とある内科医の病棟マニュアル

とある内科医の病棟マニュアル

呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

検査項目別 <INDEX>

 

 

 

 

 👇 ポチっと押していただけると励みになります!


人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村

腎機能障害

 

 

最初のアプローチ

まずは緊急透析が必要な病態かを確認する

緊急の透析導入基準

✅K≧6.0(内科的治療単独では厳しそうな場合)、高Mg、高Ca血症

代謝性アシドーシス(PH7.2未満)、Base Excessが-15以下に低下

✅腎不全に伴う肺水腫、うっ血性心不全

✅尿毒症症状(BUN60~100以上)

✅乏尿が3日以上持続

✅BUNが60mg/dl以上で1日毎に10mg/dl程度上昇する

✅Creが5mg/dl以上で1日毎に1mg/dl程度上昇する

 

次に急性腎障害(AKI)かどうかを考える

急性の腎性腎不全を疑う目安

✅AKIN基準、KDIGO基準を満たす

★尿量の急速な低下を認める(6~12時間で尿量が時間体重あたり0.5ml/kg/hr未満)

★Creが48時間以内に0.3㎎/dl以上の増加、または基礎値からCreが1.5倍以上上昇

✅輸液してみて腎前性要素が否定された、腹部エコーで腎後性が否定された

✅蛋白尿と血尿の両方が出ている

✅急性発症の蛋白尿がある

✅尿沈渣で赤血球円柱・顆粒円柱・上皮円柱が出ている(糸球体病変を示唆する)

 

★AKIと認識したら本気で鑑別を進める必要あり!(腎性腎不全の可能性が高い)

腎臓内科コンサルト

 

鑑別疾患

まず最初に考える鑑別は?

尿路感染症薬剤性(腎機能低下で投与量の変更が必要な薬剤もチェック)、上部消化管出血慢性腎機能障害(糖尿病性等)脱水や低Alb血症による腎前性腎後性の6つ!

★腎前性と腎後性を必ず鑑別すること!!

 

<鑑別疾患>

 

最初の検査

AKI疑いネフローゼ症候群の場合 ⇒ 腎臓内科コンサルト

被疑薬の中止・変更

腎排泄の薬剤は腎機能に応じて用量を調節。

✅体液量評価:尿測(尿量低下に注意!)・飲水量測定・体重測定、心エコー(IVC評価)

腹部エコー(腎前性や腎後性腎不全などの評価、腎動脈狭窄症疑いの場合は腎血管エコー)

✅血ガス(アシドーシスの評価、特に電解質異常がある場合は評価すべし)

尿定性・沈査(尿潜血、尿蛋白、円柱の評価)FENaおよびFEUN(尿中Crと電解質、血中/尿中BUN)

✅血液検査(Ca、P、Alb、HbA1c(腎機能が非常に悪い場合や貧血、ヘモグロビン異常がある場合はグリコアルブミン)、UA(脱水と痛風腎の評価))、血漿浸透圧(脱水等の評価)、正確な腎機能評価のためにシスタチンC(シスタチンクリアランス)、AKIの早期診断のためにNGALL-FABP

✅尿細管障害の評価:尿中NAG、尿中β2ミクログロブリン、血中β2ミクログロブリン(NAGとβ2MGは尿中クレアチニン補正が必要)
*尿中NAGは5-15U/gCr未満、尿中β2MGは200μg/gCr未満が正常
*尿中NAG・β2MG上昇 ⇒ 尿細管障害
*尿と血中のβ2MG上昇・尿中NAG正常 ⇒ β2MG産生量増加(慢性炎症や悪性腫瘍)

✅尿定性で尿蛋白多い場合 ⇒ 随時尿検査にて尿蛋白/尿Cr比(1日推定尿蛋白)⇒ 蛋白尿多いなら1日蓄尿

ネフローゼがある場合は、下記の追加検査および血性・尿中IgGとトランスフェリン測定(selectiviyty indexの測定、ステロイド抵抗性かどうかが分かる)

