とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

在宅酸素療法(HOT)

 

 

在宅酸素療法の適応疾患

  1. 高度慢性呼吸不全:目安は労作時SPO2≦90%のもの
    動脈血酸素分圧55mmHg以下のもの、および動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来すものであって医師が在宅酸素療法を必要であると認めたもの。
  2. 肺高血圧症
  3. 慢性心不全
    NTHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸が認められ、無呼吸低呼吸指数が20以下であることがPSG上で確認されている症例
  4. チアノーゼ型先天性心疾患
  5. 群発頭痛

 

導入手順

  1. 安静時の血ガス
  2. 呼吸機能検査
  3. 6分間歩行試験
    安静時SPO2 95%前後、6分間歩行試験でSPO2≧88~90%を目標に酸素量を調整する。
  4. 酸素会社に酸素の手配を依頼
  5. 在宅酸素指示書作成
  6. HOTの指導(指導用DVD等を視聴、火気厳禁)

 

HOT患者のフォロー

✅月1回フォロー(在宅酸素の加算)

✅年1回の血ガスと6分間歩行

✅息切れの増悪がある場合は呼吸機能・6分間歩行・血ガス ⇒ HOTの流量調節

✅SPO2モニター購入(酸素会社からレンタルできる場合もある)

身体障害者の申請

 

在宅酸素療法の値段

1割負担で7500円程度、3割負担で23000円程度

 

在宅酸素の限界

  • 設置型酸素濃縮装置:会社によって違うが大体7Lまで。(7L以上は2台使い)
  • 携帯用ボンベ:会社によって違うがデマンドバルブ(同調モード)で7Lまで。

個人的な見解になるが。。。

🚩設置型酸素濃縮装置は7L使用まで
それ以上の酸素濃縮装置はない。(それ以上使う場合は2台並列使用となる)

🚩携帯用ボンベは、デマンドバルブなし(オキシマイザー使用中など)だと、労作時5~7Lまでが限界と思われる。
それ以上になると労作時の呼吸苦+携帯用ボンベの酸素が一瞬でなくなるので、外出や通院は困難となる。(家での生活がかなり厳しくなる)

🚩上記以上の酸素を使用している患者については、「病院での療養」を勧める。

※療養型病院での療養 or 急性期病院の間で転院を繰り返す

 

 

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気管支鏡前チェックリスト

 

 

気管支鏡前評価

呼吸状態

  • 酸素化不良の場合は施行不可(目安は酸素3Lで95%以下はリスク高い)
  • 気管支喘息がある場合 ⇒ 術前にSABA吸入、コントロール不良の場合はSABA吸入に加えて術前にソル・メドロール40~125mgを投与。
  • 結核の可能性 ⇒ 検査前に3連痰を確認。検査は最後に。N95マスク着用。

✅血小板数

  • TBLB・TBNAは血小板5万以上、BALのみであれば2万以上あれば良い

✅凝固系

✅抗凝固薬・抗血小板薬の有無

  1. 抗血小板薬、抗凝固薬の休薬について主科に相談 ⇒ 必要ならヘパリン置換
  2. 休薬ができない場合
    TBLB ⇒ バイアスピリンのみ継続可、その他の抗血小板薬は休薬が必須
    TBNA ⇒ 抗血小板薬・抗凝固薬ともに休薬が必須

✅経口血糖降下薬・インスリンの有無

✅心電図

  • 致死的な不整脈がある場合は禁忌

✅心エコー(心疾患の有無)

  • 心不全がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼
  • 肺高血圧がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼。重症肺高血圧・右心不全(TAPSE<16)・D-shapeありは禁忌。
  • 1ヶ月以内の心筋梗塞の既往やUAP ⇒ 禁忌

✅血管病変の有無

  • 血管病変がある場合 ⇒ 循環器内科に術前評価依頼
  • SVC症候群 ⇒ 胸腔内圧の上昇で虚脱する危険が高い場合は気管支鏡は禁忌
  • 肺静脈の圧迫 ⇒ 胸腔内圧上昇で潰れそうな場合は気管支鏡不可

✅高血圧の有無

✅脳血管障害の有無

✅頸部

  • 頸椎の不安定がある場合は禁忌

✅糖尿病の有無

✅高眼圧・緑内障の有無

  • アトロピン禁

✅神経筋疾患の有無

 

参考文献:http://www.jsre.org/medical/anzen_tebiki_1.pdf

 

準備チェックリスト

✅術前採血(血小板、凝固、感染症リスク)

✅気管支鏡が施行できる呼吸状態か?

✅熱はないか?血圧や脈拍は問題ないか?

