とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

低アルブミン血症

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鑑別

①低栄養(高齢者で非常に多い)

②炎症による消耗

ネフローゼ症候群

④肝硬変

⑤吸収不良症候群や蛋白漏出性胃腸症(まれ)

 

検査

最初の検査

血管内脱水・サードスペースへの体液貯留に注意して診療する

⇒ 飲水量測定、尿量測定、体重測定、IVCの評価などを考慮

✅低栄養を治療する(例外を除き)

⇒ ご飯が食べれない人はなるべく早期(少なくとも1週間以内)に経管栄養やCVを検討する!

(遅れて経管栄養をしても、栄養状態が立ち上がらず泥沼になるケースが多い。)

※例外①:悪液質の場合は無理に栄養しない。
※例外②:寿命の場合は家族と相談してどこまでやるか決める。(ICはこちら

✅炎症による消耗がありそうな場合は原因を検索する

炎症反応上昇の評価はこちら

✅血算、生化学、血糖、凝固、総蛋白、アルブミン、A/G比の評価 、蛋白分画、T-Chol、LDL-C、HDL-C、HbA1c、肝機能、腎機能、FT4、TSH、BNP(体液過剰による相対的Alb低下)、血清Zn(亜鉛欠乏が低Alb血症の原因になることもある)

✅尿定性・沈渣

⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)

⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿

✅蛋白アルブミン乖離がある場合の精査はこちら

 

ネフローゼ

✅尿定性・沈査

⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)

⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿

✅T-chol(肝硬変で減少、ネフローゼで低下)、TP、Alb

ネフローゼの原因精査(腎機能障害の鑑別を参考に)

 

肝硬変

✅アルコール摂取歴聴取

✅Plt、AST、ALT、LDH、ALP、γ-GTP、HBs抗原、HCV抗体、PT、コリンエステラーゼ免疫グロブリンヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、抗核抗体、必要に応じて抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体、フェリチン、血清銅、セルロプラスミン

✅腹部エコー、腹部CT

✅肝生検のため消化器内科コンサルト

✅Varixの評価のため上部消化管内視鏡も考慮する。

 

蛋白漏出性胃腸症

✅まずは上下部消化管内視鏡を施行して、蛋白漏出性胃腸症の原因を調べる!

原因:クローン病やUC、Collagenous colitisなどの炎症性腸疾患、偽膜性腸炎、腸管の悪性腫瘍、慢性膵炎、膠原病(SLE、RA、MCTD、血管炎)、アレルギー性胃腸症、好酸球性胃腸症、腸管アミロイドーシス、腸結核、腸サルコイドーシス、メネトリエ病、収縮性心膜炎、whipple病、セリアック病などが原因となる。

✅便中α1アンチトリプシンクリアランス検査、99mTcヒト血清アルブミンシンチグラフィー検査が診断に有用!

 

 

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