とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

呼吸器内科外来チェックリスト

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COPD

COPDの増悪がないか確認(痰量増加、呼吸苦増悪、喘鳴、CAT5点以上増悪

⇒ 増悪あれば採血・胸部X線写真、必要に応じて胸部CT

ABCアプローチ

✅1~3か月ごとにフォロー

✅3ヶ月~半年に1回胸部X線写真、1年に1回胸部CTによるスクリーニング。

✅半年~1年おき位に呼吸機能検査

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%、重症度Ⅲ度以上の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅吸入治療、痰切り、必要なら少量EM

✅重症度Ⅲ以上で心エコー、心電図

✅肺癌の発症リスクや急性増悪についての説明

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅禁煙指導

✅吸入指導⇒エアゾール、スペーサー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

✅栄養療法:エンシュア・リキッド®:250〜500 kcal/日

身体障害者の申請

 

気管支喘息

✅重症な場合やコントロール不良な場合は2次性の原因の評価

✅喘息発作がないか確認(息切れ、喘鳴)

⇒ 採血・胸部X線写真

ABCアプローチ

✅治療導入時は2~3週間後にフォロー

✅コントロール良好であれば2~3か月に1回のフォロー

✅3~6か月に1回の呼吸機能検査(ステップダウンは3か月ごと。β2はなしでOK)

✅レントゲンは半年~1年に1回

✅コントロール不良の場合は抗体製剤を検討

  • 好酸球副鼻腔炎があるか?⇒ あれば難病申請
  • 医療費について医事科に説明を依頼
  • 限度額適応認定証の申請

 

IPF

無治療の場合

✅1~3ヶ月毎にフォロー

✅血液検査(KL-6)を3か月~半年に1回(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真を2~3ヶ月に1回、胸部CTを半年~1年に1回(線維化の進行、悪性腫瘍の合併の有無)

✅呼吸機能(DLCOを含めて)を半年~1年に1回(PF-ILDの基準を満たすか?)、併せて6分間歩行もできれば評価を行う。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅心エコー・心電図を必ず評価

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

身体障害者の申請

✅Ⅲ・Ⅳ期になったら特定疾患の申請も検討

エビデンスはないが、息切れに気管支拡張薬吸入も検討

 

治療を導入する場合

✅Ⅰ、Ⅱ期の場合は3ヶ月間ニンテダニブを使用した後に特定疾患の申請(軽症特例)

  • 医療費について医事科に説明を依頼
  • 限度額適応認定証の申請

✅Ⅲ、Ⅳ期は特定疾患の申請が降りてからニンテダニブを開始

✅治療導入時は2週間毎にフォロー(+採血)

✅安定したら1~2ヶ月に1回フォローする。

ニンテダニブの副作用(下痢や嘔気などの消化器症状、肝機能障害)

ピルフェニドンの副作用(日光過敏症、肝障害)

✅血液検査(KL-6や肝腎機能障害の精査)を2か月に1回(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真を2~3ヶ月に1回、胸部CTを画像半年~1年に1回(線維化の進行、悪性腫瘍の合併の有無)

✅半年に1回くらい呼吸機能検査(DLCOを含めて)を行い、治療効果のモニタリング。併せて6分間歩行もできれば評価。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

身体障害者の申請

✅心エコー・心電図を必ず評価

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

エビデンスはないが、息切れに気管支拡張薬吸入も検討

 

間質性肺炎のフォロー(ステロイド導入中)

✅1ヶ月に1回のフォロー(ステロイドの減量が必要だから。)

✅毎月血液検査。KL-6やSP-Dは2~3か月ごとに1回程度で良い。(2次性の可能性がある場合は各種抗体検査も適宜再検する

✅胸部X線写真も月1回。

✅胸部CTを3ヶ月~半年に1回。

✅半年~年に1回くらいは呼吸機能検査(DLCO含めて)を行い、治療効果のモニタリング。併せて6分間歩行もできれば評価。血ガスを適宜施行。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅禁煙指導

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

肺癌

初診時評価、術前評価

以下をルーチンで評価する。

✅PSと年齢(85歳以上、PS3以上は化学療法は厳しい。TKIのみ)

⇒ケモができそうにない場合に根治治療の選択肢は?(オペ、放射線単独など。安易にBSCにしない!