 

*FENa=(尿Na×血清Cr)/(血清Na×尿Cr)×100

FENa>1%で腎性。

*FEUN=(尿UN×血清Cr)/(血清UN×尿Cr)×100

FEUN>35%で腎性。

 

追加する検査

分からなければ腎臓内科コンサルト

✅血ガス(アシドーシス、RTAの評価)、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリン、血中β2ミクログロブリンMPO-ANCA、PR3-ANCA、抗GBM抗体、IgG/IgM/IgA/IgG4、T-Chol(ネフローゼで上昇)、血液像目視(TMA疑い、Fragmentationの確認)、膠原病関連(ANA、ds-DNA抗体、SS-A抗体、SS-B抗体、Scl-7抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体)、補体C3/C4/CH50(Ⅲ型アレルギーの評価)、血液・尿免疫電気泳動(骨髄腫腎)、RPR、HBs抗原、HBc抗体、HCV抗体、HIV抗体、クリオグロブリン、ASLO、ACE、CEACA19-9などを測定する。

✅腎血管エコー(腎動脈狭窄症の鑑別)

✅薬剤性腎障害が疑われる場合は血中・尿中好酸球、IgE、DLSTなども検討。

腎生検を考慮(腎臓内科コンサルト)

 

急性期治療の基本的な考え方

✅ARF/AKI⇒Do not harm!

とりあえず適切な輸液を行って腎前性の除外腎後性AKIの除外、腎毒性のある薬剤や腎機能を低下させる薬剤を中止。腎機能による薬剤投与量の調節・減量。

👉これでもとに戻らないやつは腎性腎不全疑い!

 

腎生検の適応の考え方

★腎生検の適応

腎生検は腎臓にダメージを与えてしまうため、急性期の患者は本当に必要な患者のみに行う!

 

①腎生検をできる人かどうかを考える(息止めできる?検査後に安静になれる?)

②抗血栓薬を飲んでるか確認(飲んでたらできないので休薬が必要)

③腎臓の菲薄化、腎機能が高度に低下してしまっている症例、大量の腹水が貯留している症例、多発嚢胞腎、水腎症、尿路感染症の合併、片腎などは腎生検の適応にならない可能性がある(腹部エコーやCTで確認)

 

慢性腎機能障害の専門医への紹介基準

★腎臓専門医への紹介基準
  • 尿蛋白0.5g/gCr以上、もしくは検尿試験で2+陽性
  • 蛋白尿と血尿が両方陽性(定性で1+以上)
  • 40歳未満 GFR60ml/分/1.73m²未満
  • 40歳以上70歳未満 GFR50ml/分/1.73m²未満
  • 70歳以上 GFR40ml/分/1.73m²未満

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

急性心不全

 

 

フローチャート

 

心不全の原疾患

✅虚血性心疾患
急性冠症候群、虚血性心筋症、スタニング、ハイバネーション、微小循環不全

✅慢性心不全の急性増悪

✅心筋症
ストレス性心筋症(たこつぼ型心筋症、カテコラミン心筋症、敗血症性心筋症など)、肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症不整脈原性右室心筋症

✅弁膜症

心タンポナーデ

血栓塞栓症

不整脈による心不全

急性心筋炎、心外膜炎

収縮性心外膜炎好酸球性心筋症、ウイルス性心筋炎

✅心毒性物質
薬剤性心筋症放射線性心膜炎・心筋障害、アルコール性など

✅感染性
ウイルス性心筋炎細菌性心内膜炎、リケッチア感染

✅免疫疾患
関節リウマチ、SLE、多発性筋炎、MCTD

✅妊娠
周産期心筋症、産褥性心筋症

✅浸潤性疾患
サルコイドーシス、アミロイドーシス、悪性腫瘍、ヘモクロマトーシス

内分泌疾患
甲状腺機能亢進症、クッシング病、脚気心、褐色細胞腫など

高心拍出心不全

重度貧血甲状腺機能亢進症、動静脈シャント、脚気

先天性心疾患

 

増悪因子

FAILUREで鑑別

Forgot Meds…薬の飲み忘れ(高血圧と頻脈)

ArrhythmiaとAnemia…不整脈と貧血

IschemiaとInfection…虚血と感染症←肺炎+心不全が非常に多い

Lifestyle…ライフスタイル(塩分過剰、ストレス、睡眠時無呼吸症候群

Upregulator…呼吸不全甲状腺機能亢進症、妊娠(←呼吸不全と心不全は合併しやすい

Rheumatic、Regurgitation…リウマチ性のものを含めた弁膜症、IE

Embolism…肺塞栓

 

冠疾患のリスクファクター

高血圧、糖尿病、脂質異常症、家族歴、喫煙歴、肥満

 

Framingham criteria

大症状2つか、大症状1つおよび小症状2つ以上を心不全と診断する。

大症状 小症状 大症状あるいは小症状
発作性夜間呼吸困難または起坐呼吸 下腿浮腫 5日間の治療に反応して4.5㎏以上の体重減少があった場合、それが心不全治療による効果ならば大症状1つ、それ以外の治療ならば小症状1つとみなす
頸静脈怒張 夜間咳嗽
ラ音聴取 労作性呼吸困難
心拡大 肝腫大
急性肺水腫 胸水貯留
拡張早期性ギャロップ(Ⅲ音) 肺活量減少(最大量の1/3以下)
静脈圧上昇>16㎝H2O 頻脈>120/分
循環時間延長>25秒以上
肝頸静脈逆流

 

 

検査

✅血算、生化、血糖、凝固、CK-MB、トロポニンT、BNPTSH、FT4UAHbA1c、TG、T-Chol、HDL-C、LDL-C

✅胸部レントゲン(立位か座位)

✅心電図、心エコー

心不全以外の鑑別が必要な時はCTまで。

 

BNPとNT-proBNP

BNP

400以上で急性の心不全の可能性が高い。100以下で心不全はほぼ除外できる。

✅NT-proBNP

50歳未満であれば450以上、50~75歳であれば900以上、75歳以上であれば1800以上で心不全の可能性が高いと判断する。300以下で心不全はほぼ除外できる。

またNT-proBNPは腎機能障害で上昇する!→透析患者では6000がカットオフになる!!

 

画像所見

✅心拡大

✅間質性肺水腫

肺静脈拡張→小葉間隔壁肥厚・気管支血管束の肥厚→胸水貯留

✅肺胞性肺水腫

中枢側優位のすりガラス影や浸潤影(バタフライシャドウ)

 

心エコー

心エコーの評価(リンク先を参照してください)

 

心不全の診断フローチャート

 

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改定版)を参考に作成

 

クリニカルシナリオと治療

f:id:kodomonotsukai:20220302234200p:plain

 

ざっくりとまとめると・・・

CS1

硝酸薬±BIPAP、必要に応じて利尿剤→血圧が下がらなければニカルジピン

硝酸薬:ミオコールスプレー2プッシュ ⇒ ミオコール持注(使い方はこちら

CS2

硝酸薬とBIPAP、利尿剤も必要なケースが多い

CS3

補液と強心薬で改善しなければスワンガンツ

管理が難しいので循環器内科に必ずコンサルト!

CS4

急性冠症候群の治療に従う。

管理が難しいので循環器内科に必ずコンサルト!

Af+拡張不全型心不全

ランジオロール持注やジギタリス静注+利尿剤

貧血が心不全を悪化させている場合

Hb10を目標に輸血

 

BIPAP:呼吸困難が強い場合やCO2貯留がある場合に積極的に考慮。

※呼吸苦が減る⇒交感神経↓⇒血圧↓でafterload mismatchが改善しやすくなる。

 

急性心不全のフォローアップ

★体液評価4点セット

尿測・体重測定・飲水量測定・心エコー!

