とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

頻尿・尿失禁

 

 

鑑別

 

検査

神経学的異常の評価:頭部・脊髄CT/MRI(頭蓋内病変、脊髄病変の評価)

泌尿器科コンサルト

✅排尿回数の確認(1日8回以上または夜間に2回以上の場合に頻尿)

✅飲水量の確認

✅薬剤歴の確認(抗コリン作用のある薬剤や利尿剤の確認)

✅可能ならIPSSや排尿日誌をつけてもらう

✅排尿後の残尿量の評価(ブラッダースキャン):50ml以下は残尿なし。200ml以上は残尿が多い。

腹部エコー(腫瘍性病変の評価)

尿定性・沈渣、尿細胞診(尿路感染症悪性腫瘍の除外)

✅血液検査:一般的な採血、男性ならPSA。

✅必要に応じて多尿の評価(多尿の鑑別はこちら

 

治療

ざっくりとした使い分け

■αブロッカー

・排泄障害の治療薬。蓄尿障害にも多少効果がある。

尿閉が出にくいので、専門医へのつなぎ処方として使用することが多い。

・起立性低血圧の副作用に注意

 

■抗コリン薬、β3作動薬

蓄尿障害に使用する

尿閉の副作用あり

・β3作動薬の方が抗コリン副作用(口渇や便秘など)の副作用が少ない

 

αブロッカー

・シロドシン(ユリーフ) 4mg 2錠分2 朝・夕食後

・タムスロシン(ハルナール) 0.1mg 1~2錠分1 朝食後

・ナフトピジル(フリバス) 25mg 1~3錠分1 朝食後

女性の場合は以下を処方

・ウラピジル(エブランチル) 15mg 2錠分2 朝・夕食後(1日90mgまで増量可)

 

抗コリン薬

・ソリフェナシン(ベシケア) 5mg 1錠分1 朝食後

・プロピベリン(バップフォー) 20mg 1~2錠分1 朝食後

・フェソテロジン(トビエース) 4mg 1~2錠分1 朝食後

 

β3作動薬

・ミラベグロン(ベタニス) 25mg 1錠分1 朝食後

・ビベグロン(ベオーバ) 50mg 1錠分1 朝食後

 

その他

・八味地黄丸

・アボルブ(5α還元酵素阻害薬):前立腺肥大の縮小効果あり。

・ザルティア(PDE5阻害薬):前立腺肥大のみに保険適応あり。

・エビプロスタット(前立腺肥大に適応あり)

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

リンパ節腫脹

 

 

鑑別

CHICAGOで鑑別

 

検査

血液内科コンサルト

リンパ節エコー

✅悪性腫瘍・リンパ腫が疑わしい場合は全身造影CTPET-CT(またはガリウムシンチ)

リンパ節生検(エコーで悪性所見がある場合、4週間の経過観察で増大傾向がある場合)

✅血算(目視、異型リンパ球の評価)、生化、凝固、血沈、TP、Alb、蛋白分画(M蛋白の評価)、可溶性IL-2R、フェリチン(著増はStill病、悪性リンパ腫、血球貪食を示唆)、IgG(高値であればIgG4)、IgA、IgMHTLV-1抗体(陽性ならWB法またはLIA法で確認)

感染症の検査:VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、CMV IgM/IgG(CMVでリンパ節腫脹を起こすのは初感染時)、QFT、MAC抗体、RPRとTP抗体。

必要に応じてHHV-6 IgM/IgG(疑わしい場合はDNA評価)、HIV抗体(陽性ならWB法)

刺噛症がある場合は、ツツガムシ抗体(IgM、IgGペア血清)。

ネコの飼育歴がある場合は、ネコひっかき病抗体、トキソプラズマ抗体(IgM、IgGペア血清)。

皮疹がある場合は、麻疹IgM, IgG、風疹HI、水痘ウイルスIgM/IgG、ムンプスIgM/IgG。

被疑薬の変更・中止(MTX、タクロリムス、アロプリノール、アテノロール、カプトプリル、ヒドララジン、カルバマゼピン、フェニトイン、イソニアジド、金製剤等)

