とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

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ブログ開設日:2021年7月10日

 

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低血糖

 

 

フローチャート

※薬剤性の原因:血糖降下薬、インスリン免疫チェックポイント阻害薬(irAE)
、ペンタミジン、β2作動薬、ジソピラミド、アルコールなど

 

検査

低血糖の補正(下記参照)、低血糖時指示入力

食事摂取量の確認

インスリンや血糖降下薬の中止

✅その他の低血糖を起こす薬剤の中止・変更(Ⅰa群抗不整脈薬、ACE、ARB、β-blocker、フルオロキノロン系、ST合剤、ペンタミジンなど)

✅以下の採血を行う(低血糖時の採血で評価する

採血:炎症反応(感染症の評価)、プロカルシトニン(敗血症の有無)、好酸球電解質(副腎不全)、肝腎機能(インスリン代謝低下)、HbA1c(現在の血糖管理が適切かどうか)、ACTH、コルチゾール、FT4、TSH、血清CPR、血中インスリン値。必要なら抗インスリン抗体や抗インスリン受容体抗体。

✅副腎不全が疑わしい場合はRapid ACTH試験1日蓄尿コルチゾールの評価

✅鑑別が分からない場合、負荷試験のやり方が分からない場合 ⇒ 糖尿病内科、内分泌内科コンサルト

✅全身CT、血液培養、その他の各種培養(熱源の評価)

✅インスリノーマやIGF-Ⅱ産生腫瘍等の評価:腹部エコー、造影CT

✅相対的インスリン過剰がないか?(胃切除後のダンピング症候群、大量飲酒、運動後など)

irAE下垂体前葉機能低下症が疑われる場合 ⇒ 内分泌内科コンサルト頭部造影MRI、その他のホルモン(ソマトメジンC、LH、FSH、プロラクチン、テストステロン)、各種負荷試験

 

治療

🚩無症状であっても血糖値70mg/dl以下は治療対象とする。

🚩基本的には院内の低血糖マニュアルに従う

経口摂取可能な場合

ブドウ糖 5~10gを内服する。

✅低栄養やアルコール多飲がある場合はビタミンB1の補充も合わせて行う。

✅10~15分後に血糖再検。

 

意識レベル低下、経口摂取困難な場合

✅20%ブドウ糖40mlもしくは50%ブドウ糖液20mlを静注。
⇒ その後、5%Tzの点滴を開始する。

✅低栄養やアルコール多飲がある場合はビタミンB1の補充も合わせて行う。

✅10~15分後に血糖再検。

✅点滴が取れない場合はグルカゴン1mgを筋注する。
*グルカゴン注射は、数分後に嘔気が出やすいので注意。

 

 

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認知症

 

 

鑑別疾患

アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体病、頭部外傷(びまん性軸索損傷)、ハンチントン病、その他の変性疾患

treatable dementia

水頭症、硬膜下血腫、甲状腺機能低下症(橋本脳症)、薬剤性、低血糖、ウェルニッケ脳症(コルサコフ症候群)、ビタミンB12欠乏、ウイルス性脳炎髄膜炎ヘルペス脳炎など)、肝性脳症、尿毒症、うつ病HIV脳症、神経梅毒、電解質異常(高Ca血症など)、脳腫瘍、側頭葉てんかん

 

検査・処置

神経内科コンサルト

せん妄の除外

✅せん妄や周辺症状の対応のために精神科コンサルト(当直が困らないように早めに相談する)

✅抑制の同意書を取得

treatable dementiaの評価

✅HDS-R、MMSEなどの評価

✅ウェルニッケ脳症の可能性がある場合はビタミンB1の補充

✅血算、生化学、血糖、凝固、アンモニア、TSH、FT4、ビタミンB1ビタミンB12葉酸、血清梅毒検査

✅頭部CT、頭部MRI、SPECT

✅MIBG心筋シンチ(レビー小体病の評価)

✅必要に応じて髄液検査、脳波など

 

 

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オンコロジックエマージェンシー

 

