1日の水分量
維持輸液量の計算方法は様々なものがあるが、実臨床で使いやすいのは
65歳未満・・・体重×30ml/日程度
65歳以上・・・体重×25ml/日程度
食事内の水分は1000kcalあたり400~600ml程度と考える。
In/Outバランス
1日のIn量=1日の尿量(1日のOut量)+不感蒸泄(15ml/kg/日)-代謝水(13ml/100kcal/日)
計算が面倒なので・・・
代謝水≒5ml/kg/日と考えると
1日のIn量=1日の尿量(1日のOut量)+10ml/kg/日
★不感蒸泄は皮膚や粘膜から2/3、肺から1/3。
★人工呼吸器管理中は肺からの不感蒸泄を0として計算するので、2/3で計算する必要がある。
目標体重
★バランスを計算する上で体重は非常に大切。
✅目標体重は、元の体重-入院による体重減少(大体-1.0㎏~-1.5㎏程度(元気な人は除く))を考えて目標値を設定する。
✅エコーやバランスを見ながら適切な目標体重を設定する。
体液異常で介入したほうが良い場合ってどんな時?
✅体液過剰
肺水腫や浮腫などの症状がある、体重1.5㎏増加、In/Outが2日以上にわたり+1000を超えるなど
✅尿量減少
尿量の3割以上の低下が2日以上続いた場合、尿量が400ml/日以下、尿量<0.5ml/kgの場合など
✅尿量増加(あんまりないけど…)
-500のマイナスバランスが2日以上持続する場合、体重がどんどん減少する場合
検査
身体所見、採血(血液濃縮があるか、BUN/Cre比の解離があるか、尿酸値、OSM、代謝性アルカローシス)、IVCの評価、体重の増減、尿量、尿検査(尿比重やFENa、FEUN)、胸部X線写真の心拡大やCPアングルなどを参考にする。
鑑別
・溢水病態
心不全、腎不全、低Alb血症(血管内脱水)、炎症が強い(敗血症や術後などサードスペースに漏れる)、過剰輸液など
・脱水病態
補液不足、食事が足りない、不感蒸泄が多い、ドライ気味で管理したい病態、利尿剤の使い過ぎ、出血など
・尿量低下が低下する病態
腎後性腎不全、脱水病態の場合、腎不全、低Alb血症、炎症が強い場合、血圧が低い(心機能低下)
・尿量が増加する病態
飲水量が多い、補液が多い、高血糖による浸透圧利尿、点滴過剰による塩類利尿、その他の特殊な疾患(尿崩症、MRHEなど)
病態別体液コントロールの方法
★「入れるか(wet)」「Inを絞る・利尿剤を使うのか(dry)」を明確にすること!
(輸液しながら利尿剤とかは原則しない!)
溢水病態の対応
①補液を1日500~1000ml程度までに抑え、飲水制限+利尿剤投与を行う!!
目標はバランス-1000ml/日が目標。
②低Albによる肺水腫がある場合はアルブミンも補充を!
腎性の溢水は基本どうしようもない。
①まずはInを絞る。(心不全を合併している場合は利尿剤も併用する)
②浮腫が強い場合やIn overが持続する場合は、腎臓を悪化させない程度に利尿剤を使用する。
③最終的に透析
★Albを増やすことを考える⇒原病の治療と栄養管理の徹底
①利尿剤を使用すると血管内脱水が進行するので、まずはInを減らし気味にして、極力利尿剤は使わない方針。(心不全を合併している場合は最初から利尿剤も併用する。)
②どうしても浮腫が強い場合やIn overになる場合は利尿剤を投与する。
③必要に応じてAlb+ラシックスを投与する!
☆目標は1日-500mlのアウトバランス!(引きすぎると血管内脱水がひどくなる)
炎症が治まるまで待つのが基本(炎症が落ち着いたら利尿期が1~2日くらいで来る。)
①尿量>0.5ml/kg/hrを保つように補液を継続する
(心不全合併の場合は過剰輸液にせず、血圧に注意して利尿剤を併用する)
②補液しても尿が出ない場合は尿比重を評価。
尿比重>1.020で補液。
尿比重<1.020でラシックス±アルブミンを検討。
※基本的には利尿期が来るまではAlbは使用しないのが原則です!!
→炎症が落ち着いたら低Albの対応へ移行する!
脱水病態の対応
・補液を行う。 利尿剤の使い過ぎ→利尿剤を減らす。
・ドライで管理したい病態の場合は尿量>0.5ml/kg/hrで血圧が問題ないのであれば許容する。
尿量低下時の対応
★腹部エコーで腎後性腎不全の評価を忘れずに!!