✅認知機能は大丈夫か?(従命はとれるか?治療や検査の理解はできるか?)  

急変リスクの評価(急変時DNARの確認)

✅採血(腫瘍マーカー、凝固、感染症

✅胸部X線写真

✅全身造影CT(頭部~骨盤部まで)

  • 同意書取得
  • 術前なら血管の3D構築まで

✅心エコー、心電図

✅呼吸機能検査(術前でなければ不要)

喀痰細胞診

✅気管支鏡

  • 術前採血(血小板、凝固、感染症リスク)
  • 気管支鏡が施行できる呼吸状態か?
  • 熱はないか?血圧や脈拍は問題ないか?
  • 従命はとれるか?
  • 心電図
  • 心エコー(必要なら)
  • 心血管系のリスク評価(心不全脳出血動脈瘤SVCなど)
  • その他の気管支鏡の禁忌は?(頸椎不安定など)
  • 同意書取得
  • 血栓薬の休薬、ヘパリンブリッジ(止めて良いか主科に確認)
  • 食止め
  • 血糖降下薬休薬、インスリンの休薬
  • 検査オーダー(気管支鏡オーダー、組織、細胞診、培養、BAL分画など)
  • 点滴、鎮静薬、鎮痛薬オーダー(ミダゾラムペチジンが使えない疾患の有無)
  • 指示
  • 検査後オーダー(胸部X線、予防的抗菌薬)

✅頭部造影MRI(脳転移の評価)

  • 同意書取得
  • 術前は必須ではない(Operableな初期のLKなら撮らないことも)

✅PET-CT(外来で撮像)⬅必須!(術前にも必要)

  • 同意書取得

胸膜播種・胸水の確認(胸水穿刺、診査胸腔鏡)

リンパ節など、ステージングに影響を及ぼす部位の生検・検査

 

化学療法前

こちら を参照

 

BSCの場合

緩和ケア外来や近医の呼吸器外来に紹介を検討
(いざというときに入院できるように!麻薬の管理もお願いする!)

✅2週間~1ヶ月毎にフォロー

✅採血・腫瘍マーカーを1~2ヶ月に1回

✅胸部X線写真を1ヶ月に1回

✅全身造影CT(頭~骨盤)を4ヶ月~半年に1回(特に脳転移の出現に注意しながら経過を見る

✅可能なら頭部造影MRI

脳転移がある・治療中の人は3ヶ月毎にフォロー

脳転移がない・安定している人は半年毎にフォロー。

 

術後フォロー

✅術後4年間は経過観察が望ましい。

✅最初の半年くらいは3か月ごとに血液検査(腫瘍マーカー測定)、胸部X線、全身造影CT ⇒ 以後は半年毎にフォローアップ

✅再発が疑われた場合は全身造影CTPET-CTを施行 再発確認のために生検(遺伝子変異の再確認も必要)を行う!

局所再発であればサルベージを考慮する。

 

HOTの患者

✅月1回フォロー(在宅酸素の加算)

✅半年に1回、呼吸機能・6分間歩行。半年~1年に1回は血ガス ⇒ HOTの流量調節

✅SPO2モニター購入(酸素会社からレンタルできる場合もある)

身体障害者の申請

 

肺非結核性抗酸菌症

治療する場合

✅治療導入時は2週間毎にフォロー(+採血)

✅安定したら2か月毎にフォローアップ

✅2ヶ月に1回採血

✅2か月に1回胸部X線写真

✅半年に1回胸部CT

✅治療期間は喀痰陰性化から1年~2年なのでこまめに喀痰培養提出を。

✅陰影増悪時:本当にNTMの増悪?、まずは抗菌薬投与、薬剤感受性の再確認や真菌などの混合感染の評価(気管支鏡を検討する

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺病変が重症な場合は心電図・心エコー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

治療しない場合

✅2~3ヶ月毎にフォロー。軽いなら半年~年に1回程度のフォロー。

✅2~3ヶ月に1回程度の胸部X線写真と半年~年に1回の胸部CT。

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺病変が重症な場合は心電図・心エコー

✅呼吸リハ(肺高血圧がひどくなければ)

 