 

オンコロジックエマージェンシー

以下の病態に対しては緊急の対応を必要とする

 

脳転移

フローチャート

追記します

 

対応

脳神経外科コンサルト

  • 手術適応の相談
  • てんかん:イーケプラなど
  • ステロイド
    処方例)
    デキサメサゾン1.65mg 2A 1日3回 ⇒ 次の日 2A 1日2回⇒次の日 2A 1日1回
    プレドニン20mg/日 内服に切り替え
    ⇒ その後は症状の増悪がないことを確認しながら、3~4日毎を目安に漸減。増悪が懸念された場合はプレドニン10~20㎎程度の量で維持療法に切り替える。
  • グリセオール
    処方例)
    グリセオール200mlを1日2回点滴を1~2週間+積極的な降圧

放射線科コンサルト

  • 放射線照射の適応
  • 全脳照射の場合はケモと同時にしない(照射が終わってからケモを開始する)
  • SRS後の脳浮腫予防のステロイド
    処方例)
    プレドニゾロン15mg 3日間 ⇒ 10mg 3日間 ⇒ 5mg 3日間

 

脊髄圧迫症状

追記します

 

骨転移

フローチャート

追記します

 

対応

整形外科コンサルト

放射線科コンサルト

✅歯科コンサルト

  • デノスマブ(ランマーク)投与前の評価

✅デノスマブ120mg 4週間に1回 皮下注射+デノタスチュアブル
(デノタスがない場合は乳酸Ca 1g分1 朝食後を毎日)

 

発熱性好中球減少症

対応はこちら

 

上大静脈症候群

追記します

 

気道狭窄

放射線治療(酸素化低下や閉塞性肺炎の治療/予防)

✅中枢気道の狭窄(左右主気管支まで)の場合は呼吸器外科コンサルトを検討(ただし状態が厳しい症例が多く、適応症例は限られる)

  • 外科的切除
  • 気道ステント留置
    末梢気道が開通しており、予後が見込める患者が対象

✅上記の治療を行っても治療抵抗性の場合は緩和治療へ移行する
※HPVにより換気血流不均衡は多少は是正されるものの、治療が続けられるまで回復することはない。

 

 

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在宅酸素療法(HOT)

 

 

在宅酸素療法の適応疾患

  1. 高度慢性呼吸不全:目安は労作時SPO2≦90%のもの
    動脈血酸素分圧55mmHg以下のもの、および動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来すものであって医師が在宅酸素療法を必要であると認めたもの。
  2. 肺高血圧症
  3. 慢性心不全
    NTHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸が認められ、無呼吸低呼吸指数が20以下であることがPSG上で確認されている症例
  4. チアノーゼ型先天性心疾患
  5. 群発頭痛

 

導入手順

  1. 安静時の血ガス
  2. 呼吸機能検査
  3. 6分間歩行試験
    安静時SPO2 95%前後、6分間歩行試験でSPO2≧88~90%を目標に酸素量を調整する。
  4. 酸素会社に酸素の手配を依頼
  5. 在宅酸素指示書作成
  6. HOTの指導(指導用DVD等を視聴、火気厳禁)

 

HOT患者のフォロー

✅月1回フォロー(在宅酸素の加算)

✅年1回の血ガスと6分間歩行

✅息切れの増悪がある場合は呼吸機能・6分間歩行・血ガス ⇒ HOTの流量調節

✅SPO2モニター購入(酸素会社からレンタルできる場合もある)

身体障害者の申請

 

在宅酸素療法の値段

1割負担で7500円程度、3割負担で23000円程度

 

在宅酸素の限界

  • 設置型酸素濃縮装置:会社によって違うが大体7Lまで。(7L以上は2台使い)
  • 携帯用ボンベ:会社によって違うがデマンドバルブ(同調モード)で7Lまで。

個人的な見解になるが。。。

🚩設置型酸素濃縮装置は7L使用まで
それ以上の酸素濃縮装置はない。(それ以上使う場合は2台並列使用となる)