膠原病の検査:尿定性・沈渣、抗核抗体(160倍以上の場合は染色型に応じて抗体を提出)、IgG、IgA、IgM、RF、抗CCP抗体、ds-DNA、SS-A、SS-B、フェリチン、MPO-ANCA、PR3-ANCA、抗ARS抗体、ACE、クリオグロブリン膠原病内科コンサルトも検討。

✅リンパ増殖性疾患の検査:免疫グロブリン、IgG4、可溶性IL-2R、RF、抗核抗体、SS-A、SS-B、ANCA、HIV、EBVの検査(VCA-IgM/IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、造影CTPET-CTやガリウムシンチリンパ節生検や節外病変の生検IgG4関連疾患やシェーグレン疑いなら口唇生検、必要に応じて骨髄穿刺

キャッスルマン病疑いの場合:血清VEGF、血清IL-6、HHV-8の検査(HHV-8 DNA定量・組織のLANA-1染色)、EBウイルスの検査(VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)を提出。

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

肺癌化学療法のインフォームドコンセント

 

■同意書

✅化学療法の同意書

✅緩和の同意書(ステロイドの同意書なども含めて)

■下記を本人およびキーパーソンに必ずICを行う

✅肺癌の診断、ステージ。

✅治療方針の説明。

✅化学療法は根治を目指す治療ではありません。元気な状態をなるべく維持して、癌と付き合っていくような治療です。

✅また大なり小なり、副作用がほぼ100%出る治療であり、本人様のやる気が非常に大切になります。

✅化学療法の説明、副作用、スケジュール。

✅治療を続けるとどこかのタイミングで薬が効かなくなり、癌が大きくなる ⇒ その際は違う抗癌剤に変更し治療を継続する。

✅はじめのうちは薬物療法が効きやすいものの、癌の耐性獲得により徐々に薬が効きにくくなる。

✅化学療法の適応は「元気な人」が対象です。自分の身の回りのことができ、外来通院ができるような人に限ります。全身状態が今後悪くなってきた場合、化学療法が逆に寿命を縮めてしまう結果になるので治療適応外となります。

■下記は少なくともキーパーソンには必ずICを行う

✅急変時の対応(喀血や血栓症、腫瘍のruptureなどにより急変する可能性がある)
⇒ ただし蘇生処置は「延命行為」となりやすい。(人工呼吸器装着中の患者に化学療法はできない)

✅患者の予後について

✅化学療法が困難になった場合は緩和治療に移行する

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

低Ca血症

 

 

フローチャート

(参考文献:Fukumoto S, et al . Endocr J 55 : 787―794, 2008)

 

薬剤性:抗RANKL抗体、BP製剤、カルシトニン、利尿剤、PPI、H2 blocker、フェニトイン、フェノバルビタールカルバマゼピン、イソニアジド、テオフィリン、リファンピシン、クエン酸、ホスカルネット

ビタミンD欠乏:慢性腎不全(1.25(OH)D・25(OH)Dともに低下する場合が多い)、日光曝露の減少、栄養失調

その他の原因急性膵炎、横紋筋融解症、腫瘍崩壊症候群、甲状腺髄様癌、異所性カルシトニン産生腫瘍など

 

検査

心電図心電図でQT延長、TdPを認める場合は循環器内科コンサルト)

被疑薬の変更・中止

✅採血、Alb、Ca、P、Mg、ALP、BUN、Cr、iPTH(またはwhole PTH)、1.25(OH)D、25(OH)D、尿Ca(蓄尿)、尿Cr

✅必要に応じて画像検査(甲状腺エコーやCT)、骨密度評価

✅血清カルシトニン:低Caを来すことはまれ!(甲状腺髄様癌、異所性カルシトニン産生腫瘍等で高値となる)

✅分からない場合は内分泌内科コンサルト

副甲状腺機能低下(PTH分泌低下)が疑われる場合は、内分泌内科コンサルト、2次性の原因評価(甲状腺の手術歴:hungry bone syndrome、放射線治療歴、腫瘍の浸潤など)、甲状腺エコー、頭部CT(大脳基底核の石灰化)、遺伝病や自己免疫性(APS)などの評価。

