とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

高CK血症

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フローチャート

薬剤:スタチン系、フィブラート系、アルコール、悪性症候群の原因薬(ドーパミン作動薬の中止、抗精神薬の増量:ドーパミンが低下することで起こる!)、セロトニン症候群の原因薬(SSRI抗うつ薬セロトニンが増加することで起こる)、ニューキノロン系、ST合剤、テオフィリン、ステロイド、コルヒチン、筋弛緩薬、覚醒剤など。

 

最初の検査

✅採血、CK-MB、トロポニンT、K、P、TSH、FT4、凝固(DICや血栓による虚血の評価)

腎機能確認

✅尿定性・沈査、尿中ミオグロビン

✅補液(Wash out)⇒ 大量補液するので心エコー評価を!

✅CK-MBがCKの1/10以上の場合は心電図・心エコー・胸部X線写真を施行。

✅薬剤歴・病歴の確認。

感染症の評価

  • インフルエンザ抗原、SARS-CoV-2 PCR
  • 特に重症感のある場合(肝機能障害や血小板減少、血球貪食を合併する場合)は敗血症の評価(Fever workup、全身造影CT)、C7-HRP、VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、HBs抗原・HCV抗体、HIV抗体、特殊な感染症の検査(SFTS・リケッチア・ライム病)を追加する

✅痛みが強い場合は造影CT血ガス(急性動脈閉塞症や壊死性筋膜炎などの鑑別)

 

悪性症候群の診断基準

Caroff and Mannの悪性症候群診断基準

下記の5項目のうち3項目を満たせば確定診断

①発症から7日以内(デポ剤なら2~4週間以内)に抗精神病薬の投与+A1:A5
②38度以上の発熱
③筋強剛
④以下のうち5徴候
1.発汗あるいは流延
2.頻呼吸(低酸素血症)
3.血圧異常
4.頻脈
5.振戦
6.精神状態の変化
7.失禁
8.CK上昇またはミオグロビン尿
9.WBC上昇
10.代謝性アシドーシス
⑤他の薬剤の影響、全身疾患や神経精神疾患が除外

 

炎症性ミオパチー

鑑別

皮膚筋炎、多発性筋炎、SLE、シェーグレン、強皮症、関節リウマチ、MCTD、血管炎、封入体筋炎、壊死性ミオパチー、サルコイドミオパチー、抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎など

 

検査

✅CK、CKアイソザイム、アルドラーゼ、抗核抗体、IgG・IgA・IgM、赤沈、SS-A、SS-B、U1-RNP抗体、抗Scl-70抗体、MPO-ANCA、PR3‐ANCA、RF、抗CCP抗体、フェリチン、抗ARS抗体、MDA-5抗体, TIF-Ⅰγ抗体、抗Mi-2抗体、ACE

✅筋力低下部のMRI筋電図

筋生検・皮膚生検・神経生検

発熱・炎症反応高値の場合は熱源精査のため造影CT!

✅必要に応じて抗SRP抗体や抗HMGCR抗体(壊死性ミオパチー)、抗ミトコンドリアM2抗体などの筋炎関連抗体セットを提出する。

✅皮膚筋炎・多発性筋炎の場合は全身CTや上下部消化管内視鏡(肺病変の確認と悪性腫瘍の評価)

 

追加の検査(その他のミオパチーやCK-BB上昇などの精査)

神経内科コンサルト。

✅CKアイソザイム(MM/MB/BB)、アルドラーゼ、MMTの評価、筋力低下部のMRI、筋電図、筋生検、家族歴の確認、遺伝子検査等。

 

治療

✅CK>5000、CK<5000でも5000以上になりそうな時は生食補液

✅CKが著明高値の場合は尿のアルカリ化も検討

✅腎機能が廃絶した場合は透析

補液

最初の1~2時間で細胞外液(生食)を1L程度補液

→1~2ml/kg/hの尿量を確保するように維持量を調節する

尿のアルカリ化

8.4%メイロン20ml+5%ブドウ糖1Lに混合

→時間200mlで開始し、尿PH>6.5を保つように補液

→2時間毎にカルシウム、動脈血ガスを評価。重度の低Ca血症、動脈血ガスのPH>7.5、血清HCO₃⁻>30mEq/Lがある場合は中止

 

 

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