇒投与中止しDr.call

注入後は1時間クランプを行い、その後吸引し残胃量を測定する。

残胃は毎回破棄する。

  • 残胃が投与量の半分以上が2回以上続く場合は経管を中止し、主治医相談

 

DVT予防指示

弾性ストッキング装着をお願いします。

フットポンプ装着をお願いします。

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング