とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

ステロイド使用時チェックリスト

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ステロイド投与時チェックリスト

ステロイド投与前検査

✅TG、T-Chol、LDL-C、HDL-C、HbA1c、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、QFT

  • HBs抗原陽性の場合はHBe抗原、HBe抗体、HBV-DNAを測定し消化器内科コンサルト。
  • HBs抗体、HBc抗体陽性の場合はHBV-DNAを測定。1.3logIU/ml以上の場合は消化器内科コンサルト(B型肝炎治療ガイドラインを参照)
  • HCV抗体陽性の場合はHCV-RNAを提出して消化器内科コンサルト
  • LTBIの基準を満たす場合はINH予防内服(INH 1回300㎎を1日1回 6か月間の連日投与。ピドキサール30mg/日も併用。保健所に結核発生届必要。)

✅血液培養

✅胸部X線写真。

✅大腿骨頸部・腰椎の骨密度評価。

緑内障・糖尿病患者の場合は眼科診察。

心不全の除外(心負荷になるので、投与前に体液コントロールを!)

 

PPI

ステロイド開始と同時に導入する。

 

③血糖測定

ステロイド開始時より血糖測定を1日4検行う。

⇒ スライディングスケール併用

ステロイドを漸減しても高値が持続する場合は治療介入(ステロイド糖尿病の治療はこちら

 

④ST合剤

✅PSL 20mg/日を4週以上投与する場合に予防投与を行う。

ステロイド開始1~2週後に導入する場合が多い。

✅PSL 10mg/日以下の場合はST合剤中止も可能とされている(10mg以下なら易感染性は起こりにくい)

  • バクタ/ダイフェンを1回1錠(毎日もしくは週3回内服)。
  • バクタが難しければペンタミジン(ベナンバックス)吸入を月に1回、もしくはアトバコン1500㎎を1日1回 内服。

 

⑤BP製剤

ステロイド骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版より引用

✅上記を評価の上で、以下の処方を開始する(ステロイド開始後4週以内に導入する)

✅BP製剤導入の前に歯科受診(顎骨壊死のリスク評価)

  • ボナロン/フォサマック 35mg 1錠 週1回
    内服後30分は横にならず、水以外の飲食・内服は行わない。
  • BP製剤が導入できない患者はアルファカルシドール 0.5~1.0μg 分1処方

 

ステロイドユーザーのフォローアップ

✅月1回、採血・胸部単純X線写真

✅2~3か月に1回、HbA1c、IgG、TG、T-chol、LDL-C、HDL-C測定。

HBc抗体陽性 ⇒ HBV-DNAを2ヶ月毎にフォロー ⇒ 1.3log以上で消化器内科紹介

✅β-DグルカンとC7HRPは最初は1~2週間毎くらいにフォロー。

⇒ その後は3~6か月に1回フォロー。肺に影が出た時、炎症高値、異型リンパ球の上昇、肝機能障害、血小板低下が見られた時などは再検が必要。

✅骨密度評価、眼科診察を年に1回(適宜)評価。

 

ステロイドの減量方法

ステロイドの減量方法は原疾患により異なるため、成書を参照する。

✅PSL 5mg以下に減量する場合

  • 3~6ヶ月毎に0.5~1.0mgずつ減量する。
  • 減量する前にACTHとコルチゾールを評価(早朝の内服前に採血)し、血中コルチゾールが10μg/dl以上であれば、減量可能と判断する。
  • コルチゾールの分泌が元に戻らない場合は、Rapid ACTH試験を施行し副腎皮質機能の予備能を評価する。(内分泌内科にも相談する)

 

ステロイド力価


※点滴では経口量の10%程度増量したほうが良いと言われている

 

 

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