とある内科医の病棟マニュアル

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呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

オピオイドの使い方

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WHO方式三段階鎮痛法

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鎮痛薬使用の5原則

✅経口的に(by mouth)

✅時刻を決めて規則正しく(by the clock)

✅除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)

✅患者ごとの個別的な量で(for the individual)

✅その上で細かい配慮を(with attention to detail)

 

オピオイドの使い分け

  • 基本は内服薬
  • 内服困難な場合は貼付剤や注射剤
  • 痛みが非常に強い場合は一時的に持続注射に変更も考慮

 

オピオイドの内服の使い方

オキシコドン

ベース

オキシコンチン 5mg×2→10mg×2→15mg×2→・・・ 8時と20時に内服

 

レスキュー

オキノーム 1日のベース量の1/6~1/4で使用。

1時間空けて追加内服可。(回数制限なし)

 

吐き気と便秘の副作用が出やすいので、あらかじめ以下を処方する。

①ノバミン5mg 3T3×食後 ⇒ 数日で頓服に変更する(数日で耐性が生じる)

②マグミット330mg 3T3×(自己調節可)

プルゼニド12mg 2錠眠前(自己調節可)

 

フェントステープ

気管支喘息は禁忌!肝機能障害に注意。

ベース

・フェントステープ 0.5mg→1.0mg→2.0mg→3.0mg→4.5mg→6.0mg・・・

 

レスキュー

アブストラル 

・初回投与量は100μgからスタートするようにする。

・1回の上限は800μg

 

①痛むときアブストラル100μgを1錠を舌下投与。30分たっても十分な鎮痛が得られない場合はさらに1錠追加内服可。

②追加内服を行っても4時間以内に痛みがある場合は「以前に使用していたレスキュー」を使用する。

アブストラルは4時間あけて1日4回まで(追加内服を含めて1日8回まで)

 

吐き気と便秘の副作用が出やすいので、あらかじめ以下を処方する。

①ノバミン5mg 3T3×食後 ⇒ 数日で頓服に変更する(数日で耐性が生じる)

②マグミット330mg 3T3×(自己調節可)

プルゼニド12mg 2錠眠前(自己調節可)

 

モルヒネ

※腎機能障害(eGFR<30)は原則禁忌

ベース

・MSコンチン 10mg×2→20mg×2→30mg×2→・・・

 

レスキュー

オプソ5mg 1包 1時間空けて反復可。(回数制限なし)

 

オピオイドタイトレーション

✅NRS>3が続く場合や3回以上/日のレスキューがある場合は30%~50%のベースアップを行う。

レスキューの合計量 or 50%増量 いずれか少ない方を採用する(過量投与にならないように)

モルヒネ換算で120mg/日以上の場合や高齢者、全身状態不良の患者等の場合は30%の増量とする。

 

✅増量間隔は持続皮下注射(静注)では24時間毎、徐放製剤では48時間毎、フェンタニル貼付剤では72時間毎を原則とする。

 

オピオイドの点滴の使い方

基本組成

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点滴早見表

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モルヒネ点滴の指示テンプレ

モルヒネの組成:

■時間~mlより開始

■ベースアップ:意識清明・RR≧10回を確認して8時間毎に増量可(以下の順で増量)

①~ml/hr ⇒ ②~ml/hr ⇒ ③~ml/hr ・・・

■頓用:①呼吸苦の訴えがある場合、または②RR≧24回の場合に使用。

意識清明・RR≧10回を確認して、1時間早送り。30分あけて反復使用可。

 

オキファスト・フェンタニル点滴の指示テンプレ

■オキファスト・フェンタニルの組成:

■時間~mlより開始

■ベースアップ:意識清明・RR≧10回を確認して8時間毎に増量可(以下の順で増量)

①~ml/hr ⇒ ②~ml/hr ⇒ ③~ml/hr ・・・

■疼痛時頓用:意識清明・RR≧10回を確認して、1時間早送り。30分あけて反復使用可。

 

オピオイド換算表

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オピオイドスイッチングの適応

①副作用が強く、オピオイドの投与継続や増量が困難な場合

②鎮痛効果が不十分な場合

 

オピオイドスイッチングのやり方

12時間徐放性経口薬→貼付剤

 

12時間徐放性経口薬→注射薬

 

12時間徐放性経口薬→24時間徐放性経口薬

 

24時間徐放性経口薬→貼付剤

 

24時間徐放性経口薬→注射薬

 

貼付剤→注射薬

 

貼付剤→経口薬

 

注射薬→経口薬

 

注射薬→貼付剤

 

 

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