サルコイドーシス

無治療の場合

✅半年毎のフォロー

✅半年毎の胸写

✅半年毎の心電図

✅循環器内科コンサルトし、ホルター心電図施行

✅1年に1回の採血、尿検査、胸部CT、心エコー、呼吸機能検査

✅肺以外の症状(皮膚や骨、眼、心臓、神経、筋)にも注意。

  • 眼は眼科診察(眼科診察は必須)
  • 皮膚は皮膚生検
  • 神経は神経伝導速度検査や神経生検
  • 筋肉・骨はCTや造影MRI
  • その他、異常がある部位の生検(腎生検、肝生検など)

特定疾患の申請(Ⅲ期とⅣ期)

 

治療中の場合

✅1ヶ月に1回のフォロー(ステロイドの減量が必要だから。)

✅毎月血液検査(Ca)。KL-6やSP-D、ACE、尿検査は2~3か月ごとに1回程度で良い。

✅胸部X線写真も月1回。

✅胸部CTを半年に1回。

✅年に1回呼吸機能検査(DLCO含めて)、心エコー

✅半年毎の心電図

不整脈がある場合はホルター心電図

✅息切れ増悪(mMRC grade2以上)、安静時SPO₂≦94%の場合

⇒ 半年毎に6分間歩行・呼吸機能検査。血ガスを適宜施行。必要なら肺高血圧の評価。

⇒ 在宅酸素、SPO2モニター購入、呼吸リハ、身体障害者の申請。在宅酸素導入後は1ヶ月毎にフォロー。

※HOTを導入を希望しない場合には突然死のリスクについて十分説明しておく。

✅肺以外の症状(皮膚や骨、眼、心臓、神経、筋)にも注意。

・眼は眼科診察

・皮膚は皮膚生検

・神経は神経伝導速度検査や神経生検

・筋肉・骨はCTや造影MRI

✅肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン

 

ステロイドユーザーのフォローアップ

ステロイド5点セット

PPI、②ST合剤(毎日 or 隔日投与)、③血糖測定(HbA1c)、④ビスホスホネート製剤の投与前に歯科受診、⑤ビスホスホネート製剤

✅QFT陽性 ⇒ INH予防投薬

HBc抗体陽性 ⇒ HBV-DNAを2ヶ月毎にフォロー ⇒ 1.3log以上で消化器内科紹介

✅2~3か月に1回、HbA1c、IgG、TG、T-chol、LDL-C、HDL-C測定。

✅β-DグルカンとC7HRPは最初は1~2週間毎くらいにフォロー。

⇒ その後は3~6か月に1回フォロー。肺に影が出た時、炎症高値、異型リンパ球の上昇、肝機能障害、血小板低下が見られた時などは再検が必要。

 

心エコー・心電図

下記の場合は評価を行う

✅重症度Ⅲ期以上のCOPD

✅mMRC2以上のIP

膠原病

✅心雑音・浮腫、心拡大あり、心電図変化あり

✅肺病変の割に呼吸苦が強い人

✅その他の重症な肺疾患(肺性心の除外)

 

各種申請の際の必要な検査・準備

IPFの特定疾患

✅呼吸機能、KL-6、SP-D、SP-A、血ガス、6分間歩行試験、胸部X線写真、胸部CT

✅役所から申請書を取ってきてもらう

 

身障者の申請

✅血ガス、呼吸機能検査、mMRC、胸部X線写真

✅役所から申請書を取ってきてもらう

 

HOTの申請

禁煙(火気厳禁)

✅血ガス、肺機能、6分間歩行試験

⇒酸素屋に連絡、指導用DVD視聴、HOT指示書作成。

✅入院中の患者であれば入浴時や排泄時の酸素化もモニタリングしておく。

✅6分間歩行試験で酸素化が下がらない人は「入浴時、排泄時の酸素化」、「階段昇降時の酸素化」をモニタリングしてみる。

 

外来管理が難しくなったら

介護保険の申請、介護保険の区分変更、介護サービスの導入

往診医もしくは施設嘱託医にフォローを依頼し、通院間隔を延ばす

✅その他の介護サービス(訪問看護や訪問リハ等)の導入も勧める

✅通院が全くできない場合は「在宅医療」±「何かあったときのみ自宅近くの病院に入院(バックベッド)」の形にしておく

療養型病院での療養も検討事項

 

 

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