 

✅尿測・飲水量測定を毎日、体重測定毎日(もしくは週3回)、心エコー。

飲水制限とりあえず800~1000ml未満!

✅レントゲンは急性期には毎日撮影する!

心不全が改善するまでは-1000~-2000ml/日のアウトバランスを目標とする。

✅減塩食(6g未満)

 

慢性期の治療(急性心不全が落ち着いたら)

心不全の種類によって慢性期の治療が変わる

✅HFrEF(EF40%未満)・・・ACE-I or ARBβblockerを導入。必要に応じてCAG

✅HFpEF(EF50%以上)・・・利尿剤

✅HFmrEF(40%<EF<50%)・・・病態に応じて判断

 

★心エコーで「局所壁運動異常」や「広範な壁運動異常」がある場合はCAGなどで冠動脈の評価を検討する。

 

f:id:kodomonotsukai:20210805233446p:plain

 

ACE-I

✅血圧>100mmHg、症候性低血圧にならない範囲で以下を導入する

・レニベース2.5-5mg/日分1 or コバシル2-4mg/日分1

βブロッカー

メインテート0.625㎎/日 or アーチスト2.5㎎/日より開始

(軽症例なら倍量より開始)

メインテートなら5mg/日、アーチストなら20mg/日まで増量可。

(5~7日毎にメインテート0.625㎎、アーチスト2.5㎎ずつ増量。)

✅βを増量して2-3日後に心不全徴候が出やすいので注意する。

✅HR≧50bpm、SBP≧100mmHgを確認しながら増量する。

※ビソノテープ4mg≒メインテート2.5mg

※ビソプロロールはβ1選択性 ⇒ 血圧が下がりにくい、喘息にも使用可能。

アルドステロン拮抗薬

✅EF 35%未満のNYHAⅡ以上の心不全に適応あり。

スピロノラクトン 12.5~25mg/日より開始。維持量25~50mg/日 1日1回投与

・エプレレノン 25mg/日より開始。維持量50mg/日 1日1回投与

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

栄養療法

 

 

目標カロリー

実臨床では簡易法で計算することが多い。

25kcal~35kcal/kg(理想体重)で計算し、身体活動量や疾患の重症度で調節する。

軽労作、肥満、高齢者 25~30kcal/kg
通常 30kcal/kg前後
重労作、若者 35~40kcal/kg
重症患者の急性期 25kcal/kgを目標

 

ICUなどの重症例では早期経腸栄養を行い、72時間以内に目標カロリーの約80%を投与することを目標とする(Over feedingを避ける)

 

※Harris-Benedictの式も有名であるが、欧米人の計算式であるためカロリーが過剰になることに注意を要する。

 

経腸栄養か経静脈栄養か

When the gut works, use it!!

腸が使えるなら腸を使え!!

 

経管栄養ができない症例

腸管安静が必要な病態、イレウス、循環動態不安定、難治性の下痢

高カロリー輸液の開始基準

腸管がしばらく使えそうにない場合、1週間以内に15kcal/kg/日のエネルギーに到達しない場合。

 

NPC/N比

  • 蛋白質を効率良く利用するために必要なアミノ酸の量を決めるための指標。
  • 患者の病態によって、以下のようにNPC/N比を設定する。

✅一般的な入院患者:150~180程度

ICU患者などの重症患者:100前後で管理

✅透析患者、肝不全でアンモニア上昇時:200~300程度、肝不全は分岐鎖アミノ酸併用

✅慢性腎不全:500~600程度

 

*適切な製剤を使用すれば臨床で問題になることはあまりないと思うので、そこまで神経質になる必要はないのでは??

