とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

心電図の読み方(虚血編)

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心電図の基本波形

  • P波:0.12秒未満(3mm未満)、高さ2.5mm未満
  • PQ間隔:0.12~0.20秒(3mm以上、5mm未満)
  • QRS波:0.10秒未満(2.5mm未満)
  • QT時間(QTc):0.35~0.44秒、T波の終点がRR間隔の1/2以下

 

基線の引き方

■ST上昇の場合

①T波終末とP波の始点を結んだライン(TPライン)

②P波の始点とP波の始点を結んだライン(PPライン)

■ST低下の場合

P波の始点とQを結んだライン(PQ junction)

※Ta波の存在により基線が下がるため

 

解剖学的に隣り合う誘導

以下のグループを意識して判読を行う。

  • 下壁誘導:Ⅱ、Ⅲ、aVF
  • 前壁誘導:V1~V4
  • 側壁誘導:Ⅰ、aVL、V5、V6

 

異常Q波の定義/評価(QSパターン)

定義

下記の2つを両方満たすもの(①の方が重要)

① 幅1mm以上(0.04秒以上)

② 深さがR波の1/4以上のQ波(深さが1mm以上)

この2つの定義を満たさない小さなq波を「中隔性q波」と呼ぶ。

 

評価

① Q波の場所が解剖学的に一致しているかを考える(解剖学的に隣り合う誘導を参照)

② aVR誘導の異常Q波は問題なし

③ Ⅲ誘導単独、aVL誘導単独の異常Q波は病的意義は乏しい

④ V1~V3誘導のQ波は1mm以下であっても異常

⑤ Ⅰ、Ⅱ、aVF、V4~V6誘導については幅1mm以上であれば異常

⑥ QSパターンは異常Q波と同義

 

異常Q波の鑑別

鑑別疾患

 

亜急性/陳旧性心筋梗塞

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左脚ブロック

✅V5, 6誘導でRR'型もしくは大きなR波±Ⅰ,V5,V6誘導でST低下・陰性T波。

✅V1誘導で深いS波(QSパターンもしくはrS型)±V1~V4誘導でST上昇

 

参考画像:症例30 胸痛発作後に完全左脚ブロックを呈した高齢女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

急性肺血栓塞栓症

✅SⅠQⅢTⅢが有名(すべて揃うことはまれ)

✅V1~V4でR波減高、V1~V3で陰性T波、右脚ブロック、右軸偏位(右心負荷所見)

✅肺性P波(P波が2.5mm以上。主にⅡ誘導)

 

参考画像:肺梗塞 | ECG-Cafe

 

肥大型心筋症(特に非対称性中隔肥大:ASH)



参考画像:https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/28/3/28_234/_pdf/-char/ja

 

QRS波の異常

poor R progression、reversed R progression

① V3のR波が3mm以下の場合はpoor R progression

② R波が逆に減高する部分がある場合はreversed R progression

 

高電位差(左室肥大)

① RV5またはRV6>25mm

② RⅠまたはRaVL>12mm

③ SV1+RV5>35mm

 

ST上昇・低下の定義

定義

基線からJ点までの距離を測定し上昇・低下を判断する。

 

評価

① ST上昇:解剖学的に隣り合う2つ以上の誘導で新規のJ点の上昇

 V2, V3以外:1㎜以上の上昇

 V2, V3:男性で40歳以上は2.0㎜、40歳未満は2.5㎜、女性は1.5㎜以上

② 虚血を疑うST低下:「解剖学的に隣り合う2つ以上の誘導で0.5㎜以上(V2, V3は1mm以上)のST低下(horizontal/downsloping)」または「解剖学的に隣り合う2つ以上の誘導で1㎜以上のT波の陰転化(動的Tの陰転化)やR波増高(R/S ratio>1)」

※無症状かつ安静時のST低下は虚血の可能性は低い!
※demand ischemiaの場合はV5,V6やⅡ,Ⅲ,aVFでST低下が見られる(逆に言うと前壁誘導のST低下はおかしい)
※ST低下のパターンの判定はJ点から2目盛り(0.08秒)までで評価を行う。

③ aVRでST上昇+広範囲ST低下:左主冠部や多枝病変を疑う

ミラーイメージのあるST上昇はACSの可能性が高い

⑤ 日本のガイドラインでは症状あり+新規LBBBは虚血性心疾患を疑う

⑥ hyper acute T waveは虚血性心疾患を疑う

⑦ 左脚ブロックがある心電図のST変化については、「Sgarbossa's Criteria」「Smith's Criteria」を用いて評価を行う。

(Criteriaについてはこちら👉http://www.hhk.jp/gakujyutsu-kenkyu/ika/181013-100000.php

 

ミラーイメージ

★ST変化がある場合は必ずミラーイメージを確認する!

