とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

血痰・喀血

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オーバービュー

 

鑑別

多いのは①抗酸菌・真菌感染症、②肺癌、③気管支拡張症

結核、肺非結核性抗酸菌症、肺アスペルギルス症、放線菌症、肺癌を含む肺腫瘤、気管支拡張症、慢性下気道感染症、感染後仮性動脈瘤、薬剤性肺胞出血(抗血栓薬、プロピルチオウラシル、アミオダロンなど)、大動脈瘤や大動脈解離の破裂、肺血栓塞栓症、肺静脈塞栓、肺胞出血、膠原病関連血管炎(SLE)、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー症候群、特発性肺鉄血症、凝固異常をきたす血液疾患、蔓状血管腫、肺子宮内膜症、僧帽弁閉鎖不全症、クリオグロブリン血症など

 

まず最初の検査

✅呼吸器内科にコンサルト

✅肺病変がない場合は耳鼻咽喉科コンサルト喉頭ファイバーをまずは考慮

✅血痰の量と性状の確認。

出血セット血算(Hb、Plt)、凝固、鉄の評価(Fe、フェリチン、TIBC、UIBC)、必要に応じて輸血検査⇒ 輸血を検討輸血療法を参照

急性出血の評価Hbの再検(低下のスピードが速い場合は急性出血を疑う)網赤血球(Ret)BUN/Cre比(上部消化管出血の評価)

※RPI≧2.5や網赤血球の実数10万以上で産生増加(溶血や出血)、RPI≦2.5で産生低下と判断する。(こちらを参照)

3連痰

✅血ガス

✅胸部X線写真

造影CT(ダイナミック、血痰が少量の場合は単純でも可⇒「繰り返す場合」や「動脈瘤が疑わしい場合」は造影する)

✅止血剤:アドナ25㎎+トランサミン250㎎+生食100mlを1日2回点滴

✅Minor bleedingの場合は抗血栓薬を中止。

✅Major bleedingの場合は抗血栓薬中止、INR>1.5・血小板<5万は補正・リバース、IVRによる止血処置

✅落ち着いたら気管支鏡出血部位確認原因検索再出血しない程度に血腫のtoiletting)※toilettingはIVR後が望ましい

原因検索のために追加検査

 

喀血の重症度

  • 少量・・・ティッシュに着くくらい(いわゆる血痰)
  • 中等量・・・15ml/日以上、ティッシュで処理できない量、胸部X線や胸部CTでしっかりした陰影がある
  • 大量・・・200ml/日以上、膿盆一杯程度、貧血の進行あり

 

喀血の対応

少量の場合

★基本的に保存的加療

✅抗血栓薬休薬・降圧。

✅止血剤:アドナ25㎎+トランサミン250㎎+生食100mlを1日2回点滴。

✅肺炎予防に抗菌薬処方。

✅「鮮血の喀血を繰り返す場合」や「動脈瘤が疑わしい場合」は造影CT

鮮血が増加傾向の場合はBAEや放射線照射による止血も検討。

✅喀血の原因精査(下記参照)

 

中等量以上の喀血があり出血が持続しそうな場合、もしくは大量喀血

★積極的な治療を考える

✅気道確保(患側を下に、必要時挿管・片肺挿管)

✅抗血栓薬休薬・降圧

✅止血剤:アドナ25㎎+トランサミン250㎎+生食100mlを1日2回点滴

✅INR>1.5、血小板<5万は補正

✅肺炎予防に抗菌薬処方

✅造影CTで出血源の確認

出血源が分からない場合は気管支鏡での確認も

✅IVRによる止血(放射線科コンサルト

⇒落ち着いたら気管支鏡で再出血しない程度に血腫のToilettingを検討。

※toilettingはIVR後が望ましい

外科コンサルト:IVRでも喀血を繰り返す症例には外科的切除も考慮

✅喀血の原因精査(下記参照)

 

追加検査①(まずはコレ)

喀痰塗抹・培養、抗酸菌とPCR(3連痰)、喀痰細胞診(悪性細胞と真菌の有無)、QFT、抗MAC抗体、腫瘍マーカーCEA、シフラ、proGRP)、β-Dグルカン、アスペルギルス抗原、落ち着いたら気管支鏡で出血部位の確認+気管支洗浄+toiletting

 

追加検査②

RF、抗核抗体、補体、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、MPO-ANCA、PR3-ANCA、抗GBM抗体、KL-6、SP-D、IgG、IgA、IgM、抗リン脂質抗体、抗U1RNP抗体、クリオグロブリン血症、副鼻腔CT、心エコー、落ち着いてから気管支鏡(BAL、TBLB)、原因不明であればVATSも検討。

凝固異常があれば凝固異常の原因を検索(血液内科コンサルト)

※気管支拡張症、肺胞出血の鑑別も含んだ検査です!

※気管支拡張症や肺胞出血はその原因を考えましょう。

 


出血・貧血のルーチン

 

Major bleedingの定義

①致死的な出血

②クリティカルな臓器の症候性出血(頭蓋内出血、硬膜内出血、眼内出血、後腹膜出血、関節内出血、心嚢内出血、筋肉内出血、コンパートメント症候群)

③ヘモグロビンが2g/dL以上低下または2単位以上の輸血が必要

*致死的な出血・・・外傷、上部消化管出血、黒色便、喀血など

 

リバースのやり方

ワーファリン

ケイツー10㎎/2mlを2A静注

必要に応じてPCC製剤やFFP

ダビガトラン

イダルシズマブ 5g(2.5g/Vを2V使用)を5~10分かけて点滴

イダルシズマブがなければPCC製剤(保険適応外)やFFP

その他のDOAC

PCC製剤(保険適応外)やFFP

 

*PCC製剤:ケイセントラやPPSB

 

 

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