とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

麻痺・脱力

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フローチャート

突発性の発症の場合
  • 片側性

 

  • 両側性

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亜急性~慢性の経過の場合

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  • 単麻痺

 

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脊髄病変・末梢性病変:運動障害+感覚障害

神経筋接合部疾患・筋疾患・運動ニューロン疾患:純粋運動障害

 

検査

神経内科脳神経外科コンサルト(脳卒中の場合は必須)

✅血算、生化、低血糖の除外、凝固、電解質(K、Mg、Ca)、Amy

血ガス(PHの評価、電解質の評価、てんかん発作の可能性は?⇒必要ならEEGまで

感染症の除外(感染による脱力)

MMT評価

✅画像検査

片麻痺:頭部CT/頭部MRI ⇒ 脊髄CT/脊髄MRI

対麻痺四肢麻痺:頭部+脊髄CT ⇒ 脊髄MRI

単麻痺:頭部CT/脊髄CT ⇒ 頭部MRI/脊髄MRI(急性発症の場合は頭>脊髄)

全身性の脱力:頭部CT/MRI、感染の除外

※単麻痺の場合に脳卒中を疑うポイント

  1. 急性発症
  2. 末梢性に矛盾する神経所見
  3. 口周りのしびれ:手口症候群(pure sensory stroke)

✅症状が改善傾向の場合はTIAの評価を行う(ABCD2スコア、MRI、MRA、頸動脈エコー、心電図、心エコー)

多発性硬化症や脊髄炎などの脊髄病変を疑う場合脊髄造影MRI ⇒ 2次性の評価目的でESR、CK、ビタミンB12葉酸、TSH、FT4、免疫グロブリン、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBVなど。ADEMの原因となる)、自己免疫疾患による横断性脊髄炎の評価(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B)、MPO-ANCA、PR3-ANCA、ACE、可溶性IL-2R、抗カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテイン、ループスアンチコアグラント、抗アクアポリン4抗体、MOG抗体、HTLV-1抗体、傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)など。

神経根障害を評価する場合は脊椎X線(前屈位・後屈位)と脊髄MRI整形外科コンサルト

絞扼性神経障害の評価する場合は障害部位のMRI、神経伝導速度検査 ⇒ 整形外科コンサルト

血流障害の評価をする場合はABI、造影CT ⇒ 循環器内科コンサルト

多発神経障害を疑う場合

スクリーニング:HbA1c被疑薬の変更・中止電解質(K、Ca)、ビタミンB1/6/12、葉酸、銅、TSH、FT4、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)、IgG4、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークがあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)

追加検査:膠原病性ニューロパチーの評価(赤沈、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、MPO-ANCAPR3-ANCA、抗ARS抗体)、ACE、可溶性IL-2R、血清SAA、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBV、HTLV-1など)、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)。傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、自己免疫性が疑われる場合は各疾患の抗ガングリオシド抗体、MAG抗体/SGPG抗体等を提出する。必要に応じて脊髄造影MRI(上位運動ニューロン障害の除外)、神経生検(血管炎、アミロイドーシス、サルコイドーシスなど、腓腹神経の生検)を提出する。

その他:家族性アミロイドーシス、CMT、遺伝性圧脆弱性ニューロパチーの遺伝子検査など。

多発単神経障害を疑う場合(血管炎等を中心に検査を行う)

スクリーニング:HbA1c免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)、IgG4、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークがあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、膠原病性ニューロパチーの評価(赤沈、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、MPO-ANCAPR3-ANCA、抗ARS抗体)、ACE、神経伝導速度検査、体性感覚誘発電位(SEP)、神経生検(血管炎、アミロイドーシス、サルコイドーシスなど、腓腹神経の生検)

追加検査:可溶性IL-2R、血清SAA、ウイルス感染の除外(HIV、B肝・C肝、CMV、EBV、HTLV-1など)、ルンバール(髄液オリゴクローナルバンド:髄液中の抗体の有無を評価、IgG indexの測定)。傍腫瘍性が疑われる場合はPNS抗体(傍腫瘍性神経症候群)、自己免疫性が疑われる場合は各疾患の抗ガングリオシド抗体、MAG抗体/SGPG抗体等を提出する。必要に応じて脊髄造影MRI(上位運動ニューロン障害の除外)を提出する。

近位筋優位の脱力の場合は、MMT評価、CKアイソザイム、アルドラーゼ、針筋電図、筋肉MRI、重症筋無力症の検査(抗アセチルコリン受容体抗体、Musk抗体、胸腺の評価、テンシロンテスト)、TSH、FT4。炎症性筋疾患が疑われる場合には炎症性ミオパチーの項を参照。悪性腫瘍が疑われる場合抗VGCC抗体。その他のミオパチーの鑑別(神経内科コンサルト)。

✅運動ニューロン疾患の評価(ALS等)

✅薬剤歴の確認 ⇒ 被疑薬の変更・中止。

 

脳梗塞の初期対応まとめ

フローチャート

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※DWI/FLAIRミスマッチ:DWIで高信号であるが、FLAIRでは描出されない所見。4.5時間以内の発症であると判断ができる。

 

NIHSSスコア

きちんと評価するためには訓練が必要。

評価の仕方はこちらのリンクを参照(分かりやすく解説されています)

 

ASPECTS-DWI

✅中大脳動脈領域の虚血性変化をスコアリングしたもの

✅中大脳動脈領域を10カ所に区分し、10点満点から減点式で算出する(DWIが高信号であれば0点、高信号がなければ1点)

✅一般的にASPECTS-DWIが6点で中大脳動脈領域の1/3に相当する。(逆に1/3を超える広範囲の脳梗塞の場合、t-PAは出血のリスクが高まるため推奨されない)

 

左:CTでレンズ核視床を通る断面

右:上記より約2cm頭側でレンズ核が見えなくなった最初の断面

 

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t-PAの適応

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(引用:https://furuta-neurology.com/2020/06/01/stroke-t-pa/

 

ABCD2スコア

4点以上の場合は原則入院し、脳神経外科で精査・加療を行う。

3点以下であっても疑わしい場合は脳神経外科コンサルト。

やむを得ず外来フォローする場合はバイアスピリンを経験的に処方することが多い。

 

 

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