 

低カルシウムの補正

Ca<7未満の症候性低Ca血症、心電図異常がある場合

カルチコール8.5% 10~20mlを10分~20分かけて投与(急速静注すると心収縮力低下の恐れあり)

⇒その後、カルチコールを2~4ml/hrで持続点滴。内服へ切り替え。

 

緊急性の高くない低Ca血症

◆高P血症がある場合

沈降炭酸カルシウム(カルタン) 3g/日

◆低P血症がある場合

エルデカルシトール0.5μg/日(腎機能障害がある場合はアルファカルシドールやカルシトリオールに変更)

※1Vit.D=アルファカルシドール、1.25Vit.D=エディロール、カルシトリオール

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

低P血症

 

 

フローチャート

 

主な薬剤性の原因

ビスホスホネート製剤、リン吸着薬、利尿剤、インスリンESA製剤、G-CSF製剤、Al・Mg含有制酸剤、マンニトール、アシクロビル、イマチニブ。

薬剤性Fanconi症候群の原因薬剤:バルプロ酸、テトラサイクリン、アミノグリコシド、シスプラチン、アザチオプリン、メルカプトプリン、抗レトロウイルス薬など

 

検査

低P血症の補正、付加食の追加(アルジネードなど)

被疑薬の変更・中止

✅採血、Alb、P、Ca、ALP、血ガス、尿定性・沈渣、尿中電解質(P、Cre)、iPTH、whole PTH、1.25(OH)D、25(OH)D:ビタミンD欠乏は20 ng/ml未満、高カルシウム血症がある場合はPTHrP。(高カルシウム血症の鑑別はこちら

✅必要に応じて甲状腺エコー、副甲状腺シンチ

✅クル病(骨軟化症)を疑う場合は骨密度検査、骨シンチ、骨代謝マーカー(形成マーカー:オステオカルシン、骨型ALP。吸収マーカー:TRACP-5b、1-CTP)、FGF23。

✅尿細管異常を疑う場合は血ガス、尿中NAG、尿中β2MG、尿中アミノ酸分析

*FEPO₄=(尿P/血清P)/(尿Cre/血清Cre)、5%以上で腎排泄亢進。

 

治療

★一般的にはP≦2.0mg/dlで補正を開始する

★欠食⇒食事再開でPが低下するため、早めに補正しておく!

通常の補正

✅内服治療が原則

ホスリボン 3~6包分3 毎食後

✅内服でも低下傾向の場合は点滴での補充も検討

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100ml 6時間で点滴

(日本では10mmol/hrで補正が認められているが合併症の懸念からなるべく緩徐な投与が望ましい)

 

症候性または1.0 mg/dL以下の場合

リン酸Na補正液1A(10mmol/20ml)+生食100mlを1~2時間で点滴。

P<1.5mg/dlの時:1日4本まで

P>1.5mg/dlの時:1日2本まで

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

G-CSF製剤の使い方

 

 

使用上の注意点

✅好中球減少時のルーチンの使用は推奨されてはいない

(※実臨床では使用するケースが多いが。。。)

抗癌剤投与前後24時間以内の投与は禁忌

放射線治療中の併用は禁忌

✅サイトカインストームを誘発するリスクがあるため、病態によっては使用を控える。

✅血液疾患をもつ患者に使用する場合は血液内科にコンサルトを行う

 

1次予防

★以下に該当する場合、化学療法の1コース目から発熱性好中球減少症(FN)を予防する目的で、好中球減少や発熱を確認することなくG-CSFを予防投与しても良い。

✅FN発症率が20%以上のレジメンを使用する時、G-CSFの一次予防を行う。

✅FN発症率が10~20%以上のレジメンを使用する時、以下の状況で一次予防を行う。

・65歳以上

・65歳以上でfull doseの化学療法を行っている

・化学療法、放射線療法施行歴

・治療前の好中球減少

・骨髄浸潤

・最近の手術歴

・PS不良

・肝腎機能障害(ビリルビン>2.0、CCr<50)

