とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

敗血症の治療

 

 

診断基準

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quick SOFA(qSOFA)

①意識の変容(GCS≦14点)

②呼吸数≧22回/分

収縮期血圧≦100mmHg

2項目以上を満たす場合は敗血症を疑い、集中治療管理を考慮する

 

検査

✅ショックバイタルの時の初期対応はショックの項を参照

EGDTに沿って対応する

✅採血、凝固(DICの評価)、血ガス(乳酸値の評価)、BNP、プロカルシトニン(可能ならプレセプシン)、血中エンドトキシン、免疫グロブリン(IgG補充必要?)

✅血液培養、尿培養、その他の感染のfocusの培養

✅胸部X線写真、全身CT(必要に応じて造影CT)

✅心エコー(大量補液するので心機能を評価)。

✅輸液や昇圧剤の反応が不十分な場合はTSH、FT3、FT4、ACTH、コルチゾールの提出を検討する。

 

EGDT(Early Goal-Directed Therapy)

 ★6時間以内に目標達成を目指す

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治療

輸液
  • CV留置
  • 低血圧、乳酸>4mmol/Lであれば調整晶質液(乳酸リンゲル等)を30ml/kg急速投与
  • MAP≧65mmHgを目標に輸液を行う。

 

循環作動薬

バソプレシンの使い方

バソプレシン40単位/2ml+生食38mlで希釈してtotal 40ml(1単位/ml)とする。

2.0ml/hr(0.03単位/min)より開始し、1.0~2.5ml/hr(0.01~0.04単位/min)の間で0.5ml/hrずつ増減し調節する。

減量する前に先にノルアドレナリンの中止を検討する。

 

ステロイド

★相対的副腎不全が疑われた場合は診断的治療で投与を検討する!

  • ハイドロコートン200mgを持続 点滴or 100mgを1日2回 投与。
  • ハイドロコートン50mgを1日4回 6時間毎に投与。
    1週間程度投与し、その後3日毎に漸減。

 

抗菌薬治療
  • ソースコントロール(膿瘍ドレナージ、デバイスの抜去)
  • 広域抗菌薬を可及的早期に投与 ⇒ カルバペネム系で良い。
  • 表皮からの感染が疑われる場合はMRSA治療薬(VCM)投与を行う。(特にデバイスからの感染)
  • 免疫不全宿主の場合は真菌などの検査・治療を検討。
  • ARDS合併の場合はアジスロマイシン併用を検討。

 

DIC治療

リコモジュリン

380U/kg+生食100ml,1日1回。腎機能障害がある場合は130U/kgに変更。投与期間は1週間が目安。(DICスコアが低下傾向かつ現治療OKの場合に投与終了)

ノイアート、ノンスロン

ATⅢ<70%の時に適応。1500単位1本/日を3日間投与が基本。体重が重い場合は30単位/kg投与可能。ATⅢ>70%で中止。

FFP

以下の場合にFFPの補充を検討する。

① PT-INR2.0以上あるいはPT%が30%以下

②APTTが上限値の2倍以上

③低フィブリノゲン血症(100mg/dL未満)

  • FFP 8~12ml/kgを24~48時間毎に投与

 

輸血療法
  • Hb<7g/dlで赤血球輸血を行う。
  • 血小板5万以下で出血傾向もしくは2万未満の時に輸血。
    (臨床では5万以下になったら輸血することが多い)

 

免疫グロブリン
  • IgG<400ではヴェノグロブリン200~600mg/kgを3~4週間間隔で点滴静注する。
  • 重症感染症として投与する場合はヴェノグロブリン5000㎎を1日1回 3日間投与

敗血症におけるIVIgはルーチンでは推奨されていない。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症に対しては弱く推奨。

 

代謝性アシドーシス
  • 代謝性でPH<7.15の時に
    メイロン8.4%投与量(ml)=base excess×体重×0.20(50㎏の人ならBE×10ml)
    メイロン7.0%投与量(ml)=base excess×体重×0.25