🚩携帯用ボンベは、デマンドバルブなし(オキシマイザー使用中など)だと、労作時5~7Lまでが限界と思われる。
それ以上になると労作時の呼吸苦+携帯用ボンベの酸素が一瞬でなくなるので、外出や通院は困難となる。(家での生活がかなり厳しくなる)

🚩上記以上の酸素を使用している患者については、「病院での療養」を勧める。

※療養型病院での療養 or 急性期病院の間で転院を繰り返す

 

 

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気管支鏡前チェックリスト

 

 

気管支鏡前評価

呼吸状態

  • 酸素化不良の場合は施行不可(目安は酸素3Lで95%以下はリスク高い)
  • 気管支喘息がある場合 ⇒ 術前にSABA吸入、コントロール不良の場合はSABA吸入に加えて術前にソル・メドロール40~125mgを投与。
  • 結核の可能性 ⇒ 検査前に3連痰を確認。検査は最後に。N95マスク着用。

✅血小板数

  • TBLB・TBNAは血小板5万以上、BALのみであれば2万以上あれば良い

✅凝固系

✅抗凝固薬・抗血小板薬の有無

  1. 抗血小板薬、抗凝固薬の休薬について主科に相談 ⇒ 必要ならヘパリン置換
  2. 休薬ができない場合
    TBLB ⇒ バイアスピリンのみ継続可、その他の抗血小板薬は休薬が必須
    TBNA ⇒ 抗血小板薬・抗凝固薬ともに休薬が必須

✅経口血糖降下薬・インスリンの有無

✅心電図

  • 致死的な不整脈がある場合は禁忌

✅心エコー(心疾患の有無)

  • 心不全がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼
  • 肺高血圧がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼。重症肺高血圧・右心不全(TAPSE<16)・D-shapeありは禁忌。
  • 1ヶ月以内の心筋梗塞の既往やUAP ⇒ 禁忌

✅血管病変の有無

  • 血管病変がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼
  • SVC症候群 ⇒ 胸腔内圧の上昇で虚脱する危険が高い場合は気管支鏡は禁忌
  • 肺静脈の圧迫 ⇒ 胸腔内圧上昇で潰れそうな場合は気管支鏡不可

✅高血圧の有無

✅脳血管障害の有無

✅頸部

  • 頸椎の不安定がある場合は禁忌

✅糖尿病の有無

✅高眼圧・緑内障の有無

  • アトロピン禁

✅神経筋疾患の有無

 

参考文献:http://www.jsre.org/medical/anzen_tebiki_1.pdf

 

準備チェックリスト

✅術前採血(血小板、凝固、感染症リスク)

✅気管支鏡が施行できる呼吸状態か?

✅熱はないか?血圧や脈拍は問題ないか?

心電図

心エコー(必要なら)

✅心血管系のリスク評価(心不全脳出血動脈瘤SVCなど)

✅その他の気管支鏡の禁忌は?(頸椎不安定など)

✅同意書取得

IC記載

✅抗血栓薬の休薬、ヘパリンブリッジ(止めて良いか主科に確認)

✅食止め

✅血糖降下薬休薬、インスリンの休薬

✅検査オーダー(気管支鏡オーダー、組織、細胞診、培養、BAL分画など)

✅仮想気管支鏡作成(CTの出力)

✅点滴、鎮静薬、鎮痛薬オーダー(ミダゾラムペチジンが使えない疾患の有無)

✅検査前処置オーダー(喘息の人のSABA、ステロイドなど)

指示入力

✅検査後オーダー(胸部X線、予防的抗菌薬)

 

気管支鏡指示

月 日 時~気管支鏡検査

<検査前>

(朝・昼)食絶食 飲水は3時間前まで可

内服薬 内服可(ただし血糖降下薬のみ内服中止)

ルート:生理食塩水250ml 時間20mlで点滴

①(入院中)~時に生食250mlでルート確保をお願いします。

②(当日入院) 入院次第、生食250mlでルート確保をお願いします。

 

