DVT Well's スコア
癌 |
+1 |
麻痺あるいは最近のギプス装着 |
+1 |
ベッド安静3日以上または術後4週未満 |
+1 |
下肢全体の腫脹 |
+1 |
下腿直径差3㎝以上 |
+1 |
患肢のpitting edema |
+1 |
患肢の表面静脈拡張 |
+1 |
診断がDVTらしくない |
ー2 |
PE Well's スコア
PEやDVTの既往 |
+1.5 |
心拍>100回/分 |
+1.5 |
最近の手術または3日以上の長期臥床 |
+1.5 |
臨床的にDVTの症状がある |
+3 |
診断がPEらしい |
+3 |
喀血 |
+1 |
癌 |
+1 |
★必ず「心エコー」と「心電図」の評価を行ってください!
※従来のフローチャートをより臨床向けに改変したものになります
※D-dimerのカットオフには個人的な感覚が含まれますのでご注意ください
★造影CTが施行できない場合は経験的に抗凝固療法開始も検討する!
治療とマネジメント
DVT
以下の①~⑤を行う。
①抗凝固療法(循環器内科コンサルト)
✅症状ありのもの、中枢側(膝窩より近位)のもの、伸展の危険因子ありのものは治療適応となる。
- 出血リスクも考慮して治療適応を決める(HAS-BLEDスコア等も参考にする)
- 治療期間は3ヶ月程度。
- 最初からDOACもしくはヘパリン化施行後にDOAC or ワーファリン
- 末梢型(膝窩以遠)のDVTの場合は、症状や伸展リスクがなければ無治療経過観察 ⇒ 1~2週間後に下肢エコーを再検
※トルソー症候群の場合はヘパリンしかエビデンスがない。
✅循環動態不安定や近位部の大きな血栓症、抗凝固薬禁忌症例(出血、血小板<5万、凝固異常)はインターベンションを検討する!(循環器内科コンサルト)
②血栓素因の検索を検討する
③安静度やリハビリの可否を循環器内科に相談する
抗凝固療法が治療域に達したら安静度を解除する場合が多い。
④フットポンプ、弾性ストッキングを中止する
⑤血栓の状態を1~2週間後に再評価する(増悪がないか・治療抵抗性でないかの確認)
PE
以下の①~⑦を行う。
①抗凝固療法(循環器内科コンサルト)
✅多くの場合は抗凝固療法だけで済む。
- 出血リスクも考慮して治療適応を決める(HAS-BLEDスコア等も参考にする)
- 肺塞栓→ヘパリン化(最低5日間以上)後にDOAC or ワーファリン
※肺塞栓の場合大喀血する可能性があるため最初は必ずヘパリン(拮抗できるように)
- 治療期間は血栓がなくなるまで(約3ヶ月程度)。
※トルソー症候群の場合はヘパリンしかエビデンスがない。
✅循環動態不安定や近位部の大きな血栓症、抗凝固薬禁忌症例(出血、血小板<5万、凝固異常)はインターベンションを検討する!(循環器内科コンサルト)
②心電図、心エコー(右心負荷所見の評価)
③肺高血圧の治療(循環器内科コンサルト)
④血栓素因の検索を検討する
⑤DVTの評価(下肢エコー)
⑥安静度やリハビリの可否を循環器内科に相談する
抗凝固療法が治療域に達したら安静度を解除する場合が多い。
⑦血栓の状態を1~2週間後に再評価する(増悪がないか・治療抵抗性でないかの確認)
抗凝固薬の使い分け
イグザレルト(リバーロキサバン)
一番キレが良い!1日1回でアドヒアランスも良い。出血イベントがやや多いことが欠点。
エリキュース(アピキサバン)
高齢者の腎機能低下症例に使いやすい。出血イベントが他より少な目。
ダビガトラン(プラザキサ)
中和剤がある。虚血性脳卒中のエビデンスが豊富。腎不全で使いにくい。消化器症状の副作用多い。
リクシアナ(エドキサバン)
1日1回。唯一DVTに対する予防の保険適応が通っている。
患者 |
薬剤 |
CCr30-50 |
アピキサバン
リバーロキサバン エドキサバン
|
ダビガトランよりは腎機能低下の影響が少ない |
CCr<15 |
ワーファリン |
DOACは勧められない |
脳梗塞ハイリスク |
リバーロキサバン ダビガトラン |
治療抵抗性の虚血性脳卒中 |
ダビガトラン |
ダビガトラン150㎎は虚血性脳卒中低リスク |
ディスペプシア
上部消化器症状
|
リバーロキサバン アピキサバン エドキサバン |
ダビガトランの服用者の10%にディスペプシア |
消化管出血の既往/高リスク |
アピキサバン |
出血リスクが少な目 |
出血高リスク
(HAS-BLEDスコア≧3点)
|
アピキサバンやエドキサバン |
1日1回 |
リバーロキサバン エドキサバン |
拮抗薬が必要 |
ワーファリン、ダビガトラン |
担癌患者 |
DOAC |
ワーファリンは相互作用が多い |
造影CTが施行できない場合の対応
①まずは下肢エコー、心エコー、心電図の評価を行う
(DVTとmassivePEを否定する)
②PEが疑われる場合、施行可能であれば換気血流シンチを施行する
③「画像検査が施行できない」+「D-dimer高値」の場合は、患者と相談の上で経験的に抗凝固療法の開始を考慮する。
(※日本では内科領域における抗凝固薬の予防投与は原則行わない)
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