とある内科医の病棟マニュアル

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呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

降圧薬

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降圧薬の「ABCD」

A:ACE阻害薬、ARB

B:βブロッカー

C:Caブロッカー

D:サイアザイド利尿薬(Diuretics)

 

降圧薬のおおまかな選択基準

 

★第一選択は「ACE阻害薬、ARB」または「Caブロッカー」

★2種類以上の薬を服用する場合は原則「別系統」の薬を内服する。

★βブロッカーとサイアザイド利尿剤は降圧目的での単剤使用は原則しない!(併用

 

①基礎疾患のない人

高齢者:Caブロッカー>ACE-I、ARB(高齢者はCaブロッカーの方が降圧しやすい)

若年者:ARB>ACE-I、Caブロッカー(ARBが降圧作用が強い)

②高血圧緊急症

Caブロッカー(ニカルジピン)

狭心症

スパズムが原因の場合(安静時狭心症): Caブロッカー(βブロッカーは禁忌)

労作性狭心症 :βブロッカー併用

④糖尿病、腎機能障害(Cre<2.0mg/dl)

 ACE-IまたはARB(Cre2.0mg/dl以上の場合は高K血症になるので使用しない)

⑤慢性心不全

ACE-IまたはARB(リモデリング予防)+ β-ブロッカー

⑥食塩感受性高血圧、夜間高血圧、骨粗鬆症

サイアザイド利尿剤の併用を検討

前立腺肥大症

αブロッカー

 

各降圧薬の使い分け

Caブロッカー

・とにかく降圧作用が必要な場合はアダラートCR 40mg 1回1錠 1日1~2回 朝・夕食後

半減期が長くて安定感のあるのはアムロジピン2.5~5㎎ 1錠分1 

・降圧+洞性頻脈の場合はヘルベッサー 30~60㎎ 3錠分3(降圧作用は強くない)

・異型狭心症にはアダラートもしくはヘルベッサーを使用する。

・高血圧緊急症の場合はニカルジピンの点滴を使用する。

 

★ニカルジピンの指示

原液で使用。

sBP>160mmHgが30分以上続く場合、ニカルジピンを2ml/hrで開始。

sBP>160mmHgが30分以上続く場合は1ml/hrずつ増量。(最大0.3×体重ml/hrまで)

sBP<120mmHgが30分以上続く場合は、ニカルジピン1ml/hrずつ減量。Off可能。

ICU以外で使用時:ニカルジピン使用中は4時間毎に血圧測定。流量変更後は30分後に血圧再検。

※最大投与量は添付文書上はもう少し増量可能

 

*副作用

 GERD、浮腫、アダラート・アムロジピンは頭痛や歯肉肥厚の副作用あり。

 

ACE-I/ARB

・降圧作用の強さはARB>ACE-I

・ACEの使い分けはないと思う。(レニベースで良いのでは?)

・降圧作用が特に強いのはアジルバ40mg 分1、ミカルディス20~80mg 分1

 

*副作用

 高K血症、腎機能の増悪、血管性浮腫、ACE-Iは乾性咳嗽あり

 

サイアザイド系利尿薬

・治療抵抗性高血圧や食塩感受性高血圧、夜間高血圧に対して併用で使用する。

・Cre>2.0mg/dl、eGFR<30ml/minでは効果ないため使用しない。

フルイトラン1~2mg 1回1~2錠 分1。

 

*副作用

低Na血症、低K血症、高尿酸血症、耐糖能異常

 

βブロッカー

メインテート0.625mg/日orアーチスト2.5mg/日より開始。

(軽症の心不全なら倍量より開始)

メインテートなら5mg、アーチストなら20mgまで増量可。

(5~7日毎にメインテート0.625mg、アーチスト2.5mgずつ増量。)

メインテート2.5mg≒ビソノテープ4.0mg

・ビソプロロールはβ1選択性 ⇒ 血圧が下がりにくい、喘息にも使用可能。

 

*副作用

・βを増量して2-3日後に心不全徴候が出やすいので注意する。

・異型狭心症気管支喘息には禁忌

・徐脈

 

αブロッカー

カルデナリン2~8mg 分1

 

*副作用

・起立性低血圧、ふらつき

 

 

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