HIV感染

 

使用例

最終抗癌剤投与の翌々日にジーラスタ3.6mgを1回皮下注射。

ジーラスタが使用できないレジメン、もしくはジーラスタの投与を行っても骨髄抑制が強い場合、以下を適宜使用する。(追加投与のエビデンスはない)

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

 

その他の一次予防

急性白血病悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、神経芽細胞腫小児がんの場合

✅癌化学療法翌日以降であれば、いつでもG-CSF投与可。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

2次予防

★前回のコースで以下の事象が起きた場合、次コースでG-CSFを予防投与する。

発熱性好中球減少症(FN)

好中球減少による用量制限毒性あり(G-CSFの治療的投与を行った)

遷延性好中球減少でスケジュールの延期が必要になった

 

使用例

前回の抗癌剤を一段階減量(減量が望ましくない場合は現行量で継続)

⇒ 最終抗癌剤投与の翌々日にジーラスタ3.6mgを1回皮下注射。

ジーラスタの投与を行っても骨髄抑制が強い場合、以下を適宜使用する。(追加投与のエビデンスはない)

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

治療的投与

急性白血病悪性リンパ腫、小細胞肺癌、胚細胞腫瘍、神経芽細胞腫小児がんの場合

✅癌化学療法翌日以降であれば、いつでもG-CSF投与可。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

その他の癌腫の場合

✅好中球500未満または好中球1000未満で発熱がある(原則38度以上)場合にG-CSFを投与する。

⇒ 次回からは好中球1000未満を確認できればG-CSFを投与しても良い

※実臨床では好中球が1000未満で48時間以内に500未満になりそうな無熱性好中球減少があれば、初回であっても予防投与していることが多い。

 

  • フィルグラスチム 50mg/m²を1日1回皮下注射。適宜増減可。

好中球5000以上になるまで投与。好中球2000以上に回復し、感染症が疑われるような症状がなく、Nadirを超えていると判断できれば中止しても良い。

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

間質性肺炎の急性期アプローチ

 

 

間質性肺炎の急性期の鑑別疾患

 

検査

喀痰培養(抗酸菌塗抹・培養・PCR血液培養採取

✅蜂巣肺以外の間質性肺炎は基本は気管支鏡検査をできるならやるべき!!(感染の除外+IPの診断)

心不全・肺高血圧の除外を必ず行う(心エコー、心電図、BNP

体液量評価(in overにならないように管理)尿測・飲水量測定・体重測定、心エコー(IVC評価)

