鑑別
※血管性浮腫:HAE、好酸球性血管性浮腫、ACEによる浮腫など
その他:特発性浮腫(20~40歳女性に多い)、加齢に伴う下腿浮腫(静脈機能不全)、クッシング症候群、パルボウイルスB19、リンパ増殖性疾患(POEMS症候群やTAFRO症候群など)
検査
全身性
✅正常範囲の浮腫なら経過観察(症状が軽度で日内変動あり)
✅採血、凝固、肝機能、腎機能、TP、Alb、BNP、FT4、TSH
✅尿定性・沈査
⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)
⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿。
✅胸部レントゲン
✅心エコー、心電図。
✅低Alb血症がある場合は原因検索(低Alb血症の項目を参照)。
✅腎機能障害の原因検索 ⇒ 腎機能障害の項目を参照。
✅薬剤の確認・変更(Ca阻害剤、NSAIDS、ステロイド、チアゾリジン系糖尿病薬など)
✅必要に応じて、腹部や血管のエコーと造影CT(血栓や巨大腫瘤による静脈閉塞、Budd-Chiariや肝硬変の鑑別など)、ACTH、コルチゾール、膠原病の精査(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、免疫グロブリン、ANCA、赤沈)、好酸球、IgE、パルボウイルスB19 IgM。
✅リンパ増殖性疾患の検査 ⇒ 免疫グロブリン、IgG4、可溶性IL-2R、RF、抗核抗体、SS-A、SS-B、ANCA、HIV、EBVの検査(VCA-IgM/IgG、EBNA、組織のEBER染色)、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、造影CT、PET-CTやガリウムシンチ ⇒ リンパ節生検や節外病変の生検、IgG4関連疾患やシェーグレン疑いなら口唇生検、必要に応じて骨髄穿刺
キャッスルマン・TAFRO・POEMSを疑う場合 ⇒ 血清VEGF、血清IL-6、HHV-8の検査(HHV-8 DNA定量・組織のLANA-1染色)、EBウイルスの検査(VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)を提出。
膠原病内科コンサルトも検討!
※慢性炎症性疾患、蛋白アルブミン乖離がある場合はアミロイドーシスの評価
- AL型(限局性が多い)の評価は、血清M蛋白の評価、血清遊離軽鎖、尿中BJ蛋白、骨髄穿刺の評価を行う。
- AA型(全身性が多い)の評価は、血清アミロイドA、尿検査、抗核抗体、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、QFT、消化管内視鏡(生検、炎症性腸疾患の評価)、腸管・肝臓・骨髄・皮膚・腹壁脂肪からの生検、腎障害があれば腎生検、心アミロイドーシスの評価(心電図、心エコー、必要に応じて心生検、シンチ)、神経症状がある場合は神経生検、神経伝導速度検査。
局所性
✅点滴漏れがないか確認(点滴漏れがある場合は院内マニュアルに従って対応)
✅採血、凝固、肝機能、腎機能、TP、Alb、BNP、FT4、TSH、尿定性・沈査、胸部レントゲン、血管エコー、浮腫部位のCT(必要に応じて造影CT)、リンパ浮腫を来す既往歴・手術歴・癌転移や放射線治療による2次性リンパ浮腫の確認、関節腫脹がある場合は関節エコー(RAの評価、関節液貯留やBaker嚢胞の評価)、関節穿刺、膠原病の精査(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、免疫グロブリン、ANCA、赤沈)。
✅感染疑いの場合は血液培養。
✅薬剤の確認と変更(特にACE阻害剤。他にCa阻害剤、NSAIDS、ステロイド、チアゾリジン系糖尿病薬など)
✅血栓症が原因の場合は血栓素因のスクリーニング(血栓性素因の評価を参照)。
✅必要に応じて血管性浮腫の精査(C3,C4,C1インヒビター、好酸球数、IgE)。
✅リンパ浮腫の確定診断をつけたい場合はリンパ管シンチ。
ランキングに参加中
読んでいただき感謝申し上げます。
クリックして投票いただけると励みになります!