 

ARDSの呼吸管理
  • 1回換気量6ml/kg、プラトー圧≦30㎝H2O、HiPEEP(ARDS Networkの換算表を参考に)、Low driving pressureで管理(PSを低くし高CO₂を許容)
  • 無気肺に対し、腹臥位療法、体位ドレナージ
  • V/Qミスマッチ改善のためにNO吸入も考慮(保険適応外
  • In overにならないように利尿薬を使用する。

 

代替療法
  • 早期に導入することは推奨されていない。
  • 急性腎不全による代謝性アシドーシスや高K血症が改善しない場合に導入する。
  • 血液浄化療法を導入する場合はPMXの導入も検討する。

 

血糖

血糖値140~180mg/dlを目標にコントロールを行う。

 

栄養療法

血圧が落ち着いてから早期に経腸栄養開始(なるべく24~48時間以内)

72時間以内に目標カロリーの約80%を投与することを目標とする

25kcal/kgを最終目標カロリーとする(NPC/N比 100程度)

(参照:栄養療法

 

その他

DVT予防、ストレス潰瘍予防にPPI

 

 

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去痰薬

 

 

ムコダインムコソルバン・ムコフィリンを覚えれば十分です!

 

慢性期の粘稠度の高い痰(キレの悪い痰)を出しやすくする薬

※サーファクタントを増やし痰を出しやすくするが、痰の量は逆に増える方向に働くので注意

ムコソルバン

ムコソルバンL錠 45mg 1錠分1

ムコダインとしばしば併用し「MM療法」と呼ばれる。

 

ビソルボン
  •  ビソルボン吸入液0.2% 2ml+ベネトリン0.5ml+生食8ml ネブライザー吸入 1日3回
  • ビソルボン注 4mg 1日2回 静注
  • ビソルボン錠 4mg 3錠分3 毎食後

アスピリン喘息には禁忌

 

痰の量を減らす薬

カルボシステイン

カルボシステイン 500mg 3錠分3 

COPDエビデンスあり

 

クリアナール(スペリア)

クリアナール(スペリア)200㎎ 6錠分3

 

急性期のキレが悪い喀痰

ムコフィリン

ムコフィリン吸入液1本+ベネトリン0.5ml+生食8ml 1日2回吸入

COPDとIPFにエビデンスあり

★気道粘液溶解剤=痰の増加も少ない

 

その他

エリスロシン

エリスロマイシン200mg 2錠分2 朝・夕食後

慢性下気道感染症や喀痰の多いCOPDに使用する。

 

 清肺湯

清肺湯 3包分3 毎食前

去痰作用+鎮咳作用のある漢方薬

 

 

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下痢

 

 

オーバービュー

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鑑別

①~④の順番で考える

①まずはRed flag signの確認!(大腸型腸炎の確認)

②若年者の急性の嘔吐・下痢・心窩部不快感

⇒ ほぼほぼ急性ウイルス性胃腸炎

③高齢者(特に入院中)、抗菌薬投与後の下痢、PPI使用など

CDチェック

④その他の鑑別疾患

 

鑑別の絞り込み!

★Red flag sign

38.5度以上の発熱、血便、脱水、強い腹痛・渋り腹、免疫力低下患者

★大腸型か小腸型か?

ざっくり言うと・・・

大腸型:高熱や強い腹痛、血便が出やすい。細菌性腸炎が多い!

小腸型大腸型よりは緊急性が低い。嘔吐を伴うことが多い。ウイルス性腸炎が多い。

食う寝る出すの問診 ⇒ 食事は?(何食べた?食欲は?)、排便は?(下痢の回数や血便は?)

