とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

肝機能障害

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原因・鑑別

胆道感染症, 薬剤性, うっ血肝, 肝腫瘍, アルコール, 脂肪肝が最も頻度が高い!!

この6つをまず考える!!

 

胆汁うっ滞型(Bil, ALP, γ-GTP上昇)

胆管結石、胆道感染症、腫瘍による閉塞(肝細胞癌、転移性肝癌、胆管癌、膵癌)、薬剤性、脱水、溶血、PBC、体質性黄疸、孤発性高Bil血症

肝実質障害型

薬剤性肝炎肝腫瘤ウイルス性肝炎(B型, C型, EBウイルスサイトメガロウイルスヘルペスウイルス、A型やE型等)、アルコール性肝炎脂肪肝ステロイドで増悪)、NASH、うっ血肝(心不全、弁膜症、ACS、肺塞栓、甲状腺機能異常など原因を必ず考える)、肝硬変

その他

敗血症性肝障害、Hypoxic hepatitis(Shock liverや呼吸不全によるものTPN関連肝障害サイトカインストーム、肝腎症候群、重症膵炎、甲状腺機能低下症(代謝されない。見かけ上)、成人Still病、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、心筋障害、肉芽腫性肝炎(サルコイドーシス)、肝梗塞、肝挫傷、門脈塞栓

 

鑑別の絞り込み!

意識障害、羽ばたき振戦 ⇒ 肝性脳症

★肝硬変を示唆する所見

頭頸部:眼球結膜の黄染、肝性口臭

胸部:女性化乳房

腹部:肝腫大、肝叩打痛、脾腫、腹水、精巣萎縮

四肢:筋委縮、浮腫、羽ばたき振戦

皮膚:黄疸、くも状血管腫、手掌紅斑、メデューサの頭

 

検査オーダー

★原因の検索を開始する目安としては有症状、ALTが正常の1.5倍以上、Bil上昇、凝固異常、肝機能障害が持続する場合など

★改善がない場合は消化器内科コンサルト

 

腹部エコー(感染、腫瘍、脂肪肝等の評価)

被疑薬の確認と中止

✅血算、生化、凝固、T-Bil、D-Bil、AST、ALT、LDHLDH分画、Plt、PT(凝固)、Alb、ALP、γ-GTP、ChE、T-Chol、TG、TSH、FT4、HBs抗原、HBc抗体(陽性ならDNA提出)、HCV抗体(陽性ならRNA提出)

必要に応じて腹部CT(腫瘍性病変の場合はダイナミックの造影CT)、BNPアンモニア、C7-HRP、IgM-VCA抗体、IgG-VCA抗体、EBNA抗体、EBV-DNA、抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体、抗核抗体、免疫グロブリン、フェリチン(NASHやヘモクロマトーシスで上昇)、血清銅、セルロプラスミン、(HSV-IgMIgM-HA、IgM-HE、IgA-HE)も提出する。

脂肪肝の場合はFIB-4 indexを計算

⇒ トランスアミナーゼが3桁またはFIB-4 index>1.3で消化器内科紹介

✅肝生検も考慮(NASH、肝硬変、癌、PBC、AIH、重金属蓄積症などが適応)

✅薬剤性肝障害が中等症以上の場合はDLST!(LiverTox確認)

✅肝硬変については上記のほかにⅣ型コラーゲン、血清ヒアルロン酸Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、オートタキシン等を提出 ⇒ 消化器内科コンサルト。

✅肝硬変強い場合は上部消化管内視鏡でVarixの評価。造影CT(ダイナミック)で肝細胞癌の評価。

✅肝腫瘍がある場合はAFP、PIKA-Ⅱ、腹部エコー、造影CT(ダイナミック)⇒肝細胞癌の場合は消化器内科コンサルト(肝臓造影MRIなども検討)

✅Bil>2.0, ALP, γ-GTPの上昇を認める場合は、腹部CTと腹部エコー ⇒ 胆管の閉塞が疑わしければ消化器内科コンサルト(ERCP、MRCPを検討)。閉塞性胆管炎が疑われる場合は緊急ERCPALP高値の鑑別も参照。

✅うっ血肝なら心電図、心エコー、BNP

 

血液検査の解釈

肝障害のタイプ分類

✅R ratio=(ALT/ALT上限値)÷(ALP/ALP上限値)

 R ratio≧5またはALT>2ULN+ALP≦ULNで肝細胞障害型、

 R ratio≦2またはALT≦ULN+ALP>2ULNで胆汁うっ滞型

 R ratio2~5ALT>2ULN+ALP>ULNは混合型

※ULN:基準値上限

その他

✅肝機能障害が6か月未満なら急性、6か月以上なら慢性。

✅AST、ALTが1000を超えていれば、ウイルス性、薬剤性、虚血性肝障害(hypoxic hepatitis)を考える。

✅AST/ALT≦2であれば肝細胞障害単独の可能性が高い

✅AST/ALT>2であれば肝機能障害+α(CPK上昇や溶血など)がある。もしくはアルコール性の可能性高い。

LDH<ASTであれば肝細胞障害単独、LDH>ASTであればhypoxic hepatitisの可能性が高いが、横紋筋融解症、心筋虚血なども考慮。

✅直接Bil上昇:閉塞性黄疸、肝細胞性黄疸(間接Bilも上昇)、脱水、薬剤性、PBC

✅間接Bil上昇:溶血性黄疸(無効造血や脾機能亢進、TMA)、肝細胞性黄疸、グルクロン酸抱合の障害(体質性、甲状腺クリーゼ)

 

薬剤性肝障害を起こしやすい薬剤

臨床上よく見るのは、アセトアミノフェン、抗菌薬(アモキシシリン/クラブラン酸、セフトリアキソン、カルバペネム系、ST合剤)、PPI、抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン)、分子標的薬やICI、アミオダロン、スタチン、メトトレキサート、抗精神病薬、抗てんかん薬など

その他の薬剤については下記論文や「LiverTox」が参考になる。

Leise MD, Poterucha JJ, Talwalkar JA, et al. Drug-induced liver injury. Mayo Clin Proc. 2014; 89: 95-106)

 

肝庇護薬

慢性の肝炎に対して以下の薬を使用することもある(ALT<80を目標)

切りたくない薬剤による薬剤性肝障害にもしばしば使用する。

①ウルソ錠 100mg 6錠分3(1日900mgまで増量可)

強力ネオミノファーゲンシー静注 40~60mlを週3回(1日100mlまで増量可)

 

 

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