とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

胸痛

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オーバービュー

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鑑別

5Killersを考える!

AMI、大動脈解離、緊張性気胸、肺塞栓、食道破裂

 

鑑別の絞り込み!O(Onset):発症様式

P(Provocative):増悪寛解因子(労作時?吸気で増悪?)

Q(Quality):性状(絞扼感?痛みの移動あり?)

R(Radiation):放散痛(肩、背中、顎、歯、咽頭

S(Severity, Symptom):呼吸苦、嘔気、冷汗

T(Time):持続時間

冠動脈リスク因子の問診:糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙、家族歴

 

胸部絞扼感 心筋梗塞
放散痛(咽頭痛、左肩痛、下顎・歯) 心筋梗塞
発汗過多、呼吸困難 心筋梗塞、肺塞栓、大動脈解離
痛みの移動 大動脈解離
血圧の左右差 大動脈解離
労作時の胸痛 狭心症
吸気時の痛み 気胸、胸膜炎
心臓壁運動低下 心筋梗塞、心筋炎、心筋症
心嚢液貯留 心破裂、大動脈解離、心筋炎、心膜炎
一過性意識消失を伴う胸痛 大動脈解離、肺血栓塞栓症
ピンポイントの痛み、圧痛、体動時痛 体性痛

 

検査

採血4本(D-dimer:肺塞栓、解離の除外)、CK、CK-MB、トロポニンT、BNP、胸部レントゲン、心電図

→必要に応じて心エコー、胸部造影CT

 

その他の鑑別疾患

狭心症大動脈弁狭窄症肋骨骨折GERD心膜炎・心筋炎胸膜炎帯状疱疹、縦隔炎、骨髄炎、胸鎖関節炎、大動脈炎症候群、食道アカラシア、家族性地中海熱

その他の対症療法の疾患(原発性肋間神経痛、肋軟骨炎、Tietze症候群、slipping rib syndromeなど)

 

追加の検査

心電図、心エコー。

狭心症疑いの場合はトレッドミルや冠動脈CTなどの評価のために循環器内科紹介。

・肋骨骨折が疑われる場合は胸部CT ⇒ 整形外科コンサルト

・GERD疑いの場合はPPIによる診断的治療±上部消化管内視鏡

帯状疱疹を疑う場合は迅速キット(デルマクイック)やVZV-IgG(ペア血清)

・発熱や炎症反応上昇がある場合はプロカルシトニン、血液培養、胸部CT(単純/造影)、必要に応じて膠原病などの評価やMRIを検討。

・胸水貯留がある場合は胸水穿刺⇒感染性胸水の場合は造影CT、呼吸器内科コンサルト

・心膜炎や心筋炎の検査として、心エコー、心嚢穿刺、心筋生検、心嚢水検査(細胞数、糖、アミラーゼ、総蛋白、LDH、PH、ADA、CEA、細胞診、培養・抗酸菌培養、Tb-PCR)、ウイルス検査(コクサッキーBの1~6、Aの4,9,16、アデノウイルス、パルボウイルス、サイトメガロウイルスなど)、QFT、抗核抗体、RF、ANCA、可溶性IL-2R、心臓MRIガリウムシンチなど。

その他:心療内科紹介など

 


 

心電図の評価

STEMIの定義

①ST上昇:連続する2つ以上の誘導で新規のJ点の上昇

 V2,V3以外:1㎜以上の上昇

 V2,V3:男性で40歳以上は2.0㎜、40歳未満は2.5㎜、女性は1.5㎜以上

②ST低下:「V1~V4で連続する2つ以上の誘導で0.5㎜以上のST低下(horizontal/downsloping)」または「連続する2つ以上の誘導で1㎜以上のT波の陰転化(動的Tの陰転化)やR波増高(R/S ratio>1)」

③aVRでST上昇+広範囲ST低下

④新規LBBBは心筋梗塞を疑わない(日本のガイドラインでは症状持続+新規LBBBはACSを疑う)

⑤hyper acute T wave

 

ストレインパターン脚ブロック早期再分極は虚血と間違えやすいので注意!!

新規の左脚ブロックは虚血の可能性を疑う!

 

ミラーイメージ

★ST変化がある場合は必ずミラーイメージを確認する!

SITE FACING RECIPROCAL
SEPTAL V1,V2 NONE
ANTERIOR V3,V4 NONE
ANTEROSEPTAL V1,V2,V3,V4 NONE
LATERAL Ⅰ,aVL,V5,V6 Ⅱ,Ⅲ,aVF
ANTEROLATERAL Ⅰ,aVL,V3,V4,V5,V6 Ⅱ,Ⅲ,aVF
INFERIOR Ⅱ,Ⅲ,aVF Ⅰ,aVL
POSTERIOR NONE V1,V2のR波増高、V1,V2,V3,V4
右室梗塞 V1,V3R,V4R NONE
LMT aVR,aVL V4,V5,V6

 

右室梗塞⇒右側誘導、後壁梗塞⇒背側誘導

 

ST変化の鑑別

急性心筋梗塞、大動脈解離(D-dimer高値、胸写・エコーで有無の確認を!)

心室瘤、心膜炎心筋炎、左室肥大やAS(ストレインパターン)、肥大型心筋症、冠攣縮性狭心症早期再分極(多いです)、肺塞栓、高K血症、ブルガダ症候群

 


 

帰宅可能かどうかの判別

TIMIリスクスコア」「HEARTスコア」「バンクーバー胸痛ルール」などを評価する

①上記のいずれかを用いて低リスク+心電図変化なし+胸痛収まっている⇒帰宅

②非特異的な心電図変化はあるが、胸痛は収まっている⇒心電図とトロポニンの再検を行い変化がなければ帰宅(高リスク症例, 胸痛を繰り返している症例は循環器内科に紹介を検討)

③心電図の変化があるかも+胸痛が続いている

⇒ミオコールスプレーをトライ

▸胸痛が治まる場合、ST変化が戻る場合⇒入院を指示し、必ず循環器内科コンサルト

▸胸痛が治まらない場合⇒上記のスコアが高い・胸痛の性状が非常に疑わしい場合は入院(心電図と心筋逸脱酵素を入院後に再検)、リスクが低い場合は対症療法で経過観察とする。(後日、循環器コンサルトも検討)

④心電図変化あり+胸痛あり⇒循環器内科にすぐにコンサルト

 

TIMIリスクスコア

①年齢≧65歳以上
②3つ以上の冠危険因子
(家族歴、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙歴)
③既知の冠動脈疾患(50%以上の狭窄)
④0.5㎜以上のST変化
⑤心筋逸脱酵素の上昇
⑥7日以内の使用歴
⑦24時間以内に2回以上の胸痛

0~2点:低リスク、3~4点:中リスク、5点以上:高リスク

 (引用:Antman EM,et al:JAMA 284:835-842,2000.)

 

HEARTスコア

  2 1 0
History ACSらしさ高 ACSらしさ中 ACSらしさ小
ECG ST変化あり 非特異的再分極
LBBB、LVH
正常
Age >65歳 45~65歳 <45歳
Risk 3つ以上 1~2 0
Tn 上限3倍以上 上限1~3倍 正常

0~3点:低リスク、4~6点:中リスク、7~10点:高リスク

 


 

急性心筋梗塞の心電図変化

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