とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

意識障害

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オーバービュー

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鑑別

A

アンモニア

アルコール

肝性脳症、アルコール中毒、アルコール離脱、ウェルニッケ脳症
I Insulin 低血糖DKA、HHS
U Uremia 尿毒症
E

Encephalo

Encephalitis
Electrolytes
Endocrine
Embolization

脳出血脳梗塞、高血圧性脳症、脳炎(感染性、自己免疫性)、髄膜炎、脳腫瘍
電解質異常
甲状腺クリーゼ、粘液水腫性昏睡、副腎クリーゼ、ビタミン欠乏、悪性症候群セロトニン症候群
TTP、脂肪塞栓、IVL
O オピオイド
Overdose
O2
CO2

オピオイド
薬物中毒
低酸素血症、CO2ナルコーシス、一酸化炭素中毒

T

Trauma
Temperature
Tumor

脳挫傷、頭蓋内出血
低体温、高体温
脳腫瘍、癌性髄膜炎、転移性脳腫瘍、腫瘍随伴症候群
I Infection 中枢神経系感染症、敗血症
P Psychogenic
Pharmaceutical 
Porphyria
転換性障害(ヒステリー)、低活動せん妄統合失調症(カタトニー)、うつ病
薬剤(睡眠導入剤の過剰、薬剤性脳症)
ポルフィリア
S Seizure
Stroke
Shock
Syncope
けいれん、てんかん非痙攣性てんかん重積(NCSE)
脳出血脳梗塞、脳静脈洞血栓症
循環不全
失神

 

ABCの安定化

★ABCの安定化が最優先事項!!

✅特にGCS≦6(外傷ではGCS≦8)の場合は気道不安定と考え、気管挿管を検討する!

✅頭部外傷の場合には「切迫するD」を確認する。

 

切迫するD

”まいど”で覚える!(ま:麻痺、い:意識、ど:瞳孔)

①GCS≦8

②急速に進行する意識低下(GCS 2点以上の低下)

③ヘルニア徴候(瞳孔の左右差、眼球偏位、片側麻痺、高血圧徐脈(クッシング徴候))

 

☆切迫するDがある場合はABCを安定化させたら、すぐに頭部CT!!

 

Do DON'T

  • D:dextrose ブドウ糖静注
  • O:oxygen   酸素投与
  • N:naloxone   ナロキソン静注(BZ系の拮抗薬はアネキセート)
  • T :thiamine ビタミンB1アナフィラキシーにならないように緩徐に静注する!)

 

※ナロキソンの使い方

ナロキソン(0.2mg/A)を1A+生食9mlでTotal10mlとし、呼吸数が改善するまで1分毎に1mlずつivする。

※アネキセートの使い方

 アネキセート0.5㎎/Aを半筒iv+半筒をメインに混注。

 

検査

✅血算、生化、凝固、Na、K、Cl、Ca、Mg、P、FT4、TSH、アンモニア・プロラクチン(痙攣・てんかん発作の評価)

血ガス

血糖の評価

✅尿検査

✅頭部CT(全身CTで良い)

✅頭部CTで分からない場合は頭部MRI

✅心電図

薬剤の確認・中止・変更(睡眠導入剤オピオイド、薬剤性脳症の原因薬剤、抗うつ薬セロトニン症候群など)

*薬剤性脳症:MTX、抗菌薬、抗てんかん薬、テオフィリンなど

カルガリー失神・痙攣スコア(失神の項目を参照)、抗てんかん薬の血中濃度測定

ルンバール

✅必要に応じてトライエージ、血中エタノール濃度、アームドロップテストなど

追加検査

✅分からなければ神経内科コンサルト

頭部MRIルンバール

✅ACTH、コルチゾール

ビタミンB1ビタミンB12

EEG(神経内科コンサルト)、非痙攣性てんかん重積(NCSE)の可能性は?

✅自己免疫性脳炎の評価:CNSループス、橋本脳症(抗NAE抗体)、傍腫瘍症候群(PNS抗体セット)、自己免疫性介在性脳炎(抗神経細胞表面抗原抗体)

精神科コンサルト(低活動性せん妄の除外)

ポルフィリン症の鑑別(尿中PBGやALA)など

 

 

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