とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

利尿薬

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ざっくりとした使い分け

✅ループ利尿薬:基本の利尿剤(入院ならフロセミド、外来で処方ならルプラック or アゾセミドがbetter)

ラシックス持続注射:血圧が低い時、出渋っている時に使用する

✅アルダクトン:ラシックスで低Kが進んだら併用する。心保護作用あり。

✅フルイトラン:高ナトリウムの患者で使用(他の利尿剤と併用で使用)

ダイアモックスラシックスの使用で代謝性アルカローシスが進行した場合使用する(呼吸抑制を抑える目的。)

✅サムスカ:ループ利尿薬で利尿がつかない場合(特に低Na合併の時)に併用(必ず併用で使用する

 

ループ利尿薬

静注
  • フロセミド(20mg/A) 0.5A~1Aをiv(最大投与量は40~80㎎/回)
  • 腎機能障害がある場合はCr×20㎎をiv

※通常は100㎎以上のivは行わない

持続注射
  • 適応:静注の反応が悪い場合、血圧がやや不安定な重症心不全など
  • フロセミド100㎎+生食40mlで希釈しTotal50mlで使用する。(2mg/ml組成)
    eGFR≧75の時:1~2ml/hrで開始
    25<eGFR<75の時:2~4ml/hrで開始
内服

◆フロセミ

◆アゾセミド、トラセミ

  • 長時間作動型利尿剤。
  • フロセミドよりも心保護作用あり
  • フロセミド40㎎≒アゾセミド60㎎≒トラセミド8㎎
  • フロセミドと比較し即効性はない。(≒排尿回数の急激な増加がない)
  • フロセミドよりバイオアベイラビリティが良好。
  • フロセミドよりカリウムが下がりにくい。(とくにトラセミドは抗アルドステロン作用があり、Kが下がりにくい
副作用

カリウム血症、低マグネシウム血症、高尿酸血症代謝性アルカローシス、腎機能障害

 

カリウム保持性利尿薬

  • K低下時にループ利尿薬と併用する。
  • 抗アルドステロン作用あり、慢性心不全の予後改善効果が期待できる。
静注

◆ソルダクトン

  • ソルダクトン200㎎+生食20mlで1日1~2回 iv
内服

◆アルダクトン

(フロセミド:スピロノラクトン ≒ 2:5が最も効果が高い)

 

サイアザイド利尿薬

  • 「高Na血症患者の利尿」や「食塩感受性患者の降圧」に使用することが多い(利尿剤の中でもNaが下がりやすい)
  • 利尿作用はそこまで強くなく、心不全の治療で単独使用することはない
  • Cre>2.0、eGFR<30ml/minでは効果ないため使用しない
内服

◆フルイトラン

  • フルイトラン2~4mgを分1で使用する
副作用

低Na血症、低K血症、高Ca血症、高尿酸血症、耐糖能異常

 

炭酸脱水素酵素阻害剤

  • ICUで人工呼吸器管理中の代謝性アルカローシスの是正に使用する。
静注

◆アセタゾラミド

アセタゾラミド125~250㎎+生食20mlを1日1~2回 iv

 

V2受容体拮抗薬

  • ループ利尿薬で効果不十分な心不全に使用する。
  • 現在はSIADHにも保険適応あり。
  • 電解質異常(特に高Na)や腎機能障害(めちゃくちゃ尿が出る)に注意。
  • 必ずループ利尿剤との併用+入院で導入を行う
内服

◆トルバプタン

  • トルバプタン3.75mg/日より内服を開始する。(最大15mg/日)
  • 導入初日は12時間後に採血を行いBUN、Cre、電解質をチェックする。
  • 尿量も毎日必ずチェックを行う。
副作用

電解質異常(特に高Na血症)、腎機能障害、脱水、低血圧

 

利尿薬の使用方法と効果判定

 

利尿薬の減量・中止基準、副作用の対応

下記の場合は利尿剤の減量を考慮する。

✅AKIの基準を満たす場合:Creが48時間以内に0.3mg/dl以上の増加、または基礎値からCreが1.5倍以上上昇。
※明らかな溢水がある場合は多少の薬剤性腎障害(Cre 0.5mg/dl程度の上昇)は許容する。

 

✅うっ血が解除された場合

うっ血解除の目安
  • 身体所見の改善:下腿浮腫、起座呼吸、頸静脈怒張、湿性ラ音など
  • 血液濃縮の程度:Hb、Hct、アルブミン、総蛋白のうち3項目以上の上昇
  • BNP・NT-proBNP:それぞれ最大値よりも30~40%以上低下

 

合計-3000ml以上のアウトバランスがある場合

通常このくらいの量の水が引ければ、うっ血は改善していることが多い。

 

血圧低下、頻脈傾向

SBP≦90mmHgの時は、利尿薬の中止・減量もしくは利尿薬を持注に変更して量を調節する。

 

✅IVC虚脱

✅脱水による利尿薬の効果減弱が見られる場合

電解質異常については補正しながら利尿薬の使用を継続する
⇒ 補正困難な高度の電解質異常、代謝性アルカローシスについては減量・中止。

 

 

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