内視鏡室へ持参:ミダゾラム、フルマゼニル、生食20mlあり

※ルートは側管を2つ以上接続

※同意書を検査室へ持参

※入れ歯あれば内視鏡室持参。

 

<検査終了後>

酸素投与状態の時、SPO2≧90%であれば、2L/minずつ漸減しoff可能

生理食塩水(+フルマゼニル1/2A混注)は速度を早めて滴下可能(100ml/h程度で滴下)→バイタルサイン問題なければ終了抜針

 

AMPLED(検査・処置前チェックリスト)

 

 

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患者トラブルマネジメント

 

 

トラブル症例対応のポイント

ひとりで対応しようとしない(色々な人を巻き込む)
医長、看護師長、医療安全などの各部署の人達と一緒に対応する!

共感の姿勢で対応する(患者の意思・意見を否定しない)

 

自主退院します

❶ 退院/通院治療可能な状態かを考える(大丈夫そうでも、標準的な治療から逸脱する場合は安易に退院許可しない)
⇒ 退院許可できない場合は②へ

❷ 本人に入院継続を説得する。退院した場合のリスクを十分に説明する
⇒ 本人を説得できない場合は③へ

❸ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は④へ。

❹ 入院継続が困難であることを上司に報告する。

❺ 患者本人とキーパーソンの両者が退院のリスクを十分理解し納得すれば退院とする。
❻ 病院側は退院を許可していないが、本人・家族が入院診療を拒否したため退院となった旨をカルテ記載する。

❼ 念書の記入、他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

 

ハイリスク患者・BSC患者の場合

❶ 本人に入院継続を説得する。退院した場合のリスク、在宅死亡の可能性を十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 入院継続が困難であることを上司に報告し、医療安全にも相談する

❹  患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスク、在宅死亡の可能性を十分説明する。急変時対応がDNARであることを確認する。納得いただければ退院の準備を進める。
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に相談する。

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼、在宅での増悪や死亡に対応するため)⇒対応はこちら
※往診医にしっかりと申し送りを!(入院が必要な時はなるべく他病院に紹介するようにお願いする)

❻ 往診医のみではフォローが難しい場合は、自宅近くの病院にも紹介する(往診+通院 or バックベッドの形にする)。可能なら退院日同日の受診を促す。
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 病院側は退院を許可していないが、本人・家族が入院診療を拒否したため退院となった旨をカルテ記載する。

❽ 必要であれば念書の記入。

 

入院したくない

❶ 通院治療可能な状態かを考える
⇒ 通院治療が望ましくない場合は②へ

❷ 本人に入院治療を説得する。入院しない場合のリスクを十分に説明する
⇒ 説得できない場合は③へ

❸ キーパーソンに連絡し本人を説得していただく
⇒ 説得できない場合は④へ

❹ 本人を説得できなければ入院を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。

❺ 入院が説得できないことを上司に報告する。

❻ 入院治療を十分説得したが拒否された旨をカルテに記載する。

❼ 他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

 

ハイリスク患者の場合

❶ 本人に入院治療を説得する。入院しない場合のリスク、在宅死亡の可能性を十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡し、本人を説得してもらう。
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 本人を説得できなければ入院を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。

急変時DNARかどうかを確認する

❺ 入院が説得できないことを上司に報告し、医療安全にも相談する

自宅近くの他病院に紹介・転医する。もしくは往診医に連絡し往診に入ってもらう(MSWに介入依頼)。可能なら同日の受診を促す
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 他病院のあてがない場合は、宛名なしで診療情報提供書を作成し渡しておく。

❽ 病院側は入院を強く勧めたが、本人・家族が入院診療を拒否した旨をカルテ記載する。

❾ 必要であれば念書の記入。

 

※本来であれば、訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入したほうが良い(在宅死亡に対応するため)が、外来では在宅医療を導入する時間的余裕がないと思われる。

 

転院したくない、直接自宅に帰りたい

❶ リハビリや在宅調整の必要性、病院で長めの経過観察をした方が良いことを本人に説明を行う。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスクを十分説明し、納得いただければ退院の準備を進める
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼)
⇒対応はこちら

