とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

感染症の検査と臨床判断

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プロカルシトニン

*そこまで感度が高い検査ではないので、陰性だからといって安易に抗菌薬不使用を選択するのは危険。

★個人的には検査前確率が低い状況で0.15ng/ml以下の場合は細菌感染症は否定的と考えている。

✅0.5未満では敗血症は否定的だが局所の細菌感染症の可能性がある。

✅0.5以上で敗血症の可能性あり

✅2.0以上で敗血症の可能性が高い

 

肺炎球菌抗原

✅肺炎に対する感度は70%~80%程度。抗菌薬投与後でも陽性所見が得られる。

✅1回陽性になったら、数週間は陽性になる

⇒高齢者で何回も肺炎になっているような人には解釈に注意が必要。若者の場合は臨床診断として良い。

 

レジオネラ抗原

✅感度・特異度ともに90%以上。

✅通常の尿中抗原では血清型1型しか陽性にならない。

⇒「リボテスト レジオネラ」であれば1型~15型を検出できる。

 

レジオネラ肺炎の予測因子

✅体温>39.4度

✅喀痰がない

✅血清ナトリウム<133mEq/L

LDH>255IU/L

CRP>18.7mg/dL

✅血小板<17.1万

それぞれを1点として合計点を計算。

0~1点:レジオネラ肺炎の確率3%、4点以上:レジオネラ肺炎の確率66%

 

マイコプラズマ迅速抗原

✅インフルエンザ抗原と同じで陽性であれば確定として良い。ただし感度が低い。

✅臨床診断にはペア血清とLAMP法を提出する方がBetter。

 

CDチェック

CDチェックの解釈を参照。

陰性化チェックの意味はなし。

 

β-Dグルカンと真菌の経験的治療

✅著明高値であればPCP、アスペルギルス、カンジダなどによる深在性真菌感染症を疑う!

✅単に高値だけで経験的治療をすることはほとんどない。

例外としてPCPIPAカンジダ菌血症は疑いの段階で経験的治療も検討する

✅クリプトコッカスとムーコルは陰性になる。

 

PCP肺炎を疑う場合

PCP肺炎疑いの画像所見がありβ-Dグルカンがカットオフ以上であれば経験的治療を開始してもよい。

ファンギテックで23.2、ワコーで31.1以上なら特異度高い。

✅可能なら気管支鏡検査施行が望ましい(BALと洗浄液のディフクイック染色、培養。出来ればPCRも。)

✅気管支鏡ができないのであれば誘発喀痰の鏡検と培養、できればPCRも提出。

(喀痰PCRはコロナイゼーションも多いため注意。またPCRは保険適応外

 

アスペルギルス症を疑う場合

■侵襲性肺アスペルギルス症IPA)の場合

IPA予後不良であるため、「疑わしい画像所見」、「アスペルギルス抗原陽性」、「喀痰の鏡検・培養で糸状菌陽性」があれば経験的治療を開始する!

IPAの場合はラクトマンナン抗原の方が感度・特異度共に高い。

 

■慢性肺アスペルギルス症(CPPA、SPA)の場合

✅慢性肺アスペルギルスの症例では上昇しにくいため、20をカットオフとしても特異度はかなり高い。ただし感度がものすごく低い、他疾患でも上昇するため、基本的には参考程度の検査となる。

✅CPPA、SPAの可能性がある画像所見がある場合はβ-Dグルカンが弱陽性でも積極的に疑って気管支鏡などによる精査、もしくはβ-Dグルカンのフォローアップが必要となる。

 

カンジダ菌血症を疑う場合

✅30以上(MK法)で感度90%以上、カンジダスコア2.5点未満で陰性的中率98%

✅「抗菌薬不応の好中球減少時の発熱」「ICUなどの重篤な患者」の場合はβ-Dグルカンとカンジダスコアを参考にエンピリック治療も考慮する!