心電図

心エコー(必要なら)

✅心血管系のリスク評価(心不全脳出血動脈瘤SVCなど)

✅その他の気管支鏡の禁忌は?(頸椎不安定など)

✅同意書取得

IC記載

✅抗血栓薬の休薬、ヘパリンブリッジ(止めて良いか主科に確認)

✅食止め

✅血糖降下薬休薬、インスリンの休薬

✅検査オーダー(気管支鏡オーダー、組織、細胞診、培養、BAL分画など)

✅仮想気管支鏡作成(CTの出力)

✅点滴、鎮静薬、鎮痛薬オーダー(ミダゾラムペチジンが使えない疾患の有無)

✅検査前処置オーダー(喘息の人のSABA、ステロイドなど)

指示入力

✅検査後オーダー(胸部X線、予防的抗菌薬)

 

気管支鏡指示

月 日 時~気管支鏡検査

<検査前>

(朝・昼)食絶食 飲水は3時間前まで可

内服薬 内服可(ただし血糖降下薬のみ内服中止)

ルート:生理食塩水250ml 時間20mlで点滴

①(入院中)~時に生食250mlでルート確保をお願いします。

②(当日入院) 入院次第、生食250mlでルート確保をお願いします。

 

内視鏡室へ持参:ミダゾラム、フルマゼニル、生食20mlあり

※ルートは側管を2つ以上接続

※同意書を検査室へ持参

※入れ歯あれば内視鏡室持参。

 

<検査終了後>

酸素投与状態の時、SPO2≧90%であれば、2L/minずつ漸減しoff可能

生理食塩水(+フルマゼニル1/2A混注)は速度を早めて滴下可能(100ml/h程度で滴下)→バイタルサイン問題なければ終了抜針

 

AMPLED(検査・処置前チェックリスト)

 

 

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患者トラブルマネジメント

 

 

トラブル症例対応のポイント

ひとりで対応しようとしない(色々な人を巻き込む)
医長、看護師長、医療安全などの各部署の人達と一緒に対応する!

共感の姿勢で対応する(患者の意思・意見を否定しない)

 

自主退院します

❶ 退院/通院治療可能な状態かを考える(大丈夫そうでも、標準的な治療から逸脱する場合は安易に退院許可しない)
⇒ 退院許可できない場合は②へ

❷ 本人に入院継続を説得する。退院した場合のリスクを十分に説明する
⇒ 本人を説得できない場合は③へ

❸ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は④へ。

❹ 入院継続が困難であることを上司に報告する。

❺ 患者本人とキーパーソンの両者が退院のリスクを十分理解し納得すれば退院とする。
❻ 病院側は退院を許可していないが、本人・家族が入院診療を拒否したため退院となった旨をカルテ記載する。

❼ 念書の記入、他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

 

ハイリスク患者・BSC患者の場合

❶ 本人に入院継続を説得する。退院した場合のリスク、在宅死亡の可能性を十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 入院継続が困難であることを上司に報告し、医療安全にも相談する

❹  患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスク、在宅死亡の可能性を十分説明する。急変時対応がDNARであることを確認する。納得いただければ退院の準備を進める。
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に相談する。

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼、在宅での増悪や死亡に対応するため)⇒対応はこちら
※往診医にしっかりと申し送りを!(入院が必要な時はなるべく他病院に紹介するようにお願いする)

❻ 往診医のみではフォローが難しい場合は、自宅近くの病院にも紹介する(往診+通院 or バックベッドの形にする)。可能なら退院日同日の受診を促す。
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 病院側は退院を許可していないが、本人・家族が入院診療を拒否したため退院となった旨をカルテ記載する。

❽ 必要であれば念書の記入。

 

入院したくない

❶ 通院治療可能な状態かを考える
⇒ 通院治療が望ましくない場合は②へ

❷ 本人に入院治療を説得する。入院しない場合のリスクを十分に説明する
⇒ 説得できない場合は③へ

❸ キーパーソンに連絡し本人を説得していただく
⇒ 説得できない場合は④へ

❹ 本人を説得できなければ入院を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。

❺ 入院が説得できないことを上司に報告する。

❻ 入院治療を十分説得したが拒否された旨をカルテに記載する。

❼ 他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

 

ハイリスク患者の場合

❶ 本人に入院治療を説得する。入院しない場合のリスク、在宅死亡の可能性を十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡し、本人を説得してもらう。
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 本人を説得できなければ入院を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。

急変時DNARかどうかを確認する

❺ 入院が説得できないことを上司に報告し、医療安全にも相談する

自宅近くの他病院に紹介・転医する。もしくは往診医に連絡し往診に入ってもらう(MSWに介入依頼)。可能なら同日の受診を促す
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 他病院のあてがない場合は、宛名なしで診療情報提供書を作成し渡しておく。

❽ 病院側は入院を強く勧めたが、本人・家族が入院診療を拒否した旨をカルテ記載する。

❾ 必要であれば念書の記入。

 

※本来であれば、訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入したほうが良い(在宅死亡に対応するため)が、外来では在宅医療を導入する時間的余裕がないと思われる。

 

転院したくない、直接自宅に帰りたい

❶ リハビリや在宅調整の必要性、病院で長めの経過観察をした方が良いことを本人に説明を行う。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスクを十分説明し、納得いただければ退院の準備を進める
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼)
⇒対応はこちら

❺ 他病院への紹介/転医も必要なら検討する。(リスク回避のため)
※転医する場合は担当の先生にしっかりと申し送りを!