SITE FACING RECIPROCAL
SEPTAL V1, V2 NONE
ANTERIOR V3, V4 NONE
ANTEROSEPTAL V1, V2, V3, V4 NONE
LATERAL Ⅰ, aVL, V5, V6 Ⅱ, Ⅲ, aVF
ANTEROLATERAL Ⅰ, aVL, V3, V4, V5, V6 Ⅱ, Ⅲ, aVF
INFERIOR Ⅱ, Ⅲ, aVF Ⅰ, aVL
POSTERIOR NONE V1, V2のR波増高、V1, V2, V3, V4でST低下
右室梗塞 V1, V3R, V4R NONE
LMT aVR, aVL V4, V5, V6

✅Ⅱ,Ⅲ,aVFに加えてV1誘導でST上昇がある場合は右室梗塞を確認する(房室ブロックが起きやすい)

⇒右側誘導(V3~V6を右側に貼れば良い)

✅V1,V2のR波増高(R>S)、V1~V4のST低下がある場合は後壁梗塞を確認する

⇒背側誘導(V2を肩甲骨下端へ(V8)、V1をV6とV8の間へ(V7)、V3を脊柱とV8の間へ(V9))

 

ST上昇の鑑別

鑑別疾患

 

AMI

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早期再分極

✅V1~V3±ⅡⅢaVFで下に凸のST上昇(四肢誘導単独のST上昇の場合は否定的)

✅ミラーイメージなし。

✅aVRでST低下。

✅「J点のノッチ」や「スラー」が見られやすい。

✅ST segment/T wave ratio<0.25

✅若年者、徐脈の心電図に見られやすい

✅基本的には経過観察で良いが、失神の患者については精査が必要!

 

参考画像:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/201405.html

参考画像:https://litfl.com/pericarditis-ecg-library/

 

左脚ブロック

✅V5,6誘導でRR'型もしくは大きなR波±Ⅰ,V5,V6誘導でST低下・陰性T波。

✅V1誘導で深いS波(QSパターンもしくはrS型)±V1~V4誘導でST上昇

 

参考画像:症例30 胸痛発作後に完全左脚ブロックを呈した高齢女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

たこつぼ心筋症

✅発症時は広範な誘導でST上昇

✅経時的にT波の陰転化する。(巨大陰性T波になることもある)

心内膜下梗塞異型狭心症と類似の波形をとる。

 

参考画像:症例110 3年前に「タコツボ心筋症」に罹患。左室肥大は見られるか? 67歳女性 | 公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会(ジェックス)

 

心膜炎・心筋炎

✅広範な誘導でST上昇、PR部分の低下。

✅ミラーイメージなし。

✅aVRでPR上昇。

✅心嚢液貯留では低電位。

✅ST segment/T wave ratio≧0.25(早期再分極との鑑別)

 

参考画像:[解説] 心電図26:6月心電図 17歳男性 - 胸痛?ははーん、あれかな? | EM Alliance

 

Brugada症候群

✅右脚ブロック波形+V1,2でST上昇

✅V1,2でCoved型もしくはSaddle back型のST上昇

✅V5でQRSの直後にr’波を認める

✅Brugada型心電図が疑われる場合は高位肋間心電図をとる。(V1~V3を1~2肋間上にする)

 

参考画像:ブルガダ症候群[私の治療]|Web医事新報|日本医事新報社

 

ST低下の鑑別

鑑別疾患

 

心内膜下梗塞・虚血(非Q波心筋梗塞

✅horizontal typeもしくはdownsloping typeのST低下

✅QT延長を伴う陰性T波が出現する

✅異常Q波は出現しない

たこつぼ心筋症異型狭心症と類似の波形をとる。

 

肥大型心筋症(ストレインパターン)

✅左室高電位(downsloping typeのST低下との鑑別点

✅Ⅰ, aVL, V5, V6でストレイン型のST低下・陰性T波

✅厳密には虚血との鑑別はつかないため、必ず時間をおいて心電図のフォローを行う。

 

参考画像:

https://www.asakura.co.jp/lp/naikagaku12ed/digitalappendix/src/%E2%93%94%E5%9B%B39-2-8.html

 

正常範囲のST-T変化

✅aVRとV1の陰性T波は正常範囲

 

非特異的ST-T変化

✅V2やV3の陰性T波

✅Ⅲ誘導の陰性T波

✅2相性T波

✅T波の減高

✅冠疾患リスクのない患者は経過観察で良いが、冠疾患リスクのある患者では精査が必要。

 

右脚ブロック

✅V1~V3でrSR'型+ST低下・T波の陰転化

✅Ⅰ, aVL, V5, V6で幅広いS波(スラー)

 

参考画像:https://ebpiem.com/2021/02/05/rbbb/#toc9

 

左脚ブロック

こちら を参照

 

右室肥大

追記します

 

WPW症候群

追記します

 

陰性T波の評価

① 陰性T波の場所が解剖学的に一致しているかを考える(解剖学的に隣り合う誘導を参照)⇒ 単独の陰性T波は病的意義は少ない

② aVRは陰性が正常。それ以外の誘導の陰性T波は異常

③ Q波の有無を確認する(貫壁性心筋梗塞の可能性が高い)

③ 冠性T波:左右対称性の陰性T波、QT時間延長 

④ 巨大陰性T波:10~15mm程度の深い冠性T波

 

陰性T波の鑑別

鑑別疾患

追記します

 

健康診断での心電図異常の対応

追記します

 

 

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