✅重症例では複数箇所のカンジダのコロナイゼーションがあれば経験的治療に踏み切る

✅エンピリック治療はミカファンギン。最低でも2週間は継続する。

→マーカー低下したら投与終了 。 治療効果がない場合は中止を検討する。

(IDSAの真菌感染症ガイドラインより)

 

カンジダスコア

✅中心静脈栄養(1点)、✅手術(1点)、✅複数部位のカンジダ定着(1点)、✅重症敗血症(2点)

合計点2.5点以上を陽性とする。

 

β-Dグルカンが偽陽性となるもの

偽陽性が疑わしければ再検を検討

セルロース素材の透析膜を用いた血液透析
血液製剤アルブミン製剤・グロブリン製剤)
環境中のβ-Dグルカンによる汚染
β-Dグルカン含有の抗悪性腫瘍製剤(レンチナン、シゾフィランなど)
高度溶血
高γグロブリン血症、多発性骨髄腫
Alcaligenes faecalisによる敗血症
タゾバクタム/ピペラシリン投与
アモキシシリン/クラブラン酸の投与
ビフィドバクテリウム属の腸管内定着
ガーゼの使用
アガリクスなどのキノコ類摂取

 

クリプトコッカス抗原

陽性であれば臨床診断と考えてよいレベルの検査(偽陽性が少ない)

感染臓器が肺のみの場合は感度が約60%まで低下。とくに15mm未満の病変で偽陰性になりやすい。

✅逆に抗原陽性の場合は播種性クリプトコッカスを考慮しないといけない。

通常、クリプトコッカスの診断がついた場合は血培と髄液検査必須

✅薬剤感受性試験(保険適応外)を調べる場合もあるため、培養や組織培養は可能な限り積極的に採取する。

✅トリコスポロン症でも陽性となる。

 

アスペルギルス抗原

✅あらゆる環境にいる真菌であるため、抗原陽性であっても真の感染症かどうかを必ず確認する必要がある!(もしくは副鼻腔感染症がほとんど

✅侵襲性肺アスペルギルス症IPA)であれば

1.5以上は1回陽性でも特異度90%程度。

0.5以上なら2回陽性で特異度80%程度。

ただしCPPAやSPAでは感度が低くカットオフは定まってない(組織侵襲が少ないため)。

✅診断には原則として喀痰検査や気管支鏡などで確認する必要がある 真の感染かどうかの確認、必要に応じて培養から薬剤感受性試験(保険適応外)

✅侵襲性肺アスペルギルス症IPA)には有用であり、アスペルギルス抗原陽性+IPAが疑わしい場合には経験的治療に踏み切る。

✅慢性肺アスペルギルス症の場合は抗原検査は当てにならない。画像検査や喀痰培養・細胞診、アスペルギルス沈降抗体、気管支鏡の結果より総合的に判断するべき。

 

アスペルギルス沈降抗体

慢性肺アスペルギルス症の血清診断の中では一番信頼性が高い。

保険適応ではないため、患者さんの自己負担となる。

✅陽性であれば画像と併せてCPPA、SPAの可能性が高い。

✅確定診断には喀痰や気管支鏡での検体採取が原則となる 真の感染かどうかの確認、必要に応じて培養から薬剤感受性試験(保険適応外)

IPAではアスペルギルス抗体は陰性になることが多い。

 

カンジダ抗原

✅侵襲性カンジダ感染症カンジダ血症などの深在性カンジダ感染症に使用する。

✅感度がかなり低いため、あくまで補助診断扱い。

✅特異度は高いため、陽性であれば深在性カンジダ感染症の可能性は高い。

ただしカンジテックは特異度も低いため、解釈に注意が必要。

(ユニメディかプラテリアが推奨される)

✅バラシクロビルやアシクロビルなどの抗ウイルス薬で偽陽性になるかも。

✅血液培養も感度不十分であるため、疑う場合は血液培養を3セット採取を行う。(好気培養4本、嫌気培養2本でも良い)

血液培養は1セットでも陽性なら治療が必要!