❻ 退院前カンファランスを行った後に退院。

 

ハイリスク患者の場合

❶ 病院で長めの経過観察をした方が良いことを本人に説明を行う。直接自宅退院をした場合の在宅死亡の可能性が高いことを十分に説明する。
⇒ 本人を説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合、もしくは在宅での看取りを希望の場合は③へ。

❸ 上司に報告し、必要なら医療安全にも相談する

❹ 患者本人とキーパーソンの両者に退院のリスク、在宅死亡の可能性を十分説明する。(自宅での看取りも選択肢
急変時対応がDNARであることを確認する納得いただければ退院の準備を進める。
⇒在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼する

訪問診療/訪問看護/介護サービス等を速やかに導入する。(MSWに介入依頼、在宅での増悪や死亡に対応するため)⇒対応はこちら

❻ 往診医のみではフォローが難しい場合は、自宅近くの病院へ紹介する(往診+通院 or バックベッドの形にする)。可能なら退院日同日の受診を促す。
※リスク回避のため自宅近くの他病院へ転医が望ましい。特に大学病院や病床制限のある急性期病院の場合は バックベッドとして機能しづらいこともあるため、長期療養が可能な他病院へ紹介する。
※担当の先生にしっかりと申し送りを!

❼ 退院前カンファランスを行った後に退院。

❽ 本人・家族にリスクを十分に説明の上で、在宅看取りも含めて退院となった旨をカルテ記載する。

 

在宅調整が整っていないが、とにかく早く自宅退院したい

❶ リハビリ転院し、在宅調整を行ったあとに自宅退院をすべきであることを説明する
⇒転院を拒否する場合は②へ

❷ 本人・キーパーソンと今後のお話をする
⇒それでも自宅退院を希望される場合は在宅調整のためMSW(在宅支援科)に介入依頼

介護保険がおりている場合はMSW(在宅支援科)からケアマネージャーに連絡し、必要なサービス導入を依頼する。(必要なサービスはこちら

介護保険がない場合はMSW(在宅支援科)に連絡し、一旦全額負担で介護保険を利用(暫定プラン)もしくは医療保険で最低限必要なサービス導入を依頼する。(必要なサービスはこちら

❺ 退院前カンファランスを行った後に退院。

 

通院困難の場合

  • 介護保険の申請
  • 往診医もしくは施設嘱託医にフォローを依頼し、通院間隔を延ばす
  • その他の介護サービスの導入も検討(介護サービスはこちら
  • 通院が全くできない場合は「在宅医療 or 嘱託医のいる施設へ入所」±「何かあったときのみ自宅近くの病院に入院(バックベッド)」の形にしておく
  • 療養型病院での療養も検討事項

※療養病院を探す場合は病院のMSWに相談する。施設を探す場合はケアマネージャーに連絡する。

※一旦入院して、リハビリ転院後に施設探し・在宅調整もあり!

 

家での生活が困難の場合

  • 介護保険の申請
  • 自宅での生活を希望される場合は、介護サービス導入(介護サービスはこちら
  • 療養型病院(医療区分あり)施設入所も検討する

※療養病院を探す場合は病院のMSWに相談する。施設を探す場合はケアマネージャーに連絡する。

※一旦入院して、リハビリ転院後に調整という選択肢もあり!

 

どうしても必要な検査や治療を拒否する場合

❶ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリットを十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 本人を説得できなければ、検査や治療を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことは傷害罪となるためできない。また無理矢理行うことで事故につながるため施行できないことを伝える)

❹ 繰り返し説得を続ける。

 

ハイリスクな状態の患者

❶ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリット・死亡する可能性を十分に説明する。また、危なくなってから検査・治療を始めたとしても間に合わない可能性があることも十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❸ 説得できないことを上司に報告し、医療安全にも相談する

❹ 本人を説得できなければ、検査や治療を強制することはできないことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことは傷害罪となるためできない。また無理矢理行うことで事故につながるため施行できないことを伝える)

❺ 急変時DNARを確認する

❻ もしも意識不明となった場合には、意思決定権はキーパーソンに移ることを説明する。
ただし、キーパーソンの意向で検査や治療を行うことは本人の意思に反する行為であり、倫理的に問題がある。また、意識不明の重体となった場合には救命することは困難である。仮に治療により回復したとしても、医療者の指示に従えず事故になりかねない。よって、意思決定権がキーパーソンに移ったとしても、方針を変えるのは現実的ではないことを説明する。

❼ 繰り返し説得を続ける。

 

意思疎通はとれるが、患者の判断能力がない又は疑わしい場合

❶ 判断能力の確認を行う 。 必要なら精神科にコンサルトし、判断能力の有無についてカルテ記載・治療などを依頼する。
⇒判断能力がなければ②へ

❷ 検査・治療の必要性を説明し、施行しない場合のデメリットを十分に説明する。
⇒説得できない場合は②へ

❸ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒ 説得できない場合は③へ。

❹ 判断能力がないため、キーパーソンに意思決定権は移ることを説明する。ただし本人を説得できなければ、基本的に検査や治療を強制することは難しいことをキーパーソンに説明し、御理解いただく。(無理矢理行うことで事故につながるため施行できないこと、身体抑制にも限界があるため処置を強制することは困難な場合があることを伝える)

 

