とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

心電図の読み方①(基本の読み方) #心電図検定対策

スポンサーリンク

 

 

波形の名称と正常値

  • PR間隔(PQ間隔):0.20秒未満(0.12秒~0.20秒:3mm~5mm)
  • QRS間隔:0.10秒未満(1.5mm~2.5mm)
  • QT延長:RRの真ん中を超えると延長と考える(もしくは自動解析を参考にする)
  • QT短縮:8mm以下で短縮

 

心拍数

正常値:60~100回/分

 

心拍数の計算方法
  • 300÷RR間のマス目の数
  • 1500÷RR間の目盛りの数
  • リズムストリップのR波の数×6

 

脱分極と再分極

  • QRS-T波形は心内膜と心外膜の活動電位の差で生まれる。
  • 心内膜側は電極に向かってくるので陽性成分、心外膜側は離れていくので陰性成分として記録される。
  • 心内膜側のほうが心外膜側よりも活動電位の持続時間が長い(理由はよく分かっていない)

✅上記の理由により、QRS波とT波の方向は原則同じ向きになる。

 

肢誘導と胸部誘導のベクトルの考え方

長軸方向

✅心臓の左側から見ている誘導:aVL、Ⅰ、V5、V6

  • Ⅰ、V5、V6はそれぞれ似たような波形になり、QRSの陽性成分が大きい。
  • aVL誘導は電気軸と垂直に近いため、QRS波は陽性にも陰性にも振れる可能性がある(個人差あり)。

✅心臓の右側から見ている誘導:aVR、V1、Ⅲ

  • aVR、V1はそれぞれ似たような波形になり、QRSの陰性成分が大きい。
  • Ⅲ誘導は電気軸と垂直に近いため、QRS波は陽性にも陰性にも振れる可能性がある(個人差あり)。

 

上記の話をまとめると・・・

QRSとTの向きは原則同じ向きなので以下のことが言える

✅aVR、V1はQRSの陰性成分が大きい

⇒ 大きなQ波(異常Q波)があるのは正常 、陰性T波も正常。

✅Ⅲ、aVLはQRSの陰性成分が大きくなることがある
⇒ 単独なら異常Q波があっても問題はない 、陰性T波も単独なら問題ない。

✅aVR、V1、Ⅲ、aVL以外は陽性成分が大きくないとダメ
⇒ 異常Q波があるのはおかしい! 陰性T波があるのもおかしい!

 

短軸方向

 

誘導と対応する部位
  • 前壁中隔:V1~V4
  • 下壁:Ⅱ、Ⅲ、aVF
  • 高位側壁:Ⅰ、aVL
  • 低位側壁:V5、V6
  • 左室心基部:aVR(特にLMTの部位)

 

電気軸の評価

✅Ⅰ、Ⅱ誘導で陽性:正常軸(-30度~90度)

✅Ⅰ誘導で陰性:右軸偏位

✅Ⅱ誘導で陰性:左軸偏位

*Ⅱ誘導の判定が難しい場合⇒Ⅲ誘導の陰性成分>Ⅰ誘導の陽性成分の場合は左軸偏位

 

移行帯

  • 胸部誘導でR波とS波の高さが等しくなる場所のこと。

  • V3~V4の間に来るのが正常。

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング