とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

発熱性好中球減少症

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フローチャート

初期対応

発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドラインより改変

 

治療開始後3~4日後の評価

発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドラインより改変

 

初期検査・処置

実臨床では入院下で治療することがほとんど!

Fever workupこちらを参照)

✅抗緑膿菌活性をもつ広域抗菌薬を投与(CFPM、MEPM、TAZ/PIPCなど)

G-CSF投与開始(使用方法はこちらを参照)

※ルーチンの投与は推奨されていないが、実臨床では使用することが多い
※ケモによる好中球減少以外で使用する場合は、G-CSFの適応について必ず血液内科コンサルト

✅クリーンベッド(難しければ個室対応)

✅リハビリ中止

好中球減少が遷延する場合真菌感染症の評価(カンジダ・アスペルギルス)を行う 

感染症の治療必要に応じて予防投薬を行う。(予防投与についてはこちらを参照)

 

無熱性好中球減少症の対応

発熱はないが、好中球<500/μLもしくは<1000/μLで48時間以内に<500/μLになると予測される状況

G-CSF投与開始(使用方法はこちらを参照)

※ルーチンの投与は推奨されていないが、実臨床では使用することが多い
※ケモによる好中球減少以外で使用する場合は、G-CSFの適応について必ず血液内科コンサルト

✅クリーンベッド(難しければ個室対応)

✅リハビリ中止

好中球減少が遷延する場合予防的抗菌薬・抗真菌薬投与を行う。(予防投与についてはこちらを参照)

 

MASCCスコア

 

抗菌薬・抗真菌薬の予防投薬

✅予め好中球減少の遷延が予測される場合は感染症に対する予防投薬を検討

✅可能なら化学療法開始時からの投与が望ましい

 

好中球数<100~1000/μLが1週間以上続くことが予想される場合

以下のいずれかの抗菌薬を予防投与する

  • レボフロキサシン 500mg/日
  • シプロフロキサシン 500mgを1日2回

化学療法開始時より投与開始が望ましい。

好中球が回復もしくはFN発症時に投与終了。

⇒ 発熱時・感染成立時には予防から治療量に変更を考慮する!

 

好中球減少が遷延する同種造血幹細胞移植もしくは急性白血病の化学療法を受ける場合

以下のいずれかの抗真菌薬を予防投与する

  • フルコナゾール 400mg/日
  • アスペルギルスの既往がある場合は、ボリコナゾール 200mg 1日2回

化学療法開始時より投与開始が望ましい。

好中球が回復もしくはFN発症時に投与終了。

⇒ 発熱時・感染成立時には予防から治療量に変更を考慮する!

 

急性リンパ性白血病、成人T細胞性白血病、リツキシマブ併用療法、プリン体アナログ、ステロイドプレドニン換算20mg以上)を4週間以上投与、放射線+テモゾロミド療法、自家移植などを行っている場合

以下を予防投与する

  • バクタを1回1錠 1日1回内服(毎日もしくは週3回)

化学療法開始時より投与開始が望ましい。

好中球が回復もしくはFN発症時に投与終了。

⇒ 発熱時・感染成立時には予防から治療量に変更を考慮する!

 

急性白血病寛解導入療法、同種・自家造血幹細胞移植を行う場合

以下を予防投与する

  • バラシクロビル 500mg 1日2回

移植7日前から移植後35日後まで投与を行う

 

好中球減少による注意すべき合併症

好中球減少性腸炎

✅発熱、右下腹部痛、下痢・血便、CTで回盲部の腸管浮腫、致死率50%

✅疑った場合は、腹部CT、血液培養、便培養、CDトキシン、C7-HRP・CMV-IgM・CMV-IgGを提出する。

✅G-CSF投与

✅嫌気性菌カバーの抗菌薬を併用する(メトロニダゾールなど)

重篤なら腸球菌カバーでVCM。真菌カバーでMCFGを併用する。

 

 

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