☆周囲のシックコンタクトの確認

 

鑑別疾患

✅よくある急性下痢症の原因

ウイルス性胃腸炎感冒ノロやロタなど)、CD腸炎下剤や腸管蠕動促進薬の内服、細菌性腸炎カンピロバクターサルモネラブドウ球菌腸管出血性大腸菌ウェルシュ、ビブリオなど)、虚血性腸炎、憩室炎、薬剤性下痢症、薬剤性顕微鏡的大腸炎(Collagenous colitis、Lymphocytic colitis)、サイトメガロウイルス腸炎、炎症性腸疾患(UC、クローン病

ショックなどの致死的な下痢症

アナフィラキシー、トキシックショックシンドローム(TSS)、甲状腺クリーゼ、副腎不全、セロトニン症候群

✅骨盤内炎症、腸管外感染症

腎盂腎炎、虫垂炎、急性膵炎、PID、腹膜炎
レジオネラ肺炎、インフルエンザ、SFTS、リケッチア、HIV感染症マラリア

✅特殊な急性下痢症の原因

化学療法に伴う好中球減少性腸炎、急性心筋梗塞(Bezold-Jarisch reflex)、閉塞性腸炎(通過障害による腸炎)、サブイレウス、腸結核赤痢赤痢アメーバ、寄生虫、急性HIV感染症膠原病関連、血管炎(ANCAやIgA)、ビタミンD過剰

✅慢性下痢

過敏性腸症候群、炎症性腸疾患(UC、クローン病)、大腸癌、Villous adenoma、吸収不良症候群、薬剤性腸炎(Collagenous colitis)、下剤の乱用、甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性膵炎、アジソン病、カルチノイド腫瘍、VIPoma、Zolliner-Ellison症候群、アミロイドーシス、膠原病関連、血管炎(ANCAやIgA)など。

 

※薬剤の原因

抗菌薬(βラクタム系、マクロライド、クリンダマイシン等)、下剤、プリンペランナウゼリン、コリン作動薬、化学療法(TKI、ICI、イリノテカン)、ビグアナイド、αグルコシダーゼ阻害剤、PPI、NSAIDS、経管栄養(よく見る)オルメサルタンジゴキシン、テオフィリン、シロスタゾールなど

薬剤性顕微鏡的大腸炎の原因薬剤:PPI、NSAIDS、H2ブロッカーアスピリンSSRI、αグルコシダーゼ阻害剤

 

最初の検査、対処

ウイルス性胃腸炎疑いは対症療法 食事がとれない・脱水がひどい場合は入院検討
 *ノロウイルス抗原検査:3歳未満 or 65歳以上が保険適応

✅症状がある程度落ち着くまで欠食 or 食事形態の変更(全粥や低残渣食に)

✅入院中の患者はとりあえずCDチェック。

✅薬剤の確認(被疑薬の中止を検討)

✅整腸剤投与

症状が強い場合、持続する場合には下記を追加

✅ショックを伴う下痢:アナフィラキシー、トキシックショックシンドローム(TSS)の経験的治療と検査

✅その他の致死的な下痢症の鑑別

✅採血(血算、生化、血糖、凝固)

✅尿定性・沈査

✅血液培養

✅腹部エコー(腸管外病変の精査)、腹部CT

✅心電図(AMIの除外)

✅便培養・便鏡検:院内発症の下痢(入院3日以上)にはルーチンでの提出は不要(3day rule)

✅外来患者のall blood no stoolの場合はベロ毒素を提出。

 

※3day ruleの例外

「65歳以上で基礎疾患がある」「HIV患者」「好中球500以下」「集団発生」

の場合は院内発症の下痢であっても便培養を提出する。

 

追加の検査

✅下部消化管内視鏡

✅CDチェック、便培養

✅薬剤の再確認

赤沈、TSH、FT4、ACTH/コルチゾール(早朝空腹時採血)、HbA1c(腎機能が非常に悪ければグリコアルブミン)、QFT、C7-HRP、CMV-IgG(CMV腸炎の除外に有用)、抗核抗体、免疫グロブリン、IgA、MPO-ANCA、PR3-ANCA、必要に応じてHIV抗体、寄生虫抗体、便中寄生虫検査。

✅器質的病変がなければ過敏性腸症候群IBS)?