介護サービス・訪問診療/看護の導入拒否

❶ 介護サービス・訪問診療/看護の導入の必要性を十分説明する
⇒導入拒否される場合は②へ

❷ キーパーソンに連絡・来院していただき、一緒に説得してもらう
⇒説得できない場合は③へ

❸ 必要になった場合にすぐに導入できるように、「介護保険の申請」と「ケアマネージャー」の決定を行っておく(MSWに介入依頼する

 

在宅死亡の可能性が高い場合

❶ 訪問診療/看護の導入の必要性を十分説明し、導入を説得する。
⇒ 説得できない場合は②へ

❷ 家族に訪問診療/看護の導入の必要性を説明した上で導入する。
※本人が拒否していても導入する(在宅死亡に対応するため)
※往診の際は家族が同席するようにする

 

訪問診療を導入せずに在宅死亡してしまった場合のデメリット
  • 救急車を呼んだ場合は「蘇生処置」を行われることになる(DNARにならない
  • 「救急隊が到着したときにすでに死亡している場合」や「かかりつけ以外に搬送され死亡した場合」は検視になる可能性が高い。(家族が警察の取り調べを受けることになる)
  • 基本的には問題にはならないが、場合によっては「保護責任者遺棄罪」が問題となったり、「解剖」になる可能性もある。

 

暴力・暴言の対応

❶ 暴力・暴言の理由を聞く。状況を対応したスタッフにも確認する。
⇒ 医療者側に問題がある場合には謝罪する。

❷ 強制退院にするかどうかを決める。
※看護師の意見も聞き、厳重注意に留めるか、強制退院にするかを決める。
※非常に悪質な暴力行為の場合は強制退院とする。

厳重注意の場合は❸へ

強制退院の場合は❹へ

❸ 本人・御家族に下記をIC

  • 本来であれば強制退院になりうる案件であるが、今回は厳重注意に留めている
  • 次回、暴言・暴力があった場合は強制退院とせざるを得ない
  • 当院の診療体制やスタッフが合っていないかもしれない、病院のシステム上柔軟に対応することが難しい、信頼関係が崩れた状態で診療を続けても良い医療を提供することが難しいかもしれない(医療はリスクを許容しながら行うものであるから)
  • 転医が望ましいと思われる。

❹ 主治医、医長、看護師長、医療安全など複数のスタッフでICを行う。

本人・家族に下記を説明する。
治療・入院に協力が得られない状態であり、スタッフの安全も確保できないため、治療継続が難しく強制退院となる。(他の医療機関でも治療は難しい可能性が高い)
今後は当院での診療は一切できないことを説明する。

⇒ ❺へ

❺ 診療情報提供書を作成し退院とする。
紹介元がある場合 ⇒ 紹介元に診療情報を作成し、申し送りも事前にしておく
紹介元がない場合 ⇒ 宛名なしの紹介状を作成、もしくは関連病院にお願いして紹介

 

治療に支障を来す精神疾患がある場合

❶ 治療・入院に協力が得られない状態であり治療継続は難しいことを本人・家族に説明する。

精神疾患の治療が優先であることを説明し、専門医療機関に紹介とする。

 

他病院に振りたいが、転医を拒否する患者

❶ 他病院でも対応可能な疾患であることを十分に説明するとともに、転医するメリットや当院でフォローするデメリットを説明する。(自宅から遠く管理が難しい、外来診療の待ち時間が長い、バックベッドとして機能しづらい等)

❷ それでも転医を拒否する場合は、病院掛け持ちも提案する ⇒ 徐々に他病院に移行する。

 

高度の慢性呼吸不全がある患者

❶ HOT使用中の患者で自宅生活できるのは、設置型酸素濃縮装置は7L使用まで、携帯用ボンベは、デマンドバルブなし(オキシマイザー使用中など)だと、労作時5~7Lまでが限界と思われる。(HOTについてはこちらを参照)

❷ 上記以上の酸素を使用中の患者については、病院での療養を勧める

❸ 病院で療養をしたくない患者の選択肢としては、1.労作時の低酸素を許容して生活する(突然死のリスクを説明の上で)、2.在宅医療(往診)に切り替える。家で酸素を7L以上使用したい場合には濃縮装置を2台並列で使用する。

 

家族に病状を言わないでほしい

❶ 治療を行う上で家族のサポートは必要不可欠であることを説明する。(家族に秘密で入院治療をすることは基本的に不可能である。また言わないことによって、後々家族と揉める結果となる場合があるため困る)

❷ 頑なに家族への連絡を拒否する場合は、その理由を聞く。家族がキーパーソンになりえないのであれば、他にキーパーソンになる人がいないか確認をする。

❸ 特別な理由がないにも関わらず、頑なに連絡を拒否している場合は、繰り返し説得を行う。基本的に家族に連絡しないというのは不可能である。

❹ 繰り返しの説得にも応じない場合は、個人情報保護の観点から勝手にお話することはできないため、状況をしっかりとカルテに記載する。治療を行う場合には上級医や医療安全にも相談して慎重に対応する。「生命、身体または財産の保護のために必要がある」と考える場合には、上級医や医療安全に相談の上で、本人の同意を得ずに家族にお伝えする。

 

親戚・知人・外部機関からの患者問い合わせ

追記します

 