❺ 他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

❻ 退院前カンファランスを行った後に退院。

 

ハイリスク患者の場合

❶ 病院で長めの経過観察をした方が良いことを本人に説明を行う。直接自宅退院をした場合の在宅死亡の可能性が高いことを十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合、もしくは在宅での看取りを希望の場合は③へ。

❸ 上司に報告し、必要なら医療安全にも相談する

❹ 患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスク、在宅死亡の可能性を十分説明する。(自宅での看取りも選択肢
急変時対応がDNARであることを確認する納得いただければ退院の準備を進める。
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼する

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼、在宅での増悪や死亡に対応するため)⇒対応はこちら

❻ 往診医のみではフォローが難しい場合は、自宅近くの病院へ紹介する(往診+通院 or バックベッドの形にする)。可能なら退院日同日の受診を促す。
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 退院前カンファランスを行った後に退院。

❽ 本人・家族にリスクを十分に説明の上で、在宅看取りも含めて退院となった旨をカルテ記載する。

 

在宅調整が整っていないが、とにかく早く自宅退院したい

❶ リハビリ転院し、在宅調整を行ったあとに自宅退院をすべきであることを説明する
⇒転院を拒否する場合は②へ

❷ 本人・キーパーソンと今後のお話をする
⇒それでも自宅退院を希望される場合は在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼

介護保険がおりている場合はMSW(在宅支援科)からケアマネージャーに連絡し、必要なサービス導入を依頼する。(必要なサービスはこちら

介護保険がない場合はMSW(在宅支援科)に連絡し、一旦全額負担で介護保険を利用(暫定プラン)もしくは医療保険で最低限必要なサービス導入を依頼する。(必要なサービスはこちら

❺ 退院前カンファランスを行った後に退院。

 

通院困難の場合

  • 介護保険の申請
  • 往診医もしくは施設嘱託医にフォローを依頼し、通院間隔を延ばす
  • その他の介護サービスの導入も検討(介護サービスはこちら
  • 通院が全くできない場合は「在宅医療 or 嘱託医のいる施設へ入所」±「何かあったときのみ自宅近くの病院に入院(バックベッド)」の形にしておく
  • 療養型病院での療養も検討事項

※療養病院を探す場合は病院のMSWに相談する。施設を探す場合はケアマネージャーに連絡する。

※一旦入院して、リハビリ転院後に施設探し・在宅調整もあり!

 

家での生活が困難の場合

  • 介護保険の申請
  • 自宅での生活を希望される場合は、介護サービス導入(介護サービスはこちら
  • 療養型病院(医療区分あり)施設入所も検討する

※療養病院を探す場合は病院のMSWに相談する。施設を探す場合はケアマネージャーに連絡する。

※一旦入院して、リハビリ転院後に調整という選択肢もあり!

 

どうしても必要な検査や治療を拒否する場合

❶ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリットを十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 本人を説得できなければ、検査や治療を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことは傷害罪となるためできない。また無理矢理行うことで事故につながるため施行できないことを伝える)

❹ 繰り返し説得を続ける。

 

ハイリスクな状態の患者

❶ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリット・死亡する可能性を十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 説得できないことを上司に報告し、医療安全にも相談する

❹ 本人を説得できなければ、検査や治療を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことは傷害罪となるためできない。また無理矢理行うことで事故につながるため施行できないことを伝える)

❺ 急変時DNARを確認する

❻ もしも意識不明となった場合には、意思決定権はキーパーソンに移ることを説明する。
ただし、キーパーソンの意向で検査や治療を行うことは本人の意思に反する行為であり、倫理的に問題がある。また、意識不明の重体となった場合には救命することは困難である。仮に治療により回復したとしても、医療者の指示に従えず事故になりかねない。よって、意思決定権がキーパーソンに移ったとしても、方針を変えるのは現実的ではないことを説明する。

❼ 繰り返し説得を続ける。

 