 

CDチェックの解釈

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抗菌薬下痢症の対処

  • CDチェック
  • 抗菌薬の中止
    ⇒ 中止不可能であれば整腸剤処方
    ⇒ それでもダメならアミノグリコシドバンコマイシン、メトロニダゾールなど下痢を起こしにくい抗菌薬に変更
    ⇒ それも難しい場合には止痢剤を処方する

 

対症療法

感染性下痢を否定した上で止痢薬を使用

 

細菌性腸炎の経験的治療例

★抗菌薬は原則投与はしない!

★特に腸管出血性大腸菌が疑われる場合は投与しない

★重症例や免疫不全患者には抗菌薬投与を検討する。

 

キャンピロバクター(鶏肉)
  • AZM 経口 1回500㎎ 1日1回 3~5日
サルモネラ(卵や調理不十分な肉)

第1選択

  • LVFX 経口 1回500㎎ 1日1回 3~7日
  • CPFX経口 1回300㎎ 1日2回 3~7日

第2選択

  • CTRX 1回2g 1日1回 3~7日
  • AZM 経口 1回500㎎ 1日1回 3~5日
原因不明の場合

キノロン系を使用する

  • LVFX 経口 1回500㎎ 1日1回 3~7日
  • CPFX経口 1回300㎎ 1日2回 3~7日

 

経管栄養で下痢をしている場合の対症療法

①経管栄養の速度を緩める

②経管栄養種類を半消化態栄養剤や半固形栄養剤に変更

③経管栄養に白湯を入れる

④食物繊維(ファイバー)の投与

 

 

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高CK血症

 

 

フローチャート

薬剤:スタチン系、フィブラート系、アルコール、悪性症候群の原因薬(ドーパミン作動薬の中止、抗精神薬の増量:ドーパミンが低下することで起こる!)、セロトニン症候群の原因薬(SSRI抗うつ薬セロトニンが増加することで起こる)、ニューキノロン系、ST合剤、テオフィリン、ステロイド、コルヒチン、筋弛緩薬、覚醒剤など。

 

最初の検査

✅採血、CK-MB、トロポニンT、K、P、TSH、FT4、凝固(DICや血栓による虚血の評価)

腎機能確認

✅尿定性・沈査、尿中ミオグロビン

✅補液(Wash out)⇒ 大量補液するので心エコー評価を!

✅CK-MBがCKの1/10以上の場合は心電図・心エコー・胸部X線写真を施行。

✅薬剤歴・病歴の確認。

感染症の評価

  • インフルエンザ抗原、SARS-CoV-2 PCR
  • 特に重症感のある場合(肝機能障害や血小板減少、血球貪食を合併する場合)は敗血症の評価(Fever workup、全身造影CT)、C7-HRP、VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、HBs抗原・HCV抗体、HIV抗体、特殊な感染症の検査(SFTS・リケッチア・ライム病)を追加する

✅痛みが強い場合は造影CT血ガス(急性動脈閉塞症や壊死性筋膜炎などの鑑別)

 

悪性症候群の診断基準

Caroff and Mannの悪性症候群診断基準

下記の5項目のうち3項目を満たせば確定診断

①発症から7日以内(デポ剤なら2~4週間以内)に抗精神病薬の投与+A1:A5
②38度以上の発熱
③筋強剛
④以下のうち5徴候
1.発汗あるいは流延
2.頻呼吸(低酸素血症)
3.血圧異常
4.頻脈
5.振戦
6.精神状態の変化
7.失禁
8.CK上昇またはミオグロビン尿
9.WBC上昇
10.代謝性アシドーシス
⑤他の薬剤の影響、全身疾患や神経精神疾患が除外

 

炎症性ミオパチー

鑑別

皮膚筋炎、多発性筋炎、SLE、シェーグレン、強皮症、関節リウマチ、MCTD、血管炎、封入体筋炎、壊死性ミオパチー、サルコイドミオパチー、抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎など

 

検査

✅CK、CKアイソザイム、アルドラーゼ、抗核抗体、IgG・IgA・IgM、赤沈、SS-A、SS-B、U1-RNP抗体、抗Scl-70抗体、MPO-ANCA、PR3‐ANCA、RF、抗CCP抗体、フェリチン、抗ARS抗体、MDA-5抗体, TIF-Ⅰγ抗体、抗Mi-2抗体、ACE

✅筋力低下部のMRI筋電図

筋生検・皮膚生検・神経生検

発熱・炎症反応高値の場合は熱源精査のため造影CT!

✅必要に応じて抗SRP抗体や抗HMGCR抗体(壊死性ミオパチー)、抗ミトコンドリアM2抗体などの筋炎関連抗体セットを提出する。

✅皮膚筋炎・多発性筋炎の場合は全身CTや上下部消化管内視鏡(肺病変の確認と悪性腫瘍の評価)

 

追加の検査(その他のミオパチーやCK-BB上昇などの精査)

神経内科コンサルト。

✅CKアイソザイム(MM/MB/BB)、アルドラーゼ、MMTの評価、筋力低下部のMRI、筋電図、筋生検、家族歴の確認、遺伝子検査等。

 

治療

✅CK>5000、CK<5000でも5000以上になりそうな時は生食補液

✅CKが著明高値の場合は尿のアルカリ化も検討

✅腎機能が廃絶した場合は透析

補液

最初の1~2時間で細胞外液(生食)を1L程度補液

→1~2ml/kg/hの尿量を確保するように維持量を調節する

尿のアルカリ化

8.4%メイロン20ml+5%ブドウ糖1Lに混合

→時間200mlで開始し、尿PH>6.5を保つように補液

→2時間毎にカルシウム、動脈血ガスを評価。重度の低Ca血症、動脈血ガスのPH>7.5、血清HCO₃⁻>30mEq/Lがある場合は中止

 

 

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浮腫

 

 

鑑別

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※血管性浮腫:HAE、好酸球性血管性浮腫、ACEによる浮腫など

その他:特発性浮腫(20~40歳女性に多い)、加齢に伴う下腿浮腫(静脈機能不全)、クッシング症候群、パルボウイルスB19、リンパ増殖性疾患(POEMS症候群やTAFRO症候群など)

 

検査

全身性

✅正常範囲の浮腫なら経過観察(症状が軽度で日内変動あり)

✅採血、凝固、肝機能、腎機能、TP、Alb、BNP、FT4、TSH

✅尿定性・沈査

⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)
⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿

✅胸部レントゲン

✅心エコー、心電図。

✅低Alb血症がある場合は原因検索(低Alb血症の項目を参照)。

✅腎機能障害の原因検索 ⇒ 腎機能障害の項目を参照。

✅薬剤の確認・変更(Ca阻害剤、NSAIDS、ステロイド、チアゾリジン系糖尿病薬など)

✅必要に応じて、腹部や血管のエコーと造影CT(血栓や巨大腫瘤による静脈閉塞、Budd-Chiariや肝硬変の鑑別など)、ACTH、コルチゾール膠原病の精査(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、免疫グロブリン、ANCA、赤沈)、好酸球、IgE、パルボウイルスB19 IgM

✅リンパ増殖性疾患の検査 ⇒ 免疫グロブリン、IgG4、可溶性IL-2R、RF、抗核抗体、SS-A、SS-B、ANCA、HIV、EBVの検査(VCA-IgM/IgG、EBNA、組織のEBER染色)、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、造影CTPET-CTやガリウムシンチリンパ節生検や節外病変の生検IgG4関連疾患やシェーグレン疑いなら口唇生検、必要に応じて骨髄穿刺

キャッスルマン・TAFRO・POEMSを疑う場合 ⇒ 血清VEGF、血清IL-6、HHV-8の検査(HHV-8 DNA定量・組織のLANA-1染色)、EBウイルスの検査(VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)を提出。

膠原病内科コンサルトも検討!

