キーパーソンとは
基本的には以下の①、②の両方を担う者のことを指す
①意思決定の「代諾者」
- 緊急連絡先となる
- 病状説明に本人とともに同席
- 家族間の意見をまとめ、本人と話し合い、意思決定の手助けを行う
- 本人の意思決定能力がない場合に医療同意を行う
②身元保証
- 入院中に必要な物品の準備
- 入退院時の支援(送迎や書類関係など)
- 入院費の支払いに関すること(支払いの補助、連帯保証人など)
- 死亡時の遺体・遺品の引き取り、葬儀、死後事務に関すること
キーパーソンの選定
✅上記のキーパーソンの役割を担える人を選択する
✅基本は「配偶者」または「成人した子供」を選択する。
✅理解良好な者を選択する。
✅なるべくすぐに来院できる者を選択する。
✅キーパーソンは原則1人とする
✅キーパーソンが高齢である場合は、他の家族とも相談の上でキーパーソン変更も考慮する。
血縁者がいない場合のキーパーソン・意思決定者の決め方
本人の判断能力が十分な場合
①意思決定は本人の意思が優先
②「本当に血縁者がいないかどうか」を本人や担当者に確認する(担当者に確認する際はMSWに介入依頼すると良い)
担当者:担当ケアマネや地域包括支援センター、生活保護受給者であればケースワーカーや福祉科/保護科
⇒実は絶縁中の血縁者がいる場合もある。その場合はキーパーソンにはなり得ないことを十分確認する。
③親族や友人・知人がいる場合は、本人に了承を得た上で「関わる意思の有無」を確認する。可能ならキーパーソンになってもらう。(身元保証がどの程度できるか確認を!)
④本当にキーパーソンが全くいない場合はキーパーソン不在時の対応を参照する
本人の判断能力が不十分な場合
①「本当に血縁者がいないかどうか」を本人や担当者に確認する(担当者に確認する際はMSWに介入依頼すると良い)
担当者:担当ケアマネや地域包括支援センター、生活保護受給者であればケースワーカーや福祉科/保護科
⇒実は絶縁中の血縁者がいる場合もある。その場合はキーパーソンにはなり得ないことを十分確認する。
②親族や友人・知人がいる場合は、本人に了承を得た上で「関わる意思の有無」を確認する。可能ならキーパーソンになってもらう。(身元保証がどの程度できるか確認を!)
③本人は意思決定が困難であるため、キーパーソンと一緒に行う。
④キーパーソンが全くいない場合はキーパーソン不在時の対応を参照
意識がない場合
①「本当に血縁者がいないかどうか」を担当者に確認する(担当者に確認する際はMSWに介入依頼すると良い)
担当者:担当ケアマネや地域包括支援センター、生活保護受給者であればケースワーカーや福祉科/保護科、あてがないなら役所の戸籍から辿る
※意識がない人の場合は、安易に知人や友人をキーパーソンにしない! ⇒ 担当者に身元引受人の確認を必ず行う!
②家族が見つからない場合は持ち物から家族の連絡先を調べる(場合によっては医療安全や警察にも介入依頼する)
③キーパーソンが全くいない場合はキーパーソン不在時の対応を参照
後見人がいる場合
✅後見人は医療同意はできない!!
✅ただし実際の現場では医療同意までやっている場合も多い。。。
(後見人と要相談)
キーパーソンが役割を果たせない場合(キーパーソン足りえない場合)
①可能な限り他の血縁者にキーパーソンを変更する。(可能であれば身元引き受けができる人/葬式の手配ができる人を選ぶ)
②他に血縁者が全くいない場合は、その方をキーパーソンとする
※キーパーソンの意思疎通が全くとれないレベルであればキーパーソン不在時の対応に従って対応する。
③キーパーソンが以下のことをどの程度できるか確認する
- 入院中に必要な物品の準備
- 入退院時の支援(送迎や書類関係など)
- 入院費の支払いに関すること(支払いの補助、連帯保証人など)
- 死亡時の遺体・遺品の引き取り、葬儀、死後事務に関すること
⇒ 困難な場合はMSWに介入依頼(必要な介入はこちら)
キーパーソン不在時の対応
必要な介入
✅「本当に血縁者がいないかどうか」を本人もしくは担当者に確認する(確認する際はMSWに介入依頼するとスムーズ)
担当者:担当ケアマネや地域包括支援センター、生活保護受給者であればケースワーカーや福祉科/保護科
✅MSWに介入依頼(以下の各種手続きのため)
- 本人の判断能力が低下している場合(特に金銭管理や契約などに支障を来している場合):後見人の手続き(地域包括支援センター)
※後見人の申請や支払いができない場合は「市長申し立て」を行う。
- 死後事務手続き:行路病人、行路死亡人の相談(保護課)
- 経済的に困窮する可能性が高い場合:生活保護の手続き(保護課)
- 介護保険の手続き(地域包括支援センター)
- 施設の手配
- 転院の手続き
意思決定とIC
①意思決定は本人の意思が優先
②臨床倫理委員会や医療安全管理委員会などに相談し、キーパーソン不在であることをカルテに記載・対応を確認する。
③本人に以下のICを行う
- 現時点ではキーパーソン不在である
- MSWの介入が必要となる
- 入院中の意思決定は本人の意志を優先する。本人の意識がなくなった場合は現時点では診療を担当している医師が意思決定を行うこととする。
- 意思決定の範疇には生命予後に関する判断も含まれる。
- 親族が現れた場合は、その親族も含めて意思決定権を再確認する。
- 意思変更はいつでも可能である。
参考資料
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
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