とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

心電図の読み方(虚血編)

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心電図の基本波形

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基線の引き方

■ST上昇の場合

①T波終末とP波の始点を結んだライン(TPライン)

②P波の始点とP波の始点を結んだライン(PPライン)

■ST低下の場合

P波の始点とQを結んだライン(PQ junction)

※Ta波の存在により基線が下がるため

 

異常Q波の定義

幅1mm以上(0.04秒以上)、深さがR波の1/4以上のQ波

 

異常Q波の鑑別

鑑別疾患

病的意義のない異常Q波、亜急性期の心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞、左脚ブロック、急性肺性心(肺塞栓)、肥大型心筋症、拡張型心筋症、2次性心筋症、WPW症候群肺気腫(滴状心)など

 

病的意義のない異常Q波

V1誘導単独、Ⅲ誘導単独、aVL誘導単独、aVR誘導単独の異常Q波は病的意義がない可能性が高い。

 

亜急性/陳旧性心筋梗塞

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左脚ブロック

✅V5,6誘導でRR'型もしくは大きなR波±Ⅰ,V5,V6誘導でST低下・陰性T波。

✅V1誘導で深いS波(QSパターンもしくはrS型)±V1~V4誘導でST上昇

 

参考画像:症例30 胸痛発作後に完全左脚ブロックを呈した高齢女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

急性肺血栓塞栓症

✅SⅠQⅢTⅢが有名(すべて揃うことはまれ)

✅右軸偏位、V1でR/S>1、V5,6のS波が深い、V1~V3で陰性T波、右脚ブロック(右心負荷所見)

✅肺性P波(P波が2.5mm以上。主にⅡ誘導)

 

参考画像:肺梗塞 | ECG-Cafe

 

肥大型心筋症(特に非対称性中隔肥大:ASH)



参考画像:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/28/3/28_234/_pdf/-char/ja

 

ST上昇・低下の定義

基線からJ点までの垂直距離を測定

①ST上昇:連続する2つ以上の誘導で新規のJ点の上昇

 V2,V3以外:1㎜以上の上昇

 V2,V3:男性で40歳以上は2.0㎜、40歳未満は2.5㎜、女性は1.5㎜以上

②ST低下:「V1~V4で連続する2つ以上の誘導で0.5㎜以上(V2,3は1mm以上)のST低下(horizontal/downsloping)」または「連続する2つ以上の誘導で1㎜以上のT波の陰転化(動的Tの陰転化)やR波増高(R/S ratio>1)」

③aVRでST上昇+広範囲ST低下

④日本のガイドラインでは症状あり+新規LBBBはACSを疑う

⑤hyper acute T wave

 

ミラーイメージ

★ST変化がある場合は必ずミラーイメージを確認する!

SITE FACING RECIPROCAL
SEPTAL V1,V2 NONE
ANTERIOR V3,V4 NONE
ANTEROSEPTAL V1,V2,V3,V4 NONE
LATERAL Ⅰ,aVL,V5,V6 Ⅱ,Ⅲ,aVF
ANTEROLATERAL Ⅰ,aVL,V3,V4,V5,V6 Ⅱ,Ⅲ,aVF
INFERIOR Ⅱ,Ⅲ,aVF Ⅰ,aVL
POSTERIOR NONE V1,V2のR波増高、V1,V2,V3,V4でST低下
右室梗塞 V1,V3R,V4R NONE
LMT aVR,aVL V4,V5,V6

✅Ⅱ,Ⅲ,aVFでST上昇がある場合は右室梗塞を確認する(房室ブロックが起きやすい)

⇒右側誘導(V3~V6を右側に貼れば良い)

✅V1,V2のR波増高(R>S)、V1~V4のST低下がある場合は後壁梗塞を確認する

⇒背側誘導(V2を肩甲骨下端へ(V8)、V1をV6とV8の間へ(V7)、V3を脊柱とV8の間へ(V9))

 

ST上昇の鑑別

鑑別疾患

AMI、冠攣縮性狭心症(異型狭心症)、早期再分極、左脚ブロック、たこつぼ心筋症、急性心膜炎、急性心筋炎、心室瘤、Brugada症候群、高カリウム血症、急性脳血管障害(くも膜下出血)など