 

※慢性炎症性疾患、蛋白アルブミン乖離がある場合はアミロイドーシスの評価

  • AL型(限局性が多い)の評価は、血清M蛋白の評価、血清遊離軽鎖、尿中BJ蛋白、骨髄穿刺の評価を行う。
  • AA型(全身性が多い)の評価は、血清アミロイドA、尿検査、抗核抗体、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、QFT、消化管内視鏡(生検、炎症性腸疾患の評価)、腸管・肝臓・骨髄・皮膚・腹壁脂肪からの生検、腎障害があれば腎生検、心アミロイドーシスの評価(心電図、心エコー、必要に応じて心生検、シンチ)、神経症状がある場合は神経生検、神経伝導速度検査。

 

局所性

点滴漏れがないか確認(点滴漏れがある場合は院内マニュアルに従って対応) 

✅採血、凝固、肝機能、腎機能、TP、Alb、BNP、FT4、TSH、尿定性・沈査、胸部レントゲン、血管エコー、浮腫部位のCT(必要に応じて造影CT)、リンパ浮腫を来す既往歴・手術歴・癌転移や放射線治療による2次性リンパ浮腫の確認、関節腫脹がある場合は関節エコー(RAの評価、関節液貯留やBaker嚢胞の評価)、関節穿刺、膠原病の精査(抗核抗体、RF、抗CCP抗体、免疫グロブリン、ANCA、赤沈)。

✅感染疑いの場合は血液培養

✅薬剤の確認と変更(特にACE阻害剤。他にCa阻害剤、NSAIDS、ステロイド、チアゾリジン系糖尿病薬など)

血栓症が原因の場合は血栓素因のスクリーニング血栓性素因の評価を参照)。

✅必要に応じて血管性浮腫の精査(C3,C4,C1インヒビター、好酸球数、IgE)。

リンパ浮腫の確定診断をつけたい場合はリンパ管シンチ。

 

 

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関節痛

 

 

オーバービュー

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鑑別

 

化膿性関節炎、痛風、偽痛風、変形性関節症、肩関節周囲炎、外傷性、感染性心内膜炎(菌血症)、RA、SLE、MCTD、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE(PMRの類縁疾患)、成人Still病、JIA、血管炎、サルコイドーシス(関節サルコイドーシスやLofgren症候群)、脊椎関節炎(強直性脊椎炎)、反応性関節炎(Reiter症候群:尿道炎や消化器感染症の後に起こる)、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患によるもの、結核性関節炎、淋菌性関節炎(播種性の化膿性関節炎)、ウイルス性関節炎(パルボウイルスB19など)、肝炎ウイルス(肝外症状やクリオグロブリンによる関節痛)、特殊な感染症(ツツガムシ病、日本紅斑熱、ライム病、レプトスピラ症など)、甲状腺機能低下症、骨転移や筋転移、肺性肥厚性骨関節症(悪性腫瘍)、無菌性骨壊死、薬剤性

 

※薬剤性:G-CSF、DPP-4阻害剤、アロマターゼ阻害剤、SSRI、尿酸値を動かす薬剤、ビスホスホネート、利尿剤、VRCZ(長期使用の場合)

 

鑑別の絞り込み!

