とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

高Na血症

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フローチャート

 

・中枢性尿崩症

脳腫瘍、脳卒中、下垂体卒中、外傷、脳炎髄膜炎低酸素脳症、自己免疫性(下垂体炎、IgG4関連疾患)、肉芽腫性疾患(ランゲルハンス組織球症、サルコイドーシス)、遺伝性、特発性

・腎性尿崩症

薬剤(デメクロサイクリン、リチウム、シスプラチン、ホスカルネット、アムホテリシンB)、高Ca血症、低K血症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、多発性嚢胞腎、尿管閉塞、妊娠尿崩症、遺伝性

 

検査

体液評価4点セット→体液量の評価

薬剤性高Naがないかどうか確認

✅145mEq/L<Na<150mEq/Lの時 ⇒ これ以上に上昇しないようにメイン, 薬剤等の変更, 食事の変更(減塩食)を行う。

✅Na≧150mEq/Lの時、ナトリウムの補正を開始

※補正の前に必要な検査を提出すること!

✅血清Osm、Hct、血ガス(脱水で代謝性アルカローシス)

✅尿検査(尿Na、尿K、尿Cl、Cr、BUN)、尿Osm

*尿Cl<20mEq/Lは低Cl性代謝性アルカローシス(脱水)を考える(生食補液で改善)

血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)(30分安静臥床後に採血)、早朝のACTH・コルチゾール(起床時・食前に安静30分後に採血)。

*PAC/PRA>200(もしくはPAC/ARC>40)でアルドステロン症疑い

 

脱水の検査所見

血管内脱水
  • Alb、TP、Hctの上昇 ※低Alb血症による血管内脱水は例外
  • BUN/Cre比の乖離
  • 尿浸透圧≧500mOsm/L、尿比重>1.020、尿量低下
  • FENa<0.1%、FEUN<35%、尿Cl<20mEq/L
血管内脱水+細胞内脱水
  • 口渇、皮膚のツルゴール低下
  • 高Na血症
  • 血漿浸透圧上昇

 

多尿の鑑別

 

後天性腎性尿崩症:低K血症、高Ca血症、リチウム投与、デメクロサイクリン投与

その他:副甲状腺機能亢進症甲状腺機能亢進症、慢性腎不全の利尿期、利尿剤、MRHE(加齢によるレニン低下やアルドステロンの反応低下)、CSWSなど

 

検査

✅体液量の評価(飲水量、尿量、体重測定、IVCの評価)

✅尿測、尿検査(尿糖、尿中電解質、尿浸透圧)

✅血液検査:電解質、Ca、血糖、血漿浸透圧、HbA1c、TSH、FT4、血漿AVPiPTH、血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)等

✅高張食塩水負荷試験、水制限試験

✅中枢性尿崩症が疑われる場合は頭部CT、頭部MRI

✅尿崩症の診断基準はこちら

 

治療

★Na>150mEq/Lの場合は補正を行う

  • 点滴の溶解液を5%Tzに変更。
  • 5%Tz 500mlで補正を行う。
  • フルイトラン使用も検討。
①不足水分量の評価

不足水分量(L)=推定体内水分量×{(血清Na/140)-1}

※推定体内水分量=体重(kg)×割合(成人男性:60%、成人女性・高齢男性:50%、高齢女性:45%)

②Na補正速度

補正速度は0.5mEq/h(12mEq/日)を超えないようにする。

点滴速度(ml/h)=不足水分量/{2×(血清Na-140)}

 

尿崩症の治療

中枢性尿崩症

デスモプレシン点鼻スプレー1回5~10μg 1日2回より開始

尿量とNa値により適宜調整

腎性尿崩症

原疾患の治療 、減塩食・低蛋白食

⇒ 改善に乏しい場合はサイアザイド利尿剤(フルイトランやニュートライド)

 

 

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