保険外診療の病院への紹介状を依頼された

  • 保険外診療(民間療法)は科学的な根拠がないため、お勧めはできないことを説明する。
  • 民間療法の併用によって、標準治療に支障が出ると非常に危険であるため、同時併用はしないようにお願いする。
  • 同一疾患に対する混合診療は認められていない。よって紹介状の作成はできないことを説明する。(最悪の場合、保険医剥奪の可能性も。)
  • 情報が必要なら、受診先の病院から情報提供依頼をしてもらうように言う。

 

 

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気管切開

 

 

気管切開の適応

遷延性意識障害

✅長期の人工呼吸器管理

  • 挿管後1週間後に評価。呼吸状態/画像所見の改善が見込めない場合は気管切開を考慮する。
  • 少なくとも2週間後に抜管できない場合は気管切開を行う。
  • 抜管の基準についてはこちらを参照

✅上気道閉塞

✅繰り返す病態の場合(もともと誤嚥や痰詰まりを繰り返しやすい等)

 

気切孔を閉じる手順

  1.  まずは人工呼吸器を離脱(離脱の手順はこちらを参照) 
  2. 嚥下の評価を行う ⇒ 誤嚥のリスクが少なければ③へ
  3. 吸痰回数/排痰を評価する
    カフ上吸引が4時間に1回以下、自己排痰可能 ⇒ スピーチカニューレに変更
    ※窒息のリスクがある場合はスピーチカニューレへの変更は慎重に!
    ※スピーチバルブ装着時は呼吸状態の悪化に気をつける!
  4. カニューレの径を細くしていき、最終的にカフなしのカニューレに変更する。(レティナでも良い。)
  5. 呼吸が安定しているのが確認できたら、Capping trialを施行する(気切孔に蓋をしてみる)
    ※Capping trialについてはこちらを参照。(必ず入院下で行う
    ※キャップはスピーチカニューレのスピーチバルブをテープで塞ぐ、もしくはカフなしカニューレに内筒をいれる
  6. Capping trial前に胸部X線、血ガスを測定。Capping後は酸素化のモニタリングと血ガスのフォローを行う。
  7. Capping trial後も呼吸に問題がなければ、気切孔を閉鎖する。

 

 

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低Mg血症

 

 

鑑別疾患

 

検査

心電図心電図でQT延長、TdPを認める場合は循環器内科コンサルト

被疑薬の変更・中止

✅採血、Alb、K、Ca、P、Mg、ALP、Amy、BUN、Cr、血糖、HbA1c、TSH、FT4、尿中Mg(蓄尿)、尿Cre

*FEMg=(尿Mg/血清Mg×0.7)/(尿Cre/血清Cre)、2%以上で腎排泄亢進。

✅必要に応じて、iPTH(またはwhole PTH)、頸部エコー。

✅アルドステロン症を疑う場合は、血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性。

 

治療

注射

硫酸Mg補正液1mEq/ml 20ml+生食100mlを60分以上かけて投与。

Mg<1.0mg/dLの時

硫酸マグネシウム4~8g(32~64mEq)を点滴

⇒Mgが正常化するまで硫酸マグネシウム4g/日で補充

Mg1.0~1.5mg/dLの時(イオン化マグネシウム<0.5mmol/Lの時)

硫酸マグネシウム1~3g(8~24mEq)を点滴

⇒その後は適宜追加

痙攣や不整脈を発症している場合

硫酸マグネシウム1~2g(8~16mEq)を5分以上かけて緩徐に静注。

(または生食50mlに溶解し15分かけて点滴)

その後、1~2g(8~16mEq)/hrで適宜補充

 

 

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ICのテンプレート

 

 

ICのルーチンチェックリスト

入院時ICチェックリスト

原則キーパーソンの来院必須

キーパーソンがすぐに来れない場合:なるべく早めに一度は来院するようにお願いする。
*特に高齢者や未成年の場合はICと病院手続きが必要になる。
*病状が軽症で本人がしっかりした成人であれば来院は必須ではないかも・・・

✅病状説明(状態不安定・状態不良の場合は必ずキーパーソンに来院してもらう

✅今後の治療方針(特に重要な話をする場合はキーパーソン来院必須
*キーパーソンがすぐに来れない場合:緊急性が高い場合は電話でICを行い治療同意を得る。

急変時の対応確認必ずキーパーソン来院の上でICする

治療の同意書
(抑制、気管挿管、Aライン、中心静脈、造影CT、輸血、ステロイド、化学療法、その他の検査・治療の同意書など)

✅キーパーソンの変更が必要かどうか(特にキーパーソンが高齢の場合)

✅今後のICは原則「本人」と「キーパーソン」のみとすること。他の家族が話を聞きたい場合には必ずキーパーソンと一緒に来院してもらう。
(家族全員にそれぞれICするのは時間がかかりすぎる、色々な人にICをすると話が食い違う可能性がある、治療方針がまとまらない可能性がある、等の理由から)

✅他の家族と必ず情報共有を行い、家族内の意見を統一するようにお願いする。

✅夜間帯や休日は宿直医が対応する場合があること

✅病状が改善しても、ADLが低下している場合には転院になること。

✅転院先は希望通りにならない可能性があること。

 

重症患者ICセット

 ICU入室を検討

② シビアムンテラ 
*家族様にいつでも連絡がつくようにお願いする
*会わせたい人には早めに連絡をしてもらう
必要なら他科の先生ともIC
必要なら転科もお願いする

③ 今後起こりうる合併症は?その対応は?