 

製剤によるNPC/N比の違い

✅経管栄養のNPC/N比:製剤により様々(特徴を理解して使用する)

✅高カロリー輸液のNPC/N比:大体の製剤が150~160で調整されている

 

蛋白量

①まず目標カロリーを設定する。

NPC/N比を設定する。

蛋白質の量を計算する。

NPC/N=100の時:蛋白量(g)=目標カロリー/20 

       Ex)1500kcalの場合、蛋白は75g

NPC/N=150の時:蛋白量(g)≒目標カロリー/30

NPC/N=200の時:蛋白量(g)≒目標カロリー/40

 

糖質

✅通常の患者では糖質を5~7g/kg/dayの範囲で調節する。

✅糖尿病患者など、厳密な栄養管理を必要とする患者の場合では、投与する総エネルギーの50%~60%を糖質として分配する。

 

脂質

✅10日~14日間はなしでも良い。

それ以上になると必須脂肪酸が欠乏するため補充が必要。

✅投与する総エネルギーの20%~40%程度を脂質に分配する。

✅投与量は1g/kg/日以上の投与は避ける。

脂肪乳剤の投与方法

✅必須脂肪酸の補充目的の場合は2日~3日おきに20g/日の脂肪製剤を投与する。エネルギー源を目的として補充する場合は毎日投与。

✅点滴で投与する場合は0.1g/kg/h以下の投与速度が推奨。(必ず単独ルートとする
※早く投与すると代謝が間に合わず、高脂血症になる可能性があると言われている。
※20%のイントラリポス製剤の場合の投与速度は、体重÷2(ml/hr)以下とする。ただしこの投与速度は実臨床上難しい場合も多く、その場合は添付文書に従って早めに投与しても良い!
10%製剤は500mlを3時間以上20%製剤は250mlを3時間以上かけて点滴

 

電解質

✅1日に必要な電解質は以下の量で調節する。

Na 1~2mEq/kg/日、K 0.5~1 mEq/kg/日

*3号液を1日3~4本入れると1日の電解質を補充できる。

(腎障害ではK制限も検討)

 

経腸栄養剤の種類と選び方

成分栄養剤

✅窒素源がアミノ酸のみ。消化に適している。また脂質が少ない。

クローン病急性期、急性膵炎、短腸症候群などが良い適応。

✅浸透圧が高いため下痢になりやすい。

 

消化態栄養剤

✅窒素源はアミノ酸やジペプチドなど吸収しやすい形となっている。

✅消化管術後、炎症性腸疾患、吸収不良患者などに適応。

✅浸透圧が高いため下痢になりやすい。

 

半消化態栄養剤

✅一般的な経管栄養はほとんどが半消化態栄養剤。

✅消化管機能が正常の患者に使用する。

 

半固形栄養剤

✅逆流が少なく誤嚥性肺炎を予防できる効果がある。

✅液状のものに比べて下痢しにくい。

✅経鼻栄養では使用できない(胃瘻患者のみ。カテーテルチップを用いて短時間で注入する)

 

経腸栄養の指示

<体位>

注入時はベッド30~45度ギャッジアップ。フラットは禁。

注入後1時間はギャッジアップを保持

<投与方法>

①間欠投与の場合

※日中で落としきるイメージ!!(7時~21時の間に落としきる)

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを(2~4)時間で朝・昼・夕で投与開始。

 

注入後は1時間クランプをお願いします。

処置時には注入中止。

 

②持続投与の場合

※7時間×3で間に1時間休みを入れる!(全部で21時間で入れる計算)

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを時間30mlで投与開始

※経管栄養を持続で行く場合はインスリンは持注でコントロールする!!