 

C7-HRP

✅陽転化した場合は1週間毎にフォロー。

✅免疫正常患者では対症療法。

✅免疫不全の患者では10/50000以上で先制治療。

ハイリスク患者(メチルプレドニゾロン0.5mg/kg以上使用)であれば2/50000以上で先制治療。

✅症候性CMV感染症(CMV disease)の場合、先制治療を開始する場合は全身臓器の検索・病理診断を行う(肺、眼、消化管、肝臓、脳など)

⇒全身CT、眼科診察(必須)、肝機能上昇があれば腹部エコー ・肝生検、肺病変がある場合は気管支鏡、腸炎の所見がある場合は消化管内視鏡検査、頭蓋内感染を疑う症状がある場合は頭部MRI、髄液PCR。(CMV diseaseの状態を病理学的に評価するのが望ましい)

陰性であればCMV肺炎は否定的と考えられる。

✅網膜炎や腸炎については感度は低い(陰性でも否定できない)。

 

CMV-IgG

✅CMV diseaseの除外診断に使用する。(成人であれば陽性者の割合多い)

特にCMV腸炎はアンチゲネミアの陽性率低いため、CMV-IgGを提出する。

 

MAC抗体

✅アビウムとイントラセルラーの感度・特異度は比較的高い。

カットオフ0.7で感度86%・特異度100%となる。

喀痰で2回陽性もしくは気管支鏡検体で1回陽性の場合に確定診断となる。

✅薬剤感受性を調べたいので、治療する前に培養や組織培養を積極的に採取する!

※検体採取が難しい人(気管支鏡ハイリスク症例など)は、画像所見と併せて臨床診断として良いかもしれない。

✅迅速発育菌で偽陽性になるため注意

※迅速発育菌:ABC for rapid(AB:abscessus、C:chelonae、for:fortuitum)

 

QFTとT-SPOT

✅QFTは感度89%、特異度98%。

✅陽性であれば現在の感染もしくは既往感染あり。

✅M.kansasiiでも陽性になるので注意。

✅免疫不全患者や高齢者では陰性化することがあるので注意が必要。

✅小児では偽陰性になりやすいので、小児ではツベルクリン反応を使用する。

 

血液培養

採取の本数

通常は2セット採取

下記の場合は3セット採取する

持続的菌血症(血管内に定着している可能性)を疑う場合

時間をおいて3セット目が陽性となる場合は持続的菌血症を考える

真菌感染を疑う場合(主にカンジダ

好気培養4本、嫌気培養2本で採取したほうが良いと言われているが。。。

菌の陰性化の確認

GPC、真菌(とくにカンジダ)、持続的菌血症の患者は血培の陰性化確認が必要

 

コンタミネーションとの区別

✅2セット陽性であれば真の陽性と考える。

✅1セットでも陽性と考えたほうが良い菌:黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、溶連菌、グラム陰性桿菌全般、バクテロイデス、真菌

コンタミネーションの可能性が高い菌:CNS、バチルス、コリネバクテリウム、プロピオニバクテリウム、クロストリジウム・パーフリンジェンスなど。

 

※上記以外のものについては、1セットのみの培養陽性や培養陽性までの期間が48時間以上を要した場合には、基本的にはコンタミネーションを考える。

 

血液培養陽性のフローチャート

 

全身検索が必要な感染症(播種性病変など)

✅GPC ⇒ 血液培養、全身造影CT(播種病変の確認)、心エコー(感染性心内膜炎の評価持続的菌血症の場合は経食道エコーも検討)、IEが非常に疑わしい場合は頭部造影MRIまで(脳梗塞動脈瘤の評価)

カンジダ ⇒ 血液培養、全身造影CT(播種病変の確認)、眼科診察(眼内炎の評価)

✅クリプトコッカス ⇒ 血液培養、抗原陽性または頭蓋内病変が疑われる場合は頭部CT/MRI+ルンバール

✅ノカルジア ⇒ 血液培養、胸部CT、頭蓋内病変が疑われる場合は頭部CT/MRI、ルンバール。

サイトメガロウイルス ⇒ 全身CT、眼科診察(必須)、肝機能上昇があれば腹部エコー ・肝生検、肺病変がある場合は気管支鏡、腸炎の所見がある場合は消化管内視鏡検査、頭蓋内感染を疑う場合は頭部MRI、髄液PCR。(CMV diseaseの状態を病理学的に評価するのが望ましい)

 

 

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