とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

利尿薬

 

 

ざっくりとした使い分け

✅ループ利尿薬:基本の利尿剤(入院ならフロセミド、外来で処方ならルプラック or アゾセミドがbetter)

ラシックス持続注射:血圧が低い時、出渋っている時に使用する

✅アルダクトン:ラシックスで低Kが進んだら併用する。心保護作用あり。

✅フルイトラン:高ナトリウムの患者で使用(他の利尿剤と併用で使用)

ダイアモックスラシックスの使用で代謝性アルカローシスが進行した場合使用する(呼吸抑制を抑える目的。)

✅サムスカ:ループ利尿薬で利尿がつかない場合(特に低Na合併の時)に併用(必ず併用で使用する

 

ループ利尿薬

静注
  • フロセミド(20mg/A) 0.5A~1Aをiv(最大投与量は40~80㎎/回)
  • 腎機能障害がある場合はCr×20㎎をiv

※通常は100㎎以上のivは行わない

持続注射
  • 適応:静注の反応が悪い場合、血圧がやや不安定な重症心不全など
  • フロセミド100㎎+生食40mlで希釈しTotal50mlで使用する。(2mg/ml組成)
    eGFR≧75の時:1~2ml/hrで開始
    25<eGFR<75の時:2~4ml/hrで開始
内服

◆フロセミ

◆アゾセミド、トラセミ

  • 長時間作動型利尿剤。
  • フロセミドよりも心保護作用あり
  • フロセミド40㎎≒アゾセミド60㎎≒トラセミド8㎎
  • フロセミドと比較し即効性はない。(≒排尿回数の急激な増加がない)
  • フロセミドよりバイオアベイラビリティが良好。
  • フロセミドよりカリウムが下がりにくい。(とくにトラセミドは抗アルドステロン作用があり、Kが下がりにくい
副作用

カリウム血症、低マグネシウム血症、高尿酸血症代謝性アルカローシス、腎機能障害

 

カリウム保持性利尿薬

  • K低下時にループ利尿薬と併用する。
  • 抗アルドステロン作用あり、慢性心不全の予後改善効果が期待できる。
静注

◆ソルダクトン

  • ソルダクトン200㎎+生食20mlで1日1~2回 iv
内服

◆アルダクトン

(フロセミド:スピロノラクトン ≒ 2:5が最も効果が高い)

 

サイアザイド利尿薬

  • 「高Na血症患者の利尿」や「食塩感受性患者の降圧」に使用することが多い(利尿剤の中でもNaが下がりやすい)
  • 利尿作用はそこまで強くなく、心不全の治療で単独使用することはない
  • Cre>2.0、eGFR<30ml/minでは効果ないため使用しない
内服

◆フルイトラン

  • フルイトラン2~4mgを分1で使用する
副作用

低Na血症、低K血症、高Ca血症、高尿酸血症、耐糖能異常

 

炭酸脱水素酵素阻害剤

  • ICUで人工呼吸器管理中の代謝性アルカローシスの是正に使用する。
静注

◆アセタゾラミド

アセタゾラミド125~250㎎+生食20mlを1日1~2回 iv

 

V2受容体拮抗薬

  • ループ利尿薬で効果不十分な心不全に使用する。
  • 現在はSIADHにも保険適応あり。
  • 電解質異常(特に高Na)や腎機能障害(めちゃくちゃ尿が出る)に注意。
  • 必ずループ利尿剤との併用+入院で導入を行う
内服

◆トルバプタン

  • トルバプタン3.75mg/日より内服を開始する。(最大15mg/日)
  • 導入初日は12時間後に採血を行いBUN、Cre、電解質をチェックする。
  • 尿量も毎日必ずチェックを行う。
副作用

電解質異常(特に高Na血症)、腎機能障害、脱水、低血圧

 

利尿薬の使用方法と効果判定

 

利尿薬の減量・中止基準、副作用の対応

下記の場合は利尿剤の減量を考慮する。

✅AKIの基準を満たす場合:Creが48時間以内に0.3mg/dl以上の増加、または基礎値からCreが1.5倍以上上昇。
※明らかな溢水がある場合は多少の薬剤性腎障害(Cre 0.5mg/dl程度の上昇)は許容する。

 

✅うっ血が解除された場合

うっ血解除の目安
  • 身体所見の改善:下腿浮腫、起座呼吸、頸静脈怒張、湿性ラ音など
  • 血液濃縮の程度:Hb、Hct、アルブミン、総蛋白のうち3項目以上の上昇
  • BNP・NT-proBNP:それぞれ最大値よりも30~40%以上低下

 

合計-3000ml以上のアウトバランスがある場合

通常このくらいの量の水が引ければ、うっ血は改善していることが多い。

 

血圧低下、頻脈傾向

SBP≦90mmHgの時は、利尿薬の中止・減量もしくは利尿薬を持注に変更して量を調節する。

 

✅IVC虚脱

✅脱水による利尿薬の効果減弱が見られる場合

電解質異常については補正しながら利尿薬の使用を継続する
⇒ 補正困難な高度の電解質異常、代謝性アルカローシスについては減量・中止。

 

 

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低アルブミン血症

 

 

鑑別

①低栄養(高齢者で非常に多い)

②炎症による消耗

ネフローゼ症候群

④肝硬変

⑤吸収不良症候群や蛋白漏出性胃腸症(まれ)

 

検査

最初の検査

血管内脱水・サードスペースへの体液貯留に注意して診療する

⇒ 飲水量測定、尿量測定、体重測定、IVCの評価などを考慮

✅低栄養を治療する(例外を除き)

⇒ ご飯が食べれない人はなるべく早期(少なくとも1週間以内)に経管栄養やCVを検討する!

(遅れて経管栄養をしても、栄養状態が立ち上がらず泥沼になるケースが多い。)

※例外①:悪液質の場合は無理に栄養しない。
※例外②:寿命の場合は家族と相談してどこまでやるか決める。(ICはこちら

✅炎症による消耗がありそうな場合は原因を検索する

炎症反応上昇の評価はこちら

✅血算、生化学、血糖、凝固、総蛋白、アルブミン、A/G比の評価 、蛋白分画、T-Chol、LDL-C、HDL-C、HbA1c、肝機能、腎機能、FT4、TSH、BNP(体液過剰による相対的Alb低下)、血清Zn(亜鉛欠乏が低Alb血症の原因になることもある)

✅尿定性・沈渣

⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)

⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿

✅蛋白アルブミン乖離がある場合の精査はこちら

 

ネフローゼ

✅尿定性・沈査

⇒蛋白尿があるなら随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)

⇒蛋白尿多いなら1日蓄尿

✅T-chol(肝硬変で減少、ネフローゼで低下)、TP、Alb

ネフローゼの原因精査(腎機能障害の鑑別を参考に)

 

肝硬変

✅アルコール摂取歴聴取

✅Plt、AST、ALT、LDH、ALP、γ-GTP、HBs抗原、HCV抗体、PT、コリンエステラーゼ免疫グロブリンヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン、Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、抗核抗体、必要に応じて抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体、フェリチン、血清銅、セルロプラスミン

✅腹部エコー、腹部CT

✅肝生検のため消化器内科コンサルト

✅Varixの評価のため上部消化管内視鏡も考慮する。

 

蛋白漏出性胃腸症

✅まずは上下部消化管内視鏡を施行して、蛋白漏出性胃腸症の原因を調べる!

原因:クローン病やUC、Collagenous colitisなどの炎症性腸疾患、偽膜性腸炎、腸管の悪性腫瘍、慢性膵炎、膠原病(SLE、RA、MCTD、血管炎)、アレルギー性胃腸症、好酸球性胃腸症、腸管アミロイドーシス、腸結核、腸サルコイドーシス、メネトリエ病、収縮性心膜炎、whipple病、セリアック病などが原因となる。

✅便中α1アンチトリプシンクリアランス検査、99mTcヒト血清アルブミンシンチグラフィー検査が診断に有用!

 

 

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血小板減少

 

 

フローチャート

 

鑑別疾患

★血小板は10万未満になったら評価するべし!

偽性血小板減少症DIC(重症感染症化学療法(治療関連MDSも含む)薬剤性(HITを含む)肝硬変、ITP、サイトメガロウイルスEBウイルス血球貪食症候群、TTP、HUS、膠原病(SLE:エバンス症候群、SJS、成人スティル病)、血液疾患(再生不良性貧血、MDS、白血病、骨髄癆:骨髄癌腫症等、巨赤芽球性貧血、血管内リンパ腫)、慢性DIC(大動脈瘤心室瘤、巨大血管腫、固形癌)、リンパ増殖性疾患(IgG4関連疾患、キャッスルマン病、TAFRO症候群)、抗リン脂質抗体症候群、特殊な感染症SFTSレプトスピラ、リケッチア)、先天性血小板減少症など

 

免疫性血小板減少症の原因

SLE、抗リン脂質抗体症候群、Evans症候群、甲状腺疾患(甲状腺自己抗体陽性例)、慢性リンパ性白血病悪性リンパ腫(大顆粒リンパ球性リンパ腫やホジキンリンパ腫)、MGUS、原発性マクログロブリン血症、IgG4関連疾患、キャッスルマン病、TAFRO症候群、HIVHCVヘリコバクターピロリ感染、その他のウイルス感染症(CMV、EBウイルス、VZVウイルス、風疹、SARSなど)、ワクチン接種

 

最初の検査

血液内科コンサルト

DICの確認!(特に重症感染症の時)

血小板減少を来す薬剤の変更・中止を検討

✅化学療法歴、放射線治療歴の確認

✅一般採血(EDTAの採血管をヘパリンのものに変更して採血)、リンパ球分画(偽性血小板減少で上昇する)、目視(Fragmentationの確認⇒DIC/TTP、芽球の評価など)、Ret(造血能の確認)、血培(重症感染症が疑われる場合)、尿定性・沈査(膠原病の腎障害や溶血によるヘモグロビン尿)、トランスアミナーゼ、ALP、γ-GTP、ChE、T-Bil、D-Bil、凝固(PT、APTT、FDP、Fib、ATⅢ)⇒ DICや肝硬変などの評価

✅DICの場合は凝固活性化マーカー(TAT)と線溶活性化マーカー(PICなど)を評価する。

✅肝硬変が疑わしい場合は腹部エコー(肝障害の鑑別はこちら

✅ウイルス感染症の除外(CMV、EBVなどの評価)

 

追加の検査

✅必要に応じて下記を追加する。

抗核抗体(160倍以上の場合は染色型の結果に応じて追加抗体を提出)、ds-DNA、補体(C3,C4,CH50)、SS-A、SS-B、免疫グロブリン、血沈、フェリチン、PA-IgGHIT抗体、ピロリ抗体、C7-HRP、VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、HBs抗原・HCV抗体、HIV抗体、骨髄穿刺(血液内科コンサルト)、胸腹CT(肝硬変や脾腫の確認、リンパ節腫脹の確認)、腹部エコー、可溶性IL-2R、HTLV-1抗体(陽性であればWB法またはLIA法で確認)、溶血が疑われる場合はハプトグロビンやクームス試験。

✅リン脂質抗体症候群の検査 ⇒ ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテイン

✅血球貪食の検査 ⇒ 目視、CMV、EBVの精査、可溶性IL-2R、フェリチン、TG、骨髄穿刺)

✅ITPの検査 ⇒ PA-IgG、ピロリ抗体や尿素呼気試験、HCV抗体、HIV抗体、胃カメラ(ピロリ胃炎の確認)

TMAの検査 ⇒ 目視(Flagmentationの確認)、PLASMICスコア、ADAMS-13活性・インヒビター、便培養、TTPの原因の鑑別:補体C3,C4,CH50、抗核抗体、抗ds-DNA抗体、抗Sm抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、ループスアンチコアグラント、カルジオリピン抗体、カルジオリピンβ2グリコプロテインビタミンB12

✅巨赤芽球性貧血の検査 ⇒ 目視、ビタミンB12葉酸、悪性貧血が疑われる場合 ⇒ 抗内因子抗体、抗胃壁抗体、上部消化管内視鏡

✅血管内リンパ腫の検査 ⇒ 可溶性IL-2R、PET-CTやガリウムシンチ、皮膚のランダムバイオプシー、骨髄穿刺)

✅リンパ増殖性疾患の検査 ⇒ 免疫グロブリン、IgG4、可溶性IL-2R、RF、抗核抗体、SS-A、SS-B、ANCA、HIV、EBVの検査(VCA-IgM/IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)、血清M蛋白の評価(血清蛋白分画 ⇒ Mピークあれば血清FLC、血液・尿の免疫固定法、尿中BJP、骨髄穿刺)、造影CTPET-CTやガリウムシンチリンパ節生検や節外病変の生検IgG4関連疾患やシェーグレン疑いなら口唇生検、必要に応じて骨髄穿刺

キャッスルマン・TAFRO・POEMSを疑う場合 ⇒ 血清VEGF、血清IL-6、HHV-8の検査(HHV-8 DNA定量・組織のLANA-1染色)、EBウイルスの検査(VCA-IgM、VCA-IgG、EBNA、EBV-DNA、組織のEBER染色)を提出

膠原病内科コンサルトも検討!

✅特殊な感染症の検査(SFTS・リケッチア・ライム病・レプトスピラ症)

*発熱、肝腎機能障害、血小板減少、皮疹や刺し口などから疑う
*検査は国立感染症研究所に依頼する(保険内検査はリケッチア等の一部しか承認されていない。血液や尿のペア血清やPCRを提出する)

 

※慢性炎症性疾患、蛋白アルブミン乖離がある場合はアミロイドーシスの評価

  • AL型(限局性が多い)の評価は、血清M蛋白の評価、血清遊離軽鎖、尿中BJ蛋白、骨髄穿刺の評価を行う。
  • AA型(全身性が多い)の評価は、血清アミロイドA、尿検査、抗核抗体、RF、抗CCP抗体、SS-A、SS-B、QFT、消化管内視鏡(生検、炎症性腸疾患の評価)、腸管・肝臓・骨髄・皮膚・腹壁脂肪からの生検、腎障害があれば腎生検、心アミロイドーシスの評価(心電図、心エコー、必要に応じて心生検、シンチ)、神経症状がある場合は神経生検、神経伝導速度検査。

 

急性期DICスコア

f:id:kodomonotsukai:20220120231343p:plain

✅基本的には急性期DICスコアを使用する。

白血病群の場合は厚生労働省の基準を用いる(出血症状と血小板群を除いて4点以上)

✅ATⅢとフィブリノーゲン低下はDICを示唆する。

 

4T’s score(HITのリスクスコア)

  2点 1点 0点
血小板減少 >50%の減少があり、かつ最低値≧2万/μL 30-50%の低下あり。もしくは最低値が1-1.9万/μL <30%の低下あり。もしくは最低値が≦1万/μL
発症タイミング ヘパリン曝露後5-10日で発症。過去30日以内に曝露歴がある場合。曝露後1日で発症 ヘパリン曝露後>10日経過して発症。もしくは曝露歴が不明。過去31-100日以内のヘパリン投与歴がある場合は1日以内での発症 ヘパリン曝露後4日以内での発症。もしくはヘパリン曝露なし。
血栓症 ヘパリンボーラス投与後に新規血栓症やアナフィラクトイド反応あり 進行性。再発性の血栓症あり。皮膚紅斑。血栓症の疑いあり。 なし
他の血小板減少の原因 なし 可能性あり 確実にあり

0-3点は低リスク、4-5点は中リスク、6-8点は高リスク。

 

ヘパリン起因性血小板減少症の診断・治療ガイドライン

 

血小板減少を来しやすい薬剤

ヘパリン(HIT)アセトアミノフェン、NSAIDS、抗てんかん薬(カルバマゼピンバルプロ酸、フェニトイン)、抗菌薬(β-ラクタム、バンコマイシンリネゾリドST合剤リファンピシン)、H2ブロッカーPPI、スタチン(シンバスタチン)、抗不整脈薬(アミオダロン、キニジン)、抗精神病薬ハロペリドール

 

TMAの分類と鑑別

 

序:TMAの分類と診断より

 

 

血栓性微小血管症(TMA)と播種性血管内凝固(DIC)の早期鑑別診断より

 

PLASMICスコア
  • 血小板数<3万/μL +1
  • クレアチニン<2mg/dL +1
  • 溶血の指標:網状赤血球>2.5%、ハプトグロビン検出なし、間接ビリルビン>2mg/dL +1
  • 一年以内にがん治療を受けていない(活動性の悪性腫瘍なし) +1
  • 骨髄移植または臓器移植の経験がない +1
  • MCV<90fL +1
  • PT-INR<1.5 +1

低リスク:0~4点、中間リスク:5点、高リスク:6~7点

✅5点以上⇒ADAMS13測定・血漿交換を検討。

 

 

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貧血

 

 

フローチャート

その他:薬剤性血球減少(化学療法など)、放射線治療、体液貯留による希釈、胃切除後(鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏)、微量元素欠乏性貧血亜鉛欠乏性貧血、銅欠乏性貧血)など

 

最初の検査 

★Hb≦10g/dlで積極的に精査する。

✅消化管出血の確認のために便潜血ジギタール。上部消化管出血が疑われる場合は胃管挿入して確認

被疑薬の変更・中止を検討

✅出血セット血算(Hb、Plt)、凝固、鉄の評価(Fe、フェリチン、TIBC、UIBC)、必要に応じて輸血検査⇒ 輸血を検討輸血療法を参照

✅急性出血の評価Hbの再検(低下のスピードが速い場合は急性出血を疑う)網赤血球(Ret)BUN/Cre比(上部消化管出血の評価)、RDW。

✅必要に応じて画像検査(CTなど)

Major Bleedingが疑われる場合は造影CT(出血源の精査)

(24~48時間以内にHbが2以上低下、またはRBC2単位以上輸血が必要な場合)

✅上部消化管出血疑いの場合は必要に応じて胃管挿入で確認検討

緊急止血(緊急上部消化管内視鏡やIVR)

鉄欠乏性貧血、便潜血陽性、TSAT≦20%の場合は待機的に消化管内視鏡検査⇒小腸内視鏡まで考慮。女性の場合は性器出血や過多月経がないか確認!

*TSAT=(鉄/TIBC)×100

✅必要なら血液内科コンサルト

 

RPI

RPI=〔網赤血球数%×(患者Ht/正常Ht)〕/成熟因子

Ht:成人男性=40-50%、成人女性:35-45%

成熟因子:Ht36-45で1.0、26-35で1.5、16-25で2.0、15未満で2.5

 

★RPI≧2.5や網赤血球の実数10万以上で産生増加(溶血や出血)、RPI≦2.5で産生低下と判断する。

 

MCVとRDW

 

便潜血陽性の対応

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追加検査

✅上下部内視鏡、TSH、FT4、目視(Fragmentationの確認)。

✅腎性貧血を疑う場合はEPO

✅正球性~大球性であればVitB12(200pg/ml未満で欠乏)、葉酸(3µg/ml未満で欠乏)、血清Cu、セルロプラスミン、TSH、FT4、目視で好中球過分葉の評価 、悪性貧血の可能性が高い場合は抗内因子抗体・抗胃壁抗体・上部消化管内視鏡(癌や萎縮性胃炎のスクリーニング)を提出する。ビタミンB12葉酸が正常でも大球性貧血がある場合は血中総ホモシステインを測定する。

溶血の可能性が疑われる場合、目視(Fragmentationの確認)、Pの評価(低P血症による溶血性貧血の除外)、総Bil、間接Bil、直接クームス試験、間接クームス試験、寒冷凝集素(血液が固まる場合は温めて提出)、ハプトグロビン、尿定性・沈査(溶血の評価や膠原病TMAによる腎障害の確認)。自己免疫性溶血性貧血の場合はRAやSLE、リンパ増殖性疾患の評価を行う。

✅必要に応じて、血清Zn、血清Cu、セルロプラスミン、血液疾患の評価(目視、骨髄穿刺、免疫グロブリン(IgG・IgA・IgM)、可溶性IL-2R 等)

 

輸血療法

★基本はHb≦7.0g/dlで輸血と考える

急性出血

出血量に応じて輸血を行う(Hb値を輸血の参考にはしない)。Hb≦6.0g/dLでほぼ必須。

慢性貧血

Hb<7.0g/dlの場合に輸血を行う。

心疾患

Hb<8.0g/dLで輸血を行う。

Hb8~10g/dLを目標に輸血を行う。

 

※予測上昇Hb ≒ RBC2単位投与した場合は70÷体重(kg)と覚える。

 

鉄欠乏性貧血の診断と治療

診断

フェリチン<12ng/mlであれば確定診断。フェリチン<100ng/mlでも可能性あり。

TSATが20%未満は感度が高く、鉄補充を考慮。

*TSAT=(鉄/TIBC)×100

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原因

消化管出血(上下部内視鏡小腸内視鏡まで検討)、性器出血、萎縮性胃炎(鉄吸収障害。除菌療法のみでIDAが改善することもある)、鉄不応性鉄欠乏性貧血(血液内科コンサルト)

 

治療

Hb10未満またはフェリチン12未満で鉄補充を開始する

✅鉄剤をフェリチンが30~50程度もしくはTSAT≧20になるまで投与する。
※ただし静注製剤はフェリチンやTSATはすぐに正常化してしまうため参考にならない。必ず中尾式などを参考に補充量を調節すること!

✅フェリチンが50~100と比較的高い場合はTSAT20%を目標に補充を行う。

 

軽度の貧血の場合

※チラージンと酸化マグネシウムは鉄剤との投与間隔を空けること!

 

重度の貧血の場合、活動性出血時、吸収障害の場合

 静注製剤を使用する(体内への吸収率を上げるため、便が黒くならないので出血のモニターができる)

  • フェジン 40mg~120mg/日 10~20%Tzで5~10倍に希釈して投与
  • モノヴァー 20mg/kg(max1000mg)を週1回投与

    静注製剤を使用する場合は中尾式による必要鉄量を参考に投与する。

     必要鉄量[mg]=(2.7×(目標Hb濃度-治療前Hb濃度)+17)×BW

 

鉄剤による消化器症状が強い場合や鉄過敏が疑われる場合

  • インクレミンを使用する。

 

腎性貧血の診断と治療

診断

✅GFR<60ml/min/1.73m²で腎性貧血を合併する割合が増加する

✅Hb<10g/dlでEPO<50mIU/mLであれば可能性が高い。

✅フェリチン<100ng/ml、TSAT<20%であれば鉄欠乏性貧血の合併の可能性高いため、ESA製剤投与の前に鉄剤の補充を検討する。

 

 

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おすすめの聴診器

 

聴診器は呼吸器内科Drの必需品ですが、コロナ禍においては、すべてのDr・コメディカルにとっても必要不可欠のアイテムといって良いでしょう。

今回は呼吸器内科医の私が聴診器の選び方とお勧めの聴診器を御紹介します。

また私が現在愛用している聴診器も御紹介いたします。

 

 

どのメーカーの聴診器を選ぶべきか

最近では日本製のメーカーで良い製品もあるようですが、使用している人はまだ少ない印象です。

失敗したくない場合はオーソドックスなメーカーから選べば、レビューも多く、購入の際の参考にもなると思います。

 

お勧めのメーカーは「Littmann」と「Welch Allyn」です。

また値段については10000円以上のものをお勧めします。

(安いものの中にはドンキに売ってる玩具のようなクオリティのものもあります。)

 

用途による選び方

自宅で使用する場合や血圧測定などの簡単な聴診をしたい人向け

ぶっちゃけどれを使っても良いと思います。

片面タイプ(シングルタイプ)で良いです。

 

学生実習で使用する人向け

 
学生実習で使用する場合には上記のようなダブルタイプ(両面タイプ)のものが良いと思います。
リットマンクラシックⅢは比較的安価であり、コスパが非常に良いです。
 

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 👆このようなオープンベル型よりも、両面膜型の方をお勧めします。
膜型の方が皮膚への接着面積が広くなり聞きやすくなります。
 
しっかりと聴診をしたい循環器・呼吸器Dr向け

3M™ リットマン™ エレクトロニック ステソスコープ (電子聴診器) | スリーエム ジャパン | 3Mジャパングループ

しっかりと音を聞きたい人には電子聴診器がお勧めです。

 音を増幅し、周囲の雑音をキャンセルする機能(ANRテクノロジー)を搭載しています。

音量の変更や録音も行うことができるハイテク商品です。

単三アルカリ乾電池1本で約50時間程度使用できます。

非常に高いので、私は購入していませんが、他の先生のものを借りて診察した際に聞こえやすさに非常に驚きました。

 

 私が「マスターカーディオロジー」をお勧めする理由

 
私が日頃愛用しているのはリットマンの「マスターカーディオロジー」です。
今となってはこれ以外の聴診器は考えられないほど気に入っています。
 
この聴診器を推す理由としては
①ダブルタイプのように回す必要がないこと(面倒くさがり
②膜の部分がとれて、どっかに飛んでいく心配がないこと(雑に扱いすぎ
③最大の理由は「チューブの劣化が少ないこと」です❕❕
 
実は以前は「カーディオロジー」シリーズを使用していました。

 

 
この聴診器も非常に良い聴診器なのですが・・・
実は長年使用している人にしか分からないデメリットがあります。
 
◆デメリットその1:他の聴診器に比べて重い
◆デメリットその2:チューブが硬くなり、亀裂が入る
 
心音などの低音をより聞きやすくするために改良された聴診器であるため仕方のないデメリットなのかもしれません。
 

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👆1~2年使用すると、このように段々とチューブが硬くなります。

首や椅子にかけっぱなしにしておくと、チューブが曲がったままもとに戻らなくなります。

またチューブに亀裂が入り、最終的にチューブが割れることも多いです。

 

その点、「マスターカーディオロジー」や「マスタークラシック」のシリーズはチューブが非常にしなやかで硬くなる心配が少ないです。

 

重さは「マスターカーディオロジー」と「カーディオロジーⅣ」が大体同じくらいです。

 

おわりに


いかがでしたでしょうか❓

今回は聴診器について少しまとめてみました。

基本的に長く使うものですから、用途や値段を良く考えて選んでみてくださいね(^▽^)/

 

ではまた!!

 
 

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心エコーの評価

 

 

心エコーの見るポイントと基準値

✅LVDd(左室拡張末期径):40-53

✅LVDs(左室収縮末期径):23-42

✅IVS:心室中隔壁圧:7-12

✅LVPWD(左室後壁壁厚):7-12、15mm以上の場合は高血圧性心筋症以外を考える。

✅AoD(大動脈径):21-36

✅LAD(左房系):19-40

✅EF(Teich、MOD):60%以上が正常

✅SV(一回拍出量):SV×HR=CO。正常値60~100ml。SV<45で低心拍出。LVOT-VTI<15cmで低心拍出。

SI(一回拍出係数):SI=SV÷BSI。30~35ml/m²以下で低心拍出。

LVOT-VTI(左室流出路速度時間積分値):LVOT-VTI<15cmで低心拍出。VTI×LVOT断面積=SV。

✅CO(心拍出量):4~6(L/min)、CO÷BSA=CI。

CI(心拍出係数):Forrester分類では2.2未満が低灌流

✅Asynergy at rest:normokinesis、hypokinesis、akinesis、dyskinesis(Base,mid,apex)

弁膜症:trivial(ごく僅か)、mild(軽症)、moderate(中等症)、severe(重症)

✅AS:AVA(1.0㎝²未満で重症、1.0~1.5㎝²未満で中等症、1.5㎝²以上は軽症)、Vmax(4m/秒以上で重症、3~4m/秒以上で中等症、3m/秒以下で軽症)、mPG(40mmHg以上で重症、25~40mmHgで中等症、25以下で軽症)

✅MS:mPG(10mmHg以上で重症、5~10mmHgで中等症、5mmHg以下で軽症)、MVA(1.0cm²以下で重症、1.0~1.5cm²で中等症、1.5cm²以上で軽症)

✅MR:ジェット面積(40%以上で重症、20~40%で中等症、20%以下で軽症)、vena contracta幅(7mm以上で重症、3~6.9mmで中等症、3mm未満で軽症)、逆流量(60ml以上で重症、30~59mlで中等症、30ml未満で軽症)、逆流率(50%以上で重症、30~49%で中等症、30%未満で軽症)、有効逆流弁口面積(0.4cm²以上で重症、0.2~0.39cm²で中等症、0.2cm²以下で軽症)。

✅AR:ジェット面積(65%以上で重症、25~65%で中等症、25%未満で軽症)、vena contracta幅(6mm以上で重症、3~6mmで中等症、3mm以下で軽症)、逆流量(60ml以上で重症、30~59mlで中等症、30ml未満で軽症)、逆流率(50%以上で重症、30~49%で中等症、30%未満で軽症)、有効逆流弁口面積(0.3cm²以上で重症、0.1~0.29cm²で中等症、0.1cm²以下で軽症)。

✅TMF(僧房弁口血流速度波形):1.0<E/A<2.0(若い人)、E/A<0.8(お年寄り)、お年寄りで0.8<E/A<1.5は偽正常化、E/A>2.0は拘束性障害。左房圧の評価はこちらを参照。

✅DcT:160未満は拘束性障害。高齢者であれば200未満でも拘束性障害あり。

✅E/e'(イーバーイープライム):左房圧と相関

TRPG(右室右房圧較差):4×(最大三尖弁逆流速度)²。TRPG31~36mmHg以上で肺高血圧を疑うが、推定値であるため個人差あり。

推定収縮期肺動脈圧を推定できるが、右心カテーテルの実際の数値と乖離しやすいため、肺高血圧の診断のためには右心カテーテル検査が必要。

TRPG40≒mPAP25(肺高血圧の可能性高い)、TRPG60≒mPAP40くらいと考える。

✅推定右室圧(RVSP。RVSP≒esPAP(推定収縮期肺動脈圧)):IVC≦15~20mmでRC(+)の時はTRPG+5、それ以外の時はTRPG+10で計算する。(本によって書いてることが違います)

40以上で軽度肺高血圧。

50以上(TRPG40以上)で中等度肺高血圧(肺高血圧の可能性が高い)。

70以上(TRPG60以上)で高度肺高血圧。

※あくまでエコー上の重症度の目安であり、臨床上の重症度分類とは異なる

✅TAPSE:TAPSE<16mmで右室収縮能低下。正常でも右心機能低下は否定できない。

FAC(右室面積変化率):35%未満で右室収縮能低下。TAPSEよりも先に低下することが多い。

✅IVC(下大静脈径):10~20㎜が正常範囲。IVCの評価はこちら

✅RC(呼吸性変動, respiratory change)

✅Pericardial effusion(心嚢液)

 

心エコーと冠動脈灌流領域

LAD:前壁、前壁中隔、心尖部

LCX:前側壁、下側壁(=後壁)、心尖部側壁

RCA:下壁中隔(4PDの灌流域)、下壁、心尖部後壁

長軸像(3チャンバー):前壁中隔と後壁

4チャンバー:前側壁と下壁中隔

2チャンバー:前壁と下壁

 

こちらの図が参考になります。

 

HFpEFの診断基準

EF≧50%以上の心不全であり、かつ以下の4項目のいずれかを満たすもの

f:id:kodomonotsukai:20220302230044p:plain

 

心エコーによる左房圧上昇の判定

f:id:kodomonotsukai:20210828222903p:plain

(引用:日本循環器学会 急性・慢性心不全ガイドライン(2017年改訂版)

 

f:id:kodomonotsukai:20220129182839p:plain

 

IVCの評価

f:id:kodomonotsukai:20220129184516p:plain

 

弁膜症の手術適応

日本循環器学会 弁膜症治療のガイドライン(2020年改訂版)を御参照ください。

 

循環器内科に紹介を行う目安(手術適応になる可能性あり)は以下の通り

✅重症の一次性MR(弁尖や腱索の器質的異常)

✅中等症以上の二次性MR(虚血や拡張型心筋症による機能的MR)

✅中等症以上のMS

✅軽症でも症状のあるMS(mPG 15mmHg以上、PASP≧60mmHg以上)

✅有症状の重症AR

✅無症状の重症ARでLVEF<50%、LVDs>45mm、LVDd>65mmのもの

✅重症のAS

✅有症状のAS

 

 

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せん妄

 

 

オーバービュー

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原因

極論:入院中に急激に進行した認知症はせん妄を疑え!