 

注入後は1時間クランプをお願いします。

処置時には注入中止。

 

③経口摂取と経管栄養を併用する場合

~日より濃厚流動食【 】+白湯100mlを(2~4)時間で朝・昼・夕で投与開始

経管栄養注入前に経口摂取させてください。

経口で主食5割以上摂取できた場合は経管栄養注入はスキップとします。

 

<残胃量の確認>

口腔内に栄養剤の逆流がある場合⇒投与中止しDr.call

注入後は1時間クランプを行い、その後吸引し残胃量を測定する。

残胃は毎回破棄する。

  • 残胃が投与量の半分以上が2回以上続く場合は経管を中止し、主治医相談

 

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

退院時チェックリスト

 

 

退院時の評価

日常生活動作の評価指標 

DEATHSHAFT

BADL(基本的日常生活動作 IADL(手段的日常生活動作
Dressing 着替え Shopping 買い物
Eating 食事 House-keeping 掃除
Ambulation 移動・歩行 Account お金の管理
Toileting 排泄 Food 料理、炊事
Hygiene 衛生 Transport 外出(交通機関

 

ザックリとした目安
✅IADLのみの低下 ⇒ 要介護1程度、認知症がある場合は独居困難

✅BADLの低下もある ⇒ 要介護2以上 、サービス導入やリハビリ転院が必要

✅ほぼ寝たきり ⇒ 要介護4以上、施設や療養型病院利用を検討

 

退院後の行先の例

 

★ハイリスク症例は以下の理由で家に帰すのはオススメしない!

❶ 家族の負担が大きい
❷ 医療が手薄になる
❸ 搬送のリスクが高い(バイタルが崩れている患者は原則退院不可

⇒ どうしても在宅希望が強い場合には「家で最後まで看取り」or「短期間に限定した帰宅」のどちらかで考える。

 

在宅調整

手順

❶ MSWに介入依頼する(面談の日程調整

介護保険を申請する

  • 介護保険申請の手続きが分からない場合は「退院支援看護師」「MSW」「地域包括支援センター」等に相談してもらう。
  • 介護サービスを導入する場合は担当ケアマネに相談する
  • 要介護度が合っていない場合は再申請(区分変更申請)を検討する。

急ぎでない限り、急性期病院から転院後に時間をかけて在宅調整を進める

  • 介護保険の申請が下りるまで1ヶ月程度かかるため、急ぎで在宅調整をしたい場合は一旦全額負担介護保険を利用(暫定プラン)and 医療保険で賄える部分は医療保険で導入する。

❹ 在宅療養に必要な準備は下記参照

バックベッドの確保を行う

❻ 退院前に退院前カンファランを行う

 

在宅療養に必要な準備

語呂合わせ:いろはにすめし(移動、風呂、排泄、認知機能、睡眠、食事)

家の状況や家族の介護力に応じて準備を行う

移動リハビリが必要か?福祉用具(歩行器・車いす・電動ベッド)は?、自宅改修は必要?(家の状況は?自室はどこでトイレやリビングまでの導線は?階段はある?トイレや風呂の手すりはある?)

入浴入浴介助が必要?

排泄:排泄の介助が必要?(移動やズボンの上げ下げ)、ポータブルトイレが必要?

更衣:介助が必要?

食事服薬管理は?、買い出しはできる?、食事の準備は?、自力で食事できる?

その他:介護負担の軽減が必要?(ヘルパーショートステイ)、訪問診療/訪問看護バックベッドの確保通所介護(デイサービス)、通所リハ(デイケア)、緊急時の対応はできる?

 

必要なサービス一覧

訪問介護(ヘルパー):買い出し、掃除、洗濯、入浴介助など

訪問看護:全身状態チェック、異常の早期発見、入浴や清拭の介助、床擦れの予防、自宅療養中のアドバイス・相談窓口など

⇒ 必要ならバックベッドの準備も

✅訪問診療:通院困難患者の診察、処方、在宅看取り

⇒ 必要ならバックベッドの準備も

✅訪問薬剤:配薬サービス(薬局に取りに行かなくて良い)、服薬管理など

✅訪問リハビリ

✅住宅改修

通所介護(デイサービス)

✅通所リハ(デイケア

✅訪問入浴介護

✅訪問歯科

✅通院リハ(医療保険

 

 

転院先の選び方

急変時フルコースの場合は蘇生処置ができる病院を選ぶこと!

