*利尿剤は特にサイアザイド系
*SIADH、MRHE、reset osmostatは検査での区別は困難(臨床経過で判断する)
検査
✅血清OSM→低張性低Na血症の確認
✅体液評価4点セット(飲水測定、尿測、体重測定、IVC評価)
✅130mEq/L<Na<135mEq/Lの時 ⇒ これ以上下がらないようにメインや薬剤等の変更を行う。
✅Naが130mEq/L以下の時 ⇒ 必要な検査を提出の上で電解質補正開始と飲水制限
※なるべく補正前に必要な検査を提出
✅薬剤性低Naがないかどうか確認(利尿剤以外の薬剤にも注意)
✅尿検査(尿Na、尿K、Cr、BUN)、尿Osm、塩類喪失性腎症(RSW)を疑う場合は尿中NAGと尿中β₂MG。
✅BNP、TSH、FT4、早朝のACTH・コルチゾール(起床時・食前に安静30分後に採血)、副腎不全が疑わしい場合はRapid ACTH試験。
✅バソプレシン(AVP)、血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)(30分安静臥床後に採血)
*PAC・PRA:SIADH・MRHEで上昇、CSW・RSWで低下
✅内分泌疾患が疑われる場合は、内分泌内科にコンサルト。
※高張性や等張性低Na血症の中で「偽性低Na血症(高血糖や高TGによる)」が疑わしい場合は血ガスで電解質を評価する。
低張性低Na血症の補正
意識障害や痙攣がある、Naが非常に低い場合(120未満)
✅3%食塩水で補正を行う。
■3%食塩水の作り方と使い方
10%食塩水20mlを6A(120ml)+生食400mlを混合する。
補正速度は0.5mEq/L/hを超えないようにする(1日の補正上限はこちら)
⇒3%食塩水を体重×0.5~0.6ml/hで持続投与を行い、1~2時間後にNaを再検(Naの上昇速度を評価する)
通常の低Naの補正
✅生食の補液。
✅NaClの内服(1日3~6g/日、辛いのでカプセルで処方)
✅細胞外液量増加が原因の場合は原疾患の治療を行う。
補正上限
✅最初の24時間はΔNa≦10mEq/L/日に留める
✅その後の補正はΔNa≦8mEq/L/日に留める
補正の予測式
輸液量が1Lの場合(Adrogue-Madias式)
※体内水分量(L):男性は0.6×体重(kg)、女性や高齢者は0.5×体重(kg)
SIADHの治療
✅水制限が基本。現在はバソプレシンV2受容体拮抗薬が保険適応になっている。
✅血清Na値が正常化するまではNaCl内服による補正を行う。
✅Na<120mEq/Lの場合や症候性低Naの場合は3%生食で補正を行う。
水制限の目安
- 1日800ml/日未満(15~20ml/kg未満)とする
- 尿検査を参考に飲水制限する方法もある
(UNa+UK)/血清Na>1の場合:500ml/日
(UNa+UK)/血清Na=1の場合:500~700ml/日
(UNa+UK)/血清Na<1の場合:1000ml/日
3%食塩水の点滴で効果不十分の場合に使用する。
フィズリン30㎎/日を最大7日間内服。
ADHの作用を阻害する効果がある抗菌薬(テトラサイクリン系)
デメクロサイクリン1日600~1200mg 内服。
SIADHの診断基準
主症候
1.脱水の所見を認めない。(MRHE・RSWSとの違いは脱水があるかどうか!)
2.倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある。
検査所見
1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135 mEq/Lを下回る。
2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウム濃度が135 mEq/L未満で、血漿バゾプレシン濃度が測定感度以上である。
3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280 mOsm/kgを下回る。
4.高張尿:尿浸透圧は300 mOsm/kgを上回る。
5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20 mEq/L以上である。
6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2 mg/dl以下である。
7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6 μg/dl以上である。
※血漿レニン活性は5ng/ml/hr以下、血清尿酸値は5mg/dl以下のことが多い。
SIADHの原疾患
肺疾患
肺炎、気管支喘息、肺腫瘍(特に肺小細胞癌)、COPD、気胸、陽圧換気、肺アスペルギルス症
中枢神経系疾患
髄膜炎、外傷、脳出血、脳梗塞、水頭症、ギランバレー症候群
薬剤
向精神薬、抗うつ薬(アミトリプチン、イミプラミン、SSRI)、化学療法(エンドキサン、オンコビン、プラチナ製剤)、抗痙攣薬(バルプロ酸、カルバマゼピン)、クロフィブラート 等
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