✅薬剤性肺炎の可能性を考慮し、新規薬剤や添付文書に間質性肺炎の副作用がある被疑薬を可能な限り変更・中止する。

*呼吸不全なし ⇒ 疑わしい薬剤およびハイリスク薬を中止。不要な薬剤も中止。

*呼吸不全あり ⇒ 間質性肺炎の副作用がある薬剤を可能な限り中止・変更。

膠原病肺の場合は必ず膠原病内科にコンサルトPCP/薬剤性肺炎/CVD-ILDの鑑別。

悪性リンパ腫疑いの場合はBAL/組織のフローサイトメトリーやEBUS-TBNAも考慮。

✅背側の「間質性肺炎」なのか「重力変化」なのか分かりにくい所見は腹臥位CT

✅モザイクパターンの場合は吸気・呼気CT

✅原因が分からないものや病理診断が不可欠なものはVATSも考慮

⇒ VATSが難しい症例については経験的にステロイドを試してみることを検討

✅一般採血、血ガス、酸素化に余裕があれば呼吸機能検査(DLCO)、6分間歩行、心エコー気管支鏡検査BNP、QFT、尿中抗原(特にレジオネラ)、尿検査(定性、沈査、蓄尿、HBs抗原、HBs抗体・HBc抗体(デノボ肝炎のスクリーニングのため。陽性の場合はHBV-DNA測定)、HCV抗体(陽性の場合はRNA提出)、HbA1cSARS-CoV-2 PCRβ-Dグルカン、喀痰・BALのディフクイック染色、C7-HRP、KL-6、SP-D、プロカルシトニン、凝固系/造影CT肺塞栓や肺梗塞の評価)、IgG・IgA・IgM(IgGが高ければIgG4も提出。シェーグレンの場合もIgG4提出)、赤沈、被疑薬のDLST、MPO-ANCA、PR3-ANCA、糸球体基底膜抗体、抗核抗体(160倍以上の場合は染色型の結果に応じて追加抗体を提出)、RF、抗CCP抗体、フェリチン、抗ARS抗体、MDA-5抗体(特に急性発症の場合)、抗RNP抗体、ACE、SS-A、SS-B、抗Scl-70抗体、トリコスポロンアサヒ抗体、トリ抗体、可溶性IL-2R/血液像目視/HTLV-1抗体、必要に応じて抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体等

✅肺癌を疑う場合は腫瘍マーカーCEA、シフラ、pro-GRP)、喀痰細胞診

✅癌性リンパ管症を疑う場合は「腫瘍の治療経過」と「腫瘍マーカーの推移」を確認。

感染症が疑わしい影の場合はβ-Dグルカン以外にもアスペルギルス抗原、カンジダ抗原、C7-HRPも提出する。

✅肺胞出血を疑う場合の検査はこちらを参照

必要なら血清保存をしておく

好酸球性肺炎疑いの場合は、喀痰好酸球・呼気NO・呼吸機能の評価

✅他部位生検(皮膚生検、口唇生検、神経生検、筋生検など)

 

病歴聴取・身体所見

✅症状:咳嗽、喀痰(黄色?白色?膿性?)、呼吸困難(mMRC)、胸痛

✅喫煙歴:~本×~年(never, ex, current)

✅飲酒歴

✅職業歴:粉塵作業、アスベスト作業、石工、トンネル工事、大工、窯業、木工、鉱山業、電気工事、理容・美容、絶縁・断熱作業、農業・畜産業、養鶏、印刷業、金属作業、石油化学製造

✅家屋:木造?築何年?日当たり、カビなどは?

✅羽毛布団、ダウンジャケット

✅ペット飼育歴

✅鳥類暴露歴

✅加湿器、除湿機、エアコン

✅内服歴:新規薬剤、漢方薬サプリメント

✅家族歴:膠原病間質性肺炎、悪性腫瘍

✅身体所見:呼吸音、ばち指、レイノー現象、関節痛・関節腫脹、皮疹、筋力低下、体重減少、発熱、朝のこわばり、ドライマウス・ドライアイ、口腔内潰瘍、嚥下障害、逆流性食道炎、脱毛、光線過敏症

 

検査・治療のタイミング

 

リパルスのタイミング

筆者の感覚であるが、以下のように考える

  • 陰影の悪化+酸素化  又は  陰影の悪化+データの悪化 ⇒ リパルス
  • 陰影は悪化しているように見えるが、酸素化やデータは改善している ⇒ 酸素化が悪化するまでは現行量のステロイドを継続
  • 陰影は横ばい 又は 一部増悪・一部改善の場合 ⇒ 酸素化が悪化するまでは現行量のステロイドを継続

✅最初のステロイドパルスから1週間程度空けて行うことが多い

 

化学療法再開の時期

以下を満たしている場合は化学療法再開を検討

✅被疑薬は中止

✅データと画像所見が完全にピークアウトしている

(ケモ再開でIPが悪化する可能性、再増悪した時に原因が分からなくなる可能性があるため、必ずピークアウトしたことを確認してからケモを再開する)

プレドニゾロン15mg以下(ステロイドを導入しない場合はピークアウトするまで待つ)

✅IPに禁忌の薬剤は使用しない(TKIやICIなど)

 

BALの結果の解釈

その他
サイトメガロウイルス:核内封入体

ニューモシスチス肺炎:栄養体

肺胞出血:ヘモジデリン貪食マクロファージ

ランゲルハンス組織球症:CD1a陽性細胞(Langerhans細胞)が5%以上

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング