とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

咽頭痛

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鑑別

①~③の順番で考える

①まずは5Killer sore throatの鑑別!➼Red flag signの確認!

扁桃周囲膿瘍、咽後膿瘍、急性喉頭蓋炎、Ludwig’s angina、Lemierre症候群

②次にCentors Criteriaを確認

 ➼陽性(2~3点以上)であれば溶連菌迅速抗原検査!

③ウイルス性咽頭炎感冒)、インフルエンザ、COVID-19、伝染性単核球症など

 

鑑別の絞り込み!

★Red flag sign

呼吸困難、開口障害、唾液嚥下困難(流涎)、人生最悪の痛み、muffed voice(こもった声)、水よりも固形物が飲み込みにくい、嗄声、見た目は軽度なのに痛みが強い、口蓋垂や軟口蓋の偏移

★Centors Criteria

体温≧38度          +1

咳嗽なし           +1

白苔を伴う扁桃発赤      +1

圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹 +1

15歳未満           +1

45歳以上           -1

 

1点以下:抗菌薬不要

2~3点:溶連菌迅速検査

4点以上:抗菌薬治療

 

☆周囲のシックコンタクト

☆10~20代、べっとりとした白苔、後頚部リンパ節腫脹、肝脾腫、異型リンパ球上昇、肝機能異常など ⇒ 伝染性単核球症を想起!

 

検査

Red flag signがある場合は造影CT喉頭高圧側面像(急性喉頭蓋炎の評価) ⇒ 耳鼻咽喉科コンサルト

✅採血(肝機能を含めて)、CK、TSH、FT4

✅Centors criteria 2点以上 ⇒ 溶連菌迅速抗原検査

感冒疑い(特に基礎疾患の少ない外来患者)の場合はインフルエンザ迅速抗原、SARS-CoV-2 PCR等を提出 ⇒ 異常なければ対症療法で経過観察

伝染性単核球症疑い(白苔を伴う扁桃腫大、異型リンパ球、リンパ節腫脹、肝機能障害):VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、CMV IgM/IgG

耳鼻咽喉科コンサルト検討

✅症状が強く細菌感染が非常に疑わしい場合は経験的抗菌薬投与も検討(咽頭ぬぐい培養を提出

 

その他の鑑別疾患

アデノウイルス流行性角結膜炎プール熱)、手足口病ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルスA6/16、エンテロウイルス71)、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルスマイコプラズマ逆流性食道炎食道カンジダ急性心筋梗塞(関連痛)亜急性甲状腺、縦隔気腫、後鼻漏、食道異物や腫瘤、扁桃病巣感染症、その他の特殊な感染症HIVクラミジア、リケッチア、トキソプラズマ

咽頭炎のない咽頭

亜急性甲状腺炎、無顆粒球症、石灰沈着性頸長筋腱炎、急性冠症候群、大動脈解離、逆流性食道炎、成人Still病など。

 

追加検査

咽頭培養、FT4、TSH、アデノウイルス迅速検査、心電図、マイコプラズマLAMPマイコプラズマIgG・IgMHSV-IgM、CMV IgM/IgG、副鼻腔+胸部CT(造影も)、耳鼻科ファイバー・上部消化管内視鏡咽頭の観察や逆流性食道炎、食道カンジダ)、HIV抗体検査

 

溶連菌感染症の治療

  • アモキシシリン250㎎ 4CP分2 10日間

(リウマチ熱や膿瘍合併予防のため必ず10日間完遂すること!)

 

伝染性単核球症が否定できない場合

 

ペニシリン系やセフェム系のアレルギーがある場合

  • クリンダマイシン900㎎分3 10日間
  • レボフロキサシン500㎎分1 10日間

 

対症療法

トランサミン250㎎ 3錠分3 毎食後

イソジンうがい

カロナール200㎎2錠 頓用

④桔梗湯 2.5g 3包分3 毎食前 ぬるま湯に溶かしてうがい後に内服

SPトローチ

 

 

 

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