腎性腎不全の尿量低下は基本どうしようもない。
浮腫が強い場合やIn overが持続する場合、尿量が400ml/日以下、尿量<0.5ml/kg、などの場合には腎臓を悪化させない程度に利尿剤を使用するのみ。最終的には透析。
★Albを増やすことを考える⇒原病の治療と栄養管理の徹底
①まずは過剰輸液を控え、利尿剤も控える。尿量は>0.5ml/kg/hrあれば許容する。(高Naや血圧低下、尿量<400ml/日にならないように最低限の補液をする)
心不全の場合は利尿剤を使用。
②それでも溢水傾向が強い場合にはラシックス。必要に応じてAlb投与を検討。
(除水(アウトバランス)は1日-500mlまで!)
サードスペースに漏れているため、炎症が改善されるまで(利尿期に入るまで)尿量>0.5ml/kgになるように補液を行う。
(心不全を合併している場合は輸液を必要最小限に。血圧が大丈夫であれば利尿剤も併用していく)
補液しても尿が出ない場合は尿比重を評価。
尿比重>1.020で補液。
尿比重<1.020で利尿剤(±アルブミン投与)
(利尿剤は血圧がある程度安定しているのを確認して使用)
※基本的には利尿期が来るまではAlbは使用しないのが原則です!!
→炎症が落ち着いたら低Albの対応へ移行する!
外液1本を2時間程度で負荷する。
ドライに管理したい場合は尿量>0.5ml/kg/hrあれば十分で、尿量減少には目をつぶる。
ショックの場合はとにかく補液!
心原性のものならカテコラミンを使用。
鎮静薬による血圧低下の場合は鎮静薬を下げて, 必要に応じて昇圧剤。
⇒それでも尿が出ないなら、血圧を見ながら利尿剤を開始する
尿量増加時の対応
・尿量が増加する原因のほとんどは利尿剤使用時か飲水・補液が多いか。
(飲水量チェックを忘れずに!)
・特殊な病態として
浸透圧利尿…高血糖による浸透圧利尿、補液による塩類利尿
尿崩症、MRHE、CSWS、高Ca血症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、慢性腎不全の利尿期など。
【検査】
多尿の鑑別の項を参照
ただの頻尿の可能性…前立腺肥大、過活動膀胱、水頭症、慢性硬膜下血腫
利尿剤の調節
下記の場合は利尿剤の減量を考慮する。
✅Creが0.3mg/dl以上上昇やeGFRが10以上低下
(明らかな溢水がある場合は多少の薬剤性腎障害は許容する。)
✅血圧低下
✅IVC虚脱
✅ベースの尿量が低下(脱水を示唆)
✅利尿剤の反応低下
✅電解質異常
✅代謝性アルカローシスが改善しない
✅合計-3000アウトバランス/日がある
✅Dryに管理したい患者の場合、バランスが合計+2000または体重+1.5kgになった時に使用を考慮する。
✅通常はラシックス1A~2A/日(20㎎~40㎎)で十分。
✅腎機能障害がある人はCr×20㎎程度の量に増量が必要。
✅血圧が低い場合は持注で対応する!
✅反応が乏しい場合は2倍量静注または2倍量を生食と合わせて50mlとし、時間2mlで持続静注する。
✅内服の場合は静注の量の1~2倍量が必要。
✅Crが2以上の人はサイアザイドが効かないのでループ利尿剤にする。
その他の利尿剤の使いどころ
✅ラシックス持注:血圧が低い時、出渋っている時
✅アルダクトン:ラシックスで低Kが進んだら併用する
✅フルイトラン:高ナトリウムの患者で使用(他の利尿剤と併用で使用)
✅ダイアモックス:ラシックスの使用で代謝性アルカローシスが進行した場合使用する(呼吸抑制を抑える目的)
✅サムスカ:ループ利尿薬で利尿がつかない場合(特に低Na合併の時)に併用(必ず併用で使用する)
Albの使い方
Alb投与の良い適応は肺水腫(心不全)と血圧低下例。
難治性浮腫はネフローゼや肝硬変には適応。
その他の低Alb血症については、利尿剤を使用してそれでもダメな場合に使用を検討。
(栄養目的のAlb補充は絶対にしてはいけない)
<使い方>
血圧低下例には5% 250mlを投与。
補充目的であれば25% 50mlのアルブミナーやアルブミンベーリングを投与する。
25% 50mlを投与直後にラシックスを打つと尿が出やすい。
アルブミンは月に6Vまで(1日2V 3日間)が保険適応。
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