発熱・全身倦怠感・関節腫脹

・熱感、炎症反応上昇、朝のこわばり、自動時痛だけでなく他動時もある。

炎症性関節炎が疑わしい

自動時痛はあるが、他動時はない。

関節外の痛みの可能性が高い
発熱 化膿性関節炎、偽痛風膠原病関連
へバーデン・ブシャール結節 変形性手関節症
スワンネック、ボタン穴変形、尺側偏位 関節リウマチ
朝のこわばり 関節リウマチ、SLE
移動性、間欠性 痛風、反応性関節炎、回帰性リウマチ、サルコイドーシス、SLE、ライム病、感染性心内膜炎、傍腫瘍症候群、家族性地中海熱、再発性多発軟骨炎
筋力低下、筋痛 PM/DM、MCTD、PMR、RS3PE、血管炎、サルコイドーシス、感染性心内膜炎
浮腫 関節リウマチ、PMR、RS3PE
ヘリオトロープ疹、ゴットロン・逆ゴットロン徴候、ショールサイン、Vネックサイン DM
クラミジア尿道炎、細菌性腸炎 反応性関節炎
担癌患者 骨転移、傍腫瘍症候群、肺性肥厚性骨関節症
紅斑 ウイルス性関節炎、ライム病、ツツガムシ病、日本紅斑熱、成人Still病
紫斑 IgA血管炎、ANCA関連血管炎、PAN、クリオグロブリン性血管炎
アルコール依存、ステロイド使用 大腿骨頭壊死
炎症性腸疾患 炎症性腸疾患による関節炎
耳介の炎症 再発性多発軟骨炎
乾癬 乾癬性関節炎
仙腸関節炎・付着部炎・腰痛 血清反応陰性関節炎
口腔内アフタ ベーチェット病クローン病、SLEなど
ドライアイ、ドライマウス シェーグレン症候群

 

 

最初の検査

✅血液検査、Ca、UA、凝固、赤沈、プロカルシトニン、FT4、TSH

✅関節レントゲン

✅炎症性関節炎が疑われる場合、症状が強い場合関節エコーや関節X線・CT(関節液の有無や関節軟骨の石灰化所見の評価)⇒ 整形外科コンサルトの上で関節穿刺を施行!

✅関節穿刺ピロリン酸と関節液培養・グラム染色感染症が疑われる場合は関節液培養、血液培養を採取(化膿性関節炎は緊急疾患!)、必要に応じて心エコー(IEの除外)

✅整形外科や膠原病内科コンサルト

✅原因が分からない場合や痛風・偽痛風疑い、ウイルス性関節炎疑いの場合はNSAIDSを処方し反応を見てみるのも選択肢。

 

追加の検査(症状が長期持続・随伴症状あり・悪性腫瘍がある場合)

✅血液培養

✅TSH、FT4、尿定性・沈査、血液培養、QFT、クラミジアIgM/IgG、ウイルス性関節炎の評価(ヒトパルボウイルスB19  IgM、HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体、その他の特殊なウイルス:麻疹、風疹、デング等)、ASO/ASK(リウマチ熱)

✅関節エコー・関節CT ⇒ 分からなければ関節MRIまで

✅感染性心内膜炎の評価(血液培養、心エコーなど)

 

膠原病の鑑別

✅両手足関節レントゲン2方向(正面・斜位

✅脊椎関節炎を疑う場合は胸椎・腰椎2方向、左右仙腸関節、骨盤正面のレントゲン

✅関節エコー(滑膜炎の評価)

✅抗核抗体、RF、抗CCP抗体、補体C3/C4/C50、抗dsDNA抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、免疫グロブリン、フェリチン、抗ARS抗体、CK、アルドラーゼ、U1-RNP抗体、MPO-ANCA、PR3-ANCA、ACE、クリオグロブリン

 

悪性腫瘍が基礎疾患にある患者

関節MRI、PET-CTや骨シンチ。

 

 

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低Na血症

 

 

フローチャート

*利尿剤は特にサイアザイド系

*SIADH、MRHE、reset osmostatは検査での区別は困難(臨床経過で判断する)

 

検査

✅血清OSM→低張性低Na血症の確認

体液評価4点セット(飲水測定、尿側、体重測定、IVC評価)

✅130mEq/L<Na<135mEq/Lの時 ⇒ これ以上下がらないようにメインや薬剤等の変更を行う。

✅Naが130mEq/L以下で電解質補正開始飲水制限

※なるべく補正前に必要な検査を提出

✅薬剤性低Naがないかどうか確認(利尿剤以外の薬剤にも注意

✅尿検査(尿Na、尿K、Cr、BUN)、尿Osm、塩類喪失性腎症(RSW)を疑う場合は尿中NAGと尿中β₂MG。

BNP、TSH、FT4、早朝のACTH・コルチゾール(起床時・食前に安静30分後に採血)、必要ならRapid ACTH試験。

バソプレシンAVP)、血漿アルドステロン濃度(PAC)、血漿レニン活性(PRAまたはARC)(30分安静臥床後に採血)
*PAC・PRA:SIADH・MRHEで上昇、CSW・RSWで低下

✅内分泌疾患が疑われる場合は、内分泌内科にコンサルト

 

※高張性や等張性低Na血症の中で「偽性低Na血症(高血糖や高TGによる)」が疑わしい場合は血ガス電解質を評価する。

 

低張性低Na血症の補正

意識障害や痙攣がある、Naが非常に低い場合(120未満)

✅3%食塩水で補正を行う。

 

■3%食塩水の作り方と使い方

10%食塩水20mlを6A(120ml)+生食400mlを混合する。

補正速度は0.5mEq/L/hを超えないようにする(1日の補正上限はこちら

⇒3%食塩水を体重×0.5~0.6ml/hで持続投与を行い、1~2時間後にNaを再検(Naの上昇速度を評価する)

 

通常の低Naの補正

✅生食の補液

✅NaClの内服(1日3~6g/日、辛いのでカプセルで処方)

✅細胞外液量増加が原因の場合は原疾患の治療を行う。

 

補正上限

✅最初の24時間はΔNa≦10mEq/L/日に留める

✅その後の補正はΔNa≦8mEq/L/日に留める

 

補正の予測式

 

輸液量が1Lの場合(Adrogue-Madias式)

 

※体内水分量(L):男性は0.6×体重(kg)、女性や高齢者は0.5×体重(kg)

 

SIADHの治療

水制限が基本。現在はバソプレシンV2受容体拮抗薬が保険適応になっている。

✅血清Na値が正常化するまではNaCl内服による補正を行う。

✅Na<120mEq/Lの場合や症候性低Naの場合は3%生食で補正を行う。

 

水制限の目安
  • 1日800ml/日未満(15~20ml/kg未満)とする
  • 尿検査を参考に飲水制限する方法もある
    (UNa+UK)/血清Na>1の場合:500ml/日
    (UNa+UK)/血清Na=1の場合:500~700ml/日
    (UNa+UK)/血清Na<1の場合:1000ml/日

 

バソプレシンV2受容体拮抗薬

3%食塩水の点滴で効果不十分の場合に使用する。

フィズリン30㎎/日を最大7日間内服。

 

デメクロサイクリン

ADHの作用を阻害する効果がある抗菌薬(テトラサイクリン系)

デメクロサイクリン1日600~1200mg 内服。

 

SIADHの診断基準

主症候

1.脱水の所見を認めない。(MRHE・RSWSとの違いは脱水があるかどうか!
2.倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある。

検査所見

1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135 mEq/Lを下回る。
2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウム濃度が135 mEq/L未満で、血漿バゾプレシン濃度が測定感度以上である。
3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280 mOsm/kgを下回る。
4.高張尿:尿浸透圧は300 mOsm/kgを上回る。
5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20 mEq/L以上である。
6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2 mg/dl以下である。
7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6 μg/dl以上である。

血漿レニン活性は5ng/ml/hr以下、血清尿酸値は5mg/dl以下のことが多い。

 

SIADHの原疾患

肺疾患

肺炎、気管支喘息、肺腫瘍(特に肺小細胞癌)、COPD気胸、陽圧換気、肺アスペルギルス症

中枢神経系疾患

髄膜炎、外傷、脳出血脳梗塞水頭症、ギランバレー症候群

薬剤

向精神薬抗うつ薬(アミトリプチン、イミプラミン、SSRI)、化学療法(エンドキサン、オンコビン、プラチナ製剤)、抗痙攣薬(バルプロ酸カルバマゼピン)、クロフィブラート 等

 

 

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