とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

電解質補正薬

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高Na血症

★Na>150mEq/Lの場合は補正を行う

5%Tz 500mlで補正を行う。

①不足水分量の評価

不足水分量(L)=推定体内水分量×{(血清Na/140)-1}

※推定体内水分量=体重(kg)×割合(成人男性:60%、成人女性・高齢男性:50%、高齢女性:45%)

②Na補正速度

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする。

点滴速度(ml/h)=不足水分量/2×(血清Na-140)}

 

低Na血症

★Na<130mEq/Lの場合は補正を行う

意識障害や痙攣がある、Naが非常に低い(120未満)

 3%食塩水で補正を行う。

<3%食塩水の作り方と使い方>

10%食塩水20mlを6A(120ml)+生食400mlを混合する。

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする

⇒3%食塩水を体重×0.6ml/hで持続投与を行い、1~2時間後にNaを再検(Naの上昇速度を評価する)

 

通常の低Naの補正

・生食の補液

・NaClの内服(1日3~6g/日、辛いのでカプセルで処方)

・細胞外液量増加が原因の場合は原疾患の治療を行う。

 

低K血症

★K<3.0mEq/Lで補正を開始する

緊急性が高い場合

補正速度は10~20mEq/hで静脈投与(急速静注すると心停止するので注意!!

末梢点滴で補正する場合は血管痛を起こすので40mEq/L以下の濃度にする。

<処方例>

KCL注20mEq 1Aを生食500mlに溶解して1時間以上かけて点滴。

※Kを1mEq上げるためには100~200mEq程度必要

 

そこまで緊急性が高くない場合

・アスパラカリウム 300mg 3~9錠分3 朝昼夕食後

・アスパラカリウム散 3~6包分3 朝昼夕食後

 

高K血症

★K>5.0で補正を開始する

K≧6.5mEq/Lの場合

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

①GI療法(15分で効果発現。30分~60分で最大効果。4~6時間効果が持続する)

②ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後、カリメート散 3~6包分3 毎食後、アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 など

③必要に応じてベネトリン2ml吸入(15分~30分で効果発現し、2~3時間効果持続)

④必要に応じてラシックス20㎎を静注(1~2時間で効果発現し、4~6時間効果持続)

 

K<6.5mEq/Lの場合

ケイキサレートドライシロップ 3~6包分3 毎食後

カリメート散 3~6包分3 毎食後

アーガメイトゼリー25g 3~6個分3 毎食後 など

便秘の副作用が強い場合や胃管が詰まる場合はロケルマ

(最初の2日間は10g×3、その後は5g×1、45mlの水に懸濁して内服)

 

GI療法のやり方

①50%ブドウ糖50ml+インスリン5~10単位を緩徐に静注(30分)

②5~10%ブドウ糖500ml+インスリン5~10単位を点滴静注(6時間)

*糖5gに対しインスリンを1単位を混注すると良い

*糖尿病患者の場合は糖2.5gに対しインスリンを1単位混注する

 

✅K再検:30分後、3時間後、6時間後

✅血糖測定:30分~1時間毎に血糖チェック!(治療開始後6時間後まで)

 

高Ca血症

★Ca≧12mg/dlもしくは症候性の高Ca血症が治療適応

★治療の基本は①+② 必要に応じて③や④を考慮する

①脱水の補正

生食補液(250~500ml/hr)

大量補液のため、心エコーを行う。

②カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤

◆カルシトニン製剤

エルシトニン40単位を1日2回 皮下注射。2日間投与。

(数時間以内に効果発現。何度も投与するとescape phenomenonが起こるため長期投与しない)

◆ビスホスホネート製剤(悪性腫瘍で保険適応あり)

ゾメタ4mg/5ml+生食100mlを15分かけて点滴。

(2日目以降に効果が発現する。1週間以上間隔を空けて再投与可)

③利尿剤

脱水が改善されたら使用しても良い。

フロセミド20㎎~40㎎/日

ステロイド

肉芽腫疾患のビタミンD作用抑制やリンパ腫への効果を期待して使用

・ソルコーテフ200㎎/日 3日間

プレドニゾロン60㎎/日 10日間

 

低Ca血症

Ca<7未満の症候性低Ca血症、心電図異常がある場合

カルチコール8.5% 10~20mlを10分~20分かけて投与(急速静注すると心収縮力低下の恐れあり)

⇒その後、カルチコールを2~4ml/hrで持続点滴。内服へ切り替え。

緊急性の高くない低Ca血症

◆高P血症がある場合

沈降炭酸カルシウム(カルタン) 3g/日

◆低P血症がある場合

エルデカルシトール0.5μg/日(腎機能障害がある場合はアルファカルシドールやロカルトロールに変更)

※1Vit.D=アルファカルシドール、1.25Vit.D=エディロール、カルシトリオール

 

高P血症

①沈降炭酸カルシウム(カルタン) 3g/日・・・カルシウムが上昇する

②ホスレノール 750mg 分3 食直後・・・Ca非含有のP吸着薬

クエン酸第二鉄(リオナ)1500㎎ 分3 毎食後・・・鉄補充もできる

 

低P血症

★一般的にはP≦2.0mg/dlで補正を開始する

★欠食⇒食事再開でPが低下するため、早めに補正しておくことも多い

点滴

◆通常の補正

✅内服治療が原則

✅内服でも低下傾向の場合は点滴での補充も検討

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100ml 6時間で点滴

(日本では10mmol/hrで補正が認められているが合併症の懸念からなるべく緩徐な投与が望ましい)

 

◆症候性または1.0 mg/dL以下の場合

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100mlを1~2時間で点滴。

P<1.5mg/dlの時:1日4本まで

P>1.5mg/dlの時:1日2本まで

内服

ホスリボン 3~6包分3 毎食後

 

低Mg血症

注射

硫酸Mg補正液1mEq/ml 20ml+生食100mlを60分以上かけて投与。

Mg<1.0mg/dLの時

硫酸マグネシウム4~8g(32~64mEq)を点滴

⇒Mgが正常化するまで硫酸マグネシウム4g/日で補充

Mg1.0~1.5mg/dLの時

硫酸マグネシウム1~3g(8~24mEq)を点滴

⇒その後は適宜追加

痙攣や不整脈を発症している場合

硫酸マグネシウム1~2g(8~16mEq)を5分かけて緩徐に静注。

(または生食50mlに溶解し15分かけて点滴)

 

 

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