意思疎通はとれるが、患者の判断能力がない又は疑わしい場合

❶ 判断能力の確認を行う 。 必要なら精神科にコンサルトし、判断能力の有無についてカルテ記載・治療などを依頼する。
⇒判断能力がなければ②へ

❷ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリットを十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❸ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❹ 判断能力がないため、キーパーソンに意思決定権は移ることを説明する。ただし本人を説得できなければ、基本的に検査や治療を強制することは難しいことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことで事故につながるため施行できないこと、身体抑制にも限界があるため処置を強制することは困難な場合があることを伝える)

 

介護サービス・訪問診療/看護の導入拒否

❶ 介護サービス・訪問診療/看護の導入の必要性を十分説明する
⇒導入拒否される場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒説得できない場合は③へ

❸ 必要になった場合にすぐに導入できるように、「介護保険の申請」と「ケアマネージャー」の決定を行っておく(MSWに介入依頼する

 

在宅死亡の可能性が高い場合

❶ 訪問診療/看護の導入の必要性を十分説明し、導入を説得する。
⇒ 説得できない場合は②へ

❷ 家族に訪問診療/看護の導入の必要性を説明した上で導入する。
※本人が拒否していても導入する(在宅死亡に対応するため)
※往診の際は家族が同席するようにする

 

訪問診療を導入せずに在宅死亡してしまった場合のデメリット
  • 救急車を呼んだ場合は「蘇生処置」を行われることになる(DNARにならない
  • 「救急隊が到着したときにすでに死亡している場合」や「かかりつけ以外に搬送され死亡した場合」は検視になる可能性が高い。(家族が警察の取り調べを受けることになる)
  • 基本的には問題にはならないが、場合によっては「保護責任者遺棄罪」が問題となったり、「解剖」になる可能性もある。

 

暴力・暴言の対応

❶ 暴力・暴言の理由を聞く。状況を対応したスタッフにも確認する。
⇒ 医療者側に問題がある場合には謝罪する。

❷ 強制退院にするかどうかを決める。
※看護師の意見も聞き、厳重注意に留めるか、強制退院にするかを決める。
※非常に悪質な暴力行為の場合は強制退院とする。

厳重注意の場合は❸へ

強制退院の場合は❹へ

❸ 本人・御家族に下記をIC

  • 本来であれば強制退院になりうる案件であるが、今回は厳重注意に留めている
  • 次回、暴言・暴力があった場合は強制退院とせざるを得ない
  • 当院の診療体制やスタッフが合っていないかもしれない、病院のシステム上柔軟に対応することが難しい、信頼関係が崩れた状態で診療を続けても良い医療を提供することが難しいかもしれない(医療はリスクを許容しながら行うものであるから)
  • 転医が望ましいと思われる。

❹ 主治医、医長、看護師長、医療安全など複数のスタッフでICを行う。

本人・家族に下記を説明する。
治療・入院に協力が得られない状態であり、スタッフの安全も確保できないため、治療継続が難しく強制退院となる。(他の医療機関でも治療は難しい可能性が高い)
今後は当院での診療は一切できないことを説明する。

⇒ ❺へ

❺ 診療情報提供書を作成し退院とする。
紹介元がある場合 ⇒ 紹介元に診療情報を作成し、申し送りも事前にしておく
紹介元がない場合 ⇒ 宛名なしの紹介状を作成、もしくは関連病院にお願いして紹介

 

治療に支障を来す精神疾患がある場合

❶ 治療・入院に協力が得られない状態であり治療継続は難しいことを本人・家族に説明する。

精神疾患の治療が優先であることを説明し、専門医療機関に紹介とする。

 

他病院に振りたいが、転医を拒否する患者

❶ 他病院でも対応可能な疾患であることを十分に説明するとともに、転医するメリットや当院でフォローするデメリットを説明する。(自宅から遠く管理が難しい、外来診療の待ち時間が長い、バックベッドとして機能しづらい等)

❷ それでも転医を拒否する場合は、病院掛け持ちも提案する ⇒ 徐々に他病院に移行する。

 

高度の慢性呼吸不全がある患者

❶ HOT使用中の患者で自宅生活できるのは、設置型酸素濃縮装置は7L使用まで、携帯用ボンベは、デマンドバルブなし(オキシマイザー使用中など)だと、労作時5~7Lまでが限界と思われる。(HOTについてはこちらを参照)

❷ 上記以上の酸素を使用中の患者については、病院での療養を勧める

❸ 病院で療養をしたくない患者の選択肢としては、1.労作時の低酸素を許容して生活する(突然死のリスクを説明の上で)、2.在宅医療(往診)に切り替える。家で酸素を7L以上使用したい場合には濃縮装置を2台並列で使用する。

 

家族に病状を言わないでほしい

❶ 治療を行う上で家族のサポートは必要不可欠であることを説明する。(家族に秘密で入院治療をすることは基本的に不可能である。また言わないことによって、後々家族と揉める結果となる場合があるため困る)

❷ 頑なに家族への連絡を拒否する場合は、その理由を聞く。家族がキーパーソンになりえないのであれば、他にキーパーソンになる人がいないか確認をする。

❸ 特別な理由がないにも関わらず、頑なに連絡を拒否している場合は、繰り返し説得を行う。基本的に家族に連絡しないというのは不可能である。

❹ 繰り返しの説得にも応じない場合は、個人情報保護の観点から勝手にお話することはできないため、状況をしっかりとカルテに記載する。治療を行う場合には上級医や医療安全にも相談して慎重に対応する。「生命、身体または財産の保護のために必要がある」と考える場合には、上級医や医療安全に相談の上で、本人の同意を得ずに家族にお伝えする。

 

親戚・知人・外部機関からの患者問い合わせ

追記します

 

保険外診療の病院への紹介状を依頼された

  • 保険外診療(民間療法)は科学的な根拠がないため、お勧めはできないことを説明する。
  • 民間療法の併用によって、標準治療に支障が出ると非常に危険であるため、同時併用はしないようにお願いする。
  • 同一疾患に対する混合診療は認められていない。よって紹介状の作成はできないことを説明する。(最悪の場合、保険医剥奪の可能性も。)
  • 情報が必要なら、受診先の病院から情報提供依頼をしてもらうように言う。

 

 

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気管切開

 

 

気管切開の適応

遷延性意識障害

✅長期の人工呼吸器管理

  • 挿管後1週間後に評価。呼吸状態/画像所見の改善が見込めない場合は気管切開を考慮する。
  • 少なくとも2週間後に抜管できない場合は気管切開を行う。
  • 抜管の基準についてはこちらを参照

✅上気道閉塞

✅繰り返す病態の場合(もともと誤嚥や痰詰まりを繰り返しやすい等)

 

気切孔を閉じる手順

  1.  まずは人工呼吸器を離脱(離脱の手順はこちらを参照) 
  2. 嚥下の評価を行う ⇒ 誤嚥のリスクが少なければ③へ
  3. 吸痰回数/排痰を評価する
    カフ上吸引が4時間に1回以下、自己排痰可能 ⇒ スピーチカニューレに変更
    ※窒息のリスクがある場合はスピーチカニューレへの変更は慎重に!
    ※スピーチバルブ装着時は呼吸状態の悪化に気をつける!
  4. カニューレの径を細くしていき、最終的にカフなしのカニューレに変更する。(レティナでも良い。)
  5. 呼吸が安定しているのが確認できたら、Capping trialを施行する(気切孔に蓋をしてみる)
    ※Capping trialについてはこちらを参照。(必ず入院下で行う
    ※キャップはスピーチカニューレのスピーチバルブをテープで塞ぐ、もしくはカフなしカニューレに内筒をいれる
  6. Capping trial前に胸部X線、血ガスを測定。Capping後は酸素化のモニタリングと血ガスのフォローを行う。
  7. Capping trial後も呼吸に問題がなければ、気切孔を閉鎖する。

 

 

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