④ 急変時DNARの確認
*挿管やBIPAP、NHFの禁忌がないか確認
*フルコースの場合:気胸のリスク、抜管困難、気管切開の説明
 ⇒ 病棟に予め挿管の準備を!、ICUに事前に連絡も!
*DNARの場合:どこまでやる?NHF?BIPAP? 気胸のリスクやせん妄でつけれない可能性を説明
 ⇒ 病棟に予めNHF/BIPAPの準備を!、ICUに事前に連絡も!

⑤ その他の治療をどこまでやる?(慢性呼吸不全のBIPAP、終末期の輸血や透析の差し控え等)

⑥(DNARの場合)状態悪化時には早めに連絡するように心掛けるが、御家族様が到着するまでに間に合わない可能性もあることを説明

⑦ 治療の同意書
(抑制、気管挿管、Aライン、中心静脈、造影CT、輸血、ステロイド、化学療法、その他の検査・治療の同意書など)

⑧ 緩和の説明・同意書(ステロイドも含めて)

⑨ 終末期の付き添いの許可(指示簿記載)

当直医に引き継ぎ必要ならICUドクターにも申し送り

⑪ 指示簿にCall基準を記載

 

退院時ICチェックリスト

■自宅退院の場合

*経過が良好であれば電話でICでも可。

*家族の希望があれば退院時に対面でIC。

✅現在の状態の説明・今後の方針

 

■転院の場合(キーパーソンの来院必須

✅現在の状態の説明・今後の見通し

急変時対応の再確認(療養型病院へ転院の場合はDNARの確認が必要)

今後のフォロー先(自分の病院でフォローするのか、転医するのか?)

転院先で悪くなったら再転院するのか?
・再増悪した場合に転院をする適応はあるか?
・転院搬送が本人の負担やリスクにならないか?(特に療養型病院に転院する患者)

✅原則、家族の付き添いが必要になる(病院手続きが必要だから)

 

同意書の取得の手順

 

DNARのICのテンプレ

超高齢者、終末期患者の場合

「現在の病気が進行した場合」は急変の可能性があります。また年齢や基礎疾患を考えると、いつ何が起きてもおかしくはない状態であると思います。急変時の対応についてお話しておく必要があります。具体的には心拍が弱くなった時に心臓マッサージ、呼吸が悪くなったときに挿管・人工呼吸器をするかどうかについてです。(所謂、延命治療と呼ばれているものです)⇒ 現時点でそこの部分についてお考えはありますか?

率直に言いますと、現在の患者さんの状態を考えると、これらの積極的延命処置はデメリットが大きく推奨されないと考えます。

理由としては

1.これらの処置は本人様への負担が非常に大きい処置です。
端的に言うと、短期間だけ延命できる可能性と引き換えに体をボロボロにしてしまう処置です。ですので、回復の余地があまりない場合はやらない方が良い処置です
(心臓マッサージは体に強い侵襲を加える処置であり、肋骨骨折や肺挫傷などの合併症が起こります。気管挿管も非常に苦痛を伴う処置であり、鎮静薬・鎮痛薬を使用して昏睡状態にさせる必要があります。意思疎通が取れなくなり、喉に管を入れるため声も出せなくなります。)

2.~様の場合、仮に延命したとしても、状態的に追加できる検査や治療が限られてしまうため、手の施しようがない状態になることがほとんどです。むしろ、人工呼吸器の合併症(気胸、VAP、離脱困難など)により、予後を短くしてしまう可能性もあります。現在では鼻やマスク型の人工呼吸器(NHFやNIPPV)を使用することで、挿管管理に近い状態までもっていけるため、やるならそういった方法の方が望ましいのではないかと考えます。

3.ですので、改善の余地がある場合(≒短期間で治る可能性が高い状況)は別として、基本的には状態が悪くなった場合には、そういった処置は行わずに、本人に負担のない範囲の治療で経過をみさせてください。必要なら緩和治療なども併用していきます。

 

不可逆性疾患の場合

現在の治療を行っても病気が進行する可能性もあり、その場合は急変の可能性があります。いつ何が起きてもおかしくはない状態であると思います。急変時の対応についてお話しておく必要があります。具体的には心拍が弱くなった時に心臓マッサージ、呼吸が悪くなったときに挿管・人工呼吸器をするかどうかについてです。(所謂、延命治療と呼ばれているものです)⇒ 現時点でそこの部分についてお考えはありますか?

率直に言いますと、現在の患者さんの状態を考えると、これらの積極的延命処置はデメリットが大きく推奨されないと考えます。

理由としては

1.これらの処置は本人様への負担が非常に大きい処置です。
端的に言うと、短期間だけ延命できる可能性と引き換えに体をボロボロにしてしまう処置です。ですので、回復の余地があまりない場合はやらない方が良い処置です
(心臓マッサージは体に強い侵襲を加える処置であり、肋骨骨折や肺挫傷などの合併症が起こります。気管挿管も非常に苦痛を伴う処置であり、鎮静薬・鎮痛薬を使用して昏睡状態にさせる必要があります。意思疎通が取れなくなり、喉に管を入れるため声も出せなくなります。)

2.~様の場合、現時点で最大限の治療を行っており、仮に延命したとしても、追加できる検査や治療がなく、手の施しようがない状態です。むしろ、人工呼吸器の合併症(気胸、VAP、離脱困難など)により、予後を短くしてしまう可能性もあります。現在では鼻やマスク型の人工呼吸器(NHFやNIPPV)を使用することで、挿管管理に近い状態までもっていけるため、やるならそういった方法の方が望ましいのではないかと考えます。

3.ですので、改善の余地がある場合(≒短期間で治る可能性が高い状況)は別として、基本的には状態が悪くなった場合には、そういった処置は行わずに、本人に負担のない範囲の治療で経過をみさせてください。必要なら緩和治療なども併用していきます。


<人工呼吸器による合併症>
回復に時間がかかると意識が戻らなくなる(低酸素脳症)、人工呼吸器が外せなくなったり(呼吸筋萎縮や肺への後遺症による人工呼吸器離脱困難/遷延性意識障害による呼吸停止)など、俗にいう『植物状態となることがある。他には気管切開の可能性、気胸、人工呼吸器関連肺炎、寝たきり等

 

リハビリ転院のICのテンプレ

①病状が安定しましたが、自宅退院は難しい状態です(病状不安定、ADL低下など)。

②リハビリ転院が必要と考えています。

③リハビリ転院の期間は2~3ヶ月程度です。その期間、短期集中でリハビリを行い、自宅退院を目指すことになります。

④自宅退院を目指しますが、リハビリの効果には個人差があるため、必ず上手くいくとは限りません。自宅退院が難しい場合は施設退院や療養型病院への転院が必要になります。

 

このまま急性期病院でリハビリをしたいです。

急性期病院には病状が不安定な患者様が他にも沢山いるため、リハビリに重きを置いたケアに十分な時間を充てることができません。そのため、リハビリ目的の転院が患者様にとって良いと考えます。
(積極的な治療が終了したら、転院が必要になります。病院にはそれぞれ役割・適応があります。積極的な治療が終了したら、他の患者様のためにベッドを譲っていただく必要があります。他の患者様の治療機会を奪うことになるため転院が必要です)

 

転院先で悪くなった場合にまた戻っても良いですか?

急性期病院での治療が妥当であれば、勿論、急性期病院への転院が適応になりますが、希望したからといって、すべての患者様が転院できるわけではありません。(例えば肺炎を起こしたとか、食事が摂れない、リハビリが進まないなど、他の病院でも対応できるものについては、その病院で対応していただきます。転院してもやれることは基本的に違いはありませんし、他の患者様の治療機会を奪うことにもなるため、転院はできません。)

また非常に状態が不安定な状態となった場合には、転院搬送自体がリスクを伴う場合もあり、その場合は転院が困難になる場合もあります。

 

療養型病院への転院のICのテンプレ

①自宅退院は非常に困難な状態です。

②自宅や施設での管理は難しく、療養型病院での経過観察が望ましいと考えます。

③状態もそこまで良い状態ではなく、今後も繰り返す可能性が高い状態であるため、再度悪化した場合に対応していただけるように療養型病院への転院が望ましいと考えています。安定すれば施設なども考慮されるかもしれません。

必要に応じて以下を追加説明

④今からお話することは、転院する患者様皆様に説明している注意事項ですが、説明させていただきます。(これを説明していないと転院先の先生が困る可能性があるのでお話します。)

DNARのIC

⑥高齢・基礎疾患もあるため、転院先で全身状態が悪くなる可能性があります。

⑦現在の状態から短期間で再燃するような場合には、残念ながら医療の限界の可能性が非常に高いと考えています。そのような状態では、病院に転院搬送すること自体もリスクになりえますし、転院してたくさん検査したり、管を入れたりすることが、本人にとって大きな負担になると考えます。治療に関しても、療養型病院と急性期病院でそこまで大きな違いはないと考えます。状態悪化時は転院先で可能な範囲内で行うのが望ましいと考えています。

 

このまま急性期病院で入院させたいです。

積極的な治療が終了したら、転院が必要になります。病院にはそれぞれ役割・適応があります。積極的な治療が終了したら、他の患者様のためにベッドを譲っていただく必要があります。他の患者様の治療機会を奪うことになるため転院が必要です。

 

療養ではなく、リハビリ転院がしたいです

リハビリ転院は自宅退院を目標に2~3ヶ月のリハビリを行うものになります。現在の状態では、そもそもリハビリができる状態ではないため、リハビリ転院は現実的ではないと思います。

 

リハビリをしたら食べれるようになりませんか?

現在の状態でご飯を食べれるようになる可能性は低いです。嚥下リハビリはご飯を食べない人に行うものではなく、ご飯は食べれるけど嚥下障害がある患者に行うものです。

 

急変時のBIPAPやNHFはどうしたら良いですか?