 

退院時IC

 

退院時の準備チェックリスト

  1. 退院可能な状態か?(リハビリや環境調整は?)
  2. どこに帰る予定?(家?リハ転院?療養病院?施設?)
  3. 今後の予定は?フォロー先は?(いつ?どこでフォロー?)
  4. 外来医に今後の方針の申し送り
  5. 他科への連絡添書作成依頼(退院で良いか?今後のフォローは?)
  6. 本人・家族に退院時のIC/電話退院時ICチェックリスト
    ■ 病状の最終報告
    急変時の対応(療養型病院へ転院の場合はDNARの確認が必要
    ■ 今後の治療方針とフォローの場所、次回外来予定日など

    ■ 
    どこに帰る?(家?リハ転院?療養病院?施設?)
    ■ 自宅退院の場合はいつ帰るか日程調整
      手続きや迎えが必要⇒家族の付き添いが必要になる
    ■ 転院/転医/施設退院/在宅調整が必要な場合は6.~11.を調整して再度連絡
  7. 診療情報提供書の作成、CD-R作成
  8. 転院もしくは施設に帰る場合⇒MSWに調整依頼
  9. 在宅調整が必要⇒在宅支援担当に介入依頼(面談の日程調整
  10. 退院前指導(インスリン、HOTの使用等)
  11. いつ帰る?退院の時間は?家族の付き添いは可能か?(自宅退院でなければ原則家族の付き添いが必要)
  12. どうやって帰る?(家族の迎え?MSWが準備してくれる?普通のタクシー?介護タクシーが必要?救急車?)

    ※病院救急車 ⇒ ABCが不安定の人(痰の誤嚥が多い、酸素不安定)
    介護タクシー ⇒ 乗り降りが自分でできない人、車椅子の人。退院時に酸素を借りる必要あり。

  13. 次回外来予約と検査予約、引継ぎサマリ
  14. かかりつけ医に退院報告と診療情報提供
  15. 退院決定、退院時指示、退院時処方
  16. 退院時リハビリテーション指導
  17. 退院療養計画書、退院証明書(転院の場合のみ)

 

 

 👇 ポチっと押していただけると励みになります!


人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村

失神(意識消失)

 

 

オーバービュー

★特に繰り返している症例では入院でしっかり調べる!

 

鑑別

H Hypo 出血(貧血)、脱水
E Emboli 肺塞栓
A AMI,Aorta 急性冠症候群、AS、HOCM
R Rhythm disturbance ブロック、徐脈性不整脈
T Tachycardia 頻脈性不整脈
&
V Vessel 血管迷走神経反射、頸動脈狭窄、TIA、鎖骨下動脈盗血症候群、大動脈炎症候群、もやもや病、Bow hunter症候群
E Erect 起立性低血圧、自律神経障害
S Situation 状況性失神(排泄時、咳嗽時、嚥下時、運動後など)
S Sinus 頸動脈洞性失神
EL Electrolyte, Else 電解質異常、その他(薬剤性、精神科疾患:解離性障害等)

+一過性の意識障害

痙攣、低血糖脳出血

 

【自律神経障害】

多系統萎縮症、Parkinson病、レビー小体病、自律神経失調症

【薬剤性】

<起立性低血圧>

降圧薬、利尿剤、アルコール、抗うつ薬睡眠導入剤、抗パーキンソン病

<QT延長>

不整脈薬、マクロライド、三環系抗うつ薬

<徐脈>

β-blocker、Ca-blocker、ジゴキシン

 

 

鑑別の絞り込み!

◆問診

▸目撃証言は?痙攣発作はなかったか?

▸発症時の状況は?

▸随伴症状の有無は?

▸心疾患の既往は?