患者要因 疾患要因 医療介入要因
高齢者 重症全身性疾患 ICU管理

認知症

周辺症状

脱水症 環境
アルコール依存症 感染症 点滴ルート・尿バルーン
せん妄の既往 電解質異常 モニター装着
うつ病 頭蓋内病変脳出血脳梗塞、脳腫瘍、脳炎髄膜炎 体幹抑制・不動
低栄養・脱水 便秘症 薬剤性
経口摂取不良 低酸素血症・高CO2血症  
視覚・聴覚障害 代謝性疾患(低血糖高血糖ビタミンB1欠乏、尿毒症、肝機能障害)  
脳卒中 内分泌疾患(甲状腺機能異常、副腎不全など)
終末期 疼痛

 

検査と処置

精神科コンサルト(治療や対症療法の相談、うつ病の評価など)

✅血算、生化学、電解質(Na、K、Cl、Ca)、肝機能、腎機能、血糖、凝固、血ガス、尿検査、アンモニアビタミンB1、TSH、FT4、Fever workup髄膜炎が疑わしい場合はルンバールまで。

頭部CTやMRI(器質的疾患の除外。「低活動せん妄」と「意識障害」の鑑別)

✅原因となる薬剤の変更・中止

抑制の同意書取得

医療介入要因の是正こちらを参照)

認知症の評価(HDS-RやMMSE)←認知症の周辺症状(BPSD)の可能性。
 ⇒ Treatable dementiaの評価こちらを参照)

 

医療介入要因の是正

✅昼夜のリズムをつける:朝はカーテンを開ける

オリエンテーションをつける:時計やカレンダーを見える場所に置く

家族との面会を促す家族などの写真を置く。

せん妄の原因となる薬剤を可能な限り中止・変更

(BZ系、非BZ系→中止、H2 blocker→PPIへ、オピオイドステロイド、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬など)

✅身体拘束はなるべく避ける(安全管理上必要ならやむを得ない)

✅不要なルートや尿カテは早めに抜去

✅眼鏡や補聴器を付ける

✅リハビリを行う

 

せん妄の診断

一般病床での評価(3D-CAM)

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ICU患者での評価(CAM-ICU

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(引用:丸石製薬株式会社 CAM-ICUせん妄評価フローシート

 

せん妄の治療

★基本はBZ系/非BZ系以外の睡眠導入剤メジャートランキライザー

☆低活動せん妄の場合は抗精神薬は使用しない!抗うつ薬デジレルテトラミドを用いることがある)

 

一般的な処方例

◆就寝前

  • ベルソムラ(15mg/20mg) 1錠 or デエビゴ(2.5mg/5mg) 1錠内服
    +クエチアピン25㎎ 0.5~1錠
  • 睡眠覚醒リズムを整えるため、ロゼレム8mgの併用も有効。

◆不穏時

  • クエチアピン25㎎ 0.5~1錠 頓用
  • 興奮が強い場合はリスペリドン0.5mg~2mg眠前内服(錠剤を拒薬する場合は内用液もある)

 

糖尿病でクエチアピンが使用できない場合

 

腸管が使えない人
  • クエチアピンをシクレスト(アセナピン)舌下錠 5~10㎎で代用する

(糖尿病患者にも使用できます!)

 

せん妄ハイリスク・せん妄発症患者の追加の睡眠導入剤

*低活動せん妄にも有用

 

認知症の周辺症状による不穏・興奮

★基本的に認知症の治療は「周辺症状」に対する治療がメインとなる!

(中核症状は進行の抑制のみであり治癒は困難)

  • 抑肝散 1日2.5~7.5gを内服。

 

認知症の中核症状に対する薬(抗認知症薬)

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は嘔気・下痢、徐脈、QT延長に注意

メマンチンは眠気、めまい、便秘、頭痛に注意。腎機能障害の場合は用量制限あり。

 

不穏時指示テンプレート

 ①リスペリドン内用液(OD錠)5ml 少量の水に溶かして内服(1時間あけて2回まで内服可)

 ②クエチアピン(25㎎)を0.5~1錠内服(1時間あけて2回まで内服可)

 ③アタラックスP1A+NS 50ml投与

 ④セレネース注(5mg)1A+NS100ml div(30分で投与。4時間あけて再使用可)

  ※重症心不全には禁忌。

 ⑤サイレース0.5A+NS100ml div(30分で投与。4時間あけて再使用可)

午前3時以降は朝の覚醒が不良になるためなるべく使用を控えてください。

 

過活動せん妄で内服や静注が困難な場合の不穏時指示

セレネース2.5~5.0mg 筋注

ロナセンテープ20~40mg 眠前に貼付

ロナセンテープ20mg≒リスペリドン1mg)

 

どうしても制止が効かないせん妄患者の対処

管理が困難な場合は必要に応じて以下を考慮する

① 精神科コンサルト

体幹抑制

③ プレセデックス ⇒ ミダゾラムプロポフォール(呼吸抑制に注意する!!)

 

抗精神病薬の等価換算量

リスペリドン1㎎=セレネース2㎎=ルーラン8㎎=クエチアピン66㎎

 

 

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