今回はギリギリの状態でなんとか救命できました。しかし全身状態の低下のため療養型病院へ転院することとなりました。非侵襲的人工呼吸器については、全身状態の低下や痩せが進んだ患者は外せなくなる可能性が高くなるため、今後は適応にならないと考えています。(外せなくなると御飯も食べれなくなります)。きつい状態が続く可能性が高く、今後の使用はオススメできません。呼吸状態悪化時は本人に負担のない範囲内で行うのが良いと考えます。

 

老衰・誤嚥性肺炎のターミナルのICのテンプレ

こちらを参照

 

 

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呼吸器内科の術前評価

 

 

一般的な術前評価

  • 一秒量<1000ml、%VC 50%未満、%DLCO<50%、H-J Ⅲ度以上ではハイリスク(術後抜管困難になる可能性や合併症の増加)
  • 一秒量が800ml未満もしくはFEV1.0が600ml/m2未満の場合は抜管困難になるリスクが非常に高く、手術は原則お勧めできない。
  • 禁煙指導:禁煙は1か月以上の禁煙が望ましい。(最低でも2週間は禁煙)

 

コンサルテーションの返信例

一秒率が800~1000ml以下の人、%VC<50%、%DLCO<50%の人

~様は~のように呼吸機能の低下があり、術中の酸素化低下によるトラブルや抜管困難のリスクは非常に高いと考えます。本人・御家族様にリスクを十分に説明し、麻酔科とも相談の上で、手術を行うかどうかを御検討ください。

 

一秒率が1000~1200ml程度の人(%VCや%DLCOは50%以上の人)

~様は~のように呼吸機能の低下があります。手術は可能と考えますが、手術による肺炎や気道トラブルが起こった場合には抜管困難になる可能性があり、同年代の健常者と比べるとややリスクは高いと考えます。

 

呼吸機能ができない人や寝たきりの患者の評価方法について

✅肺に病変がないかを必ず確認する

✅歩けるならH-Jの分類を評価する(Ⅲ度以上ではハイリスクと考える)

✅歩けるなら労作時の酸素化低下を確認(労作時SPO2<90%はハイリスクと考える)

✅血ガスを評価する(pO2<60未満、pCO2貯留はハイリスクと考える)

  • 正確な評価はできないが、同年代の人と比べると抜管困難や術後肺炎などのリスクがやや高い。リスクを説明の上で手術を御検討ください。と必ず説明する!

 

抗酸菌感染症が否定できない場合の術前評価・対応について

緊急手術が必要な場合
  • 抗酸菌が非常に疑わしい場合には感染制御部に相談の上でN95マスク対応で手術を検討する。

 

抗酸菌の可能性は低いと思う場合
  • 3連痰塗沫・培養を施行し、塗抹陰性であればOK。
    可能ならIGRAまで確認したほうが無難
  • 塗抹陽性であればPCRを確認する。結核PCR陰性であればOK。

 

陳旧性が疑わしい場合
  • 3連痰塗抹・培養を施行し、塗抹陰性であればOK。

 

活動性結核がかなり疑わしい場合
  • 3連痰塗沫・培養とIGRA提出する。
  • 塗抹陽性であればPCRを確認する。結核PCR陰性であればOK。
  •  IGRA陽性・塗抹陰性であれば術前に気管支鏡検査まで検討する。
    術前に気管支鏡検査ができない場合は感染制御部に相談の上でN95マスク対応で手術を検討する。

 

結核が陽性となってしまったら
  • 基本的には手術を延期して結核の治療を優先
  • 手術延期が望ましくない場合は感染制御部に相談の上でN95マスク対応で手術を検討する。

 

COPD患者の術前評価

  • 一秒量が1.5L以下、COPDのⅢ期以上の人は治療強化を行う。
  • 一秒量<1000ml、%VC 50%未満、%DLCO<50%、H-J Ⅲ度以上ではハイリスク(術後抜管困難になる可能性や合併症の増加)
  • 一秒量が800ml未満もしくはFEV1.0が600ml/m2未満の場合は抜管困難になるリスクが非常に高く、手術は原則お勧めできない。
  • 禁煙指導:禁煙は1か月以上の禁煙が望ましい。(最低でも2週間は禁煙)

 

気管支喘息の術前評価

  • 禁煙指導:禁煙は1か月以上の禁煙が望ましい。(最低でも2週間は禁煙)
  • 気管支喘息の無治療患者は、現在コントロール良好であったとしても吸入ステロイドを開始する。(短期間であっても使用したほうが良い)
  • 症状コントロール良好であれば、リスクを説明した上で手術可能と判断する。
    コントロール良好であっても、一秒率が70%以下の場合は吸入薬を術前のみステップアップする。
  • 症状コントロール不十分・不良の場合(一秒率が自己ベストの80%未満)は、治療をステップアップするとともに、PSL 0.5mg/kg内服(ステロイドバースト)を3~7日間を使用してもよい。
  • 術前の1~2週間は発作や感染症がないことを確認する。
  • 術前6か月以内に全身ステロイドを使用した患者は、術前24時間にソルコーテフ100mgを8時間毎、術中にソルコーテフを100mgを8時間毎に投与する。術後24時間以内にoffへ。

 

間質性肺炎の術前評価

追記します。

 

肺外科の術前評価

追記します。

 

 

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