 

AMI

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早期再分極

✅V1~V3±ⅡⅢaVFで下に凸のST上昇(四肢誘導単独のST上昇の場合は否定的)

✅ミラーイメージなし。

✅aVRでST低下。

✅V4付近で「ノッチ」や「スラー」が見られやすい。

✅ST segment/T wave ratio<0.25

参考画像:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/201405.html

参考画像:https://litfl.com/pericarditis-ecg-library/

 

左脚ブロック

✅V5,6誘導でRR'型もしくは大きなR波±Ⅰ,V5,V6誘導でST低下・陰性T波。

✅V1誘導で深いS波(QSパターンもしくはrS型)±V1~V4誘導でST上昇

✅Sgarbossa's Criteriaで2点以下

✅Smith's Criteriaで虚血が否定的

 

参考画像:症例30 胸痛発作後に完全左脚ブロックを呈した高齢女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

■Sgarbossa's Criteria

★3点以上で虚血あり

✅QRSが上向きの誘導でST上昇が1mm以上:5点

✅V1~V3のQRSが下向きでST低下が1mm以上:3点

✅QRSが下向きの誘導でST上昇が5mm以上:2点

 

参考画像:http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/181013-100000.php

 

■Smith's Criteria

参考画像:http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/181013-100000.php

 

たこつぼ心筋症

✅発症時は広範な誘導でST上昇

✅経時的にT波の陰転化する。(巨大陰性T波になることもある)

心内膜下梗塞異型狭心症と類似の波形をとる。

 

参考画像:症例110 3年前に「タコツボ心筋症」に罹患。左室肥大は見られるか? 67歳女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

心膜炎・心筋炎

✅広範な誘導でST上昇、PR部分の低下。

✅ミラーイメージなし。

✅aVRでPR上昇。

✅心嚢液貯留では低電位。

✅ST segment/T wave ratio≧0.25(早期再分極との鑑別)

 

参考画像:[解説] 心電図26:6月心電図 17歳男性 - 胸痛?ははーん、あれかな? | EM Alliance

 

Brugada症候群

✅右脚ブロック波形+V1,2でST上昇

✅V1,2でCoved型もしくはSaddle back型のST上昇

✅V5でQRSの直後にr’波を認める

✅Brugada型心電図が疑われる場合は高位肋間心電図をとる。(V1~V3を1~2肋間上にする)

 

参考画像:ブルガダ症候群[私の治療]|Web医事新報|日本医事新報社

 

ST低下の鑑別

鑑別疾患

虚血性心疾患(狭心症、心内膜下虚血、後壁梗塞)、たこつぼ心筋症、肥大型心筋症(ストレインパターン)、正常範囲のST-T変化、非特異的ST-T変化、脚ブロック、右室肥大、WPW症候群ジギタリス中毒

 

心内膜下梗塞・虚血(非Q波心筋梗塞

✅horizontal typeもしくはdownsloping typeのST低下

✅陰性T波が出現する

✅異常Q波は出現しない

たこつぼ心筋症異型狭心症と類似の波形をとる。

 

肥大型心筋症(ストレインパターン)

✅左室高電位

✅Ⅰ, aVL, V5, V6でストレイン型のST低下・陰性T波

 

参考画像:

https://www.asakura.co.jp/lp/naikagaku12ed/digitalappendix/src/%E2%93%94%E5%9B%B39-2-8.html

 

正常範囲のST-T変化

✅aVRとV1の陰性T波は正常範囲

 

非特異的ST-T変化

✅V2やV3の陰性T波

✅Ⅲ誘導の陰性T波

✅2相性T波

✅T波の減高

 

右脚ブロック

✅V1~V3でrSR'型+ST低下・T波の陰転化

✅Ⅰ, aVL, V5, V6で幅広いS波(スラー)

 

参考画像:https://ebpiem.com/2021/02/05/rbbb/#toc9

 

左脚ブロック

こちら を参照

 

右室肥大

追記します

 

WPW症候群

追記します

 

陰性T波の鑑別

鑑別疾患

追記します

 

 

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