◆診察

▸頭痛、Kernig徴候 ⇒ クモ膜下出血

▸尿失禁、舌咬傷 ⇒ 痙攣

▸黒色便、血便 ⇒ 消化管出血

カルガリー失神・痙攣スコア

1点以上で痙攣、1点未満で失神

舌咬傷 2
異常行動(非同調的、不自然な姿勢、四肢の運動、発作の健忘) 1
情動ストレスを伴う意識消失 1
発作後の混乱、錯乱、昏睡 1
発作時の頭部回旋運動 1
前駆症状としての既視感 1
前失神(失神感・浮動感) -2
長時間の座位・立位後 -2
発作前の発汗 -2

 

検査

カルガリー失神・痙攣スコアの評価(痙攣との鑑別)

血算(貧血の評価)、生化学(脱水の評価)、血糖(低血糖の除外)凝固、CK、CK-MB、トロポニンT、血ガス

✅胸部X線写真、心電図

✅頭部CT(頭蓋内病変、腫瘤性病変などの評価)

✅原因薬剤の確認・中止を検討。

✅出血や肺塞栓が疑わしい場合はエコー(FASTや心エコー)、全身造影CT

✅必要に応じて下記を追加

  • 心原性失神の評価:心エコー心電図 ⇒ Holter心電図まで検討(循環器内科コンサルト)
  • その他の失神の評価:頸動脈エコー、頭部MRI(痙攣の原因精査、脳血管の精査)、EEG、簡易tilt試験、全身CT、神経内科コンサルト

✅自律神経障害が疑わしい場合は、Tilt試験、CV R-R、神経内科コンサルト、頭部CT、頭部MRI、脳血流シンチ(SPECT)、心筋MIBGシンチ、多発神経障害の鑑別

✅精神科疾患が疑わしい場合は精神科コンサルト。

 

CHESSルール

以下をひとつでも満たす場合は経過観察入院を考慮。

Congestive heart failure:うっ血性心不全の既往

Ht<30%

ECG:心電図異常

Shortness of breath:息切れ

Systoric BP:収縮性血圧90mmHg未満

 

簡易tilt試験

①仰臥位で血圧と心拍数を測定

②立位もしくは端座位になり1分後、2分後、5分後に血圧・心拍数を測定

収縮期血圧の低下≧20mmHgもしくはHR増加≧30回で陽性。

 

ランキングに参加中

読んでいただき感謝申し上げます。

クリックして投票いただけると励みになります!

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

気管挿管時に使用する薬剤

 

 

鎮静

プロポフォール(10㎎/ml)

原液で1~2mg/kgをIV。血圧低下に注意する。

低用量:0.5~1.0mg/kgをIV。

維持量:1.0~3.0mg/kg/hr

ex) 体重50㎏で5~10ml IV、低用量では3~5ml IV、5~15ml/hrで調節。

 

ミダゾラム(10㎎/2ml)

ミダゾラム1Aを生食8mlに溶かして使用(1mg/ml組成)

1mg/ml組成で0.1~0.2mg/kgをIV。

低用量:0.06~0.10mg/kgをIV。

維持量:0.04~0.2mg/kgで調節

ex) 体重50㎏で5~10ml IV、低用量なら3~5ml IV、2~10ml/hrで調節

 

鎮痛

フェンタニル(100μg/2ml)

原液で半筒IVする。

(足りなければ1~2μg/kgの範囲内で追加IVする)

 

筋弛緩薬

エスラックス(ロクロニウム、50mg/5ml)

原液で0.6~1.0mg/kg IVする。30秒~1分程度で効果発現。

ex) 体重50kgで3~5ml投与

 

・ベクロニウム(マスキュラックス、10mg/A)

ベクロニウム10mg+注射用水10mgで1mg/ml組成で使用。

0.08~0.1mg/kgをする。

ex) 体重50kgで4~5ml投与

 

昇圧剤

・ネオシネジン(1mg/ml)

ネオシネジン1Aを生食9mlで溶解して使用。

血圧低下時に1mlずつIVする。

 

 

 

 👇 ポチっと押していただけると励みになります!


人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村